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公開番号2025157708
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-10-16
出願番号2024059867
出願日2024-04-03
発明の名称積層ポリエステルフィルム、積層セラミックスチップコンデンサ、ポリエステルフィルムの製造方法
出願人東レ株式会社
代理人
主分類B32B 27/36 20060101AFI20251008BHJP(積層体)
要約【課題】本発明は、再利用性が高く、品質安定性に優れた積層ポリエステルフィルムを提供することを課題とする。
【解決手段】ポリエステルフィルムの少なくとも片面に、化学式(1)または化学式(2)で表される繰り返し単位を有するアクリルを主骨格とする水溶性の樹脂層Xを有する積層ポリエステルフィルムであって、下記(1)および(2)を満たす積層ポリエステルフィルム。
(1)全反射測定フーリエ変換赤外分光法(FT-IR-ATR)で測定される、式 Rxy =(Ax-Ay)/(Ax+Ay)で表される層Xの配向パラメータRxyが0.02以上、1.00未満である。
Ax:CH変角振動が最大となる方向での吸収強度
Ay:最大となる方向+90°の方向での吸収強度
(2)全反射測定フーリエ変換赤外分光法(FT-IR-ATR)で測定される、式 Wx = Aph/Apbで表される層Xの親水性パラメータWxが2以上、10以下である。
Aph:3000cm-1~3600cm-1の親水基由来ピークの面積
Apb:1446cm-1のCH2基のCH変角振動ピークの面積。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
ポリエステルフィルムの少なくとも片面に、化学式(1)または化学式(2)で表される繰り返し単位を有するアクリルを主骨格とする水溶性の樹脂層Xを有する積層ポリエステルフィルムであって、下記(1)および(2)を満たす積層ポリエステルフィルム。
(1)全反射測定フーリエ変換赤外分光法(FT-IR-ATR)で測定される、式 R
xy
=(A

-A

)/(A

+A

)で表される層Xの配向パラメータR
xy
が0.02以上、1.00未満である。


:CH変角振動が最大となる方向での吸収強度


:CH変角振動が最大となる方向+90°の方向での吸収強度
吸収強度は、ポリエステルフィルムのスペクトルの寄与を差し引いた差スペクトルのうち、アクリルの主鎖のCH

基のCH変角振動の吸収にあたる1446cm
-1
の吸収ピークの吸収強度(Abs.、ピーク高さ)をさし、1506cm
-1
にある芳香環の環振動のピークを基準ピークとし、基準ピークの吸収強度を1として規格化した1446cm
-1
の吸収ピークの相対強度の値を算出する。
CH変角振動が最大となる方向は、フィルム面内で任意に選んだある方向を起点(0°)として、15°刻みで165°までの12の方向のうち、吸収強度(基準ピークに対する相対強度)が最大となる方向である。
(2)全反射測定フーリエ変換赤外分光法(FT-IR-ATR)で測定される、式 W

= A
ph
/A
pb
で表される層Xの親水性パラメータW

が2以上、10以下である。

ph
:3000cm
-1
~3600cm
-1
の親水基由来ピークの面積

pb
:1446cm
-1
のCH

基のCH変角振動ピークの面積
TIFF
2025157708000007.tif
52
170


は水素原子またはメチル基、R

は任意の官能基を表す。
TIFF
2025157708000008.tif
51
170


は水素原子またはメチル基、R

およびR

は任意の官能基を表す。
続きを表示(約 1,500 文字)【請求項2】
前記層Xの前記ポリエステルフィルムと接する面とは反対面にシリコーン樹脂層Yをさらに有し、層Yの表面のホルムアミドの接触角C

(°)が下記式を満たす請求項1に記載の積層ポリエステルフィルム。
90≦C

≦110
【請求項3】
前記層Yの表面が以下の条件を満たす請求項2に記載の積層ポリエステルフィルム。
-5≦C

-C

≦5


:層Yの表面のホルムアミドの接触角(°)


:湿熱処理(50℃、90%RH、24時間) 後の層Yの表面のホルムアミドの接触角(°)
【請求項4】
以下測定方法にて求められる前記層Yのジメチルシロキサン転写量が以下の関係を満たす請求項3に記載の積層ポリエステルフィルム。


