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公開番号2025146465
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-10-03
出願番号2024047267
出願日2024-03-22
発明の名称熱可塑性樹脂組成物
出願人出光興産株式会社
代理人弁理士法人大谷特許事務所
主分類C08L 25/04 20060101AFI20250926BHJP(有機高分子化合物;その製造または化学的加工;それに基づく組成物)
要約【課題】引張弾性率の低下が抑制され、かつ引張破断伸びに優れる、スチレン系樹脂組成物を含む熱可塑性樹脂組成物を提供すること。
【解決手段】スチレン系樹脂組成物を含む、熱可塑性樹脂組成物であって、前記スチレン系樹脂組成物が、(A)シンジオタクチック構造を有するスチレン系重合体、及び(B)ジメチルシリコーンオイルを含み、前記(B)ジメチルシリコーンオイルの含有量が、前記(A)シンジオタクチック構造を有するスチレン系重合体100質量部に対して、0.1~10質量部であり、ゴム状弾性体を実質的に含まず、熱可塑性樹脂組成物中において、前記(A)シンジオタクチック構造を有するスチレン系重合体を主成分として含む、熱可塑性樹脂組成物。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
スチレン系樹脂組成物を含む、熱可塑性樹脂組成物であって、
前記スチレン系樹脂組成物が、
(A)シンジオタクチック構造を有するスチレン系重合体、及び
(B)ジメチルシリコーンオイル
を含み、
前記(B)ジメチルシリコーンオイルの含有量が、前記(A)シンジオタクチック構造を有するスチレン系重合体100質量部に対して、0.1~10質量部であり、
ゴム状弾性体を実質的に含まず、
熱可塑性樹脂組成物中において、前記(A)シンジオタクチック構造を有するスチレン系重合体を主成分として含む、熱可塑性樹脂組成物。
続きを表示(約 1,000 文字)【請求項2】
前記(B)ジメチルシリコーンオイルが、未変性のジメチルシリコーンオイル及び変性ジメチルシリコーンオイルから選ばれる少なくとも1種である、請求項1に記載の熱可塑性樹脂組成物。
【請求項3】
前記(B)ジメチルシリコーンオイルの25℃における粘度が、1~1,200,000cStである、請求項1又は2に記載の熱可塑性樹脂組成物。
【請求項4】
前記スチレン系樹脂組成物が、更に(C)官能基含有ポリフェニレンエーテルを含み、
前記(C)官能基含有ポリフェニレンエーテルの官能基が、酸及び/又はその誘導体に由来する官能基であり、
前記(C)官能基含有ポリフェニレンエーテルの含有量が、前記(A)シンジオタクチック構造を有するスチレン系重合体100質量部に対して、0.1~10質量部である、請求項1又は2に記載の熱可塑性樹脂組成物。
【請求項5】
前記(C)官能基含有ポリフェニレンエーテルの官能基の、酸及び/又はその誘導体に由来する官能基において、前記酸及び/又はその誘導体が、無水マレイン酸、マレイン酸、フマル酸、マレイン酸エステル、フマル酸エステル、マレイン酸塩、フマル酸塩、アクリル酸、アクリル酸エステル、アクリル酸アミド、アクリル酸塩、メタクリル酸、メタクリル酸エステル、メタクリル酸アミド、メタクリル酸塩及びグリシジルメタクリレートから選ばれる少なくとも1種である、請求項4に記載の熱可塑性樹脂組成物。
【請求項6】
前記スチレン系樹脂組成物が、更に結晶核剤を含み、
前記結晶核剤の含有量が、前記(A)シンジオタクチック構造を有するスチレン系重合体100質量部に対して、0.1~3質量部である、請求項1又は2に記載の熱可塑性樹脂組成物。
【請求項7】
前記スチレン系樹脂組成物が、更に金属化合物を含み、
前記金属化合物の含有量が、前記(A)シンジオタクチック構造を有するスチレン系重合体100質量部に対して、0.001~10質量部である、請求項1又は2に記載の熱可塑性樹脂組成物。
【請求項8】
更にガラス繊維を含む、請求項1又は2に記載の熱可塑性樹脂組成物。
【請求項9】
前記ガラス繊維の含有量が、前記スチレン系樹脂組成物及び前記ガラス繊維の合計中、5~50質量%である、請求項8に記載の熱可塑性樹脂組成物。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、熱可塑性樹脂組成物に関し、詳しくは、スチレン系樹脂組成物を含む熱可塑性樹脂組成物に関する。
続きを表示(約 3,700 文字)【背景技術】
