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公開番号2023166932
公報種別公開特許公報(A)
公開日2023-11-22
出願番号2022077804
出願日2022-05-10
発明の名称黒鉛含有耐火物
出願人JFEスチール株式会社
代理人個人
主分類F27D 1/00 20060101AFI20231115BHJP(炉,キルン,窯;レトルト)
要約【課題】転炉の内張り耐火物のように長期間にわたって昇温と降温が繰り返される条件で使用される場合でも、熱応力により発生する亀裂の進展が抑制されて高い耐用性が得られ、また、特に転炉の羽口煉瓦のように内部の温度勾配が非常に大きい条件で使用される場合でも、高い耐用性が得られる黒鉛含有耐火物を提供する。
【解決手段】黒鉛含有量が1~80質量%の耐火物本体Aの内部に、一方向に沿って炭素繊維織物Bが埋設された黒鉛含有耐火物であって、炭素繊維織物Bは1m2あたりの質量が40~1300gであり、好ましくは、耐火物稼働面と平行な耐火物断面における、炭素繊維織物Bを構成する炭素繊維の存在密度が10~2000本/mm2である。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
黒鉛含有量が1~80質量%の耐火物本体(A)の内部に炭素繊維織物(B)が埋設された黒鉛含有耐火物であって、
炭素繊維織物(B)は1m

あたりの質量が40~1300gであることを特徴とする黒鉛含有耐火物。
続きを表示(約 1,000 文字)【請求項2】
炭素繊維織物(B)は、炭素繊維束(b)が耐火物本体(A)を構成する骨材の最大粒径超の間隔で2方向以上に編み込まれた織物であり、
炭素繊維束(b)は、繊維径が1~45μmの炭素繊維を束に纏めたものであって、1束あたりの炭素繊維の本数が1000~300000本であり、
耐火物稼働面と平行な耐火物断面における、炭素繊維織物(B)を構成する炭素繊維の存在密度が10~2000本/mm