>T



:未処理フィルムのジメチルシロキサン転写量


:湿熱処理(50℃、90%RH、24時間)後のジメチルシロキサン転写量
(測定方法)
全反射測定フーリエ変換赤外分光法(FT-IR-ATR)にて試料である積層ポリエステルフィルムの層Yの面にATR結晶を圧着させて10分間保持した後に圧着を開放し、その状態でスペクトルを採取することで、層YからATR結晶の表面へ転写した成分のスペクトル情報を得る。次に、得られたスペクトルのうち1263cm
-1
のCH変角振動ピーク、1099cm
-1
のSi-O-Si伸縮振動ピーク、1022cm
-1
のSi-O-Si伸縮振動ピークの3つの吸収ピークの吸収強度(Abs.、ピーク高さ)をそれぞれ算出し、それらの平均値をジメチルシロキサン転写量とする。
【請求項5】
層Yの層Xと接する面とは反対面に被離型層を設け、層Yから被離型層を剥離する離型用途に用いられる請求項2に記載の積層ポリエステルフィルム。
【請求項6】
層Yから被離型層を剥離した後、さらに層Xと層Yが除去される用途に用いられる請求項5に記載の積層ポリエステルフィルム。
【請求項7】
層Xと層Yを除去した積層ポリエステルフィルムを再利用する用途に用いられる請求項6に記載の積層ポリエステルフィルム。
【請求項8】
前記被離型層が、チタン酸バリウムを主成分とするセラミックスシートである請求項5に記載の積層ポリエステルフィルム。
【請求項9】
前記層Xの前記ポリエステルフィルムと接する面とは反対面にシリコーン樹脂層Yをさらに有し、前記層Yの層Xと接する面とは反対面にチタン酸バリウムを主成分とするセラミックスシートを有する請求項1に記載の積層ポリエステルフィルムから離型した前記セラミックスシートを積層してなる積層セラミックスチップコンデンサ。
【請求項10】
少なくとも被離型層、シリコーン樹脂層Y、前記層X、ポリエステルフィルムをこの順で有する請求項1に記載の積層ポリエステルフィルムを用い、前記層Yから被離型層を剥離する工程と、被離型層を剥離したフィルムから層Yと層Xを除去する工程と、被離型層と層Y、層Xを除去したフィルムから再生原料を製造する工程を備え、さらにその再生原料を用いてフィルムを製膜する工程を備える、ポリエステルフィルムの製造方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、工程用途を中心とする様々な用途に用いられる積層ポリエステルフィルムに関する。
続きを表示(約 1,900 文字)【背景技術】
【0002】
近年、プラスチックの廃棄物増大が環境問題になっており、プラスチックの再利用に向けた取り組みが活発化している。プラスチックは様々な形態にて使用されているが、これらプラスチックを再利用する方法の一つに、マテリアルリサイクルがある。マテリアルリサイクルでは、プラスチック廃棄物を樹脂種別に分別し、それぞれの樹脂を再溶融させて新たな形態へ成形して用いられるのが一般的である。
【0003】
樹脂別に分別する工程を容易にする目的で、製品として使用する間は複数種類の樹脂の複合体として機能し、使用後には複合化された各樹脂成分を分離できる樹脂複合体が知られている。
【0004】
上記樹脂複合体では、例えば構成する樹脂の一部を水溶性樹脂とし、基材、水溶性樹脂、その他の機能樹脂をこの順番で積層し、使用後に水に浸漬して水溶性樹脂を溶解除去することにより基材と機能樹脂を分離し、別々に回収するといった分別方法がある。
【0005】
例えば、特許文献1では、基材(ポリエステルフィルム)と機能樹脂(シリコーンからなる離型層)との間に、剥離機能層としての水溶性樹脂層(ポリビニルアルコール)を設けて、使用後の積層フィルムに水洗処理を施すことによって剥離機能層を除去することで、ポリエステルフィルム上に積層されたシリコーンからなる離型層も剥離してポリエステルフィルムのみをリサイクル可能とする技術が開示されている。ほかにも、アクリルを水溶性の剥離機能層として用いる技術が特許文献2に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
特開2004-050681号公報
特開2001-131484号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、剥離機能層としてポリビニルアルコール層を設けた場合、ポリビニルアルコールは水溶性に優れた樹脂であるものの、結晶性樹脂であるために特定の環境下に置かれた場合に結晶化が進行し、それに伴って結晶化の斑が生じるため、表面特性の斑の低減に関して改善の余地があった。
【0008】
一方、結晶化による白化や表面特性の斑を抑制する目的で、ポリビニルアルコールの代わりに非晶性樹脂であるアクリルを水溶性の剥離機能層として用いた場合、上記のような結晶化の進行による特性の斑は抑制できるものの、非晶性であるために剥離機能層に上塗りされる機能樹脂が剥離機能層樹脂の分子鎖間へ浸入して作用しやすく、その影響による経時の物性変化が起きて品質安定性が損なわれる場合があった。
【0009】
そこで本発明の課題は、品質安定性に優れた剥離機能層付きの積層ポリエステルフィルムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明の好ましい一態様は以下の構成をとる。すなわち、
[I]ポリエステルフィルムの少なくとも片面に、化学式(1)または化学式(2)で表される繰り返し単位を有するアクリルを主骨格とする水溶性の樹脂層Xを有する積層ポリエステルフィルムであって、下記(1)および(2)を満たす積層ポリエステルフィルム。
(1)全反射測定フーリエ変換赤外分光法(FT-IR-ATR)で測定される、式 R
xy
=(A

-A

)/(A

+A

)で表される層Xの配向パラメータR
xy
が0.02以上、1.00未満である。


:CH変角振動が最大となる方向での吸収強度


:CH変角振動が最大となる方向+90°の方向での吸収強度
吸収強度は、ポリエステルフィルムのスペクトルの寄与を差し引いた差スペクトルのうち、アクリルの主鎖のCH

基のCH変角振動の吸収にあたる1446cm
-1
の吸収ピークの吸収強度(Abs.、ピーク高さ)をさし、1506cm
-1
にある芳香環の環振動のピークを基準ピークとし、基準ピークの吸収強度を1として規格化した1446cm
-1
の吸収ピークの相対強度の値を算出する。
(【0011】以降は省略されています)

この特許をJ-PlatPat(特許庁公式サイト)で参照する

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