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公開番号2025159730
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-10-21
出願番号2025114462,2022502248
出願日2025-07-07,2020-07-15
発明の名称イヌCTLA-4に対するイヌ化抗体
出願人インターベット インターナショナル ベー. フェー.
代理人個人,個人,個人,個人,個人,個人,個人
主分類C07K 16/28 20060101AFI20251014BHJP(有機化学)
要約【課題】イヌCTLA-4に結合する抗イヌ細胞傷害性Tリンパ球関連タンパク質4(CTLA-4)抗体を提供する。
【解決手段】本発明は、イヌCTLA-4に対して特異的な配列及び高い結合親和性を有する、イヌCTLA-4に対するイヌ化マウス抗体を提供する。本発明は、さらに、イヌCTLA-4.5に対するイヌ化マウス抗体のためのイヌCTLA-4のエピトープも提供する。本発明は、さらに、イヌ及び他のコンパニオンアニマルにおける癌の治療におけるこれらの抗体の使用にも関する。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
イヌ細胞傷害性Tリンパ球関連タンパク質4(CTLA-4)に結合し、そして、イヌ
CTLA-4とイヌCD80の結合をブロックするか、イヌCTLA-4とイヌCD86
の結合をブロックするか、又は、イヌCTLA-4とイヌCD80の結合及びイヌCTL
A-4とイヌCD86の結合の両方をブロックする、単離された哺乳動物抗体又はその抗
原結合フラグメントであって、
ここで、該抗体は、6つの相補性決定領域(CDR)のセットを含み、そのうちの3つは
、軽鎖CDR〔CDR軽1(CDRL1)、CDR軽2(CDRL2)及びCDR軽3(
CDRL3)〕であり;そして、そのうちの3つは、重鎖CDR〔CDR重1(CDRH
1)、CDR重2(CDRH2)及びCDR重3(CDRH3)〕であり;
ここで、6つのCDRのセットは、(i)、(ii)、(iii)、(iv)、(v)及
び(vi)からなるセットの群から選択され;
ここで、セット(i)の場合、
CDRL1は、配列番号92、配列番号92の保存的に修飾された変異体及びカノニカル
構造クラス4を含む配列番号92の変異体からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む

CDRL2は、配列番号94、配列番号94の保存的に修飾された変異体及びカノニカル
構造クラス1を含む配列番号94の変異体からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む

CDRL3は、配列番号96、配列番号96の保存的に修飾された変異体及びカノニカル
構造クラス1を含む配列番号96の変異体からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む

CDRH1は、配列番号86、配列番号86の保存的に修飾された変異体及びカノニカル
構造クラス1を含む配列番号86の変異体からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む

CDRH2は、配列番号88、配列番号88の保存的に修飾された変異体及びカノニカル
構造クラス2Aを含む配列番号88の変異体からなる群から選択されるアミノ酸配列を含
む;及び、
CDRH3は、配列番号90、配列番号90の保存的に修飾された変異体及びカノニカル
構造クラス7を含む配列番号90の変異体からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む

ここで、セット(ii)の場合、
CDRL1は、配列番号104、配列番号104の保存的に修飾された変異体及びカノニ
カル構造クラス1を含む配列番号104の変異体からなる群から選択されるアミノ酸配列
を含む;
CDRL2は、配列番号106、配列番号106の保存的に修飾された変異体及びカノニ
カル構造クラス1を含む配列番号106の変異体からなる群から選択されるアミノ酸配列
を含む;
CDRL3は、配列番号108、配列番号108の保存的に修飾された変異体及びカノニ
カル構造クラス1を含む配列番号108の変異体からなる群から選択されるアミノ酸配列
を含む;
