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公開番号2025169161
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-11-12
出願番号2025056489
出願日2025-03-28
発明の名称芳香族ポリエーテルの製造方法
出願人出光興産株式会社
代理人弁理士法人平和国際特許事務所
主分類C08G 65/46 20060101AFI20251105BHJP(有機高分子化合物;その製造または化学的加工;それに基づく組成物)
要約【課題】芳香族ポリエーテルの反応混合物から溶媒及びアルカリ金属ハロゲン化物等を簡便かつ効率的に除去し、芳香族ポリエーテルに含まれる残留溶媒及び無機塩を所定量以下に低減することができる芳香族ポリエーテルの製造方法を提供する。
【解決手段】原料混合物を反応溶媒の存在下で反応させて芳香族ポリエーテルを得る反応工程と、前記反応工程で得られた芳香族ポリエーテルを、前記反応溶媒と前記反応工程で生成したアルカリ金属ハロゲン化物との両方を溶解する洗浄溶媒を用いて洗浄する洗浄工程と、を含む、芳香族ポリエーテルの製造方法。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
原料混合物を反応溶媒の存在下で反応させて芳香族ポリエーテルを得る反応工程と、
前記反応工程で得られた芳香族ポリエーテルを、前記反応溶媒と前記反応工程で生成したアルカリ金属ハロゲン化物との両方を溶解する洗浄溶媒を用いて洗浄する洗浄工程と、
を含む、芳香族ポリエーテルの製造方法。
続きを表示(約 1,400 文字)【請求項2】
前記洗浄溶媒が、常圧における沸点が100℃未満である有機溶媒と水との混合溶媒である、請求項1に記載の芳香族ポリエーテルの製造方法。
【請求項3】
前記洗浄溶媒における前記有機溶媒と前記水との質量比([有機溶媒の質量]/[水の質量])が、10/90~90/10である、請求項2に記載の芳香族ポリエーテルの製造方法。
【請求項4】
前記有機溶媒が、アセトンである、請求項2又は3に記載の芳香族ポリエーテルの製造方法。
【請求項5】
前記反応工程で得られた芳香族ポリエーテルのメディアン径D
50
が、1~1000μmである、請求項1~3のいずれかに記載の芳香族ポリエーテルの製造方法。
【請求項6】
前記洗浄工程が、酸性水溶液を用いた酸洗浄工程と、酸を希釈する工程とを、この順に含み、これらの工程の少なくともいずれかにおいて、前記洗浄溶媒を用いる、請求項1~3のいずれかに記載の芳香族ポリエーテルの製造方法。
【請求項7】
前記酸洗浄工程が、
芳香族ポリエーテルと酸性水溶液とを含む混合物を調製する工程と、
当該混合物を撹拌する工程と、
当該混合物から芳香族ポリエーテルを回収する工程と、をこの順で含み、
前記撹拌工程における混合物のpHが1.0~6.0であり、当該混合物の温度が0~84℃であり、撹拌時間が10~120分であり、かつ、
前記調製工程、前記撹拌工程、及び前記回収工程をこの順で1~5回繰り返す、請求項6に記載の芳香族ポリエーテルの製造方法。
【請求項8】
前記酸を希釈する工程が、
芳香族ポリエーテルと水とを含む混合物を調製する工程と、
当該混合物を撹拌する工程と、
当該混合物から芳香族ポリエーテルを回収する工程と、をこの順で含み、
前記撹拌工程における混合物の温度が0~84℃であり、撹拌時間が10~120分であり、かつ、
前記調製工程、前記撹拌工程、及び前記回収工程をこの順で1~7回繰り返す、請求項6に記載の芳香族ポリエーテルの製造方法。
【請求項9】
前記酸洗浄工程の前に、有機溶媒を用いた有機溶媒洗浄工程をさらに含み、
前記有機溶媒洗浄工程が、
芳香族ポリエーテルと有機溶媒とを含む混合物を調製する工程と、
当該混合物を撹拌する工程と、
当該混合物から芳香族ポリエーテルを回収する工程と、をこの順で含み、
前記混合物における芳香族ポリエーテルと有機溶媒との質量比([芳香族ポリエーテルの質量]/[有機溶媒の質量])が1/20~1/3であり、
前記撹拌工程における撹拌時間が10~120分であり、かつ、
前記調製工程、前記撹拌工程、及び前記回収工程をこの順で1~7回繰り返す、請求項6に記載の芳香族ポリエーテルの製造方法。
【請求項10】
