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公開番号
2025151742
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2025-10-09
出願番号
2024053307
出願日
2024-03-28
発明の名称
カリウム含有肥料製造方法
出願人
太平洋セメント株式会社
,
小野田化学工業株式会社
代理人
個人
,
個人
,
個人
主分類
B09B
3/80 20220101AFI20251002BHJP(固体廃棄物の処理;汚染土壌の再生)
要約
【課題】カリウムを含む燃焼排ガスダストから、カリウムの濃度が大きくかつ肥料として用いる際に、植物や土壌に悪影響を及ぼす成分の濃度の小さいカリウム含有肥料を得ることができる方法を提供する。
【解決手段】カリウムを含む燃焼排ガスダストと水を混合して第一のスラリーを得る工程と、第一のスラリーを固液分離して、カリウムを含む第一の液状物及び第一の固形分を得る第一の固液分離工程と、第一の液状物と、硫化水素、水溶性の金属硫化物の正塩、及び水溶性の金属硫化物の酸性塩の中から選ばれる1種以上を混合して第一の混合物を得る第一の混合工程と、第一の混合物と水溶性の金属塩を混合して第二の混合物を得る第二の混合工程と、第二の混合物と高分子凝集剤を混合して第三の混合物を得る第三の混合工程と、第三の混合物を固液分離して、液体状のカリウム含有肥料及び第二の固形分を得る第二の固液分離工程を含むカリウム含有肥料製造方法。
【選択図】図1
特許請求の範囲
【請求項1】
カリウムを含む燃焼排ガスダストと、水を混合して第一のスラリーを得るスラリー調製工程と、
上記第一のスラリーを固液分離して、カリウムを含む第一の液状物及び第一の固形分を得る第一の固液分離工程と、
上記第一の液状物と、硫化水素、水溶性の金属硫化物の正塩、及び水溶性の金属硫化物の酸性塩の中から選ばれる1種以上を混合して第一の混合物を得る第一の混合工程と、
上記第一の混合物と、水溶性の金属塩を混合して第二の混合物を得る第二の混合工程と、
上記第二の混合物と、高分子凝集剤を混合して第三の混合物を得る第三の混合工程と、
上記第三の混合物を固液分離して、液体状のカリウム含有肥料及び第二の固形分を得る第二の固液分離工程、
を含むことを特徴とするカリウム含有肥料製造方法。
続きを表示(約 310 文字)
【請求項2】
上記第二の混合工程と上記第三の混合工程の間に設けられる工程であって、
上記第二の混合物のpHを6.5~9.5に調整するpH調整工程を含む請求項1に記載のカリウム含有肥料製造方法。
【請求項3】
上記スラリー調製工程と上記第一の固液分離工程の間に設けられる工程であって、上記第一のスラリーに炭酸ガスを供給して、上記第一のスラリーのpHを11.0以下に調整する炭酸ガス供給工程を含む請求項1又は2に記載のカリウム含有肥料製造方法。
【請求項4】
上記液体状のカリウム含有肥料を濃縮又は乾燥する濃縮乾燥工程を含む請求項1又は2に記載のカリウム含有肥料製造方法。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、ダスト等のカリウムを含む燃焼排ガスダストからカリウム含有肥料を製造する方法に関する。
続きを表示(約 3,800 文字)
【背景技術】
【0002】
従来、セメント製造設備におけるプレヒータの閉塞等の問題を引き起こす原因となる塩素、硫黄、アルカリ等の中でも、塩素が特に問題になることに着目し、セメント製造設備において、セメントキルンの窯尻から最下段のサイクロンに至るまでのキルン排ガス排出路より、燃焼ガスの一部を抽気して塩素を除去する塩素バイパスシステムが用いられている。
塩素バイパスシステムでは、抽気した燃焼ガスを冷却して生成したダストの粒子のうち微粉側に塩素が偏在しているため、分級機を用いてダストを粗粉と微粉に分級し、粗粉はセメントキルン系に戻すとともに、微粉(クリンカダスト)は回収されている。
