TOP特許意匠商標
特許ウォッチ Twitter
公開番号2023062830
公報種別公開特許公報(A)
公開日2023-05-09
出願番号2021172951
出願日2021-10-22
発明の名称樹脂発泡粒子の製造方法
出願人株式会社ジェイエスピー
代理人個人
主分類C08J 9/228 20060101AFI20230427BHJP(有機高分子化合物;その製造または化学的加工;それに基づく組成物)
要約
【課題】 本発明は、漁網や漁業用ロープ、更には釣り糸等の水産用回収物に含まれる合成樹脂素材の内、ポリオレフィン系樹脂素材の有効利用を目的とする樹脂発泡粒子の製造方法を提供することを課題とする。
【解決手段】 本発明は、特定のプロピレン系ランダム共重合体と、特定の回収ポリオレフィン系樹脂とを溶融混合し、溶融混合樹脂とする溶融混合工程Aと、溶融混合樹脂から樹脂粒子を得る樹脂粒子製造工程Bと、樹脂粒子を発泡させて樹脂発泡粒子を得る発泡工程Cとを含む樹脂発泡粒子の製造方法であって、回収ポリオレフィン系樹脂(II)が、漁網、釣り糸および漁業用ロープの群から選択された一以上の水産用回収物がペレット化されたものであり、且つその灰分量が3質量%以下であり、溶融混合工程Aにおいて、特定量のランダム共重合体(I)と、特定量の回収ポリオレフィン系樹脂(II)とを溶融混合することを特徴とする樹脂発泡粒子の製造方法。

【選択図】 なし



特許請求の範囲【請求項1】
融点120℃以上のプロピレン系ランダム共重合体(I)と、融点125~170℃の回収ポリオレフィン系樹脂(II)とを溶融混合し、溶融混合樹脂とする溶融混合工程(A)と、
該溶融混合樹脂から樹脂粒子を得る樹脂粒子製造工程(B)と、
該樹脂粒子を発泡させて樹脂発泡粒子を得る発泡工程(C)とを含む樹脂発泡粒子の製造方法であって、
該回収ポリオレフィン系樹脂(II)が、漁網、釣り糸および漁業用ロープの群から選択された一又は二以上の水産用回収物がペレット化されたものであり、且つその灰分量が3質量%以下であり、
該溶融混合工程(A)において、40質量%以上95質量%以下の該ランダム共重合体(I)と、5質量%以上60質量%以下の該回収ポリオレフィン系樹脂(II)とを溶融混合する(但し、該プロピレン系ランダム共重合体(I)と該回収ポリオレフィン系樹脂(II)との合計量が100質量%である。)ことを特徴とする樹脂発泡粒子の製造方法。
続きを表示(約 1,000 文字)【請求項2】
上記プロピレン系ランダム共重合体(I)の230℃、荷重2.16kgにおけるメルトフローレイトが1g/10分以上10g/10分以下であり、かつ上記回収ポリオレフィン系樹脂(II)の230℃、荷重2.16kgにおけるメルトフローレイトが該プロピレン系ランダム共重合体(I)のメルトフローレイトよりも小さいことを特徴とする請求項1に記載の樹脂発泡粒子の製造方法。
【請求項3】
上記回収ポリオレフィン系樹脂(II)が、融点125℃以上145℃以下の高密度ポリエチレン樹脂を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の樹脂発泡粒子の製造方法。
【請求項4】
上記樹脂発泡粒子を試験片とし、JIS K7121-1987の熱流束示差走査熱量測定法に基づき、加熱速度10℃/分にて30℃から融解ピーク終了時よりも30℃高い加熱終了温度まで加熱溶融させる際に測定される1回目のDSC曲線が、2以上の融解ピークを有し、該2以上の融解ピークに、該樹脂発泡粒子を構成する樹脂に固有の融解ピークと、該固有の融解ピークの頂点の温度よりも高温側に頂点の温度を有する高温側の融解ピークとが含まれ、次いで該加熱終了温度にて10分間保った後、冷却速度10℃/分にて30℃まで冷却し、再度、加熱速度10℃/分にて融解ピーク終了時よりも30℃高い温度まで加熱溶融させる際に測定される2回目のDSC曲線には該高温側の融解ピークが現れないことを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の樹脂発泡粒子の製造方法。
【請求項5】
上記樹脂粒子が、プロピレン系ランダム共重合体(I)と回収ポリオレフィン系樹脂(II)との混合物を基材樹脂とする芯層と、該芯層を被覆するポリオレフィン系樹脂(III)を基材樹脂とする被覆層とを有する多層樹脂粒子であることを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の樹脂発泡粒子の製造方法。
【請求項6】
上記発泡工程(C)において、上記樹脂粒子を発泡させて嵩密度が10kg/m

