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公開番号
2025176095
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2025-12-03
出願番号
2025144393,2023087069
出願日
2025-09-01,2012-03-30
発明の名称
抗原結合分子の血漿中滞留性と免疫原性を改変する方法
出願人
中外製薬株式会社
代理人
個人
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主分類
C07K
16/46 20060101AFI20251126BHJP(有機化学)
要約
【課題】Fc領域に改変によって、抗原結合分子の薬物動態が改善され、抗原結合分子の免疫応答が低減されたFc領域の提供。
【解決手段】抗原結合分子のFc領域をpH中性域の条件下で二分子のFcRnおよび活性型Fcγレセプターの四者を含むヘテロ複合体を形成しないFc領域に改変することによって、抗原結合分子の薬物動態が改善され、抗原結合分子の免疫応答が低減されることを見出した。また上記の性質を有する抗原結合分子、その製造方法を見出すとともに、そのように抗原結合分子あるいは本発明に係る製造方法によって製造された抗原結合分子を有効成分として含有する医薬組成物が投与された際に、薬物動態が改善され、投与された生体による免疫応答が低減されるという、従来の抗原結合分子に比して優れた特性を有することを見出すことに成功した。
【選択図】なし
特許請求の範囲
【請求項1】
本明細書に記載の発明。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、イオン濃度の条件によって抗原に対する抗原結合分子の結合活性が変化する抗原結合ドメイン、およびpH中性域の条件下でFcRnに対する結合活性を有するFc領域を含む抗原結合分子のFc領域を改変することにより、抗原結合分子が投与された生体による薬物動態を改善する方法、または抗原結合分子の免疫応答を低減する方法に関する。また本発明は、生体に投与された際にその薬物動態が改善された、または当該生体による免疫応答が低減された抗原結合分子に関する。さらに本発明は、当該抗原結合分子の製造方法、および当該抗原結合分子を有効成分として含む医薬組成物に関する。
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【背景技術】
【0002】
抗体は血漿中での安定性が高く、副作用も少ないことから医薬品として注目されている。中でもIgG型の抗体医薬は多数上市されており、現在も数多くの抗体医薬が開発されている(非特許文献1、および非特許文献2)。一方、第二世代の抗体医薬に適用可能な技術として様々な技術が開発されており、エフェクター機能、抗原結合能、薬物動態、安定性を向上させる、あるいは、免疫原性リスクを低減させる技術等が報告されている(非特許文献3)。抗体医薬は一般に投与量が非常に高いため、皮下投与製剤の作製が困難であること、製造コストが高いこと等が課題として考えられる。抗体医薬の投与量を低減させる方法として、抗体の薬物動態を向上する方法と、抗体と抗原のアフィニティーを向上する方法が考えられる。
【0003】
抗体の薬物動態を向上させる方法として、定常領域の人工的なアミノ酸置換が報告されている(非特許文献4、および5)。抗原結合能、抗原中和能を増強させる技術として、アフィニティーマチュレーション技術(非特許文献6)が報告されており、可変領域のCDR領域などのアミノ酸に変異を導入することで抗原への結合活性を増強することが可能である。抗原結合能の増強によりインビトロの生物活性を向上させる、あるいは投与量を低減することが可能であり、さらにin vivo(生体内)での薬効を向上させることも可能である(非特許文献7)。
【0004】
一方、抗体一分子あたりが中和できる抗原量はアフィニティーに依存し、アフィニティーを強くすることで少ない抗体量で抗原を中和することが可能であり、様々な方法で抗体のアフィニティーを強くすることが可能である(非特許文献6)。さらに抗原に共有結合的に結合し、アフィニティーを無限大にすることができれば一分子の抗体で一分子の抗原(二価の場合は二抗原)を中和することが可能である。しかし、これまでの方法では一分子の抗体で一分子の抗原(二価の場合は二抗原)の化学量論的な中和反応が限界であり、抗原量以下の抗体量で抗原を完全に中和することは不可能であった。つまり、アフィニティーを強くする効果には限界が存在していた(非特許文献9)。中和抗体の場合、その中和効果を一定期間持続させるためには、その期間に生体内で産生される抗原量以上の抗体量が投与される必要があり、上述の抗体の薬物動態向上、あるいは、アフィニティーマチュレーション技術だけでは、必要抗体投与量の低減には限界が存在していた。そのため、抗原量以下の抗体量で抗原の中和効果を目的期間持続するためには、一つの抗体で複数の抗原を中和する必要がある。これを達成する新しい方法として、最近、抗原に対してpH依存的に結合する抗体が報告された(特許文献1)。抗原に対して血漿中の中性条件下においては強く結合し、エンドソーム内の酸性条件下において抗原から解離するpH依存的抗原結合抗体はエンドソーム内で抗原から解離することが可能である。pH依存的抗原結合抗体は、抗原を解離した後に抗体がFcRnによって血漿中にリサイクルされると再び抗原に結合することが可能であるため、一つのpH依存的抗原結合抗体で複数の抗原に繰り返し結合することが可能となる。
【0005】
