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公開番号2025169083
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-11-12
出願番号2024074075
出願日2024-04-30
発明の名称フェライト・オーステナイト系二相ステンレス鋼材及びその製造方法
出願人日本製鉄株式会社
代理人アクシス国際弁理士法人
主分類C22C 38/00 20060101AFI20251105BHJP(冶金;鉄または非鉄合金;合金の処理または非鉄金属の処理)
要約【課題】高強度且つ低コストのフェライト・オーステナイト系二相ステンレス鋼材。
【解決手段】質量基準で、C:0.001~0.050%、Si:0.01~0.50%、Mn:1.0~3.5%、P:0.050%以下、S:0.030%以下、Ni:1.5~3.0%、Cr:19.6~23.0%、Mo:0.01~1.00%、Cu:0.01~1.00%、N:0.010~0.090%を含み、残部がFe及び不純物からなり、下記式で示されるDF:60.0~80.0、Md:90.0~150.0であり、マルテンサイト相が1~30体積%である、二相ステンレス鋼材。
式(1):DF=7.2(Cr+0.88Mo+0.78Si)-8.9(Ni+0.03Mn+0.72Cu+22C+21N)-44.9
式(2):Md=551-462(C+N)-9.2Si-8.1Mn-29(Ni+Cu)-13.7Cr-18.5Mo
(元素記号は含有質量%)
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
質量基準で、C:0.001~0.050%、Si:0.01~0.50%、Mn:1.0~3.5%、P:0.050%以下、S:0.030%以下、Ni:1.5~3.0%、Cr:19.6~23.0%、Mo:0.01~1.00%、Cu:0.01~1.00%、N:0.010~0.090%を含み、残部がFe及び不純物からなり、
下記式(1):
DF=7.2(Cr+0.88Mo+0.78Si)-8.9(Ni+0.03Mn+0.72Cu+22C+21N)-44.9 ・・・ (1)
(式中、元素記号は各元素の含有量(質量%)を表す)で示されるDFの値が60.0~80.0であり、
下記式(2):
Md=551-462(C+N)-9.2Si-8.1Mn-29(Ni+Cu)-13.7Cr-18.5Mo ・・・ (2)
(式中、元素記号は各元素の含有量(質量%)を表す)で示されるMdの値が90.0~150.0℃であり、
マルテンサイト相が1~30体積%である、フェライト・オーステナイト系二相ステンレス鋼材。
続きを表示(約 1,300 文字)【請求項2】
質量基準で、Nb:0.010~0.500%、Ti:0.010~0.500%、V:0.01~0.50%、W:0.05~0.50%、Co:0.01~0.30%、B:0.0002~0.0050%、Sn:0.010~0.500%、Al:0.010~0.050%、Mg:0.0002~0.0100%、Ca:0.0002~0.0100%、Ta:0.050%以下、Ga:0.050%以下、Zr:0.01~0.50%、REM:0.0002~0.0100%から選択される1種以上を更に含む、請求項1に記載のフェライト・オーステナイト系二相ステンレス鋼材。
【請求項3】
0.2%耐力が600~1600MPaである、請求項1又は2に記載のフェライト・オーステナイト系二相ステンレス鋼材。
【請求項4】
質量基準で、C:0.001~0.050%、Si:0.01~0.50%、Mn:1.0~3.5%、P:0.050%以下、S:0.030%以下、Ni:1.5~3.0%、Cr:19.6~23.0%、Mo:0.01~1.00%、Cu:0.01~1.00%、N:0.010~0.090%を含み、残部がFe及び不純物からなり、
下記式(1):
DF=7.2(Cr+0.88Mo+0.78Si)-8.9(Ni+0.03Mn+0.72Cu+22C+21N)-44.9 ・・・ (1)
(式中、元素記号は各元素の含有量(質量%)を表す)で示されるDFの値が60.0~80.0であり、
下記式(2):
Md=551-462(C+N)-9.2Si-8.1Mn-29(Ni+Cu)-13.7Cr-18.5Mo ・・・ (2)
(式中、元素記号は各元素の含有量(質量%)を表す)で示されるMdの値が90.0~150.0℃である冷延材を仕上焼鈍した後、マルテンサイト相が1~30体積%となるように加工誘起変態処理を行う、フェライト・オーステナイト系二相ステンレス鋼材の製造方法。
【請求項5】
前記冷延材は、Nb:0.010~0.500%、Ti:0.010~0.500%、V:0.01~0.50%、W:0.05~0.50%、Co:0.01~0.30%、B:0.0002~0.0050%、Sn:0.010~0.500%、Al:0.010~0.050%、Mg:0.0002~0.0100%、Ca:0.0002~0.0100%、Ta:0.050%以下、Ga:0.050%以下、Zr:0.01~0.50%、REM:0.0002~0.0100%から選択される1種以上を更に含む、請求項4に記載のフェライト・オーステナイト系二相ステンレス鋼材の製造方法。
【請求項6】
前記加工誘起変態処理は、2~50%の圧延率で行われる調質圧延である、請求項4又は5に記載のフェライト・オーステナイト系二相ステンレス鋼材の製造方法。
【請求項7】
