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公開番号
2025143134
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2025-10-01
出願番号
2024042903
出願日
2024-03-18
発明の名称
ポリマーアロイおよび成形品
出願人
株式会社ENEOSマテリアル
代理人
個人
,
個人
主分類
C08L
101/02 20060101AFI20250924BHJP(有機高分子化合物;その製造または化学的加工;それに基づく組成物)
要約
【課題】誘電特性(比誘電率を低く維持した状態での誘電正接の低下)に優れた成形品が得られるポリマーアロイの提供。
【解決手段】本発明によるポリマーアロイは、末端に反応性基を有する液晶ポリマーと、前記液晶ポリマーの末端の反応性基と反応し得る反応性基を有する非液晶ポリマーと、前記液晶ポリマーと前記非液晶ポリマーの反応生成物と、を含む。
【選択図】図1
特許請求の範囲
【請求項1】
末端に反応性基を有する液晶ポリマーと、
前記液晶ポリマーの末端の反応性基と反応し得る反応性基を有する非液晶ポリマーと、
前記液晶ポリマーと前記非液晶ポリマーの反応生成物と、
を含む、ポリマーアロイ。
続きを表示(約 690 文字)
【請求項2】
前記液晶ポリマーの末端の反応性基が、カルボキシ基、ヒドロキシ基、アミド基、アセチル基およびアミノ基からなる群から選択される少なくとも1種を含む、請求項1に記載のポリマーアロイ。
【請求項3】
前記液晶ポリマーが、ヒドロキシカルボン酸に由来する構成単位を含む、請求項1に記載のポリマーアロイ。
【請求項4】
前記非液晶ポリマーの反応性基が、カルボキシ基、ヒドロキシ基、アミド基、アセチル基およびアミノ基からなる群から選択される少なくとも1種を含む、請求項1に記載のポリマーアロイ。
【請求項5】
前記非液晶ポリマーが、非晶性ポリマーである、請求項1に記載のポリマーアロイ。
【請求項6】
前記非液晶ポリマーが、ポリフェニレンエーテルを含む、請求項1に記載のポリマーアロイ。
【請求項7】
前記非液晶ポリマーが、ポリマー末端にヒドロキシ基を有するポリフェニレンエーテルを含む、請求項1に記載のポリマーアロイ。
【請求項8】
前記ポリマーアロイが、海-島-湖の3層に分離したモルフォロジーを有する、請求項1に記載のポリマーアロイ。
【請求項9】
前記モルフォロジーにおいて、海と湖が前記液晶ポリマーで構成される、請求項8に記載のポリマーアロイ。
【請求項10】
前記非液晶ポリマーの配合量が、前記液晶ポリマー100質量部に対して1質量部以上50質量部以下である、請求項1に記載のポリマーアロイ。
(【請求項11】以降は省略されています)
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリマーアロイに関し、より詳細には、誘電特性に優れたポリマーアロイに関する。また、本発明は、該ポリマーアロイを含む成形品に関する。
続きを表示(約 5,000 文字)
【背景技術】
【0002】
従来、液晶ポリマーは成形性や耐熱性に優れているため、液晶ポリマーを使用して製造した成形品(例えば、射出成形品)は、各種電子部品に用いられている。近年、通信分野における情報通信量の増加に伴い、電子機器や通信機器等において高周波数帯の周波数を有する信号の使用が増加しており、特に、周波数が10
9
Hz以上であるギガヘルツ(GHz)帯の周波数を有する信号の使用が盛んに行われている。しかしながら、使用される信号の周波数が高くなるに伴い、デバイスを経由する信号の送受信においてリスクが生じる。最も代表的なものは、情報の誤認識を招きうる出力信号の品質低下、すなわち、伝送損失の増大である。このリスク低減の対応法として、比誘電率と誘電正接がともに小さい「低誘電材料」を絶縁体に採用することが知られている。液晶ポリマーはエンジニアリングプラスチックスのなかでもGHz帯での比誘電率と誘電正接が小さく優れているためこの目的で液晶ポリマーの使用が拡大している。
伝送損失は導体での損失と絶縁体での損失(誘電損失)の和で示され、誘電損失は誘電正接と比例関係にある。よって、誘電正接を低下させることで伝送損失を効果的に抑制できるが、他の観点におけるデバイスへのメリットは小さい。一方、比誘電率の低下を実現することは複数の観点でデバイス設計にメリットをもたらす。絶縁体の比誘電率を低下させることができれば、例えば、上記の伝送損失低減効果に加え、信号の伝送遅延低減とデバイス間のインピーダンスマッチングの容易化(回路設計の自由度の向上)など複数のメリットが得られる。理想的に言えば、高周波数デバイス用途に使用される液晶ポリマーをはじめとする絶縁体には比誘電率・誘電正接の両方の低下が望まれるが、部材として前提条件となる機械物性や耐熱性などの基本特性を維持したうえでの実現は技術ハードルが高い。そのため、現実的には、1)回路の基板のような面積の大きい絶縁部材には誘電正接の低下が、2)コネクタなど面積が小さいものやデバイス間の接続を担う絶縁体には比誘電率の低下が求められる傾向にある。