また、抗原の血漿中滞留性は、FcRnに結合してリサイクルされる抗体と比較して非常に短い。このような血漿中滞留性が長い抗体がその抗原に結合すると、抗体抗原複合体の血漿中滞留性は抗体と同様に長くなる。そのため、抗原は抗体と結合することにより、むしろ血漿中滞留性が長くなり、血漿中抗原濃度は上昇する。
【0006】
IgG抗体はFcRnに結合することで長い血漿中滞留性を有する。IgGとFcRnの結合は酸性条件下(pH6.0)においてのみ認められ、中性条件下(pH7.4)においてはほとんどその結合が認められない。IgG抗体は非特異的に細胞に取り込まれるが、エンドソーム内の酸性条件下においてエンドソーム内のFcRnに結合することで細胞表面上に戻り、血漿中の中性条件下においてFcRnから解離する。IgGのFc領域に変異を導入し、酸性条件下におけるFcRnに対する結合を失わせると、エンドソーム内から血漿中にリサイクルされなくなるため、抗体の血漿中滞留性は著しく損なわれる。IgG抗体の血漿中滞留性を改善する方法として、酸性条件下におけるFcRnに対する結合を向上させる方法が報告されている。IgG抗体のFc領域にアミノ酸置換を導入し、酸性条件下のFcRnに対する結合を向上させることで、エンドソーム内から血漿中へのリサイクル効率が上昇し、その結果、血漿中滞留性が改善する。アミノ酸置換を導入する際に重要なのは、中性条件下におけるFcRnに対する結合を高めないことである。中性条件下においてFcRnに結合してしまうと、エンドソーム内の酸性条件下においてFcRnに結合することで細胞表面上に戻っても、中性条件下の血漿中においてIgG抗体がFcRnから解離しないとIgG抗体が血漿中にリサイクルされないため、逆に血漿中滞留性は損なわれることになる。例えば、IgG1に対してアミノ酸置換を導入することによって中性条件下(pH7.4)においてマウスFcRnに対する結合が認められるようになった抗体をマウスに投与した場合、抗体の血漿中滞留性が悪化することが報告されている(非特許文献10)。また、IgG1に対してアミノ酸置換を導入することによって酸性条件下(pH6.0)におけるヒトFcRnの結合が向上するが、同時に中性条件下(pH7.4)におけるヒトFcRnに対する結合が認められるようになった抗体をカニクイザルに投与した場合、抗体の血漿中滞留性は改善することは無く、血漿中滞留性に変化が認められなかったことが報告されている(非特許文献10、11および12)。そのため、抗体の機能を向上させる抗体工学技術においては、中性条件下(pH7.4)におけるヒトFcRnに対する結合を増加させることなく酸性条件下におけるヒトFcRnへの結合を増加させることで抗体の血漿中滞留性を改善することにのみ注力されており、これまでにIgG抗体のFc領域にアミノ酸置換を導入し、中性条件下(pH7.4)におけるヒトFcRnに対する結合を増加させることの利点は報告されていない。抗体の抗原に対するアフィニティーを向上させても抗原の血漿中からの消失を促進することはできない。上述のpH依存的抗原結合抗体は、通常の抗体と比較して抗原の血漿中からの消失を促進する方法としても有効であることが報告されている(特許文献1)。
【0007】
このようにpH依存的抗原結合抗体は1つの抗体で複数の抗原に結合し、通常の抗体と比較して抗原の血漿中からの消失を促進することができるため、通常の抗体では成し得なかった作用を有する。しかしながら、これまでにこのpH依存的抗原結合抗体の抗原に繰り返し結合できる効果、および、抗原の血漿中からの消失を促進する効果をさらに向上させる抗体工学の手法は報告されていない。
【0008】
一方、抗体医薬の免疫原性は、抗体医薬をヒトに投与した場合の血漿中滞留性、有効性、安全性の点において非常に重要である。ヒトの体内において、投与された抗体医薬に対する抗体が産生されると、抗体医薬の血漿中での消失が早まる、有効性が低下する、過敏症反応を引き起こし安全性に影響する、といった望ましくない事象を引き起こすことが報告されている(非特許文献13)。
【0009】
抗体医薬の免疫原性を考慮する上で、そもそも天然の抗体が生体内において果たしている機能について理解することが必要である。まず、多くの抗体医薬はIgGクラスに属する抗体であるが、IgG抗体のFc領域に結合して作用するFcレセプターとして、Fcγレセプター(以下、FcγRとも記載される)の存在が知られている。FcγRは樹上細胞やNK細胞、マクロファージ、好中球、脂肪細胞等の細胞膜上に発現し、IgGのFc領域が結合することにより、免疫細胞に対して活性型あるいは抑制型の細胞内シグナルを伝えることが知られている。ヒトFcγRのタンパク質ファミリーとして、FcγRIa、FcγRIIa、FcγRIIb、FcγRIIIa、FcγRIIIbのアイソフォームが報告されており、それぞれのアロタイプも報告されている(非特許文献14)。ヒトFcγRIIaのアロタイプとして、131番目がArg (hFcγRIIa(R))とHis(hFcγRIIa(H))の2種類が報告されている。またヒトFcγRIIIaのアロタイプとして158番目がVal(hFcγRIIIa(V))とPhe(hFcγRIIIa(F))の2種類が報告されている。また、マウスFcγRのタンパク質ファミリーとしては、FcγRI、FcγRIIb、FcγRIII、FcγRIVが報告されている(非特許文献15)。
【0010】
ヒトFcγRは、活性型受容体であるFcγRIa、FcγRIIa、FcγRIIIa、FcγRIIIbと、抑制性受容体であるFcγRIIbに分類される。同様に、マウスFcγRは、活性型受容体であるFcγRI、FcγRIII、FcγRIVと、抑制性受容体であるFcγRIIbに分類される。
(【0011】以降は省略されています)
この特許をJ-PlatPat(特許庁公式サイト)で参照する
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