【0002】
シンジオタクチック構造を有するスチレン系重合体は、優れた耐熱性、耐薬品性、電気特性を有する。そのため、シンジオタクチック構造を有するスチレン系重合体は、自動車部品、食器・食品容器、電気・電子部品等に広く供されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、耐熱性,弾性率に優れ、かつ耐衝撃性および伸び性に優れたシンジオタクチックポリスチレン系樹脂組成物を目的とし、(A)シンジオタクチック構造を有するスチレン系重合体100重量部および(B)極性基を有するゴム状弾性体1~100重量部からなる耐衝撃性ポリスチレン系樹脂組成物が開示されている。
また、特許文献2には、耐熱性,弾性率及び成形性に優れ、かつ耐衝撃性および伸び性に優れたシンジオタクチックポリスチレン系樹脂組成物を目的とし、(A)シンジオタクチック構造を有するスチレン系重合体95.0~99.9重量%と(B)ポリフェニレンエーテル0.1~5.0重量%との混合物100重量部に対し、(C)ゴム状弾性体1~100重量部を配合してなる耐衝撃性ポリスチレン系樹脂組成物が開示されている。
また、特許文献3には、耐熱性及び実用衝撃強度を有し、流動性、滞留安定性に優れ、しかも成形時の金型汚染性を低減した樹脂組成物及びその成形品を提供することを目的とし、(a)シンジオタクチック構造を有するスチレン系重合体22~99.5質量%と、(b)水素添加スチレン-ブタジエン-スチレンブロック共重合体0.5~78質量%との合計100質量部に対して、(c)結晶造核剤0.005~6質量部、(d)リンを構造中に有していない酸化防止剤0.005~6質量部、(e)繊維状強化剤3~155質量部を含有し、さらに(f)メチル基及び/又はフェニル基を構造中に有し、かつ4量体以下オリゴマー成分が100ppm以下であるシリコーンオイルを(a)~(e)成分の合計100質量部に対して、0.005~6質量部含有するシンジオタクチックポリスチレン系樹脂組成物が開示されている。
また、特許文献4には、成形時に高い離型性能を有し、かつ金型へのブリードアウトや製品外観への影響の少ないシンジオタクチックスチレン系樹脂組成物を提供することを目的とし、(A)主としてシンジオタクチック構造を有するスチレン系重合体100~5重量%(100を含む)、(B)主としてシンジオタクチック構造を有するスチレン系重合体以外の熱可塑性樹脂および/又はゴム状弾性体0~95重量%(0を含む)、及び(C)シリコン原子数で10以下のオリゴマー成分が10ppm未満であり、かつ25℃における粘度が90~50,000cStであるジメチルシリコーンオイルを、上記(A)+(B)の合計100重量部に対し、0.01~0.5重量部含有してなるスチレン系樹脂組成物が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
特開平6-256607号公報
特開平7-053815号公報
特開2011-21076号公報
特開2000-265021号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
シンジオタクチック構造を有するスチレン系重合体は、種々の優れた物性を有するものの、成形体の靭性、特に引張破断伸びについて、更なる改良の余地があった。
引用文献1及び2は、ポリスチレン系樹脂組成物にゴム状弾性体を含有させることにより、靭性を向上させることが記載されているが、一方で、ゴム状弾性体を含有したことにより、ポリスチレン系樹脂組成物の引張弾性率が低下する場合があった。
また、引用文献3及び4は、スチレン系樹脂組成物にシリコーンオイルを配合することで、成型時の金型汚染の低減や離型性等を向上させることが記載されているが、一方で、剛性や靭性等の性能については、十分な性能を発揮できない場合があり、更なる改良の余地があった。
本発明は、引張弾性率の低下が抑制され、かつ引張破断伸びに優れる、スチレン系樹脂組成物を含む熱可塑性樹脂組成物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、鋭意検討の結果、シンジオタクチック構造を有するスチレン系重合体に、(B)ジメチルシリコーンオイルを組み合わせたスチレン系樹脂組成物を含む熱可塑性樹脂組成物が、上記課題を解決し得ることを見出した。すなわち、本発明は、以下の[1]~[9]に関する。
【0007】
