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公開番号2025134848
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-09-17
出願番号2025102622,2022527969
出願日2025-06-18,2020-11-13
発明の名称接種物を生産するためのプロセスおよびシステム
出願人ロンザ リミテッド,LONZA LIMITED
代理人個人,個人,個人,個人
主分類C12N 1/00 20060101AFI20250909BHJP(生化学;ビール;酒精;ぶどう酒;酢;微生物学;酵素学;突然変異または遺伝子工学)
要約【課題】後でより大きな生産バイオリアクタに移すための、微生物の接種物を生産するための改善されたプロセスを提供する。
【解決手段】後続の細胞培養物生産プロセスのための接種物を生産するためのプロセスであって、細胞培養物を灌流バイオリアクタに導入することと、灌流バイオリアクタに、ある流量で栄養培地を供給し、灌流バイオリアクタから流体培地を取り出すことと、バイオマスセンサを使用して灌流バイオリアクタ内の経時的なバイオマス濃度を決定することであって、バイオマスセンサが、コントローラと通信している、決定することと、バイオマスセンサによって感知されたバイオマス濃度に基づいて灌流バイオリアクタへの栄養培地流量を調整することであって、コントローラが、バイオマスセンサから受信した情報に基づいて、培地流量を調整するように構成されている、調整することと、を含む、プロセスである。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
後続の細胞培養物生産プロセスのための接種物を生産するためのプロセスであって、
細胞培養物を灌流バイオリアクタに導入することと、
前記灌流バイオリアクタに、ある流量で栄養培地を供給し、前記灌流バイオリアクタから流体培地を取り出すことと、
バイオマスセンサを使用して前記灌流バイオリアクタ内の経時的なバイオマス濃度を決定することであって、前記バイオマスセンサが、コントローラと通信している、決定することと、
前記バイオマスセンサによって感知されたバイオマス濃度に基づいて前記灌流バイオリアクタへの前記栄養培地流量を調整することであって、前記コントローラが、前記バイオマスセンサから受信した情報に基づいて、前記培地流量を調整するように構成されている、調整することと、を含み、
前記栄養培地流量は、以下の関係:
P=K*φ
(式中、Kは、生物体積固有の灌流速度(mL供給/mL生物体積/日)であり、
φは、生物体積の割合であり、細胞の細胞膜の内側にある灌流バイオリアクタの体積であり、
パーセンテージまたは割合(mL生物体積/mLバイオリアクタ)で表され、
Pは、mL供給/mLバイオリアクタ/日で表される灌流速度である)に基づいて調整される、プロセス。
続きを表示(約 850 文字)【請求項2】
前記バイオマスセンサは、静電容量センサである、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
前記コントローラは、前記バイオマス濃度が増加するにつれて前記栄養培地の前記流量を増加させるように構成されている、請求項1または請求項2に記載のプロセス。
【請求項4】
前記灌流バイオリアクタ内の流体培地の量を決定し、前記量に基づいて、前記流体培地が前記灌流バイオリアクタから取り出される速度を選択的に増加または減少させるステップをさらに含む、請求項1~3のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項5】
前記灌流バイオリアクタ内の流体培地の量は、計量デバイスを使用して前記灌流バイオリアクタを計量することによって決定される、請求項4に記載のプロセス。
【請求項6】
前記計量デバイスは、前記コントローラと通信しており、前記計量デバイスからの重量情報に基づいて、前記コントローラは、流体培地が取り出される速度を選択的に増加または減少させるために、前記灌流バイオリアクタと流体連通するポンプデバイスを制御するように構成されている、請求項5に記載のプロセス。
【請求項7】
前記灌流バイオリアクタ内の流体培地の量は、体積を測定することによって決定される、請求項4に記載のプロセス。
【請求項8】
前記灌流バイオリアクタ内の前記細胞培養物中の細胞密度は、経時的に、例えば、1日あたり少なくとも60%だけ増加する、請求項1~7のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項9】
前記バイオマスセンサは、前記灌流リアクタ内の前記バイオマス濃度を少なくとも6時間ごとに決定する、請求項1~8のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項10】