CDRH1は、配列番号98、配列番号98の保存的に修飾された変異体及びカノニカル
構造クラス1を含む配列番号98の変異体からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む

CDRH2は、配列番号100、配列番号100の保存的に修飾された変異体及びカノニ
カル構造クラス4を含む配列番号100の変異体からなる群から選択されるアミノ酸配列
を含む;及び、
CDRH3は、配列番号102、配列番号102の保存的に修飾された変異体及びカノニ
カル構造クラス9を含む配列番号102の変異体からなる群から選択されるアミノ酸配列
を含む;
ここで、セット(iii)の場合、
続きを表示(約 4,300 文字)【請求項2】
(a) CDRL1は、配列番号92、配列番号92の保存的に修飾された変異体及び
カノニカル構造クラス4を含む配列番号92の変異体からなる群から選択されるアミノ酸
配列を含む;
(b) CDRL2は、配列番号94、配列番号94の保存的に修飾された変異体及び
カノニカル構造クラス1を含む配列番号94の変異体からなる群から選択されるアミノ酸
配列を含む;
(c) CDRL3は、配列番号96、配列番号96の保存的に修飾された変異体及び
カノニカル構造クラス1を含む配列番号96の変異体からなる群から選択されるアミノ酸
配列を含む;
(d) CDRH1は、配列番号86、配列番号86の保存的に修飾された変異体及び
カノニカル構造クラス1を含む配列番号86の変異体からなる群から選択されるアミノ酸
配列を含む;
(e) CDRH2は、配列番号88、配列番号88の保存的に修飾された変異体及び
カノニカル構造クラス2Aを含む配列番号88の変異体からなる群から選択されるアミノ
酸配列を含む;及び、
(f) CDRH3は、配列番号90、配列番号90の保存的に修飾された変異体及び
カノニカル構造クラス7を含む配列番号90の変異体からなる群から選択されるアミノ酸
配列を含む;
請求項1に記載の単離された哺乳動物抗体又はその抗原結合フラグメント。
【請求項3】
(a) CDRL1は、配列番号104、配列番号104の保存的に修飾された変異体
及びカノニカル構造クラス1を含む配列番号104の変異体からなる群から選択されるア
ミノ酸配列を含む;
(b) CDRL2は、配列番号106、配列番号106の保存的に修飾された変異体
及びカノニカル構造クラス1を含む配列番号106の変異体からなる群から選択されるア
ミノ酸配列を含む;
(c) CDRL3は、配列番号108、配列番号108の保存的に修飾された変異体
及びカノニカル構造クラス1を含む配列番号108の変異体からなる群から選択されるア
ミノ酸配列を含む;
(d) CDRH1は、配列番号98、配列番号98の保存的に修飾された変異体及び
カノニカル構造クラス1を含む配列番号98の変異体からなる群から選択されるアミノ酸
配列を含む;
(e) CDRH2は、配列番号100、配列番号100の保存的に修飾された変異体
及びカノニカル構造クラス4を含む配列番号100の変異体からなる群から選択されるア
ミノ酸配列を含む;及び、
(f) CDRH3は、配列番号102、配列番号102の保存的に修飾された変異体
及びカノニカル構造クラス9を含む配列番号102の変異体からなる群から選択されるア
ミノ酸配列を含む;
請求項1に記載の単離された哺乳動物抗体又はその抗原結合フラグメント。
【請求項4】
(a) CDRL1は、配列番号117、配列番号117の保存的に修飾された変異体
及びカノニカル構造クラス4を含む配列番号117の変異体からなる群から選択されるア
ミノ酸配列を含む;
(b) CDRL2は、配列番号94、配列番号94の保存的に修飾された変異体及び
カノニカル構造クラス1を含む配列番号94の変異体からなる群から選択されるアミノ酸
配列を含む;
(c) CDRL3は、配列番号96、配列番号96の保存的に修飾された変異体及び
カノニカル構造クラス1を含む配列番号96の変異体からなる群から選択されるアミノ酸
配列を含む;
(d) CDRH1は、配列番号86、配列番号86の保存的に修飾された変異体及び
カノニカル構造クラス1を含む配列番号86の変異体からなる群から選択されるアミノ酸
配列を含む;
(e) CDRH2は、配列番号88、配列番号88の保存的に修飾された変異体及び
カノニカル構造クラス2Aを含む配列番号88の変異体からなる群から選択されるアミノ
酸配列を含む:及び、
(f) CDRH3は、配列番号113、配列番号113の保存的に修飾された変異体