【0003】
近年では、液晶ポリマーに他の樹脂を混合して、様々な物性を向上させる試みが行われている。ポリフェニレンエーテル(ポリフェニレンオキサイド)は2,6-ジメチルベンゼンからなる嵩高い繰り返し構造を有し、高分子中の自由空間体積が大きくなるため、比誘電率が低いエンジニアリングポリマーとして知られる。一方でポリフェニレンエーテルは非晶性ポリマーのため、GHz帯での誘電正接は液晶ポリマーよりも高くなる。こうした観点から、液晶ポリマーとポリフェニレンエーテルとを複合化させて比誘電率、誘電正接ともに低く優れた材料を作る検討がなされている。
例えば、特許文献1では、(A)ポリフェニレンエーテルおよび(B)液晶ポリエステルを含み、(C)エポキシ変性芳香族ビニル系ブロック共重合体及び/またはエポキシ変性部分水添芳香族ビニル系ブロック共重合体を配合した電気特性に優れる樹脂組成物が提案されている。
ポリフェニレンエーテルと液晶ポリマーは非相溶であるため、単純なブレンドではマクロ相分離し、大面積の脆弱な異種界面が生じる。このように、ブレンドに使用するポリマー単体の主要物性を下回らずに特定の物性が良化するような材料物性を示すことは困難であることが広く知られている。このことは、液晶ポリマーが液晶相、ポリフェニレンエーテルを含む液晶性を有さないポリマーが等方相であり、互いの相の状態が違うことに大きく起因し、液晶ポリマーと非液晶性ポリマーとのブレンドにおいて、顕在化された課題である。
そこで、液晶ポリマーおよび非液晶性ポリマーのそれぞれと親和性を有する相溶化剤を添加し、この課題を解決する試みがなされている。
例えば、特許文献2では(A)ポリフェニレンエーテルおよび(B)液晶ポリエステルを含み、(A)成分が分散相を形成し、(B)成分が連続相を形成する樹脂組成物が開示されている。(A)成分および(B)成分に、(C)スチレン系化合物と他の化合物の共重合体を添加剤として加えて混錬することで、機械的強度と耐熱性のバランスに優れ、さらに難燃性を向上させることが提案されている。
特許文献3では、ポリマーアロイ用相溶化剤を用い、ポリフェニレンエーテル系樹脂と液晶ポリエステルを、ポリフェニレンエーテル系樹脂の配合割合が液晶ポリエステルの配合割合より多くなるようにブレンドして得られるポリマーアロイが開示されている。相溶化剤としてポリメタクリル酸グリシジルのみからなるセグメント(A)とポリスチレンのみからなるセグメント(B)を有するブロックコポリマーを用いることで、機械的特性や電気特性を向上させることが提案されている。
特許文献4では、ポリアリーレンスルフィド、液晶ポリマー、および相溶化剤を含むポリマーアロイが開示されている。ポリアリーレンスルフィドおよび液晶ポリマーを混合させる場で形成されるコポリマーであって、互いに共重合されるポリアリーレンスルフィドの第一のユニットと、液晶ポリマーの第二のユニットとを含むものを相溶化剤として用いることで、機械的強度を向上させることが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
特開2002-121377号公報
特開2009-030044号公報
特開2010-202690号公報
特開2014-534278号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1~3の樹脂組成物では液晶ポリマーと他の樹脂を混合させる際に、両樹脂間の親和性向上や、それに伴う相溶効果を期待した他の第3成分が必要である。しかしながら、これらの樹脂組成物で用いられている第3成分は、液晶ポリエステルやポリフェニレンエーテルとは異なる分子骨格を有することから、相溶化剤に期待されるそれぞれのポリマーに対する親和性の観点では、部分的にでも同じ構造をもつ相溶化剤と比べると劣り、最適とは言えない。また、特許文献4では、液晶ポリエステルと結晶性ポリマーであるポリアリーレンスルフィドからなる相溶化剤を用いているが、この相溶化剤を生成するために、ポリアリーレンスルフィドと反応する化合物を導入する必要があり、製造コストの上昇やポリマーアロイの設計上の制約が生じてしまう。そのため、他の相溶化剤や相溶化剤を系中に生じさせるための化合物を添加せず、あるいは新規の反応プロセス、加工プロセスを追加せず、既存のプロセスの中で各種特性に優れた成形品を製造することが望まれている。
【0006】
