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公開番号2025152029
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-10-09
出願番号2024053729
出願日2024-03-28
発明の名称スラグの処理方法
出願人日本製鉄株式会社
代理人弁理士法人樹之下知的財産事務所
主分類C21C 7/00 20060101AFI20251002BHJP(鉄冶金)
要約【課題】スラグの粉化を抑制する。
【解決手段】取鍋から排滓されるスラグを、溶融状態から冷却して処理するスラグの処理方法であって、スラグの塩基度は2.5以上4.1以下であり、スラグの組成は、全鉄およびMnOの合計の含有量が1.0質量%以下、Al2O3の含有量が20質量%以上、MgOの含有量が5%以上であり、溶融状態のスラグにAl2O3源を添加する工程と、Al2O3源が添加されたスラグを徐冷する工程とを含むスラグの処理方法を提供する。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
取鍋から排滓されるスラグを、溶融状態から冷却して処理するスラグの処理方法であって、
前記スラグの塩基度は2.5以上4.1以下であり、
前記スラグの組成は、全鉄およびMnOの合計の含有量が1.0質量%以下、Al



の含有量が20質量%以上、MgOの含有量が5%以上であり、
溶融状態の前記スラグにAl



源を添加する工程と、
前記Al



源が添加された前記スラグを徐冷する工程とを含む、ことを特徴とするスラグの処理方法。
続きを表示(約 160 文字)【請求項2】
前記スラグの質量をM
slag
、添加する前記Al



源の質量をM
Al2O3
とすると、M
slag
/M
Al2O3
≧0.1を満足する、ことを特徴とする請求項1に記載のスラグの処理方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、二次精錬工程の副産物であるスラグの処理方法に関する。
続きを表示(約 2,600 文字)【背景技術】
【0002】
製鋼工程で排出されたスラグは、廃棄物の低減を目的として、また天然資源の枯渇の問題等から、土工用や路盤材等として利用されることがある。しかしながら取鍋精錬工程で排出される取鍋スラグはCaOおよびAl



を多く含む。取鍋スラグを精錬剤として製鋼工程内で再利用することができれば、高価な副原料等の購入費用を削減することが可能となり、製鉄業にとっては好ましい。以下、製鋼工程について順を追って説明する。
【0003】
製鉄所では、一般的に、高炉で出銑した溶銑に対して脱硫処理、脱珪処理および脱りん処理などの溶銑予備処理を行う。そして、溶銑予備処理の終了後には、転炉にて脱炭処理を中心とした処理を行っている。高炉出銑以降脱炭処理までの工程は一次精錬と呼ばれ、一次精錬された溶鋼は取鍋に移注される。取鍋内に収容した溶鋼は取鍋精錬(二次精錬)により清浄化され、その後、タンディッシュ経由で連続鋳造され、鋳片が製造される。
【0004】
取鍋内の溶鋼を精錬する取鍋精錬には、溶鋼中に粉体(精錬剤)を吹き込んで攪拌精錬を行う方法、真空槽で脱ガス処理を行う真空脱ガス法、取鍋の溶鋼表面にスラグを形成してスラグアーク加熱を行いつつ溶鋼を攪拌して精錬するLF法(レードル・ファーネス法)などがある。
【0005】
LF法による取鍋精錬工程(以下、LF精錬と言う)では、一般的にCaO/SiO

質量比(以下「塩基度」という。)が高いスラグを溶鋼表面に形成し、このスラグを用いて溶鋼のスラグ精錬を行う。ここで、溶鋼が転炉から取鍋に移注される際には、溶鋼とともに少量のスラグも取鍋に持ち越される。LF精錬では、この少量のスラグに、CaO源やAl



源を添加(以下、取鍋精錬工程で添加されるCaO源およびAl



源を「スラグ添加材」という)して、スラグ組成およびスラグ量の調整を行う。こうして形成したスラグに上方から電極を浸漬させ通電することでスラグを加熱し、還元雰囲気でガス攪拌することで、スラグと溶鋼の熱交換による溶鋼の昇熱、スラグメタル反応による溶鋼の脱硫および脱酸を行う。
【0006】
LF精錬が終了後、真空精錬などを経て取鍋内の溶鋼はタンディッシュに移注されるが、溶鋼表面のスラグは取鍋内に残留する。取鍋内に残留した溶融状態のスラグおよびこのスラグが凝固したものを、以下、「取鍋スラグ」という。取鍋スラグは、主にCaO、Al



、SiO

、およびMgOなどの酸化物で構成される。取鍋スラグは、上述したスラグ添加材の添加によりCaOおよびAl



の含有量が多く、例えば、CaOは20~60質量%、Al



は10~45質量%である。また、取鍋スラグの塩基度は、例えば、3~14である。塩基度は、CaOの添加量を調整することにより、鋳造する鋼種に適した値に調整される。
【0007】
LF精錬では、電極を浸漬させるのに十分なスラグ厚を必要とするため、一定量の体積の取鍋スラグが必要となる。そのスラグ量は、処理量300t規模のLF精錬で15~20kg/t-steel程度である。このように多量のスラグを高塩基度組成とし、かつ溶融状態とするためには多量にCaO源とAl



源を添加しなければならず、造滓のために多大なコストがかかっている。発明者らは、CaO濃度、Al



濃度が高い取鍋スラグを再利用し、LF法で新規に投入する副原料の代替とすることができればコストを大幅に削減できると考えたが、そのためには、以下に示す課題を解決する必要がある。
【0008】
取鍋内に残留した取鍋スラグは、スラグ搬送容器(スラグパンやスラグポット)に排出される。スラグ搬送容器には、複数回分のスラグ精錬後の取鍋スラグが溜められる。スラグ搬送容器内に取鍋スラグが所定量溜まると、取鍋スラグはスラグ搬送容器により土場まで搬送され、土場上に返される。取鍋スラグは土場との接触による冷却および放冷により凝固する。
【0009】
この放冷過程において凝固した取鍋スラグは粉化し易い。粉化したスラグはハンドリング性が悪いのはもちろん精錬工程でのリサイクル時には集塵されてしまい歩留まりが悪い。また、飛散して環境を悪化させる要因にもなる。取鍋スラグの粉化現象は、溶融状態の取鍋スラグを冷却する際に晶出する2CaO・SiO

(以下、C

Sともいう)が原因であると考えられている。晶出したC

Sの結晶は、冷却過程においてα’相からβ相、β相からγ相へ相転移し、体積が増大して膨脹し、取鍋スラグの凝固組織を崩壊させるため、凝固した取鍋スラグが粉化し易くなる。この粉化現象が生じてしまうと、製鋼工程へのリサイクルのみならず路盤材など他の用途への利用も困難となる。そのため、この粉化現象を抑制する方法として、いくつかの技術が開示されている。
【0010】
特許文献1には、溶鋼を収容した取鍋の溶鋼表面に形成されるスラグであって、塩基度が2以上の溶融状態のスラグにB(B



)を含有する添加材を混合して、スラグの粉化を防止し、土木工事用資材として資源化する技術が開示されている。
また、特許文献2には、スラグの塩基度が2付近ではスラグが冷却された後に固化する頻度が低下することについて記載されており、塩基度に応じてスラグ中のAl



濃度、B



濃度を高めることでスラグの粉化を抑制する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
(【0011】以降は省略されています)

この特許をJ-PlatPat(特許庁公式サイト)で参照する

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