であることを特徴とする請求項1に記載の黒鉛含有耐火物。
【請求項3】
耐火物本体(A)の内部に、耐火物稼動面と直交する方向に沿って炭素繊維織物(B)が埋設されたことを特徴とする請求項1に記載の黒鉛含有耐火物。
【請求項4】
炭素繊維織物(B)は、同じ方向に編み込まれた炭素繊維束(b)どうしの間隔が3mm超であることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の黒鉛含有耐火物。
【請求項5】
炭素繊維織物(B)が1枚または積層した2枚以上の織物で構成されることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の黒鉛含有耐火物。
【請求項6】
耐火物本体(A)の内部に、炭素繊維織物(B)が1層又は間隔をおいて2層以上埋設されることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の黒鉛含有耐火物。
【請求項7】
耐火物本体(A)の内部に埋設された2層以上の炭素繊維織物(B)どうしの間隔が10mm以上であることを特徴とする請求項6に記載の黒鉛含有耐火物。
【請求項8】
炭素繊維織物(B)が耐火物本体(A)に対して接着剤成分を介して密着し、該接着剤成分は、有機樹脂、無機ゾル由来の無機微粒子、タールまたは/およびピッチ由来の有機物、有機糊由来の有機物の中から選ばれる1種以上であることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の黒鉛含有耐火物。
【請求項9】
耐火物本体(A)は、マグネシア濃度が90質量%以上のマグネシア原料を20~99質量%含有することを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の黒鉛含有耐火物。
【請求項10】
耐火物本体(A)は、アルミナ濃度が70質量%以上のアルミナ原料を10~95質量%含有することを特徴とする請求項1に記載の黒鉛含有耐火物。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、内部に炭素繊維を埋設した黒鉛含有耐火物に関するものである。
続きを表示(約 2,900 文字)【背景技術】
【0002】
製鉄所において製銑工程や製鋼工程で使用される設備(精錬容器、搬送容器など)は、高温下で長期間の使用に耐えられるように耐火物が内張り施工されている。一般に、精錬工程で使用される転炉の内張りにはマグネシア・カーボン質耐火物が使用され、溶銑予備処理工程で使用されるトピードや高炉鍋の内張りにはアルミナ・炭化珪素・カーボン質耐火物などが使用される。
これらの精錬容器や搬送容器で内張りに使用される耐火物は、装入物による機械的衝撃、溶鋼や溶融スラグの撹拌による摩耗、溶融スラグによるスラグ浸食、操業中の急激な温度変化などが生じる非常に過酷な条件下で使用される。このため、安定した操業を行うためにも、そのような過酷な条件に耐えられる耐用性の高い耐火物を使用する必要がある。
【0003】
特に、転炉の羽口部を構成する羽口煉瓦は、内部に常温のガス(酸素や冷却用炭化水素ガス等)が流れており、炉内に近い部位では内面が常温のガスにより冷却され、外面は炉内の溶鋼からの伝熱による高温に曝されるため、羽口煉瓦内の熱勾配は極めて大きく、しかも転炉の1チャージ分の吹錬が終わる度に、溶鋼を排出することによる温度低下が生じ、大きな熱変動が繰り返される。転炉に設置される羽口煉瓦は、使用頻度が2500~4000チャージ程度にも達し、この1チャージ毎に上記のような大きな熱勾配を生じる状況と大きな熱変動が繰り返されるという極めて過酷な条件で使用されるため、このような条件での使用に耐え得る高い耐用性が必要である。また、羽口煉瓦以外の転炉内張り耐火物(転炉内壁を構成する煉瓦)も、上述したような大きな熱変動が繰り返される過酷な条件で使用されるため、羽口煉瓦ほどではないが、高い耐用性が求められる。
【0004】
耐火物の耐用性を高める技術として、特許文献1には、高強度繊維束に合成樹脂やピッチなどを浸透(含浸)させたものに、熱処理などの硬化処理を施すことにより得られた棒状または網状の固化体を、耐火物の内部に配置することが記載されており、高強度繊維束の固化体が形状を崩すことなく耐火物の内部に配置されているので、耐火物の機械的強度と耐スポール性を高められるとしている。
また、特許文献2には、耐火物の表面の一部または全体に、耐火物よりも引張強度が高い繊維からなる一方向の束あるいは織物を耐熱性の接着剤で接着させることが記載されており、この技術により、従来よりも耐火物を高強度のまま長時間保持できるとともに、耐火物の引張強度を改善でき、亀裂発生や破壊を抑制でき、耐火物の寿命や信頼性を向上できるとしている。具体的には、鉄鋼の連続鋳造工程に使用されるロングノズル、浸漬ノズル、スライディングノズルといった内部を溶鋼が流通するノズルに対し、その外面を拘束する方向に繊維の束あるいは織物をフェノール樹脂により接着し、その表面に酸化防止下地層や酸化防止層を配置することが記載されている。これらのノズルでは、内部を溶鋼が流通するときに外面側へ熱膨張するのを前記繊維の束や織物で拘束し、ノズルを構成する耐火物に圧縮応力を生じさせ、亀裂の発生や破壊を抑制しているものと考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
特開2005-320196号公報
特開2007-106618号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、本発明者らが検討した結果、炭素繊維を特許文献1、2に示すような形態で耐火物に配置しても、過酷な条件に曝される転炉等に用いる耐火物としては強度が不十分であることが判った。
また、特許文献1に記載の技術は、高強度繊維束を樹脂やピッチなどで固化させた棒状または網状の固化体を耐火物内に配置するものであるため、炭素繊維束の単位面積当たりの重量が大きい場合には、耐火物原料を圧縮成型や流し込みにより成型または施工する際に、固化体が抵抗となって耐火物原料の均一な圧縮や流入が妨げられる結果、耐火物の強度や破壊エネルギーが低下し、耐火物の耐用性が低下するという問題がある。
【0007】
また、特許文献2に記載のノズルが使用される連続鋳造工程では、転炉で吹錬された複数チャージ分の溶鋼を連続的に鋳造するため、使用されるノズルの温度変化のサイクルは転炉の内張り耐火物に較べれば長く、またノズルの外面は下方に位置する下流側の容器に貯留される溶鋼からの輻射を受けるため、ノズル内を流れる溶鋼との温度差はそれほど大きなものではない。これに対して、転炉の内張り耐火物(転炉の内壁を構成する煉瓦)、特に羽口部を構成する羽口煉瓦は、上述したように非常に過酷な条件で使用されるものであり、本発明者らが検討したところによれば、特許文献2に記載の技術では、そのような耐火物の耐用性を十分に高めることができないことが判った。
【0008】
したがって本発明の目的は、以上のような従来技術の課題を解決し、転炉の内張り耐火物のように長期間にわたって昇温と降温が繰り返される条件で使用される場合でも、熱応力により発生する亀裂の進展が抑制されて高い耐用性が得られ、また、特に転炉の羽口煉瓦のように内部の温度勾配が非常に大きい条件で使用される場合でも高い耐用性が得られる黒鉛含有耐火物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記課題を解決するために検討を重ねた結果、耐火物の内部に特定の炭素繊維織物を所定の形態で埋設すること、好ましくは炭素繊維織物を構成する炭素繊維の繊維径や本数、さらには耐火物断面における炭素繊維の存在密度を最適化することにより、上述したような極めて厳しい使用環境でも高い耐用性が得られることを見出した。
本発明は、このような知見に基づきなされたもので、以下を要旨とするものである。
【0010】
[1]黒鉛含有量が1~80質量%の耐火物本体(A)の内部に炭素繊維織物(B)が埋設された黒鉛含有耐火物であって、
炭素繊維織物(B)は1m

あたりの質量が40~1300gであることを特徴とする黒鉛含有耐火物。
[2]上記[1]の黒鉛含有耐火物において、炭素繊維織物(B)は、炭素繊維束(b)が耐火物本体(A)を構成する骨材の最大粒径超の間隔で2方向以上に編み込まれた織物であり、
炭素繊維束(b)は、繊維径が1~45μmの炭素繊維を束に纏めたものであって、1束あたりの炭素繊維の本数が1000~300000本であり、
耐火物稼働面と平行な耐火物断面における、炭素繊維織物(B)を構成する炭素繊維の存在密度が10~2000本/mm

であることを特徴とする黒鉛含有耐火物。
(【0011】以降は省略されています)

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