前記灌流バイオリアクタは、約10L~約4000Lの体積を有する、請求項1~9のいずれか一項に記載のプロセス。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
[背景技術]
バイオリアクタは、生物学的反応または生物学的プロセスを実験室または工業規模で実施することができる装置であり、バイオ医薬品業界で広く使用されている。バイオリアクタは、あらゆる種類のバイオ製品を生産するために使用することができる。バイオ製品としては、例えば、細胞培養物、および飲料、バイオ燃料、バイオエネルギー、生化学物質、抗生物質、アミノ酸、酵素、モノクローナル抗体、モノマー、タンパク質、食品培養物、生体高分子、アルコール、香味料、香料などといった、細胞培養物由来の材料を挙げることができる。いくつかの実施形態では、細胞培養物は、細胞治療のために増殖させることができる。細胞治療とは、ex vivoで操作または改変された自己細胞、同種細胞、または異種細胞の投与による、ヒトの疾患または傷害の予防、治療、治癒、または軽減のことである。細胞治療の1つの目標は、損傷した組織または臓器を修復、置換、または回復することである。
続きを表示(約 3,900 文字)【0002】
細胞培養物は、典型的には、生物学的材料が反応時間の終わりまでバイオリアクタに留まるバッチプロセスにおいて増殖する。これらのプロセスのいくつかでは、バイオリアクタ内に含まれる流体培地は、流体培地内に含まれる栄養素を補充し、場合によってはプロセス中に生産される有害な副産物を除去するために、定期的または継続的に除去および再供給することができる。
【0003】
上記のようにバッチリアクタで細胞培養物を増殖させる前に、最初に接種プロセスが実施される。例えば、微生物の接種物は、微生物の望ましい生細胞数を集団に提供するために必要であり、商業規模の生産に適したレベルにスケールアップするのに適している。現在、接種プロセスはバッチモードで実施されている。栄養素の制限と阻害性代謝物の蓄積により、これらの従来のプロセスで達成できる最大細胞密度には限界がある。接種プロセス中の細胞密度が小さい場合、市販のバッチリアクタにおける所要時間が長くなる可能性がある。例えば、細胞密度がより小さいバッチリアクタに供給される接種物は、タンパク質などの所望のバイオ製品を生産する代わりに、最初、かなりの時間を細胞塊の生成に費やす下流の生産バイオリアクタを必要とする。最終的には、より大型の市販のバッチリアクタ内でより長いインキュベーション時間が必要になり、プロセス全体の効率に直接影響する。
【0004】
上記を考慮して、後でより大きな生産バイオリアクタに移すための、微生物の接種物を生産するための改善された方法およびシステムのニーズが存在している。生細胞数がより多くなり、接種プロセス中に細胞密度をより大きくすることができる接種物を生成する方法およびシステムに対するニーズも存在している。生産バイオリアクタに供給することができる接種物を生産し、バイオ製品を生産するために、生産バイオリアクタにおける所要時間を短縮する接種プロセスのニーズも存在している。
【0005】
[発明の概要]
[発明が解決しようとする課題]
全般的に、本開示は、培養の過程で急速に増加する細胞密度および生細胞数を生み出す接種プロセスに関する。本開示の接種プロセスおよびシステムは、全般的には、灌流速度が一定に留まるのではなく、バイオマスにおいて細胞培養物が増加するにつれて進化および増加する灌流バイオリアクタを含む。実際、自動化された方法を使用して、リアルタイムのバイオマス測定値に基づいて灌流バイオリアクタへの栄養供給速度を調整することができる。このプロセスを通じて、劇的に増加した細胞密度および/または生細胞数で接種物を生産することができる。次いで、接種物を、タンパク質などのバイオ製品を生産するためのより大きな生産バイオリアクタに供給することができる。本開示の接種プロセスおよびシステムを通じて、生産バイオリアクタに必要な時間を大幅に短縮することができ、これにより、プロセスのスループットを劇的に向上させることができる。生細胞密度に基づく以前の方法とは対照的に、生細胞体積(viable cell volume)/生物体積(biovolume)の測定に基づくと、灌流速度の制御が改善されることがわかった。
【0006】
[課題を解決するための手段]
したがって、第1の態様では、本開示は、後続の細胞培養物生産プロセスのための接種物を生産するためのプロセスであって、
細胞培養物を灌流バイオリアクタに導入することと、
灌流バイオリアクタに、ある流量で栄養培地を供給し、灌流バイオリアクタから流体培地を取り出すことと、
バイオマスセンサを使用して灌流バイオリアクタ内の経時的なバイオマス濃度を決定することであって、バイオマスセンサが、コントローラと通信している、決定することと、
バイオマスセンサによって感知されたバイオマス濃度に基づいて灌流バイオリアクタへの栄養培地流量を調整することであって、コントローラが、バイオマスセンサから受信した情報に基づいて、培地流量を調整するように構成されている、調整することと、を含み、