[1]スチレン系樹脂組成物を含む、熱可塑性樹脂組成物であって、前記スチレン系樹脂組成物が、(A)シンジオタクチック構造を有するスチレン系重合体、及び(B)ジメチルシリコーンオイルを含み、前記(B)ジメチルシリコーンオイルの含有量が、前記(A)シンジオタクチック構造を有するスチレン系重合体100質量部に対して、0.1~10質量部であり、ゴム状弾性体を実質的に含まず、熱可塑性樹脂組成物中において、前記(A)シンジオタクチック構造を有するスチレン系重合体を主成分として含む、熱可塑性樹脂組成物。
[2]前記(B)ジメチルシリコーンオイルが、未変性のジメチルシリコーンオイル及び変性ジメチルシリコーンオイルから選ばれる少なくとも1種である、[1]に記載の熱可塑性樹脂組成物。
[3]前記(B)ジメチルシリコーンオイルの25℃における粘度が、1~1,200,000cStである、[1]又は[2]に記載の熱可塑性樹脂組成物。
[4]前記スチレン系樹脂組成物が、更に(C)官能基含有ポリフェニレンエーテルを含み、前記(C)官能基含有ポリフェニレンエーテルの官能基が、酸及び/又はその誘導体に由来する官能基であり、前記(C)官能基含有ポリフェニレンエーテルの含有量が、前記(A)シンジオタクチック構造を有するスチレン系重合体100質量部に対して、0.1~10質量部である、[1]~[3]のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
[5]前記(C)官能基含有ポリフェニレンエーテルの官能基の、酸及び/又はその誘導体に由来する官能基において、前記酸及び/又はその誘導体が、無水マレイン酸、マレイン酸、フマル酸、マレイン酸エステル、フマル酸エステル、マレイン酸塩、フマル酸塩、アクリル酸、アクリル酸エステル、アクリル酸アミド、アクリル酸塩、メタクリル酸、メタクリル酸エステル、メタクリル酸アミド、メタクリル酸塩及びグリシジルメタクリレートから選ばれる少なくとも1種である、[4]に記載の熱可塑性樹脂組成物。
[6]前記スチレン系樹脂組成物が、更に結晶核剤を含み、前記結晶核剤の含有量が、前記(A)シンジオタクチック構造を有するスチレン系重合体100質量部に対して、0.1~3質量部である、[1]~[5]のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
[7]前記スチレン系樹脂組成物が、更に金属化合物を含み、前記金属化合物の含有量が、前記(A)シンジオタクチック構造を有するスチレン系重合体100質量部に対して、0.001~10質量部である、[1]~[6]のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
[8]更にガラス繊維を含む、[1]~[7]のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
[9]前記ガラス繊維の含有量が、前記スチレン系樹脂組成物及び前記ガラス繊維の合計中、5~50質量%である、[8]に記載の熱可塑性樹脂組成物。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、引張弾性率の低下が抑制され、かつ引張破断伸びに優れる、スチレン系樹脂組成物を含む熱可塑性樹脂組成物を提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[熱可塑性樹脂組成物]
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、スチレン系樹脂組成物を含む、熱可塑性樹脂組成物であって、前記スチレン系樹脂組成物が、(A)シンジオタクチック構造を有するスチレン系重合体、及び(B)ジメチルシリコーンオイルを含み、前記(B)ジメチルシリコーンオイルの含有量が、前記(A)シンジオタクチック構造を有するスチレン系重合体100質量部に対して、0.1~10質量部であり、ゴム状弾性体を実質的に含まず、熱可塑性樹脂組成物中において、前記(A)シンジオタクチック構造を有するスチレン系重合体を主成分として含む。
【0010】
<スチレン系樹脂組成物>
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、スチレン系樹脂組成物を含み、前記スチレン系樹脂組成物は、(A)シンジオタクチック構造を有するスチレン系重合体、及び(B)ジメチルシリコーンオイルを含む。また、本発明の熱可塑性樹脂組成物は、ゴム状弾性体を実質的に含まない。
(【0011】以降は省略されています)

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