前記反応溶媒がジフェニルスルホンを含み、前記洗浄工程後の芳香族ポリエーテルにおけるジフェニルスルホンの含有量が1~1000ppmである、請求項1~3のいずれかに記載の芳香族ポリエーテルの製造方法。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、芳香族ポリエーテルの製造方法に関する。
具体的には、本発明は、芳香族ポリエーテルの反応混合物の後処理工程を含む、芳香族ポリエーテルの製造方法に関する。
続きを表示(約 3,700 文字)【背景技術】
【0002】
芳香族ポリエーテルは、優れた耐熱性、機械強度を有し、その特徴から金属代替材料として使用されている。近年では車や航空機、医療分野等にも用途を広げている。
芳香族ポリエーテルを代表であるポリエーテルエーテルケトン(PEEK)樹脂は、ハイドロキノンとハロゲン化ジフェニルケトンを主成分として炭酸塩下で製造される。その際にPEEK生成と同時に金属ハロゲン化物等が副生するため、反応混合物中には、原料の炭酸塩や副生する金属ハロゲン化物が含まれる。通常、これらの反応混合物の処理方法としては、ベルトクーラー等を用いて冷却固化し、続いて機械的な粉砕を行った後、有機溶媒、水等を用いて精製する工程で行っている(非特許文献1)。
また、特許文献1及び2には、水中に高温の反応液を直接投入して粒子化する方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
特開平4-331239号公報
中国特許出願公開第113388103号明細書
【非特許文献】
【0004】
Process Economic Program Report No.86D, HIGH TEMPRATURE POLYMER, SRI INTERNATIONAL (October 1989)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明者等は、これら従来の精製法の課題として、有機溶媒による洗浄を繰り返し行った後に、さらに水系溶媒により繰り返し洗浄しているため、合計の洗浄/ろ過の繰り返し回数が多いことに着目した。また、有機溶媒による洗浄に続く水洗浄では、無機塩の抽出効率が悪い場合があり、通常、芳香族ポリエーテルに含まれる無機塩の量を数百ppm以下に低減することが難しいことに着目した。
【0006】
芳香族ポリエーテルに含まれる無機塩の量を低減する方法としては、高圧下において水を用いて洗浄する方法が知られているが(英国特許出願公開第2412915号明細書)、この方法には圧力容器が必要であった。また、別の方法として、100℃以上の沸点を有するスルホラン、ジメチルスルホキシド等の水溶性の非プロトン溶媒と水との混合溶媒で無機塩を低減する方法が知られているが(特許第5534815号公報)、100℃以上の沸点を有する非プロトン性溶媒と水の混合溶液から非プロトン性溶媒を回収・再利用するには、煩雑な処理が必要になるという問題があった。
例えば、回収・再利用の方法として蒸留精製や低沸点溶媒による抽出がある。しかし、蒸留精製では水を先に蒸発除去した後に溶媒を蒸留精製する必要があるため、エネルギーコストが多大であった。また、低沸点溶媒による抽出では、新たに抽出溶媒の使用、抽出工程が増えるため、煩雑であるという問題があった。
【0007】
本発明の目的の1つは、芳香族ポリエーテルの反応混合物から溶媒及びアルカリ金属ハロゲン化物等を簡便かつ効率的に除去し、芳香族ポリエーテルに含まれる残留溶媒及び無機塩を所定量以下に低減することができる芳香族ポリエーテルの製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは鋭意検討の結果、特定の溶媒系を用いることにより、芳香族ポリエーテルの反応混合物から溶媒及びアルカリ金属ハロゲン化物等を簡便かつ効率的に除去し、芳香族ポリエーテルに含まれる残留溶媒及び無機塩を所定量以下に低減することができることを見出し、本発明を完成した。
本発明によれば、以下の樹脂組成物等を提供できる。
1.原料混合物を反応溶媒の存在下で反応させて芳香族ポリエーテルを得る反応工程と、
前記反応工程で得られた芳香族ポリエーテルを、前記反応溶媒と前記反応工程で生成したアルカリ金属ハロゲン化物との両方を溶解する洗浄溶媒を用いて洗浄する洗浄工程と、
を含む、芳香族ポリエーテルの製造方法。
2.前記洗浄溶媒が、常圧における沸点が100℃未満である有機溶媒と水との混合溶媒である、前記1に記載の芳香族ポリエーテルの製造方法。