以上100kg/m

以下の樹脂発泡粒子を得ることを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載の樹脂発泡粒子の製造方法。
【請求項7】
上記プロピレン系ランダム共重合体(I)の融点が、135℃以上160℃以下であることを特徴とする請求項1~6のいずれか一項に記載の樹脂発泡粒子の製造方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂発泡粒子の製造方法に関し、詳しくは水産用回収物原料を含む樹脂発泡粒子の製造方法に関する。
続きを表示(約 2,900 文字)【背景技術】
【0002】
近年、プラスチックごみによる海洋汚染が深刻化している。該プラスチックごみの中に、漁業や魚釣りで使用されて捨てられたものがあり、それによる海洋汚染も深刻である。例えば、海洋や川で漁業などに使用された、漁網、釣り糸、ロープ等が、使用時に切れてしまい、そのまま海洋等に放置され、海洋をゴミとして漂うことがあり、これらを如何に処分するかが社会的な問題となっている。
【0003】
また、定置網漁においても、プラスチックごみが発生している。定置網漁は、魚の回遊道に垣網、運動場網、昇網、箱網、金庫網を設置し、垣網、運動場網、昇網、箱網を介して金庫網へ魚を誘導することによって漁獲を行う漁法である。その漁網、特に沈子ロープには浮力調整のため鉛等の錘が織り込まれている。そのため、鉛等を含むプラスチックごみを如何に回収するかが問題になっている。
【0004】
また、漁網製造元の工場では、新規漁網の製造の際に漁網クズなどが発生する。また、該工場では、漁網の修理も行われており、漁網の修理の際にも漁網クズなどが発生する。これらの漁網製造元で発生した漁網クズなどは不要なものである。しかし、適切な再利用方法が見出されておらずゴミとして廃棄されることがあり、その有効利用方法が模索されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、かかる問題点に鑑みなされたもので、漁網や漁業用ロープ、更には釣り糸等の水産用回収物に含まれる合成樹脂素材の内、ポリオレフィン系樹脂素材の有効利用を目的とする樹脂発泡粒子の製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、以下に示す樹脂発泡粒子の製造方法が提供される。
[1]融点が120℃以上であるプロピレン系ランダム共重合体(I)と、融点が125℃以上170℃以下の回収ポリオレフィン系樹脂(II)とを溶融混合し、溶融混合樹脂とする溶融混合工程(A)と、
該溶融混合樹脂から樹脂粒子を得る樹脂粒子製造工程(B)と、
該樹脂粒子を発泡させて樹脂発泡粒子を得る発泡工程(C)とを含む樹脂発泡粒子の製造方法であって、
該回収ポリオレフィン系樹脂(II)が、漁網、釣り糸および漁業用ロープの群から選択された一又は二以上の水産用回収物がペレット化されたものであり、且つその灰分量が3質量%以下であり、
該溶融混合工程(A)において、40質量%以上95質量%以下の該ランダム共重合体(I)と、5質量%以上60質量%以下の該回収ポリオレフィン系樹脂(II)とを溶融混合する(但し、該プロピレン系ランダム共重合体(I)と該回収ポリオレフィン系樹脂(II)との合計量が100質量%である。)ことを特徴とする樹脂発泡粒子の製造方法。
[2]上記プロピレン系ランダム共重合体(I)の230℃、荷重2.16kgにおけるメルトフローレイトが1g/10分以上10g/10分以下であり、かつ上記回収ポリオレフィン系樹脂(II)の230℃、荷重2.16kgにおけるメルトフローレイトが該プロピレン系ランダム共重合体(I)のメルトフローレイトよりも小さいことを特徴とする上記1に記載の樹脂発泡粒子の製造方法。
[3]上記回収ポリオレフィン系樹脂(II)が、融点125℃以上145℃以下の高密度ポリエチレン樹脂を含むことを特徴とする上記1または2に記載の樹脂発泡粒子の製造方法。
[4]上記樹脂発泡粒子を試験片とし、JIS K7121-1987の熱流束示差走査熱量測定法に基づき、加熱速度10℃/分にて30℃から融解ピーク終了時よりも30℃高い加熱終了温度まで加熱溶融させる際に測定される1回目のDSC曲線が、2以上の融解ピークを有し、該2以上の融解ピークに、該樹脂発泡粒子を構成する樹脂に固有の融解ピークと、該固有の融解ピークの頂点の温度よりも高温側に頂点の温度を有する高温側の融解ピークとが含まれ、次いで該加熱終了温度にて10分間保った後、冷却速度10℃/分にて30℃まで冷却し、再度、加熱速度10℃/分にて融解ピーク終了時よりも30℃高い温度まで加熱溶融させる際に測定される2回目のDSC曲線には該高温側の融解ピークが現れないことを特徴とする上記1~3のいずれか一に記載の樹脂発泡粒子の製造方法。
[5]上記樹脂粒子が、プロピレン系ランダム共重合体(I)と回収ポリオレフィン系樹脂(II)との混合物を基材樹脂とする芯層と、該芯層を被覆するポリオレフィン系樹脂(III)を基材樹脂とする被覆層とを有する多層樹脂粒子であることを特徴とする上記1~4のいずれか一項に記載の樹脂発泡粒子の製造方法。
[6]上記発泡工程(C)において、上記樹脂粒子を発泡させて嵩密度が10kg/m

