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公開番号2025181186
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-12-11
出願番号2024089011
出願日2024-05-31
発明の名称主軸装置
出願人日本精工株式会社
代理人弁理士法人栄光事務所
主分類F16C 33/76 20060101AFI20251204BHJP(機械要素または単位;機械または装置の効果的機能を生じ維持するための一般的手段)
要約【課題】外部からの液体浸入を防止して防水性を高めることができる主軸装置を提供する。
【解決手段】主軸装置は、ハウジング2と、ハウジング2に対して回転軸3を回転自在に支持する転がり軸受21と、液体雰囲気に曝される転がり軸受21の軸方向前方に配置されて転がり軸受21の外輪をハウジング2に対して軸方向に位置決めする第1外輪間座41と、第1外輪間座41の半径方向内方に配置されて転がり軸受21の内輪を回転軸3に対して軸方向に位置決めする第1内輪間座45と、互いに近接して対向する第1外輪間座41の内周面41c及び第1内輪間座45の外周面45cに設けられたグリース溜り凹部42,46と、第1外輪間座41及び第1内輪間座45の各表面に施された撥水・撥油効果を有する表面処理層50と、グリース溜り凹部42,46に充填されたグリース60と、を備える。
【選択図】図3
特許請求の範囲【請求項１】
ハウジングと、
前記ハウジングに対して回転軸を回転自在に支持する転がり軸受と、
液体雰囲気に曝される前記転がり軸受の前方に配置されて前記転がり軸受の外輪を前記ハウジングに対して軸方向に位置決めする第１外輪間座と、
前記第１外輪間座の半径方向内方に配置されて前記転がり軸受の内輪を前記回転軸に対して軸方向に位置決めする第１内輪間座と、
互いに近接して対向する前記第１外輪間座の内周面及び前記第１内輪間座の外周面の少なくとも何れか一方に設けられたグリース溜り凹部と、
前記第１外輪間座及び前記第１内輪間座の各表面に施された撥水・撥油効果を有する表面処理層と、
前記グリース溜り凹部に充填されたグリースと、
を備えたことを特徴とする主軸装置。
続きを表示（約 690 文字）【請求項２】
前記第１外輪間座の内周面及び前記第１内輪間座の外周面が、軸方向前方に向かって拡径するテーパ形状とされた、
ことを特徴とする請求項１に記載の主軸装置。
【請求項３】
前記グリース溜り凹部が、前記回転軸の軸方向に沿って配列された複数の周方向溝により構成された、
ことを特徴とする請求項１に記載の主軸装置。
【請求項４】
前記第１外輪間座の内周面に設けられた排出用周方向溝と、
前記排出用周方向溝と前記第１外輪間座の後方側端面とを連通する排出穴と、
を備えたことを特徴とする請求項３に記載の主軸装置。
【請求項５】
半径方向に貫通する排出口を有し、前記転がり軸受の外輪と前記第１外輪間座との間に介装された第２外輪間座と、
外周面の後方側端から半径方向内方に突設されたフランジ部を有し、前記転がり軸受の内輪と前記第１内輪間座との間に介装された第２内輪間座と、
前記第２内輪間座の表面に施された撥水・撥油効果を有する表面処理層と、
を備えたことを特徴とする請求項１に記載の主軸装置。
【請求項６】
前記グリース溜り凹部が、前記第１外輪間座の内周面にのみ設けられた、
ことを特徴とする請求項１に記載の主軸装置。
【請求項７】
前記第１外輪間座が、半径方向に貫通されて前記グリース溜り凹部に連通するグリース供給口を有し、
前記グリース溜り凹部にグリースを追加供給する、
ことを特徴とする請求項１に記載の主軸装置。

発明の詳細な説明【技術分野】
【０００１】
本発明は、主軸装置に関し、より詳細には、外部からの液体浸入を防止して防水性を高める主軸装置の改良に関する。
続きを表示（約 1,600 文字）【背景技術】
【０００２】
工作機械の主軸装置における主軸（スピンドル）の回転軸は、高速回転を行いながら切削加工や研削加工を行う。そして、その潤滑目的（例えば、被削特性（切れ味）の向上・工具刃先の磨耗を抑制し、工具寿命の延長を図るためなど）や、冷却目的（例えば、工具及び加工物の昇温抑制による加工精度向上・加工部位の発熱による溶着を抑え、加工効率の向上・熱（火花発生など）による被削物の表面性状や品位の劣化防止など）のため、多量の液体を加工部位に勢いよくかける必要がある。
【０００３】
その結果、加工部位と主軸が近いこともあり、主軸前面にも液体が多量にかかることになる。この液体が軸受内部に入ると、軸受の潤滑不具合、焼付きなどをおこすことになるため、防水性能が重要となる。
【０００４】
そこで、従来から主軸装置には、グリース封入潤滑やグリース補給潤滑、或いは、オイル＆エア潤滑やオイルミスト潤滑などが用いられている。
特に、グリース封入潤滑やグリース補給潤滑の場合は、オイル＆エア潤滑やオイルミスト潤滑と比べて、主軸内にエアを送り込んでいないため内圧が低く、防水性能が劣るため防水性能が重要となる。これに対し、オイル＆エア潤滑やオイルミスト潤滑の場合は、内部にエアを送り込むことで、スピンドル内圧が外部圧（大気圧）より大きくなり、スピンドル内部から外部への空気流が発生し、外部からの液体が侵入しにくい。
【０００５】
例えば、従来の主軸装置１０１は、図１０に示すように、回転軸１０３に対して軸方向前方に配置される前側軸受装置１２０と、回転軸１０３に対して軸方向後方に配置される後側軸受装置（図示せず）とによって、回転軸１０３がハウジング１０２に対して回転自在に支持されている。
前側軸受装置１２０は、外輪間座１２３と内輪間座１２５を挟んで背面組合せされた４個の転がり軸受１２１を備えている。
【０００６】
これら４個の転がり軸受１２１は、軸受外輪が前蓋１１３によりハウジング１０２に固定されると共に、軸受内輪がナット１２７により所定の予圧を与えられた状態で回転軸１０３に固定されている。回転軸１０３と軸受内輪との間には、回転軸１０３に外嵌された内輪間座１１５が介装されている。
【０００７】
そして、回転軸１０３の前側にカバー１１１を配置し、その内部における回転軸１０３に装着された内輪間座１１５と前蓋１１３との隙間をラビリンス構造にすることにより、外部からの液体などの浸入を防止している。しかしながら、主軸前面に大量の液体が吹きかかると、液体がラビリンスを通り軸受内部へ浸入し、軸受破損に至る虞がある。
【０００８】
そこで、特許文献１には、ハウジングと回転軸に装着される部材とでラビリンス隙間形成し、ラビリンス隙間を形成する両部材の表面に、撥水性被膜を設けて防水を行うことで、ベアリング部分の長寿命化を図ることができるベアリング防水機構が記載されている。
また、特許文献２には、出力軸の回転摺動部に当接するゴムシールの出力軸当接部にグリース溜りを設け、摺動部のシールへの部品精度の影響を少なくできる出力軸部の防水構造が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００９】
特開２００２－３２７７６４号公報
特開２００６－１８７０７６号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【００１０】
しかしながら、上述した従来の防水構造では、工作機械の主軸装置のように大量の液体が吹きかかる場合には、軸受内部へ浸入する液体を十分に防止することが難しく、更なる防水性の向上が望まれている。
（【００１１】以降は省略されています）

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