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公開番号
2025148567
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2025-10-07
出願番号
2025121334,2023123850
出願日
2025-07-18,2018-11-21
発明の名称
安定で副作用の少ないゲノム編集用複合体及びそれをコードする核酸
出願人
国立大学法人神戸大学
代理人
個人
,
個人
,
個人
主分類
C12N
15/09 20060101AFI20250930BHJP(生化学;ビール;酒精;ぶどう酒;酢;微生物学;酵素学;突然変異または遺伝子工学)
要約
【課題】宿主内でも安定して増幅可能な、毒性の低いベクターなどの核酸及びその核酸にコードされるゲノム編集用複合体を提供すること、並びに該ベクター、必要に応じて核酸改変酵素を用いて、RecAのような宿主依存性因子に依存せずに広範囲の細菌に適用可能な、非特異的な変異等を抑えつつ細菌のDNAを改変することが可能なゲノム編集の手法を提
供すること。
【解決手段】本発明は、二本鎖DNA中の標的ヌクレオチド配列と特異的に結合する核酸配
列認識モジュールと、(i)疎水性アミノ酸3残基をC末端に含むペプチド、又は(ii)該アミノ酸残基の少なくとも一部がセリンに置換されたアミノ酸3残基をC末端に含むペプチド
からなるタンパク質分解タグとが結合した複合体を提供する。
【選択図】なし
特許請求の範囲
【請求項1】
図面に記載の発明。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、安定で副作用の少ないゲノム編集用複合体及びそれをコードする核酸、並びに該複合体を用いたゲノム編集方法に関する。
続きを表示(約 5,000 文字)
【背景技術】
【0002】
選択マーカー遺伝子の組込みを必要とせず、同じオペロンにおける下流遺伝子の発現への影響を最小限に抑え得るようなゲノム編集は、原核生物において特に有利である。ファージ由来のRecET及びλ-Redリコンビナーゼは、組換え技術として利用されており、ドナーDNA又はオリゴヌクレオチドの相同性に依存する組込み/置換を容易にする(例えば、非特許文献1)。メチル指向性ミスマッチ修復(MMR)を欠損した株と組み合わせることで、選択マーカーを組み込むことなく、高効率の組換えを達成することができ(非特許文献2)、数日以内に複数の標的遺伝子座における遺伝的な多様性を生じさせるため、多重自動ゲノム工学法(MAGE)で利用されている。しかしながら、前記組換え技術は、MMRの欠損や、組換えDNA修復系の中心的な構成要素であるRecAのような宿主依存性因子に依存し、クローニングのための宿主として用いる大部分の大腸菌に害を与えるため、バックグラウンドの異なる細菌種に、容易に転用することができない(非特許文献3)。
【0003】
CRISPR(clustered regularly interspaced short palindromic repeats)及びCRISPR
関連(Cas)タンパク質は、単一のガイドRNA(sgRNA)及びプロトスペーサー隣接モチー
フ(PAM)に依存的な様式で標的DNAを切断することで、細菌の適応免疫系として働くことが知られている。ストレプトコッカス・ピオゲネス(Streptococcus pyogenes)由来のCas9ヌクレアーゼは、DNA二重鎖切断(DSB)の修復経路を有する真核生物において、強力なゲノム編集ツールとして広く使用されている(例えば、非特許文献4、5)。非相同末端結合(NHEJ)経路によるDSBの修復中に、標的DNAに小さな挿入及び/又は欠失(indels)が導入され、部位特異的な変異又は遺伝子破壊が生じる。効率は宿主細胞に依存するものの、より正確な編集のために、標的領域に対するホモロジーアームを含むドナーDNAを提供することにより、相同組換え修復(HDR)を促進することができる。
【0004】
しかしながら、現在のゲノム編集技術は宿主のDNA修復システムに依存しているため、
原核生物への適用には、さらなる工夫が必要である。ほとんどの細菌では、NHEJ経路の欠如のため、人工ヌクレアーゼによるDNA切断により細胞死が生じる(非特許文献6、7)
。従って、CRISPR/Cas9は、λ-Red組換えシステムのような他の方法により、遺伝子が改
変された細胞のためのカウンターセレクター(counter-selector)としてのみ利用されている(例えば、非特許文献8、9)。
【0005】
最近、標的領域に対するホモロジーアームを含むドナーDNAを使用せずに、標的遺伝子
座でヌクレオチドを直接編集する、デアミナーゼに媒介される標的塩基編集が実証されている(例えば、特許文献1、非特許文献10~12)。この技術は、ヌクレアーゼに媒介されるDNA切断の代わりに、DNA脱アミノ化を利用するため、細菌の細胞死を誘導せず、細菌のゲノム編集に適用可能であるが、その変異効率、特に複数箇所に対する同時編集の効率は、十分とはいえない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
国際公開第2015/133554号
【非特許文献】
【0007】
Datsenko, K. A. & Wanner, B. L., Proc. Natl. Acad. Sci. U. S. A. 97, 6640-5 (2000).
