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公開番号2025167734
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-11-07
出願番号2024072597
出願日2024-04-26
発明の名称環境配慮型機械部品
出願人日本精工株式会社
代理人個人
主分類F16C 33/41 20060101AFI20251030BHJP(機械要素または単位;機械または装置の効果的機能を生じ維持するための一般的手段)
要約【課題】転がり軸受の合成樹脂製保持器や樹脂製プーリや直動装置等の産業機械の構成部品を植物由来のトール油を原料とする半芳香族ポリアミドとし環境にやさしいバイオマスプラスチックであるPA4Tを用いることを目的とする。
【解決手段】本発明は産業機械の構成部品に用いられる環境配慮型機械部品であって、バイオマス由来の原材料から製造されたポリアミド4Tに、強化材を含有してなるポリアミド樹脂組成物で形成される。産業機械が内輪2、外輪3、保持器4及び転動体5からなる転がり軸受であって、転がり軸受の構成部品である保持器4が環境配慮型機械部品とされ、前記強化材が0～40重量%含有されることを特徴とする。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項１】
産業機械の構成部品に用いられる環境配慮型機械部品であって、バイオマス由来の原材料から製造されたポリアミド４Ｔに、強化材を含有してなるポリアミド樹脂組成物で形成されることを特徴とする環境配慮型機械部品。
続きを表示（約 840 文字）【請求項２】
前記産業機械が内輪、外輪、保持器及び転動体からなる転がり軸受であって、
前記転がり軸受の構成部品である保持器が環境配慮型機械部品とされ、前記強化材が０～４０重量％含有されることを特徴とする請求項１に記載の環境配慮型機械部品。
【請求項３】
前記産業機械が内輪、外輪及び転動体からなる転がり軸受であって、
前記転がり軸受の前記外輪の外周面に一体的に取り付けられた樹脂部とからなるプーリが環境配慮型機械部品とされ、前記強化材が２０～５５重量％含有されることを特徴とする請求項１に記載の環境配慮型機械部品。
【請求項４】
前記産業機械が、
軸に外嵌すると共に、前記軸に沿って直進移動する直動体と、前記軸の外面に形成されたボール溝と、前記直動体の内面側に形成されたボール溝とで保持され、前記直動体と前記軸との間で転動する多数のボールと、前記直動体に形成され、前記ボール溝の一端側から他端側に前記ボールを循環させる循環通路とを有する直動装置であって、
前記直動装置の前記循環通路が環境配慮型機械部品とされ、前記強化材が１０～４０重量％含有されることを特徴とする請求項１に記載の環境配慮型機械部品。
【請求項５】
前記産業機械が、
軸に外嵌すると共に、前記軸に沿って直進移動する直動体と、前記軸の外面に形成されたボール溝と、前記直動体の内面側に形成されたボール溝とで保持され、前記直動体と前記軸との間で転動する多数のボールと、前記各ボールの間に介装されるセパレータと、前記直動体に形成され、前記ボール溝の一端側から他端側に前記ボールを循環させる循環通路とを有する直動装置であって、
前記直動装置の前記セパレータと前記循環通路の少なくともどちらか一方が環境配慮型機械部品とされ、前記強化材が１０～４０重量％含有されることを特徴とする請求項１に記載の環境配慮型機械部品。

発明の詳細な説明【技術分野】
【０００１】
様々な環境での使用を可能とする産業機械の環境配慮型機械部品に関する。
続きを表示（約 2,500 文字）【背景技術】
【０００２】
産業機械の転がり軸受、ベルトの案内用プーリ及び直動装置で用いられる部品は、様々な影響を受ける環境下で使用されている。例えば、転がり軸受を構成する合成樹脂製保持器では、軸受の破損の原因となる回転時に生じる遠心力による保持器の変形を抑制するため，弾性率の高いポリアミド樹脂であるポリアミド４Ｔ（以下、単に、ＰＡ４Ｔという。）が用いられている（特許文献１参照）。
【０００３】
また、自動車の補機類を駆動するベルトの案内用プーリである転がり軸受の外周に樹脂を一体成形してなる樹脂製プーリにおいては、ベルト張力に対応した機械的特性、ベルトを掛け渡して案内する案内部の形状精度、連続負荷使用時における耐熱性と、自動車走行時における融雪剤などの飛散による劣化を防止するため耐塩化カルシウム性に優れることや、軸受との密着性を維持するために低吸水で寸法変化が少ないことが要求されるため１，４－ブタンジアミンを主成分とするジアミン成分とからなるＰＡ４Ｔをベース樹脂とし、これにガラス繊維を配合してなる樹脂組成物が用いられている（特許文献２参照）。
【０００４】