及びカノニカル構造クラス7を含む配列番号113の変異体からなる群から選択されるア
ミノ酸配列を含む;
請求項1に記載の単離された哺乳動物抗体又はその抗原結合フラグメント。
【請求項5】
(a) CDRL1は、配列番号119、配列番号119の保存的に修飾された変異体
及びカノニカル構造クラス4を含む配列番号119の変異体からなる群から選択されるア
ミノ酸配列を含む;
(b) CDRL2は、配列番号122、配列番号122の保存的に修飾された変異体
及びカノニカル構造クラス1を含む配列番号122の変異体からなる群から選択されるア
ミノ酸配列を含む;
(c) CDRL3は、配列番号96、配列番号96の保存的に修飾された変異体及び
カノニカル構造クラス1を含む配列番号96の変異体からなる群から選択されるアミノ酸
配列を含む;
(d) CDRH1は、配列番号86、配列番号86の保存的に修飾された変異体及び
カノニカル構造クラス1を含む配列番号86の変異体からなる群から選択されるアミノ酸
配列を含む;
(e) CDRH2は、配列番号88、配列番号88の保存的に修飾された変異体及び
カノニカル構造クラス2Aを含む配列番号88の変異体からなる群から選択されるアミノ
酸配列を含む;及び、
(f) CDRH3は、配列番号115、配列番号115の保存的に修飾された変異体
及びカノニカル構造クラス7を含む配列番号115の変異体からなる群から選択されるア
ミノ酸配列を含む;
請求項1に記載の単離された哺乳動物抗体又はその抗原結合フラグメント。
【請求項6】
(a) CDRL1は、配列番号118、配列番号118の保存的に修飾された変異体
及びカノニカル構造クラス4を含む配列番号118の変異体からなる群から選択されるア
ミノ酸配列を含む;
(b) CDRL2は、配列番号121、配列番号121の保存的に修飾された変異体
及びカノニカル構造クラス1を含む配列番号121の変異体からなる群から選択されるア
ミノ酸配列を含む;
(c) CDRL3は、配列番号96、配列番号96の保存的に修飾された変異体及び
カノニカル構造クラス1を含む配列番号96の変異体からなる群から選択されるアミノ酸
配列を含む;
(d) CDRH1は、配列番号109、配列番号109の保存的に修飾された変異体
及びカノニカル構造クラス1を含む配列番号109の変異体からなる群から選択されるア
ミノ酸配列を含む;
(e) CDRH2は、配列番号111、配列番号111の保存的に修飾された変異体
及びカノニカル構造クラス2Aを含む配列番号111の変異体からなる群から選択される
アミノ酸配列を含む;及び、
(f) CDRH3は、配列番号114、配列番号114の保存的に修飾された変異体
及びカノニカル構造クラス7を含む配列番号114の変異体からなる群から選択されるア
ミノ酸配列を含む;
請求項1に記載の単離された哺乳動物抗体又はその抗原結合フラグメント。
【請求項7】
(a) CDRL1は、配列番号120、配列番号120の保存的に修飾された変異体
及びカノニカル構造クラス2を含む配列番号120の変異体からなる群から選択されるア
ミノ酸配列を含む;
(b) CDRL2は、配列番号123、配列番号123の保存的に修飾された変異体
及びカノニカル構造クラス1を含む配列番号123の変異体からなる群から選択されるア
ミノ酸配列を含む;
(c) CDRL3は、配列番号124、配列番号124の保存的に修飾された変異体
及びカノニカル構造クラス1を含む配列番号124の変異体からなる群から選択されるア
ミノ酸配列を含む;
(d) CDRH1は、配列番号110、配列番号110の保存的に修飾された変異体
及びカノニカル構造クラス1を含む配列番号110の変異体からなる群から選択されるア
ミノ酸配列を含む;
(e) CDRH2は、配列番号112、配列番号112の保存的に修飾された変異体
及びカノニカル構造クラス2Aを含む配列番号112の変異体からなる群から選択される
アミノ酸配列を含む;及び、
(f) CDRH3は、配列番号116、配列番号116の保存的に修飾された変異体
及びカノニカル構造クラス12を含む配列番号116の変異体からなる群から選択される
アミノ酸配列を含む;
請求項1に記載の単離された哺乳動物抗体又はその抗原結合フラグメント。
【請求項8】
前記哺乳動物抗体がマウス抗体である、請求項1、2、3、4、5、6又は7に記載の
単離された哺乳動物抗体又はその抗原結合フラグメント。
【請求項9】
