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公開番号2025154842
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-10-10
出願番号2024058069
出願日2024-03-29
発明の名称線虫の培養用組成物、培養キット、及び線虫を用いた候補化合物のスクリーニング方法
出願人学校法人東京女子医科大学
代理人個人,個人,個人,個人,個人,個人
主分類C12N 1/10 20060101AFI20251002BHJP(生化学;ビール;酒精;ぶどう酒;酢;微生物学;酵素学;突然変異または遺伝子工学)
要約【課題】本発明は、線虫を培養することができる新たな培養用組成物及び培養キットを提供することを目的とする。また、本発明は候補化合物の効果を評価することができる、線虫を用いた候補化合物の新規スクリーニング方法を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明は、死細菌及び/又は死真菌並びにギ酸を含む線虫飼育培地を含む、線虫の培養用組成物を提供する。また、本発明は、死細菌及び/又は死真菌、ギ酸、並びに線虫飼育培地を含む、線虫の培養キットを提供する。また、本発明は、線虫を用いた候補化合物のスクリーニング方法であって、
(1)死細菌及び/又は死真菌並びにギ酸を含む線虫飼育培地において、線虫に候補化合物を接触させて培養する工程、及び
(2)前記工程(1)で培養した線虫の任意の表現型を指標として、前記候補化合物の前記線虫への効果を評価する工程、
を含む、方法を提供する。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
死細菌及び/又は死真菌並びにギ酸を含む線虫飼育培地を含む、線虫の培養用組成物。
続きを表示(約 610 文字)【請求項2】
さらにグリセロールを含む、請求項1に記載の線虫の培養用組成物。
【請求項3】
前記線虫が、Caenorhabditis elegans(C.elegans)である、請求項1に記載の線虫の培養用組成物。
【請求項4】
前記死細菌及び/又は死真菌が、死滅大腸菌である、請求項1に記載の線虫の培養用組成物。
【請求項5】
前記死細菌及び/又は死真菌が、加熱処理及び/又は紫外線照射処理によって死滅させた死細菌及び/又は死真菌である、請求項1に記載の線虫の培養用組成物。
【請求項6】
候補化合物のスクリーニング方法に用いるための、請求項1に記載の線虫の培養用組成物。
【請求項7】
線虫の培養キットであって、
死細菌及び/又は死真菌
ギ酸、並びに
線虫飼育培地
を含む、線虫の培養キット。
【請求項8】
さらにグリセロールを含む、請求項7に記載の線虫の培養キット。
【請求項9】
前記線虫が、Caenorhabditis elegans(C.elegans)である、請求項7に記載の線虫の培養キット。
【請求項10】
前記死細菌及び/又は死真菌が、死滅大腸菌である、請求項7に記載の線虫の培養キット。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、線虫の培養用組成物、培養キット、及び線虫を用いた候補化合物のスクリーニング方法に関する。
続きを表示(約 3,200 文字)【背景技術】
【0002】
線虫(線形動物(nematode))は、線形動物門に属する動物の総称であり、体は細長い糸状で、基本的には無色透明であり、体節構造を持たない。土壌や水中に生息し、現在までに2万種類以上が確認されているが、さらに多くの種類(例えば、100万種類以上)が存在すると考えられている。
【0003】
線虫は、寄生性又は自由生活性の種が知られている。Caenorhabditis elegans(C.elegans)は自由生活性の線虫に属し、多細胞生物のモデル生物として知られており、受精卵から成虫に至る全細胞の発生及び分化の過程が細胞系譜として明らかになっている。C.elegansの体長は約1mmであり、土壌中の多様な細菌種を餌としている。C.elegansは、受精卵から成虫になるまでが約3日間と短く、雌雄同体であることから、遺伝学的解析が行いやすく、多くの研究に用いられている。また、C.elegansの全ゲノムは決定されており、そこに含まれる遺伝子の種類と数がヒトと類似する点が多いため、ヒト疾患に関連する遺伝子の解析にも用いられている(非特許文献1)。
【0004】
線虫は培養が容易であり、寒天培地やマルチウェルプレートの上での固体培地や、液体培地などを用いることで大量に増殖させ、種々のアッセイに用いることができる。線虫を用いて、ヒト疾患の治療に用いることができる化合物をスクリーニングする方法が試みられている(非特許文献2)。しかしながら、餌として用いる大腸菌に候補化合物が取り込まれてしまい、候補化合物が大腸菌によって代謝されたり、候補化合物の濃度が低下したりするなどの問題があり、候補化合物の効果を正しく評価できていない可能性がある(非特許文献3~5)。
【0005】
餌となる大腸菌による候補化合物の取り込みや代謝を防止するために、加熱処理で死滅させた大腸菌を餌として与えると、線虫は初期幼虫期(L1-L2)で発育を停止してしまうなどの問題があった(非特許文献6~7)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
Shohei Mitani, Comprehensive functional genomics using Caenorhabditis elegans as a model organism, Proc Jpn Acad Ser B Phys Biol Sci. 2017;93(8):561-577.