栄養培地流量は、以下の関係:
P=K*φ
(式中、Kは、生物体積固有の灌流速度(mL供給/mL生物体積/日)であり、
φは、生物体積の割合であり、細胞の細胞膜の内側にある灌流バイオリアクタの体積であり、パーセンテージまたは割合(mL生物体積/mLバイオリアクタ)で表され、
Pは、m供給/mバイオリアクタ/日で表される灌流速度である)に基づいて調整される、プロセスに関する。
【0007】
関連する実施形態では、本発明はまた、後続の細胞培養物生産プロセスのための接種物を生産するためのプロセスであって、
細胞培養物を灌流バイオリアクタに導入することと、
灌流バイオリアクタに、ある流量で栄養培地を供給し、灌流バイオリアクタから流体培地を取り出すことと、
バイオマスセンサを使用して灌流バイオリアクタ内の経時的な生物体積の割合を決定することであって、バイオマスセンサが、コントローラと通信している、決定することと、
生物体積の割合に基づいて灌流バイオリアクタへの栄養培地流量を調整することであって、コントローラが、バイオマスセンサから受信した情報に基づいて培地流量を調整するように構成されている、調整することと、を含み、
栄養培地流量が、上記のように、以下の関係:上述のとおりのP=K*φに基づいて調整される、プロセスに関する。
【0008】
このプロセスは、目的のバイオ製品の生産など、後続の細胞培養物生産プロセスのための接種物を生産するために使用することができる。このプロセスは、細胞培養物を灌流バイオリアクタに導入することを含むことができる。栄養培地は、灌流バイオリアクタにある流量で供給することができる。同時に、流体培地を灌流バイオリアクタから取り出すことができる。灌流バイオリアクタから取り出される流体培地は、細胞の損失を防ぐために濾過することもできる。灌流バイオリアクタでの細胞培養物の増殖中、バイオマス濃度は、灌流バイオリアクタでの細胞培養物と流体連通しているバイオマスセンサを使用して経時的に決定される。バイオマスセンサは、コントローラと通信することもできる。次いで、栄養培地流量を、バイオマスセンサによって送信されたバイオマス濃度に基づいて調整することができる。コントローラは、バイオマスセンサから受信した情報に基づいて、培地流量を調整するように構成することができる。
【0009】
バイオマスセンサは、例えば、灌流バイオリアクタ内に載置されるように適合された静電容量センサを含むことができる。あるいは、バイオマスセンサは、光学セルカウンタを含んでもよい。一実施形態では、例えば、灌流バイオリアクタは、自動サンプリングシステムと流体連通することができる。自動サンプリングシステムは、バイオマスセンサを使用して試験するために、灌流バイオリアクタからサンプルを継続的または定期的に除去することができる。バイオマスセンサは、一実施形態では、少なくとも6時間ごと、例えば、少なくとも4時間ごと、例えば、少なくとも30分ごと、例えば、少なくとも10分ごとに、バイオマス濃度の読み取りを行うことができる。バイオマス濃度の測定値は、栄養培地流量を決定するためのアルゴリズムを含み得るコントローラに提供することができる。例えば、栄養培地流量は、以下の関係:
P=K*φ
(式中、Kは、生物体積固有の灌流速度(mL供給/mL生物体積/日)であり、
φは、生物体積の割合であり、細胞の細胞膜の内側にある灌流バイオリアクタの体積であり、パーセンテージまたは割合(mL生物体積/mLバイオリアクタ)で表され、
Pは、mL供給/mLバイオリアクタ/日で表される灌流速度である)に基づいて調整することができる。
全般的には、コントローラは、バイオリアクタ内の細胞密度が増加するにつれて、灌流バイオリアクタへの栄養培地流量を増加させるように構成することができる。
【0010】
灌流バイオリアクタに供給される栄養培地流量を制御することに加えて、灌流バイオリアクタから取り出される流体培地流量も制御することができる。例えば、一実施形態では、灌流バイオリアクタ内のバイオマスおよび流体培地の量を決定することができる。この量に基づいて、流体培地が灌流バイオリアクタから取り出される速度を選択的に増加または減少させることができる。一実施形態では、例えば、灌流バイオリアクタ内のバイオマスおよび流体培地の量は、計量デバイスを使用して決定することができる。計量デバイスは、コントローラと通信することができる。計量デバイスからの重量情報に基づいて、コントローラは、流体培地が取り出される速度を選択的に増加または減少させるために、灌流バイオリアクタと流体連通するポンプデバイスを制御するように構成することができる。例えば、流体培地が取り出される速度は、流体培地および細胞培養物を含む灌流バイオリアクタ内の体積がプロセス中に一定のままであるような方法で行うことができる。
(【0011】以降は省略されています)

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