また、低騒音化を目的とした直動装置においては、駆動時のボール同士の衝突音を無くす構造として、各ボール間にボールが収納される円弧状の凹空間を有するセパレータを介装させたものが使用され、そのセパレータの素材としては、非強化の６６ナイロン、ポリエステル系熱可塑性エラストマー等が用いられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００５】
特開２０２２－１７５０３２号公報
特開２０２０－０５６４１９号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００６】
しかしながら、それらの転がり軸受の合成樹脂製保持器や樹脂製プーリに用いられるＰＡ４Ｔは、主原料の１，４－ブタンジアミンを含めて、全て石油由来のものであり、環境に考慮したものではなかった。
また、生産性向上を目的として、高速対応の直動装置が要望されていながら、６６ナイロン樹脂からなるセパレータの融点が低いために、直動装置が高速で作動して内部温度が上昇すると、軟化し、セパレータが変形するおそれがあった。
【０００７】
そこで、本発明はこのような状況に着目してなされたものであり、産業機械の転がり軸受の合成樹脂製保持器や樹脂製プーリにおいては、主原料である１，４－ブタンジアミンを植物由来のトール油を原料とする半芳香族ポリアミドとし環境にやさしいバイオマスプラスチックであるＰＡ４Ｔに変更するとともに、産業機械の直動装置においては、セパレータに求められる高速での変形防止を達成した、高信頼性で環境にやさしい環境配慮型機械部品のセパレータが用いられることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【０００８】
第一の発明は、産業機械の構成部品に用いられる環境配慮型機械部品であって、バイオマス由来の原材料から製造されたポリアミド４Ｔに、強化材を含有してなるポリアミド樹脂組成物で形成されることを特徴とする。
第二の発明は、第一の発明において、前記産業機械が少なくとも内輪、外輪、転動体及び保持器からなる転がり軸受であって、
前記転がり軸受の構成部品である保持器が環境配慮型機械部品とされ、前記強化材が０～４０重量％含有されることを特徴とする。
第三の発明は、第一の発明において、前記産業機械が内輪、外輪及び転動体とからなる転がり軸受であって、
前記転がり軸受の前記外輪の外周面に一体的に取り付けられた樹脂部とからなるプーリが環境配慮型機械部品とされ、前記強化材が２０～５５重量％含有されることを特徴とする。
第四の発明は、第一の発明において、前記産業機械が、
軸に外嵌すると共に、前記軸に沿って直進移動する直動体と、前記軸の外面に形成されたボール溝と、前記直動体の内面側に形成されたボール溝とで保持され、前記直動体と前記軸との間で転動する多数のボールと、前記直動体に形成され、前記ボール溝の一端側から他端側に前記ボールを循環させる循環通路とを有する直動装置で、
前記直動装置の前記循環通路が環境配慮型機械部品とされ、前記強化材が１０～４０重量％含有されることを特徴とする。
第五の発明は、第一の発明において、前記産業機械が、
軸に外嵌すると共に、前記軸に沿って直進移動する直動体と、前記軸の外面に形成されたボール溝と、前記直動体の内面側に形成されたボール溝とで保持され、前記直動体と前記軸との間で転動する多数のボールと、前記各ボールの間に介装されるセパレータと、前記直動体に形成され、前記ボール溝の一端側から他端側に前記ボールを循環させる循環通路とを有する直動装置で、
前記直動装置の前記セパレータと前記循環通路の少なくともどちらか一方が環境配慮型機械部品とされ、前記強化材が１０～４０重量％含有されることを特徴とする。
【発明の効果】
【０００９】
本発明の環境配慮型機械部品のＰＡ４Ｔは、バイオマスプラスチックであることから、従来の石油由来成分のみでバイオ度が０％であったＰＡ４Ｔに比べて、環境にやさしい軸受装置とすることができる。このバイオマスＰＡ４Ｔは、従来の石油由来成分のみから製造されたＰＡ４Ｔと化学的組成は変わらないことから、機械的物性や耐熱性等の特性に差異はない。
【００１０】
また、植物由来のトール油から誘導される１，４－ブタンジアミンを原料としたＰＡ４Ｔを、転がり軸受の周囲に当該転がり軸受と一体的に形成された樹脂部とからなる樹脂製プーリの樹脂部の樹脂材料に適用することで、環境にやさしいプーリを提供できる。本発明のバイオマスＰＡ４Ｔは、従来の石油由来成分のみから製造されたＰＡ４Ｔと化学的組成は変わらないことから、機械的特性や耐熱性、耐塩化カルシウム性、寸法安定性に優れる。
（【００１１】以降は省略されています）

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