Ai Ito, et al., Metolazone upregulates mitochondrial chaperones and extends lifespan in Caenorhabditis elegans, Biogerontology. 2021 Feb;22(1):119-131.
Luxia Yao,et al., The antidiabetic drug metformin aids bacteria in hijacking vitamin B12 from the environment through RcdA, Commun Biol. 2023 Jan 24;6(1):96.
Filipe Cabreiro, et al., Metformin retards aging in C. elegans by altering microbial folate and methionine metabolism, Cell. 2013 Mar 28;153(1):228-39.
Martina Klunemann, et al., Bioaccumulation of therapeutic drugs by human gut bacteria, Nature. 2021 Sep;597(7877):533-538.
Bin Qi, et al., A vitamin-B2-sensing mechanism that regulates gut protease activity to impact animal's food behavior and growth, Elife. 2017 Jun 1:6:e26243.
Bin Qi, et al., Microbial Siderophore Enterobactin Promotes Mitochondrial Iron Uptake and Development of the Host via Interaction with ATP Synthase, Cell. 2018 Oct 4;175(2):571-582.e11
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
線虫を培養することができる新たな培養用組成物及び培養キットを提供することを目的とする。また、候補化合物の効果をより正確に評価することができる、線虫を用いた候補化合物の新規スクリーニング方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記課題を解決するために、種々の角度から検討を加えて研究開発を行ってきた。その結果、驚くべきことに、死細菌及び/又は死真菌並びにギ酸を含む線虫飼育培地を用いて線虫を培養したところ、線虫が初期幼虫期(L1-L2)で発育が停止することなく、成虫まで成長することを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は、以下の発明を包含する。
【0009】
[1] 死細菌及び/又は死真菌並びにギ酸を含む線虫飼育培地を含む、線虫の培養用組成物。
[2] さらにグリセロールを含む、項目1に記載の線虫の培養用組成物。
[3] 前記線虫が、Caenorhabditis elegans(C.elegans)である、項目1又は2に記載の線虫の培養用組成物。
[4] 前記死細菌及び/又は死真菌が、死滅大腸菌である、項目1~3のいずれか1項に記載の線虫の培養用組成物。
[5] 前記死細菌及び/又は死真菌が、加熱処理及び/又は紫外線照射処理によって死滅させた死細菌及び/又は死真菌である、項目1~4のいずれか1項に記載の線虫の培養用組成物。
[6] 候補化合物のスクリーニング方法に用いるための、項目1~5のいずれか1項に記載の線虫の培養用組成物。
【0010】
[7] 線虫の培養キットであって、
死細菌及び/又は死真菌
ギ酸、並びに
線虫飼育培地
を含む、線虫の培養キット。
[8] さらにグリセロールを含む、項目7に記載の線虫の培養キット。
[9] 前記線虫が、Caenorhabditis elegans(C.elegans)である、項目7又は8に記載の線虫の培養キット。
[10] 前記死細菌及び/又は死真菌が、死滅大腸菌である、項目7~9のいずれか1項に記載の線虫の培養キット。
[11] 前記死細菌及び/又は死真菌が、加熱処理及び/又は紫外線照射処理によって死滅させた死細菌及び/又は死真菌である、項目7~10のいずれか1項に記載の線虫の培養キット。
[12] 候補化合物のスクリーニング方法に用いるための、項目7~11のいずれか1項に記載の線虫の培養キット。
(【0011】以降は省略されています)

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