回収されたクリンカダストは、(i)セメントに添加される、(ii)水洗後にセメント製造原料としてセメント製造設備に戻される、又は、(iii)廃棄されている。
【0003】
クリンカダストには、植物の必須栄養素であるカリウム及び塩素が含まれているため、その含有量次第では、クリンカダストを肥料又は肥料原料として利用することができる。
例えば、特許文献1には、重金属を含むダストと水とを混合してスラリーを調製する工程と、前記スラリーに炭酸ガスを吹き込み前記スラリーのpHを10~12に調整する工程と、前記スラリーに塩化カルシウムを添加して前記重金属を水酸化物又は炭酸塩の形態で沈殿させ、かつ硫酸イオンを除去する工程と、前記塩化カルシウムを添加したスラリーを静置して炭酸塩との共沈効果により水に溶解して残留している重金属を更に沈殿させる静置工程と、前記静置工程の静置物をろ液と残渣とに固液分離する固液分離工程とを含むダスト処理方法が記載されている。該処理方法で得られたろ液はカリウムや塩素を主成分とし、重金属濃度及び硫酸イオン濃度が低減されたものであり、上記方法によれば安定的にカリウム肥料を得ることができる。
また、燃焼排ガスダストからカリウムを回収する方法として、特許文献2には、燃焼排ガスダストを水洗処理する工程(a)、得られた洗浄水に硫酸源を添加する工程(b)、析出した沈殿を固液分離して回収する工程(c)を含むことを特徴とする燃焼排ガスダスト中のカリウムの回収方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
特開2010-269306号公報
特開2011-200842号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
カリウム肥料として、天然資源であるカリ鉱石が用いられている。カリ鉱石の多くは輸入に頼っており、食料安全保障の観点から、国内でカリウム肥料を製造することが望まれている。また、天然資源の枯渇の懸念から、持続的に農業を行うためには資源の循環利用によって得られる肥料を用いることが好ましい。このような情勢の中、肥料又は肥料原料として使用可能なクリンカダストを、セメント原料として利用することは、必ずしも好ましいことではない。
一方、クリンカダストは、肥料又は肥料原料として用いることができるが、クリンカダストが発生する条件によっては、カドミウム等の重金属類が含まれている場合があり、そのまま使用した場合、植物中のカドミウム濃度が上昇する等の問題が生じる可能性がある。
本発明の目的は、クリンカダスト等のカリウムを含む燃焼排ガスダストから、カリウムの濃度が大きく、かつ、肥料として用いる際に、植物や土壌に悪影響を及ぼす成分の濃度の小さいカリウム含有肥料を得ることができる方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、カリウムを含む燃焼排ガスダストと、水を混合してスラリーを得る工程と、スラリーを固液分離して第一の液状物を得る工程と、第一の液状物、硫化水素、水溶性の金属硫化物の正塩、及び水溶性の金属硫化物の酸性塩の中から選ばれる1種以上、水溶性の金属塩、並びに高分子凝集剤を混合して混合物を得る工程と、該混合物を固液分離して液体状のカリウム含有肥料及び第二の固形分を得る工程を含むカリウム含有肥料製造方法によれば、上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、以下の[1]~[4]を提供するものである。
[1] カリウムを含む燃焼排ガスダストと、水を混合して第一のスラリーを得るスラリー調製工程と、上記第一のスラリーを固液分離して、カリウムを含む第一の液状物及び第一の固形分を得る第一の固液分離工程と、上記第一の液状物と、硫化水素、水溶性の金属硫化物の正塩、及び水溶性の金属硫化物の酸性塩の中から選ばれる1種以上を混合して第一の混合物を得る第一の混合工程と、上記第一の混合物と、水溶性の金属塩を混合して第二の混合物を得る第二の混合工程と、上記第二の混合物と、高分子凝集剤を混合して第三の混合物を得る第三の混合工程と、上記第三の混合物を固液分離して、液体状のカリウム含有肥料及び第二の固形分を得る第二の固液分離工程、を含むことを特徴とするカリウム含有肥料製造方法。