3.前記洗浄溶媒における前記有機溶媒と前記水との質量比([有機溶媒の質量]/[水の質量])が、10/90~90/10である、前記2に記載の芳香族ポリエーテルの製造方法。
4.前記有機溶媒が、アセトンである、前記2又は3に記載の芳香族ポリエーテルの製造方法。
5.前記反応工程で得られた芳香族ポリエーテルのメディアン径D
50
が、1~1000μmである、前記1~4のいずれかに記載の芳香族ポリエーテルの製造方法。
6.前記洗浄工程が、酸性水溶液を用いた酸洗浄工程と、酸を希釈する工程とを、この順に含み、これらの工程の少なくともいずれかにおいて、前記洗浄溶媒を用いる、前記1~5のいずれかに記載の芳香族ポリエーテルの製造方法。
7.前記酸洗浄工程が、
芳香族ポリエーテルと酸性水溶液とを含む混合物を調製する工程と、
当該混合物を撹拌する工程と、
当該混合物から芳香族ポリエーテルを回収する工程と、をこの順で含み、
前記撹拌工程における混合物のpHが1.0~6.0であり、当該混合物の温度が0~84℃であり、撹拌時間が10~120分であり、かつ、
前記調製工程、前記撹拌工程、及び前記回収工程をこの順で1~5回繰り返す、前記6に記載の芳香族ポリエーテルの製造方法。
8.前記酸を希釈する工程が、
芳香族ポリエーテルと水とを含む混合物を調製する工程と、
当該混合物を撹拌する工程と、
当該混合物から芳香族ポリエーテルを回収する工程と、をこの順で含み、
前記撹拌工程における混合物の温度が0~84℃であり、撹拌時間が10~120分であり、かつ、
前記調製工程、前記撹拌工程、及び前記回収工程をこの順で1~7回繰り返す、前記6又は7に記載の芳香族ポリエーテルの製造方法。
9.前記酸洗浄工程の前に、有機溶媒を用いた有機溶媒洗浄工程をさらに含み、
前記有機溶媒洗浄工程が、
芳香族ポリエーテルと有機溶媒とを含む混合物を調製する工程と、
当該混合物を撹拌する工程と、
当該混合物から芳香族ポリエーテルを回収する工程と、をこの順で含み、
前記混合物における芳香族ポリエーテルと有機溶媒との質量比([芳香族ポリエーテルの質量]/[有機溶媒の質量])が1/20~1/3であり、
前記撹拌工程における撹拌時間が10~120分であり、かつ、
前記調製工程、前記撹拌工程、及び前記回収工程をこの順で1~7回繰り返す、前記6~8のいずれかに記載の芳香族ポリエーテルの製造方法。
10.前記反応溶媒がジフェニルスルホンを含み、前記洗浄工程後の芳香族ポリエーテルにおけるジフェニルスルホンの含有量が1~1000ppmである、前記1~9のいずれかに記載の芳香族ポリエーテルの製造方法。
11.前記反応溶媒がジフェニルスルホンを含み、前記洗浄工程後の芳香族ポリエーテルにおけるジフェニルスルホンの含有量が1~100ppmである、前記1~10のいずれかに記載の芳香族ポリエーテルの製造方法。
12.前記洗浄工程後の芳香族ポリエーテルにおけるアルカリ金属ハロゲン化物の含有量が1~500ppmである、前記1~11のいずれかに記載の芳香族ポリエーテルの製造方法。
13.芳香族ポリエーテルを、該芳香族ポリエーテルの合成時に用いた反応溶媒とアルカリ金属ハロゲン化物との両方を溶解する洗浄溶媒を用いて洗浄することを含む、芳香族ポリエーテルの精製方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、芳香族ポリエーテルの反応混合物から溶媒及びアルカリ金属ハロゲン化物等を簡便かつ効率的に除去し、芳香族ポリエーテルに含まれる残留溶媒及び無機塩を所定量以下に低減することができる芳香族ポリエーテルの製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の芳香族ポリエーテルの製造方法について詳述する。
尚、本明細書において、「x~y」は「x以上、y以下」の数値範囲を表すものとする。数値範囲に関して記載された上限値及び下限値は任意に組み合わせることができる。
また、以下において記載される本発明に係る態様の個々の実施形態のうち、互いに相反しないもの同士を2つ以上組み合わせることが可能であり、2つ以上の実施形態を組み合わせた実施形態もまた、本発明に係る態様の実施形態である。
(【0011】以降は省略されています)

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