イヌ化抗体又はそのイヌ化抗原結合フラグメントである、請求項1、2、3、4、5、
6若しくは7に記載の単離された哺乳動物抗体若しくはその抗原結合フラグメント又は請
求項8に記載のマウス抗体。
【請求項10】
配列番号128、配列番号129、配列番号130及び配列番号131からなる群から
選択されるアミノ酸配列を含むヒンジ領域を含む、請求項9に記載のイヌ化抗体又はその
イヌ化抗原結合フラグメント。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本出願は、35 U.S.C. § 119(e)に基づいて、2019年7月15日
に出願された米国仮特許出願第62/874,287号、2019年10月25日に出願
された、米国仮特許出願第62/926,047号及び2020年7月7日に出願された
米国仮特許出願第63/048,873号の優先権を主張するものであり、米国仮特許出
願第62/926,047号及び米国仮特許出願第63/048,873号の内容は、参
照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
続きを表示(約 6,300 文字)【0002】
本発明は、共刺激又は共阻害シグナル伝達経路に関与するタンパク質(これは、CTL
A-4を包含する)に対する抗体に関する。より特定的には、本発明は、さらに、特定の
配列を有し且つイヌCTLA-4に対する高い結合親和性を有している、イヌCTLA-
4に対するイヌ化抗体に関する。本発明は、さらに、イヌの癌の治療における本発明の抗
体の使用にも関する。
【背景技術】
【0003】
免疫応答の開始又は終了は、多くの種類の免疫細胞(特に、Tリンパ球及び抗原提示細
胞(APC))の表面で発現する一連のタンパク質の間の複雑な相互作用によって活性化
されるシグナル伝達経路を介して媒介される。共刺激シグナル伝達経路は、免疫応答の発
生をもたらし、そして、最も重要にはT細胞の表面のCD28とAPCの表面のB7.1
(CD80としても知られている)及びB7.2(CD86としても知られている)ファ
ミリーメンバーとの相互作用を介して媒介されることが示されている。B7.1及びB7
.2は、同様の機能を果たすと考えられている。
【0004】
対照的に、共阻害経路は、免疫応答の阻害又は終結をもたらし、そして、T細胞上の細
胞傷害性Tリンパ球関連タンパク質4(CTLA-4)とAPC上のCD80/CD86
タンパク質の間の相互作用を介して媒介されることが示されている。さらなる共阻害シグ
ナル伝達経路は、T細胞上のプログラム細胞死受容体1(PD-1)とAPC上のプログ
ラム細胞死受容体リガンド1又は2(PD-L1/PD-L2)タンパク質の間の相互作
用を介して媒介されることが示されている。さらに、PD-L1とCD80の間の相互作
用も、T細胞内に阻害シグナルをもたらす可能性があることも示されている。
【0005】
CD80及びCD86は、免疫グロブリン(Ig)スーパーファミリーのメンバーであ
る[Sharpe and Freeman,Nature Reviews,2:11
6-126(2002)]。CD80は、活性化B細胞、活性化T細胞、並びに、マクロ
ファージ及び樹状細胞で発現する[Swanson and Hall,Eur J.I
mmunol.,23:295-298(1993);Razi-Wolfe et a
l.,PNAS,89:4210-4214(1992)]。CD86は、樹状細胞、ラ
ンゲルハンス細胞及びB細胞で構成的に発現する。さらに、CD86は、単球で発現し、
そして、IFN-γ刺激後にアップレギュレーションされる[Larsen et al
.,Immunol.,152:5208-5219(1994);Inaba,J.E
xp.Med.180:1849-1860(1994)]。
【0006】
CD80及びCD86は、CD28とCTLA-4に結合して、異なる機能的結果をも
たらす[Linsley et al.,PNAS,87:5031-5035(199
0); Linsley et al.,J.Exp. Med.,173:721-7
30(1991);Azuma et al.,Nature 366:76-79 (
1993);Freeman et al.,Science 262:909-912
(1993)]。CD80及びCD86のCTLA-4への結合は、CD80/CD86
のCD28への結合よりも極めて高い親和性を示す[van der Merwe,J.