Costantino, N. & Court, D. L., Proc. Natl. Acad. Sci. U. S. A. 100, 15748-53 (2003).
Wang, J. et al., Mol. Biotechnol. 32, 43-53 (2006).
Mali, P. et al., Science 339, 823-827 (2013).
Cong, L. et al., Science 339, 819-823 (2013).
Bowater, R. & Doherty, A. J., PLoS Genet. 2,93-99 (2006).
Cui, L. & Bikard, D., Nucleic Acids Res. 44, 4243-4251 (2016).
Jiang, W. et al., Nat Biotechnol 31, 233-239 (2013).
Li, Y. et al., Metab. Eng. 31, 1-9 (2015).
Komor, A. C. et al., Nature61, 5985-91 (2016).
Nishida, K. et al., Science 102, 553-563 (2016).
Ma, Y. et al., Nat. Methods 1-9 (2016). doi:10.1038/nmeth.4027
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来のゲノム編集用のベクターは、該ベクターから発現し宿主のゲノムDNAに作用する
性質のゲノム編集用複合体の毒性が高いため、宿主、特に細菌にとって負担が大きく、宿主内でのベクターの不安定化を招き得る。ゲノム編集においては、非特異的な変異やオフターゲット変異が生じるなどの副作用が生じ、特に、ウラシルDNAグリコシラーゼ阻害剤(UGI)などを用いて変異効率を上げた場合に、その代償として、宿主に対して強い毒性が生じ、細胞死や非特異的な変異率の上昇等を引き起こす。従って、本発明の課題は、宿主内でも安定して増幅可能な、毒性の低いベクターなどの核酸及びその核酸にコードされるゲノム編集用複合体を提供すること、並びに該ベクター、必要に応じて核酸改変酵素を用いて、RecAのような宿主依存性因子に依存せずに広範囲の細菌に適用可能な、非特異的な変異等を抑えつつ細菌のDNAを改変することが可能なゲノム編集の手法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、宿主としての細菌にとって毒性の高いゲノム編集用複合体の細菌内での存在量を抑制することで、細菌中のベクターを安定化でき、また細菌DNAの非特異的な変異
等を軽減できるのではないかとの着想を得た。そこで、ゲノム編集用複合体の存在量を抑制するために、細菌においてタンパク質の分解を促進し、半減期を短くすることが知られている、タンパク質分解タグのLVAタグに着目し、研究を進めた。その結果、ゲノム編集
用複合体に該タンパク質分解タグを付加することで、標的部位への変異効率を維持しつつ、非特異的な変異を軽減できること、また、UGIを組み合わせた場合においても、非特異的な変異を軽減でき、高い効率で標的配列を改変できることを実証した(図9、図10)。本発明者は、これらの知見に基づいてさらに研究を重ねた結果、本発明を完成するに至った。
【0010】
即ち、本発明は以下の通りである。
[1] 二本鎖DNA中の標的ヌクレオチド配列と特異的に結合する核酸配列認識モジュー
ルと、(i)疎水性アミノ酸3残基をC末端に含むペプチド、又は(ii)該アミノ酸残基の少なくとも一部がセリンに置換されたアミノ酸3残基をC末端に含むペプチドからなるタンパ
ク質分解タグとが結合した、複合体。