したがって、本発明の目的は、他の相溶化剤や相溶化剤を系中に生じさせるための化合物を添加せずに、また反応プロセス、加工プロセスを追加せず、既存の通常の液晶ポリマーの重合、加工プロセスの中で液晶ポリマーと非液晶性のポリマーとの親和性向上を担う相溶化剤となる化合物を含んだポリマーアロイを提供することである。さらに、ポリフェニレンエーテルを用いる場合は、誘電特性に優れた(比誘電率、誘電正接ともに低く優れた)成形品が得られるポリマーアロイを提供することである。また、本発明の他の目的は、この液晶ポリマーを含む成形品および該成形品を備える電気電子部品を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、末端に反応性基を有する液晶ポリマーと、前記液晶ポリマーの末端の反応性基と反応し得る反応性基を有する非液晶ポリマーと、前記液晶ポリマーと前記非液晶ポリマーの反応生成物とを含むポリマーアロイは、液晶ポリマーと、非液晶ポリマーとを混錬して得られた従来のポリマーブレンドに比べて、誘電特性に優れた(比誘電率、誘電正接ともに低く優れた)成形品が得られることを知見した。本発明は、かかる知見に基づいて完成されたものである。
【0008】
すなわち、本発明によれば、以下の発明が提供される。
[1] 末端に反応性基を有する液晶ポリマーと、
前記液晶ポリマーの末端の反応性基と反応し得る反応性基を有する非液晶ポリマーと、
前記液晶ポリマーと前記非液晶ポリマーの反応生成物と、
を含む、ポリマーアロイ。
[2] 前記液晶ポリマーの末端の反応性基が、カルボキシ基、ヒドロキシ基、アミド基、アセチル基およびアミノ基からなる群から選択される少なくとも1種を含む、[1]に記載のポリマーアロイ。
[3] 前記液晶ポリマーが、ヒドロキシカルボン酸に由来する構成単位を含む、[1]または[2]に記載のポリマーアロイ。
[4] 前記非液晶ポリマーの反応性基が、カルボキシ基、ヒドロキシ基、アミド基、アセチル基およびアミノ基からなる群から選択される少なくとも1種を含む、[1]~[3]のいずれかに記載のポリマーアロイ。
[5] 前記非液晶ポリマーが、非晶性ポリマーである、[1]~[4]のいずれかに記載のポリマーアロイ。
[6] 前記非液晶ポリマーが、ポリフェニレンエーテルを含む、[1]~[5]のいずれかに記載のポリマーアロイ。
[7] 前記非液晶ポリマーが、ポリマー末端にヒドロキシ基を有するポリフェニレンエーテルを含む、[1]~[6]のいずれかに記載のポリマーアロイ。
[8] 前記ポリマーアロイが、海-島-湖の3層に分離したモルフォロジーを有する、[1]~[7]のいずれかに記載のポリマーアロイ。
[9] 前記モルフォロジーにおいて、海と湖が前記液晶ポリマーで構成される、[8]に記載のポリマーアロイ。
[10] 前記非液晶ポリマーの配合量が、前記液晶ポリマー100質量部に対して1質量部以上50質量部以下である、[1]~[9]のいずれかに記載のポリマーアロイ。
[11] 前記反応生成物が、前記液晶ポリマーの原料モノマーと前記非液晶ポリマーとの重合反応により得られる、[1]~[10]のいずれかに記載のポリマーアロイ。
[12] [1]~[11]のいずれかに記載のポリマーアロイの製造方法であって、
前記液晶ポリマーの原料モノマーと前記非液晶ポリマーとの重合反応によって、前記反応生成物を得る重合工程
を含む、ポリマーアロイの製造方法。
[13] [1]~[11]のいずれかに記載のポリマーアロイを含む、成形品。
[14] [13]に記載の成形品を備える、電気電子部品。
【発明の効果】
【0009】
本発明者らは、ポリマーアロイの製造において、液晶ポリマーの原料モノマーに、液晶ポリマーの末端の反応性基と反応し得る反応性基を有する非液晶ポリマーを添加した状態で重合工程を行うことで、末端に反応性基を有する液晶ポリマー、液晶ポリマーの末端の反応性基と反応し得る反応性基を有する非液晶ポリマー、および液晶ポリマーと非液晶ポリマーの反応生成物の3種を含むポリマーアロイを得ることができた。このようなポリマーアロイは、従来のポリマーブレンドと比べ、誘電特性(誘電正接を液晶ポリマー単体と同程度に低く維持した状態での比誘電率の低下)に優れた成形品が得られる。
【0010】
すなわち、本発明によれば、誘電特性(誘電正接を液晶ポリマー単体と同程度に低く維持した状態での比誘電率の低下)に優れた成形品が得られるポリマーアロイを提供することができる。また、本発明によれば、誘電特性(誘電正接を液晶ポリマー単体と同程度に低く維持した状態での比誘電率の低下)に優れた成形品を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
(【0011】以降は省略されています)
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