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公開番号2023059073
公報種別公開特許公報(A)
公開日2023-04-26
出願番号2021168968
出願日2021-10-14
発明の名称射出成形方法
出願人UBEマシナリー株式会社
代理人
主分類B29C 45/77 20060101AFI20230419BHJP(プラスチックの加工;可塑状態の物質の加工一般)
要約【課題】射出工程から保圧工程の切換時に発生したスプリングバック現象を簡単に改善できる射出成形方法を提供することを目的とする。
【解決手段】速度制御で射出工程を行い、圧力制御で保圧工程を行う試し打ち成形で、速度制御から圧力制御への切換位置VPと、圧力制御の保圧完了位置SEと、圧力制御の保圧時間HTを求め、切換位置VPと保圧完了位置SEと差を保圧移動量HLとし、保圧移動量HLと保持時間HTから、冷却固化収縮を補うスクリュ15の保圧速度VHを算出して射出制御部40に設定し、試し打ち成形に続く量産成形は、保圧速度VHに基づいて保圧工程を速度制御とする。
【選択図】図3
特許請求の範囲【請求項1】
射出工程でスクリュの前進動作を制御して、射出シリンダ内に貯蔵した溶融樹脂を、金型キャビティ内に射出充填し、射出充填した前記溶融樹脂の冷却固化収縮を補う新たな溶融樹脂の補充を、保圧工程で前記射出シリンダから前記金型キャビティに向けて行う射出成形方法において、
前記スクリュの速度制御と圧力制御を行う射出制御部を備え、
前記速度制御で射出工程を行い、前記圧力制御で保圧工程を行う試し打ち成形で、前記速度制御から前記圧力制御への切換位置と、前記圧力制御の保圧完了位置と、前記圧力制御の保圧時間を求め、前記切換位置と前記保圧完了位置と差を保圧移動量とし、前記保圧移動量と前記保持時間から、前記冷却固化収縮を補う前記スクリュの保圧速度を算出して前記射出制御部に設定し、
試し打ち成形に続く量産成形は、前記保圧速度に基づいて前記保圧工程を速度制御とする、ことを特徴とする射出成形方法。
続きを表示(約 110 文字)【請求項2】
前記射出工程および保圧工程中の射出圧力を計測する圧力計測手段を備え、前記圧力計測手段で計測される最大の射出圧力計測値よりも、高い射出圧力設定値を前記射出制御部に設定する、請求項1記載の射出成形方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、射出工程でスクリュの前進動作を制御して、射出シリンダ内に貯蔵した溶融樹脂を、金型キャビティ内に射出充填し、射出充填した溶融樹脂の冷却固化収縮量を補う新たな溶融樹脂の補充を、保圧工程で射出シリンダから前記金型キャビティに向けて行う射出成形方法に関するものである。
続きを表示(約 2,700 文字)【0002】
樹脂材料の可塑化と貯蔵と射出を同時に行うインライン式射出成形機を用いた射出成形は、射出シリンダ内に樹脂材料を供給し、該樹脂材料は、螺旋状のフライトを有するスクリュの回転運動によるせん断発熱と、射出シリンダに設けたヒータ等の熱量によって可塑化され、スクリュ先端の射出シリンダ内に溶融状態の計量樹脂として貯蔵される。計量樹脂の貯蔵に伴いスクリュは後退動作し、所定の後退位置でスクリュの回転運動を停止してスクリュ位置が保持される。このスクリュの後退動作に抵抗力を負荷して、貯蔵される計量樹脂の溶融混錬性を調整する(背圧制御という)。ここまでを計量工程という。スクリュを前進動作させて、計量樹脂を金型キャビティ内に射出充填する射出工程と、溶融状態の計量樹脂の冷却固化収縮を補う保圧充填の保圧工程と、溶融状態の計量樹脂を金型キャビティ内で冷却固化させる冷却工程を経て、型開して金型キャビティから射出成形品として取り出す。
【0003】
また、樹脂材料の可塑化と、貯蔵及び射出が異なるプリプラ式射出成形機を用いた射出成形においても、計量工程で計量樹脂を貯蔵し、射出工程で金型キャビティ内に計量樹脂を射出充填し、その後、保圧工程と冷却工程に進む。いずれの場合においても、射出工程においては、スクリュの前進速度を制御して射出充填する速度制御が採用され、保圧工程においては、スクリュの前進推力を制御して保圧充填する圧力制御が、常識的に広く採用されている。
【0004】