[2] 前記複合体が、核酸改変酵素がさらに結合した複合体であって、標的化された部位の1以上のヌクレオチドを他の1以上のヌクレオチドに変換し又は欠失させ、あるいは
該標的化された部位に1以上のヌクレオチドを挿入する、[1]に記載の複合体。
[3] 前記アミノ酸3残基が、ロイシン-バリン-アラニン、ロイシン-アラニン-アラニン、アラニン-アラニン-バリン又はアラニン-セリン-バリンである、[1]又は[2]に記載の複合体。
[4] 前記核酸配列認識モジュールが、Casの2つのDNA切断能のうちの一方のみ、又は両方のDNA切断能が失活したCRISPR-Casシステムである、[1]~[3]のいずれかに記
載の複合体。
[5] 前記複合体が、CRISPR-Casシステムと、タンパク質分解タグとが結合した複合体である、[1]~[3]のいずれかに記載の複合体。
[6] 前記核酸改変酵素が核酸塩基変換酵素又はDNAグリコシラーゼである、[2]~
[4]のいずれかに記載の複合体。
[7] 前記核酸塩基変換酵素がデアミナーゼである、[6]に記載の複合体。
[8] 塩基除去修復のインヒビターがさらに結合した、[6]又は[7]に記載の複合体。
[9] [1]~[8]のいずれかに記載の複合体をコードする核酸。
[10] 細菌の二本鎖DNAの標的化された部位を改変する、又は該部位の近傍で二本鎖DNAにコードされる遺伝子の発現を調節する方法であって、選択された二本鎖DNA中の標的
ヌクレオチド配列と特異的に結合する核酸配列認識モジュールと、(i)疎水性アミノ酸3
残基をC末端に含むペプチド、又は(ii)該アミノ酸残基の少なくとも一部がセリンに置換
されたアミノ酸3残基をC末端に含むペプチドからなるタンパク質分解タグとが結合した
複合体を、該二本鎖DNAと接触させる工程を含む、方法。
[11] 前記複合体が、核酸改変酵素がさらに結合した複合体であって、該標的化された部位の1以上のヌクレオチドを他の1以上のヌクレオチドに変換する又は欠失させる、あるいは該標的化された部位に1以上のヌクレオチドを挿入する工程を含む、[10]に記載の方法。
[12] 前記アミノ酸3残基が、ロイシン-バリン-アラニン、ロイシン-アラニン-アラニン、アラニン-アラニン-バリン又はアラニン-セリン-バリンである、[10]又は[11]に記載の方法。
[13] 前記核酸配列認識モジュールが、Casの2つのDNA切断能のうちの一方のみ、又は両方のDNA切断能が失活したCRISPR-Casシステムである、[10]~[12]のいずれ
かに記載の方法。
[14] 前記複合体が、CRISPR-Casシステムと、タンパク質分解タグとが結合した複合体である、[10]~[12]のいずれかに記載の方法。
[15] 異なる標的ヌクレオチド配列とそれぞれ特異的に結合する、2種以上の核酸配列認識モジュールを用いることを特徴とする、[10]~[14]のいずれかに記載の方法。
[16] 前記異なる標的ヌクレオチド配列が、異なる遺伝子内に存在する、[15]に記載の方法。
[17] 前記核酸改変酵素が核酸塩基変換酵素又はDNAグリコシラーゼである、[10
]~[13]、[15]及び[16]のいずれかに記載の方法。
[18] 前記核酸塩基変換酵素がデアミナーゼである、[17]に記載の方法。
[19] 該複合体が、塩基除去修復のインヒビターがさらに結合したものである、[17]又は[18]に記載の方法。
[20] 二本鎖DNAと複合体との接触が、該二本鎖DNAを有する細菌への、該複合体をコードする核酸の導入により行われる、[10]~[19]のいずれかに記載の方法。
【発明の効果】
(【0011】以降は省略されています)
この特許をJ-PlatPat(特許庁公式サイト)で参照する
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