Exp.Med.185:393-402(1997)]。
【0007】
CD28は、Igスーパーファミリーのメンバーであるホモ二量体糖タンパク質である
[Aruffo and Seed,PNAS,84:8573-8577 (1987
)]。成熟タンパク質は、カウンター受容体結合に不可欠なヘキサペプチドモチーフMY
PPPYを含む134アミノ酸残基からなる単一の細胞外可変ドメインを有している[R
iley and June,Blood,105:13-21(2005)]。CD2
8の41アミノ酸の細胞質ドメインは、活性化時にリン酸化され得る4つのチロシン残基
を含む[Sharpe and Freeman,Nat.Rev.Immunol.,
2:116-126(2002)]。CD28は、CD4

T細胞の大部分とCD8


細胞の約50%で発現する[Gross et al.,J.Immunol.,149
:380-388(1992);Riley and June,Blood,105:
13-21(2005)]。T細胞受容体(TCR)ライゲーション後、CD28に結合
しているB7.1/B7.2は、重要な共刺激シグナルをT細胞に提供して、T細胞の活
性化とそれに続く免疫応答の発生を可能にする[Reiser et al.,PNAS
,89:271-275(1992);Jenkins et al.,J.Immun
ol.,147:2461-2466(1991)]。CD28シグナルの非存在下では
、T細胞はアポトーシスを起こすか又は無反応状態になることが示されている[Jenk
ins et al.,J.Exp.Med.165:302-319(1987);J
enkins et al.,PNAS,84:5409-5413(1987);Sc
hwartz,Science,248:1349-1356 (1990)]。CD2
8-B7.1/B7.2結合は、活性化に必要なTCRライゲーションの閾値レベル(例
えば、抗原-MHC複合体の量)を変化させ、ナイーブ細胞を刺激するのに必要な時間を
短縮し、T細胞応答の大きさを高めることができる[Soskic et al.,Ad
vances in Immunology,124:96-123(2014)]。
【0008】
CTLA-4(CD152)も、Igスーパーファミリーのメンバーであり、そして、
単一の細胞外ドメイン、膜貫通ドメイン及び短い細胞質尾部からなる[Swanson,
Immunology;1010:169-177(2000)]。さらに、CTLA-
4は、CD28と約30%のアミノ酸同一性を共有している。CTLA-4は、ナイーブ
T細胞では構成的に発現しないが、CD28ライゲーションとT細胞活性化の直後に急速
にアップレギュレーションされ、最初のT細胞活性化後約48~96時間でCTLA-4
の発現レベルがピークになる[Alegre et al.,J.Immunol.,1
57:4762-4770(1996);Freeman et al.,J.Immu
nol.,149:3795-3801(1992)]。CTLA-4は、CD28より
も極めて高い親和性でB7.1及びB7.2の両方に結合する[van der Mer
we et al.,J.Exp.Med., 185:393-402 (1997)
]。しかしながら、CD28結合B7.1又はB7.2の刺激効果とは対照的に、CTL
A-4は、免疫応答のダウンモジュレーションに不可欠な抑制性受容体として機能する[
Walnus et al.,Immunity,1:405-413(1994);
Walnus,J.Exp.Med.,183:2541-2550(1996);Kr
ummel and Allison,J.Exp.Med.,183:2533-25
40(1996)]。CTLA-4がその免疫抑制機能を媒介する機序は、CD28とC
D80/CD86の間の相互作用の競合的阻害剤として作用する能力に関連している[「
Swanson,Immunology,1010:169-177 (2000)」に
おいて概説されている]。免疫ダウンレギュレーションにおけるCTLA-4の重要な役
割は、CTLA-4欠損マウスで実証されており、そのCTLA-4欠損マウスは、複数
の臓器へのT細胞浸潤を特徴とするリンパ増殖性疾患の発症により3~5週齢で死亡する
[Tivol et al.,Immunity,3:541-5417(1995);
Waterhouse et al.,Science,270:985-988(19
95)]。CTLA-4ノックアウトの結果は、CTLA-4/CD80/CD86トリ
プルノックアウトマウスでは疾患がないことによって示されるように、CD28とそのリ
ガンドであるCD80及びCD86との相互作用に依存することも実証された[Mand
