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公開番号2023057264
公報種別公開特許公報(A)
公開日2023-04-21
出願番号2021166687
出願日2021-10-11
発明の名称射出成形方法
出願人UBEマシナリー株式会社
代理人
主分類B29C 45/78 20060101AFI20230414BHJP(プラスチックの加工;可塑状態の物質の加工一般)
要約【課題】樹脂材料や添加剤の種類、樹脂材料の供給状態、成形サイクル等に影響されず、安定した計量時間の射出成形法を提供することを目的とする。
【解決手段】射出シリンダ10は、後方Bから前方Fに向かって、輸送ゾーンFZ、圧縮ゾーンCZ、溶融ゾーンMZ、貯蔵ソーンKZ、ノズルゾーンNZにゾーン分類し、それぞれに温度調整手段と温度計測手段を備え、第1温度パターンを温度補正手段50に初期設定し、計量工程中の計量時間を監視し、計量時間が予め設定した監視時間CT3を超えると、第1温度パターンの温度補正を行う。
【選択図】図2
特許請求の範囲【請求項1】
計量工程でスクリュの回転動作により、所定量の計量樹脂を射出シリンダ内に貯蔵し、射出工程で前記スクリュの前進動作により、前記計量樹脂を金型キャビティ内に射出充填する射出成形方法において、
前記射出シリンダは、後方から前方に向かって、輸送ゾーンと、圧縮ゾーンと、溶融ゾーンと、貯蔵ソーンと、ノズルゾーンと、にゾーン分類し、前記ゾーン分類のそれぞれに温度調整手段と温度計測手段を備え、前記ゾーン分類に応じた第1温度パターンを温度補正手段に初期設定し、
前記温度補正手段は、前記第1温度パターンに基づいて、前記温度計測手段の計測温度に基づき前記温度調整手段を操作して、前記射出シリンダの加熱制御を行い、前記計量工程中の計量時間を監視し、前記計量時間が予め設定した監視時間を超えると、前記第1温度パターンの温度補正を行う、ことを特徴とする射出成形方法。
続きを表示(約 860 文字)【請求項2】
前記温度補正は、前記計量時間が前記監視時間を超えた時の限界ショット数を算出し、前記限界ショット数に達した時の前記温度計測手段で計測した前記圧縮ゾーンの上限温度を求め、前記第1温度パターンの基準温度と前記上限温度の差を第1温度変化量とし、前記限界温度を前記圧縮ゾーンの新たな設定温度とし、前記輸送ゾーンの設定温度に前記第1温度変化量を加算した温度を前記輸送ゾーンの新たな設定温度とし、第2温度パターンとして前記温度補正手段に再設定する、請求項1記載の射出成形方法。
【請求項3】
前記温度補正は、前記計量時間が前記監視時間を超えた時の限界ショット数を算出し、前記限界ショット数に達した時の前記温度計測手段で計測した前記圧縮ゾーンの上限温度を求め、前記上限温度を前記圧縮ゾーンおよび前記輸送ゾーンの新たな設定温度とし、第3温度パターンとして前記温度補正手段に再設定する、請求項1記載の射出成形方法。
【請求項4】
前記温度補正は、前記計量時間が前記監視時間を超えた時の限界ショット数を算出し、前記限界ショット数に達した時の前記温度計測手段で計測した前記圧縮ゾーンの上限温度と、前記限界ショット数に達した時の前記温度計測手段で計測した前記輸送ゾーンの下限温度を求め、前記上限温度を前記圧縮ゾーンおよび前記輸送ゾーンの新たな設定温度として暫定温度パターンを求め、さらに、前記第1温度パターンの前記輸送ゾーンの設定温度と前記下限温度の差を第2温度変化量とし、前記暫定温度パターンの前記輸送ゾーンの設定温度に前記第2温度変化量を加算した温度を前記輸送ゾーンの新たな設定温度とし、第4温度パターンとして前記温度補正手段に再設定する、請求項1記載の射出成形方法。
【請求項5】
前記温度補正手段は、前記第4温度パターンに基づいて前記射出シリンダの加熱制御を行い、前記計量時間が前記監視時間の範囲内に収束しないと判断されると警報を発信する、請求項4記載の射出成形方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、計量工程でスクリュの回転動作により、所定量の計量樹脂を射出シリンダ内に貯蔵し、射出工程で前記スクリュの前進動作により、前記計量樹脂を金型キャビティ内に射出充填する射出成形方法に関するものである。
続きを表示(約 2,500 文字)【0002】
射出成形は、次に示す工程で形成される。先ず、射出シリンダ内に樹脂材料を供給し、螺旋状のフライトを有するスクリュの回転運動によるせん断発熱と、射出シリンダに設けたヒータ等の熱量によって、可塑化し溶融樹脂となってスクリュ先端側に回転輸送され、射出シリンダ内に計量樹脂として貯蔵される。計量樹脂の貯蔵に伴いスクリュは後退動作し、所定の後退位置でスクリュの回転運動を停止してスクリュ位置が保持される(計量工程という)。このスクリュの後退動作に抵抗力を負荷して、貯蔵される成形材料の溶融混錬性を調整する(背圧制御という)。次いで、スクリュを前進動作させて、計量樹脂を金型キャビティ内に射出充填する射出工程と、溶融状態の計量樹脂の冷却固化収縮を補う保圧工程と、溶融状態の計量樹脂を金型キャビティ内で冷却固化させる冷却工程を経て、型開して金型キャビティから射出成形品として取り出す。この一連の成形動作を必要な成形品の個数を得るまで繰り返す。