以上100kg/m

以下の樹脂発泡粒子を得ることを特徴とする上記1~5のいずれか一に記載の樹脂発泡粒子の製造方法。
[7]上記プロピレン系ランダム共重合体(I)の融点が、135℃以上160℃以下であることを特徴とする上記1~6のいずれか一項に記載の樹脂発泡粒子の製造方法。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、漁網、釣り糸、漁業用ロープ等の水産用回収物から得られた、ポリオレフィン系樹脂を含む樹脂発泡粒子を製造することにより、水産用回収物を有効に再利用することができる。また、漁網、釣り糸、漁業用ロープ等の水産用回収物を再利用することにより、漁網、釣り糸、漁業用ロープ等を廃棄物として燃やすことを防止し、二酸化炭素の排出量を減らすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1は、本発明の発泡粒子の熱流束示差走査熱量測定における1回目のDSC曲線の一例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の樹脂発泡粒子の製造方法について、詳細に説明する。
本発明の樹脂発泡粒子(以下、単に発泡粒子ともいう。)の製造方法は、溶融混合樹脂製造工程(A)と、樹脂粒子製造工程(B)と、発泡工程(C)とを含む方法である。
以下、溶融混合工程(A)、樹脂粒子製造工程(B)、発泡工程(C)の順でその内容を説明する。
【0010】
溶融混合工程(A)においては、融点が120℃以上であるプロピレン系ランダム共重合体(I)と、融点が125~170℃の回収ポリオレフィン系樹脂(II)とを溶融混合し、溶融混合樹脂が形成される。詳しくは、該プロピレン系ランダム共重合体(I)と、該回収ポリオレフィン系樹脂(II)と、必要に応じて配合される気泡調整剤等の添加剤とを押出機に供給し、溶融混練することにより、溶融混合樹脂が形成される。
(【0011】以降は省略されています)

この特許をJ-PlatPatで参照する

関連特許

株式会社日本触媒
組成物
1か月前
東レ株式会社
多孔質フィルム
1か月前
株式会社ナリス化粧品
構造体
2日前
三菱ケミカル株式会社
積層体
29日前
ユニチカ株式会社
水性分散体
4か月前
ユニチカ株式会社
水性分散体
4か月前
株式会社きもと
障子用フィルム
2か月前
株式会社コバヤシ
成形体
2か月前
三菱ケミカル株式会社
樹脂組成物
1か月前
東レ株式会社
ポリエステルフィルム
2か月前
株式会社松風
光硬化性組成物
1か月前
東レ株式会社
ポリエステルフィルム
3か月前
東レ株式会社
ポリアミド樹脂組成物
25日前
東レ株式会社
ポリエステルフィルム
3か月前
東レ株式会社
ポリエステルフィルム
2か月前
株式会社日本触媒
無機粒子含有分散体
1か月前
株式会社ADEKA
組成物及び硬化物
3か月前
サンノプコ株式会社
樹脂組成物
2か月前
株式会社魁半導体
機能性粉体及び組成物
2か月前
株式会社エイコー
廃棄物処理方法
4か月前
アイカ工業株式会社
ホットメルト組成物
16日前
AGC株式会社
水性分散液
1か月前
テクノUMG株式会社
物品
1か月前
株式会社カネカ
樹脂組成物およびフィルム
1か月前
東レ株式会社
ポリエステルフィルムロール
3か月前
株式会社カネカ
硬化性組成物
2か月前
株式会社カネカ
硬化性組成物
2か月前
株式会社カネカ
硬化性組成物
2か月前
ユニチカ株式会社
延伸ポリアミドフィルム
3か月前
ユニチカ株式会社
多孔質ポリアミドイミド
1か月前
東レ株式会社
樹脂組成物およびその成形品
3か月前
株式会社カネカ
樹脂組成物およびフィルム
4か月前
東レ株式会社
ポリエステル組成物の製造方法
17日前
国立大学法人九州大学
ポリマー化合物
3か月前
松本油脂製薬株式会社
樹脂粒子及びその用途
16日前
国立大学法人九州大学
ポリマー化合物
3か月前
続きを見る