ここで、射出工程において、金型キャビティ内を流動する樹脂の流動圧力は、樹脂圧力換算で100MPa以上の高圧となることがある。例えば、溶融粘度の高い樹脂材料や、充填距離が長く薄肉形状の金型キャビティ形状等の成形条件によっては、さらに高圧となることが報告されている。そのため、射出工程の速度制御を確実なものとするために、流動圧力よりも高めの射出圧力が射出装置に設定される。これに対して、保圧工程の保圧充填に必要な流動圧力は、冷却固化収縮を補う程度の比較的低めの樹脂圧力でよい。過大な樹脂圧力を負荷して保圧充填を行うと、残留応力による製品の変形等の成形不良を誘発するとされている。そのため、射出装置に設定される保圧工程の射出圧力は、射出工程の半分以下が好ましいとされている。
【0005】
この射出圧力の差によって、射出工程から保圧工程の切換時に(保圧切換という)、スクリュが大きく後退することがある(スプリングバック現象という)。このスプリングバック現象により、金型キャビティ内に射出充填した樹脂が射出装置側に逆流する、あるいは、金型キャビティ内の樹脂の流動が停止または逆流する等の樹脂流動の乱れが生じる。この樹脂流動の乱れによって、射出充填量(製品重量)の変動、フローマークや転写不良等の製品外観不良、ボイドや異物混入等の製品内部不良、製品ショート不良等、多くの成形不良の原因となる。そのため、保圧切換時のスプリングバック現象を発生させない提案が多くされている。
【0006】
例えば、特許文献1に示すような、射出工程で金型キャビティ内に樹脂が満杯となる手前でスクリュの前進動作を停止させ、樹脂の圧縮性を利用して金型キャビティ内に樹脂を充満させた後に、保圧工程に移行する制御方法が提案されている。また、特許文献2に示すような、充填工程と保圧工程を射出速度制御とし、圧力実効値が圧力上限値に接近すると射出速度を減速させ、圧力実測値が圧力上限値を超えないようにする射出制御方法が提案されている。また、特許文献3に示すような、保圧制御系に射出速度のマイナフィードバックを設け、射出速度系の速度フィードバックと共用し、射出工程と保圧工程の間に切換工程を設け、射出工程から切換工程および切換工程から保圧工程の切換条件を圧力で設定し、切換工程中に制御ゲインを調整する制御方法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
特開2008-74114号公報
特開平2-43021号公報
特開平3-243320号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ここで、特許文献1に示すように、圧力制御で保圧工程を行うとしているので、保圧工程の射出圧力の設定値によっては、スプリングバック現象が生じることもあると書かれている。樹脂の圧縮性を利用して、金型キャビティ内に樹脂が充満されているとしても、スプリングバック現象の程度によっては、射出装置への樹脂の逆流や、金型キャビティ内の樹脂の圧力変動が生じることが考えられる。また、連続成形中の樹脂あるいは金型の温度変動や、樹脂に含まれる添加剤の変動等によって、樹脂の圧縮性の状態も変動し、金型キャビティ内への樹脂の充満の程度も変動する。このスプリングバック現象と圧縮性の変動によって、樹脂流動の乱れに起因する成形不良を確実に改善できるものではない。
【0009】
また、特許文献2に示すように、充填工程も保圧工程も同様に、圧力実効値が圧力上限値に達するまでは射出速度制御であり、圧力実効値が圧力上限値に接近すると射出圧力制御を行うと書かれている。その結果、圧力実効値が圧力上限値に接近した後は、圧力実効値が圧力上限値を超えないように、射出速度は減速すると書かれている。この現象を、射出速度制御における射出圧力の頭打ちといい、射出速度制御は制御されていない状態となる。そうなると、充填工程中も保圧工程中も、射出速度は制御されていない状態を含み、射出速度の安定は期待できない。その結果、樹脂流動の乱れによる成形不良を改善するものではない。
【0010】
また、特許文献3に示すように、各工程の切換時に射出圧力の連続性が確保できるとされている。これにより、スプリングバック現象は改善されるものと考えられる。なお、各工程の切換は、樹脂の充填に伴う上昇する射出圧力を基準として行われるとされている。しかしながら、例えば、連続成形中の計量樹脂あるいは金型の温度変化や、樹脂に含まれる添加剤の変動等によって、射出圧力は大きく変動する。そのため、各工程の切換のタイミングが変動し、樹脂流動の状態が変動して、樹脂流動の乱れと同様あるいは異なる別の成形不良が発生することが考えられる。
(【0011】以降は省略されています)

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