【0003】
ここで、射出成形の品質は、成形動作の起点である計量工程で貯蔵される計量樹脂の溶融混錬を示す樹脂温度の安定性に大きく依存し、その後の射出工程や保圧工程で補正することは困難である。計量工程のスクリュの回転数や計量背圧制御は、せん断発熱として樹脂温度に関係し、近年の射出装置の電動化に伴い、樹脂温度を高精度に調整することが可能となってきた。これに加え、射出シリンダの温度調整は、樹脂温度の安定性に関係する。そのため、射出シリンダの温度調整を正確に行うことで、射出成形の品質の安定化を試みる提案が多くなされている。
【0004】
例えば、特許文献1に示すような、加熱筒(射出シリンダ)に熱電対を挿入し、計量工程の加熱筒の温度変化を計測し、可塑化状態を推測して、スクリュの回転数や背圧等の可塑化要因の状態を変化させるとしている。さらに、ノズルに熱電対を挿入し、射出工程のノズル通過時のせん断発熱等を加味した1ショット分の樹脂温度の変化を計測し、加熱筒の加熱温度、スクリュの回転数、背圧等を制御するとしている。これにより、金型キャビティに射出充填する樹脂温度を正確に把握して良好な成形状態を常に保つことが可能になるとされている。
【0005】
また、特許文献2に示すような、加熱筒への樹脂材料の供給口付近の温度状態を検出し、検出した温度状態に基づいて、樹脂状態に影響を与える制御要素を可変制御するとしている。制御要素としては、樹脂材料の供給量、加熱筒の加熱温度、樹脂材料の予熱温度、スクリュ回転数または背圧である。
【0006】
また、特許文献3に示すような、射出室または射出室と金型を連結する樹脂流路に温度センサを配置し、樹脂温度の変化を計測し、射出サイクルの時間軸に関連付けて、温度変化に最も影響を及ぼした加熱ゾーンを特定して、この加熱ゾーンの温度制御を行うとしている。これにより、溶融樹脂の温度を適正な値に維持することができるとされている。なお、射出室とは、計量樹脂が貯蔵される加熱筒の先端部の限られた範囲を示す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
特開平6-55600号公報
特開平4-94915号公報
特開2000-176983号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ここで、特許文献1に示すように、計量工程のスクリュの回転動作による摩擦発熱(せん断発熱)により加熱筒が温度上昇し、この温度上昇を熱量に換算して、予め試算した流入熱量と比較して可塑化状態を推測するとしている。また、射出工程でノズルから排出される樹脂温度を計測することで、可塑化状態の推測の精度が高まるとしている。しかしながら、射出成形で用いる樹脂材料は、例えば、タルクやガラス繊維等の添加剤が許容範囲内で添加されており、変動幅を持った添加剤が含まれる樹脂材料に対しての流入熱量を正確に試算する手段は存在しない。また、加熱筒に供給される樹脂材料の温度や供給量の変動に関して、全く考慮されていない。つまり、特許文献1では、正確な可塑化状態の推測は困難であり、射出成形の品質の安定化を得ることは極めて難しい。
【0009】
これに対して、特許文献2に示すように、加熱筒に供給される樹脂材料の温度変化を検知して、樹脂状態に影響を与える制御要素を可変制御するとしており、計量樹脂の可塑化溶融の状態の安定化が期待される。しかしながら、樹脂材料の供給口より先方側の加熱筒に関しては、何も考慮されていない。前述したように樹脂材料には添加剤を含み、例えば、融点の非常に高いガラス繊維やカーボン繊維のような添加剤の種類によっては、あるいは、融点の異なる2種類の樹脂材料を混合したものなど、樹脂材料の可塑化溶融の状態に大きく影響を与えるものが多い。従って、特許文献2では、可塑化状態の的確な把握と計量樹脂の溶融状態の安定化は困難であり、射出成形の品質の安定化を確実にするものではない。
【0010】
また、特許文献3に示すように、射出室に貯蔵される計量樹脂の温度は、射出工程の終了から次ショットの射出工程の開始までの経過時間(成形サイクル)によって変化し、最終的には射出室の設定温度に限りなく近づく。計量工程の計量時間が変化して成形サイクルが変わった場合は、計量樹脂の温度も相応に変化する。また、スクリュと干渉するため、射出室内に温度センサを設けることは現実的でなく、射出室壁に温度センサを設けると、樹脂温度の計測精度が低下し、正確な樹脂温度の計測ができない。さらに、射出室と金型を接続する流路内に温度センサを設けると、射出工程の樹脂流動により温度センサがせん断発熱を受け、そうなると、正確な樹脂温度の計測は期待できない。つまり、射出工程の射出室の樹脂温度の変化から、計量工程の加熱筒の各ゾーンを通過する樹脂材料の可塑化状態を推測することは、不安定要素を含んでおり現実的ではない。
(【0011】以降は省略されています)

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