[2] 上記第二の混合工程と上記第三の混合工程の間に設けられる工程であって、上記第二の混合物のpHを6.5~9.5に調整するpH調整工程を含む請求項1に記載のカリウム含有肥料製造方法。
[3] 上記スラリー調製工程と上記第一の固液分離工程の間に設けられる工程であって、上記第一のスラリーに炭酸ガスを供給して、上記第一のスラリーのpHを11.0以下に調整する炭酸ガス供給工程を含む前記[1]又は[2]に記載のカリウム含有肥料製造方法。
[4] 上記液体状のカリウム含有肥料を濃縮又は乾燥する濃縮乾燥工程を含む前記[1]~[3]のいずれかに記載のカリウム含有肥料製造方法。
【発明の効果】
【0007】
本発明の方法によれば、クリンカダスト等のカリウムを含む燃焼排ガスダストから、カリウムの濃度が大きく、かつ、肥料として用いる際に、植物や土壌に悪影響を及ぼす成分の濃度の小さいカリウム含有肥料を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
本発明のカリウム含有肥料製造方法の工程の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明のカリウム含有肥料製造方法は、カリウムを含む燃焼排ガスダストと、水を混合して第一のスラリーを得るスラリー調製工程と、第一のスラリーを固液分離して、カリウムを含む第一の液状物及び第一の固形分を得る第一の固液分離工程と、第一の液状物と、硫化水素、水溶性の金属硫化物の正塩、及び水溶性の金属硫化物の酸性塩の中から選ばれる1種以上を混合して第一の混合物を得る第一の混合工程と、第一の混合物と、水溶性の金属塩を混合して第二の混合物を得る第二の混合工程と、第二の混合物と、高分子凝集剤を混合して第三の混合物を得る第三の混合工程と、第三の混合物を固液分離して、液体状のカリウム含有肥料及び第二の固形分を得る第二の固液分離工程を含むものである。以下、工程ごとに詳しく説明する。
[スラリー調製工程]
本工程は、カリウムを含む燃焼排ガスダスト(以下、単に「ダスト」ともいう。)と水を混合して第一のスラリーを得る工程である。
ダストの例としては、煤塵、及び焼却炉の炉底等に焼却残渣として残る焼却灰等であって、カリウムを含むものが挙げられる。
煤塵としては、ゴミや焼却灰の溶融設備から排出される煤塵(溶融飛灰)、ゴミや下水汚泥の焼却設備等から排出される煤塵(焼却飛灰)、セメント製造設備において、セメントキルンから燃焼ガスの一部を抽気する塩素バイパスシステムで回収されたクリンカダスト等が挙げられる。中でも、カリウムが多く含まれる観点から、クリンカダストが好ましい。
【0010】
ダストと水を混合する方法は、特に限定されるものではなく、ダストに含まれているカリウムが水に十分に溶解する方法であればよいが、例えば、ダストと水を容器内に投入した後、通常、15分間以上、好ましくは25~60分間、撹拌する方法が挙げられる。
混合するダストと水の質量比(ダスト/水)は、好ましくは0.05~2.0、より好ましくは0.1 ~1.0、特に好ましくは0.15 ~0.5である。上記質量比が0.05以上であれば、より短時間で多くの量のカリウムを水に溶解させることができる。上記質量比が2.0以下であれば、後述する第二の固液分離工程で得られる液体状のカリウム含有肥料の量が過量にならず、かつ、該液体状のカリウム含有肥料中のカリウムの量をより大きくすることができる。
また、水の温度は、好ましくは15℃以上、より好ましくは20~60℃、特に好ましくは25~55℃である。上記温度が15℃以上であれば、ダストに含まれるカリウムの水への溶解をより促進することができる。
(【0011】以降は省略されています)
この特許をJ-PlatPat(特許庁公式サイト)で参照する
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