前記冷延材は、熱延焼鈍材を40~90%の圧延率で冷延することによって得られる、請求項4又は5に記載のフェライト・オーステナイト系二相ステンレス鋼材の製造方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、フェライト・オーステナイト系二相ステンレス鋼材及びその製造方法に関する。
続きを表示(約 2,200 文字)【背景技術】
【0002】
フェライト・オーステナイト系二相ステンレス鋼材は、耐食性及び強度に優れることから、建材や構造材料などの様々な用途で使用されている。近年、フェライト・オーステナイト系二相ステンレス鋼材には、その用途拡大に伴い、0.2%耐力が600MPa以上の高強度が要求されるようになってきた。
フェライト・オーステナイト系二相ステンレス鋼材を高強度化する方法として、NiやCuなどのオーステナイト生成元素、Nを添加する方法が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、重量比にしてC:0.020%以下、Si:0.30~1.50%、Mn:0.50~1.50%、P:0.040%以下、S:0.015%以下、Cu:1.0~3.0%、Ni:3.00~5.00%、Cr:22.00~28.00%、Mo:2.00~5.00%、N:0.12~0.25%、W:0.50%以下、Ca:0.0100%以下、B:0.0100%以下を含有し、残部がFe及び不純物元素からなり、フェライトとオ-ステナイトの二相組織を有し、前記二相組織のうちフェライト相の面積率が40~70%である二相ステンレス鋼材が提案されている。この二相ステンレス鋼材は、0.2%耐力が600MPa以上であると記載されている。
【0004】
また、特許文献2には、質量%で、C:0.030%以下、Si:1.00%以下、Mn:0.10~9.00%、P:0.040%以下、S:0.0010%以下、Cr:20.0~32.0%、Ni:3.5~10.0%、Mo:0.5~5.0%、Cu:0.5~6.0%、V:0.01%以上0.10%未満、B:0.0010~0.0050%、N:0.150%未満、及びO:0.0001~0.0070%を含有し、残部がFe及び不純物からなり、所定の式を満たす化学組成と、体積率で30~80%のフェライト、及び残部がオーステナイトからなるミクロ組織と、655MPa以上の降伏強度とを有する二相ステンレス鋼材が提案されている。
【0005】
さらに、特許文献3には、化学組成が、質量%で、C:0.04%以下、Si:0.10~0.90%、Mn:0.20~0.70%、P:0.040%以下、S:0.010%以下、Cu:1.00~3.00%、Ni:4.00~8.00%、Cr:28.00~35.00%、Mo:0.50~1.40%、V:0.03~0.20%、N:0.350%よりも高く0.700%以下、Al:0.030%以下、Co:0.05~0.50%、B:0.0005~0.0040%、Ca:0~0.0040%、Mg:0~0.0040%、残部:Fe及び不純物であり、550MPa以上の降伏強度を有する、二相ステンレス鋼材が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
特開2003-171743号公報
特許第7364955号公報
特開2021-155774号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
フェライト・オーステナイト系二相ステンレス鋼材には、コストを抑える観点から、合金元素の節減を図ることが求められている。
しかしながら、特許文献1は、高価な元素であるCu、Ni、Moなどの元素を多量に含むためコスト高である。また、Nの量も多いため、生産性が低下する恐れもある。
また、特許文献2も、Niを多量に含むとともに、Mn、Mo、Cuの量も比較的多いためコスト高である。
さらに、特許文献3も、Cu、Ni及びCrを多量に含むためコスト高である。また、Nの量も多いため、生産性が低下する恐れもある。
【0008】
本発明は、高強度且つ低コストのフェライト・オーステナイト系二相ステンレス鋼材及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記のような問題を解決すべくフェライト・オーステナイト系二相ステンレス鋼材について鋭意研究を続けた結果、以下の知見を得た。
フェライト・オーステナイト系二相ステンレス鋼材の強度は、合金元素(例えば、Ni)の添加による固溶強化、及びフェライト相とオーステナイト相の混合組織による結晶粒の微細化によって向上させることができる。固溶強化による高強度化を実現するためには、Niなどの量を多くしなければならない。また、Niなどの量が少ないリーン(省合金)型のフェライト・オーステナイト系二相ステンレス鋼板もあるが、Nに加えてCuやMnの量を多くしなければならない。
そこで、コストを抑える観点からNiなどの高価な元素を低減する一方で、それによって低減する固溶強化の効果を、別の方法でカバーすることを試みた。その結果、加工誘起変態を活用することにより、Niなどの高価な元素を低減しても高強度化が実現できることを見出した。
【0010】
そして、本発明者らは、上記の知見に基づき、フェライト・オーステナイト系二相ステンレス鋼材の組成(DF及びMdの値を含む)、オーステナイト相及びマルテンサイト相の割合を適切な範囲に制御することにより、上記の問題を解決し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
(【0011】以降は省略されています)

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