elbrot et al.,J.Exp.Med.,189:435-440(199
9)]。このことは、CTLA-4IgをCTLA-4ノックアウトマウスに繰り返し投
与することによってもたらされるリンパ増殖に対する保護によっても確認されている[T
ivol et al.,J Immunol.,158:5091-5094(199
7)]。
【0009】
さらに、CTLA-4の効果を抗体でブロックすると、インビトロ及びインビボでのT
細胞応答が増強され、抗腫瘍免疫応答が増大することが示されている[Leach et
al.,Science,271:1734-1736 (1996)]。これらの知
見に基づいて、癌を治療するための治療モダリティを提供するために、モノクローナル抗
体のようなCTLA-4ブロッカーの開発が行われた[Hodi et al.,PNA
S,100(8):4712-4717(2003);Phan GQ et al.,
PNAS,100(14):8372-8377(2003);Attia,Journ
al of Clinical Oncology,23(25):6043-6053
(2005);Comin-Anduix et al.,Journal of Tr
anslational Medicine,6:22-22(2008); WO20
00037504A2;U.S.8,017,114B2; WO2010097597
A1;WO2012120125A1;及び、Boutros et al.,Nat
Rev Clin Oncol.,13(8):473-486(2016)]。
【0010】
PD-1は、免疫調節受容体のCD28/CTLA-4ファミリーのメンバーである。
PD-1は、さらに、Igスーパーファミリーのメンバーでもあり、そして、そのリガン
ドに結合する細胞外可変ドメイン及びシグナル伝達分子に結合する細胞質尾部を含む[「
Zak et al.,Cell Structure,25:1163-1174(2
017)」において概説されている]。PD-1の細胞質尾部は、2つのチロシンベース
のシグナル伝達モチーフを含む[Zhang et al., Immunity 20
:337-347 (2004)]。PD-1の発現は、刺激されていないT細胞、B細
胞又は骨髄細胞では見られない。しかしながら、PD-1の発現は、活性化後にこれらの
細胞でアップレギュレーションされる[Chemnitz et al.,J.Immu
nol.,173:945-954(2004); Petrvas et al.,J
.Exp.Med.,203:2281-2292(2006)]。PD-1は、CTL
A-4と最も密接に関連しており、約24%のアミノ酸同一性を共有している[Jin
et al.,Current Topics in Microbiology an
d Immunology,350:17-37(2010)]。PD-1は、APCの
表面において発現するPD-L1及びPD-L2に結合すると、T細胞の活性化を低減さ
せる。これらのリガンドのいずれかがPD-1に結合すると、T細胞受容体(TCR)を
介した抗原シグナル伝達が負に調節される。今日まで、PD-L1とPD-L2のみがP
D-1に対するリガンドとして機能することがわかっている。CTLA-4の場合と同様
に、PD-1ライゲーションは負の免疫調節シグナルを伝達するように見える。PD-L
1又はPD-L2によるPD-1のライゲーションは、TCRを介した増殖及びサイトカ
イン産生の阻害をもたらす[Jin et al.,Current Topics i
n Microbiology and Immunology,350:17-37(
2010)]。CTLA-4欠損動物とは対照的に、PD-1欠損マウスは、生涯のかな
り後のほうで死亡し、そして、自己免疫の兆候を示すが、観察された影響の重症度は、C
TLA-4欠損動物が示すほど深刻ではない[Nishimura et al., I
mmunity, 11(2):141-151 (1999); Nishimura
et al., Science, 291(5502):319-322 (200
1)]。PD-1シグナル伝達経路は現在集中的に研究されているが、これまでの研究は
、PD-L1/PD-L2/PD-1相互作用が、TCR刺激の下流のシグナルを減少さ
せ、そのことが、サイトカイン分泌の低減及びT細胞増殖の機能障害及びT細胞による細
胞毒性分子の産生の低減をもたらすので、一部の免疫応答の負の調節に関与していること
を示唆している[Freeman et al.,J.Exp.Med.,192(7)
:1027-1034(2000)]。
(【0011】以降は省略されています)

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