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公開番号2023184443
公報種別公開特許公報(A)
公開日2023-12-28
出願番号2023076803
出願日2023-05-08
発明の名称ローラー
出願人クアーズテック株式会社
代理人個人,個人
主分類F27B 9/24 20060101AFI20231221BHJP(炉,キルン,窯;レトルト)
要約【課題】製造コストをより低下させることができ、かつ、ローラー基材と被焼成物に含まれる金属元素との反応を抑制でき、溶射膜の亀裂、剥がれを抑制できるローラーハース炉用のローラーを提供する。
【解決手段】本発明のローラーは、炭化ケイ素質の基材と、前記基材の外表面を覆う保護膜とを有し、好適にはリチウムイオンバッテリー正極材原料の焼成用として用いられるローラーハース炉用のローラーであって、前記基材の全長に対する軸方向における中心をMとし、前記中心Mと前記ローラーの先端までの距離をLとし、前記中心Mを基準として前記軸方向に沿って等分かつ互いに反対方向の距離Cに含まれる前記基材の全表面の領域をXとしたときに、前記保護膜は前記領域Xにのみ形成され、かつ、0.33≦C/L≦0.8であり、前記保護膜の厚さが70μm以上250μm以下である。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
炭化ケイ素質の基材と、前記基材の外表面を覆う、溶射膜からなる保護膜とを有し、被焼成物を焼成するローラーハース炉用のローラーであって、
前記基材の全長に対する軸方向における中心をMとし、前記中心Mと前記ローラーの先端までの距離をLとし、前記中心Mを基準として前記軸方向に沿って等分かつ互いに反対方向の距離Cに含まれる前記基材の全表面の領域をXとしたときに、
前記保護膜は前記領域Xにのみ形成され、かつ、0.33≦C/L≦0.8であり、前記保護膜の厚さが70μm以上250μm以下であることを特徴とするローラー。
続きを表示(約 250 文字)【請求項2】
前記保護膜がアルミナ質溶射膜であることを特徴とする請求項1に記載のローラー。
【請求項3】
前記保護膜が、前記アルミナ質溶射膜の下にさらに1つ以上の他のセラミックス材料からなる中間層を有していることを特徴とする請求項2に記載のローラー。
【請求項4】
前記被焼成物がリチウムイオンバッテリー正極材原料である請求項2に記載のローラー。
【請求項5】
前記被焼成物がリチウムイオンバッテリー正極材原料である請求項3に記載のローラー。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明はローラーに関し、特に、ローラーハース炉で使用される、炭化ケイ素質からなるローラーに関するものである。
続きを表示(約 2,400 文字)【背景技術】
【0002】
ローラーハース炉は、セラミックの粉末合成や焼結、粉末冶金焼成体の焼結や熱処理などの様々な用途で使用される。
このローラーハース炉10は、例えば、図2に示すように、炉壁11で囲繞された炉室12と、この炉室12を加熱するバーナー13と、炉室12を貫通する多数のローラー14とで構成されている。
このローラー14は、炉室12を形成する炉壁11に設けられた一方の貫通孔15を貫通し、炉室12を横切り他方の貫通孔16を貫通して回動自在に多数設けられている。
そして、このローラー14は、図示しない駆動装置により回転駆動され、このローラー14の回転によりセッター17に乗せられた被焼成物18をセッター17ごと搬送する。
【0003】
前記ローラー14は、例えば、炭化ケイ素材料(炭化ケイ素質)で形成されている。
ローラー14が炭化ケイ素材料で形成されているため、炭化ケイ素材料が被焼成物の熱処理時に放出される各種金属元素と反応して、ローラーの表面に反応物の塊が形成される。
前記反応物の塊はローラー14を使用している途中でローラーの表面から欠落する。そして、ローラー14の表面には、反応物の塊が脱落したことにより、穴、凹み等のピットが形成される。
このピットはローラーの破損の起点となることから、このような現象の発生を抑制する必要がある。この抑制する方法としては、ローラーの表面に保護膜を形成することが知られている。
【0004】
例えば、ローラーの表面に保護膜が形成されたローラーが特許文献1に示されている。
このローラーを図3に基づいて説明する。このローラー14は、図3に示すように、常圧焼結により製造された炭化珪素質のローラー基材14aを有する。
このローラー基材14aの外表面には、2mm以上の厚さのアルミナ質の溶射膜14bが形成されている。
このアルミナ溶射膜14bは、炭化ケイ素質のローラーが酸素と反応し酸化することを防止する。
更に、被焼成物から発生する各種金属元素と炭化ケイ素質のローラーが反応するのを抑制して、前記したピットが形成されるのを抑制する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
特開平11-323429号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1によれば、保護膜(溶射膜)の厚みが2mm以下の場合には、使用の際に溶射膜が剥離する懸念がある(特許文献1の段落(0038))との課題が示されている。
また、特許文献1に示されたローラーにあっては、その全表面がアルミナ質の保護膜(溶射膜)で覆われるため、溶射面積が広範となり、製造コストが嵩むという課題がある。
更に、ローラーに形成される保護膜(溶射膜)を厚くすると、これも製造コストが嵩むという課題がある。
【0007】
ところで、近年、前記ローラーハース炉を用いて、被焼成物としてリチウムイオンバッテリー(以下、LiBともいう)正極材原料の焼成がなされている。
しかしながら、この正極材原料の焼成に適した、ローラーの保護膜(溶射膜)については検討されていなかった。
即ち、このLiB正極材原料の熱処理温度域(1000℃程度)において、ローラーの炭化ケイ素とLiB正極材原料の主成分であるニッケルとの反応を抑制する保護膜(溶射膜)については検討されていなかった。
具体的には、LiB正極材原料を焼成する場合において、使用されるローラーの保護膜(溶射膜)に関する適正な厚み、保護膜を形成する領域などについて十分な検討がされているとはいえないものであった。
【0008】
本発明者らは、ローラー基材と被焼成物に含まれる金属元素との反応、具体的には、ローラー基材の炭化ケイ素材料とLiB正極材原料の主成分であるニッケルとの反応を抑制する保護膜(溶射膜)について鋭意研究した。
その結果、保護膜(溶射膜)の厚みが従来技術では適切でないとされていた2mm未満の場合でも、炭化ケイ素とニッケルとの反応を抑制できることを知見した。
更に、前記ローラーの特定領域に保護膜(溶射膜)を形成することにより、製造コストを低減しつつ適切に保護膜(溶射膜)の剥離を抑制できることを知見した。
そして、これら知見に基づいて、本発明を完成するに至った。
【0009】
本発明は、上記情況に鑑みてなされたものであり、製造コストをより低下させることができ、かつ、ローラー基材と被焼成物に含まれる金属元素との反応を抑制でき、更には保護膜(溶射膜)の亀裂、剥離を抑制したローラーハース炉用のローラーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するためになされた本発明にかかるローラーは、炭化ケイ素質の基材と、前記基材の外表面を覆う、溶射膜からなる保護膜とを有し、被焼成物を焼成するためのローラーハース炉用のローラーであって、前記基材の全長に対する軸方向における中心をMとし、前記中心Mと前記ローラーの先端までの距離をLとし、前記中心Mを基準として前記軸方向に沿って等分かつ互いに反対方向の距離Cに含まれる前記基材の全表面の領域をXとしたときに、前記保護膜は前記領域Xにのみ形成され、かつ、0.33≦C/L≦0.8であり、前記保護膜の厚さが70μm以上250μm以下であることを特徴とする。
(【0011】以降は省略されています)

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