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公開番号2025132595
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-09-10
出願番号2024030266
出願日2024-02-29
発明の名称脂質膜巨大ベシクル、脂質膜巨大ベシクルの製造方法、脂質膜巨大ベシクル内部に含まれる標的生体分子の検出方法、バイオセンサー
出願人NTT株式会社,兵庫県公立大学法人
代理人弁理士法人志賀国際特許事務所
主分類G01N 21/65 20060101AFI20250903BHJP(測定;試験)
要約【課題】表面増強ラマン散乱法により脂質膜巨大ベシクル内部に含まれる標的生体分子が高感度検出される脂質膜巨大ベシクル、その製造方法、その内部に含まれる標的生体分子の検出方法、及びそれを含むバイオセンサーを提供する。
【解決手段】金属ナノコロイドの凝集体を内包する脂質膜巨大ベシクルであって、前記金属ナノコロイドにおける金属が、表面増強ラマン散乱を引き起こす金属である、脂質膜巨大ベシクル;および、(a)金属ナノコロイドの分散液を含むW/Oエマルジョンを調製する工程と、(b)前記W/Oエマルジョンを、水溶液の表面に形成された脂質単分子膜を通過させて、前記水溶液内に、金属ナノコロイドを内包する脂質膜巨大ベシクルを形成する工程と、を有し、前記金属ナノコロイドにおける金属が、表面増強ラマン散乱を引き起こす金属である、脂質膜巨大ベシクルの製造方法。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
金属ナノコロイドの凝集体を内包する脂質膜巨大ベシクルであって、
前記金属ナノコロイドにおける金属が、表面増強ラマン散乱を引き起こす金属である、脂質膜巨大ベシクル。
続きを表示(約 920 文字)【請求項2】
前記表面増強ラマン散乱を引き起こす金属が、金、銀、及び銅からなる群より選択される少なくとも一種以上の金属である、請求項1に記載の脂質膜巨大ベシクル。
【請求項3】
前記脂質膜巨大ベシクルが、カチオン透過性のイオノフォア又はポア形成タンパク質を含む、請求項1に記載の脂質膜巨大ベシクル。
【請求項4】
(a)金属ナノコロイドを含むW/Oエマルジョンを調製する工程と、
(b)前記W/Oエマルジョンを、水相の上面に油相が形成された溶液の油水界面に形成された脂質単分子層を通過させて、前記水相内に、金属ナノコロイドを内包する脂質膜巨大ベシクルを形成する工程と、
を有し、
前記金属ナノコロイドにおける金属が、表面増強ラマン散乱を引き起こす金属である、脂質膜巨大ベシクルの製造方法。
【請求項5】
前記工程(a)において、前記金属ナノコロイドの凝集体を含むW/Oエマルジョンを調製する、
請求項4に記載の脂質膜巨大ベシクルの製造方法。
【請求項6】
前記W/Oエマルジョン及び前記脂質単分子層の少なくとも一方が、カチオン透過性のイオノフォア又はポア形成タンパク質を含有しており、
前記工程(b)において、前記イオノフォア又はポア形成タンパク質を含有する脂質膜巨大ベシクルを形成し、
前記工程(b)の後、さらに、
(c)前記工程(b)で形成された脂質膜巨大ベシクルの外液のカチオン濃度を、当該脂質膜巨大ベシクルが内包する水溶液のカチオン濃度よりも高くすることにより、前記脂質膜巨大ベシクル内部の金属ナノコロイドを凝集させる工程、
を有する、請求項4に記載の脂質膜巨大ベシクルの製造方法。
【請求項7】
請求項1~3のいずれか一項に記載の脂質膜巨大ベシクル内部に含まれる標的生体分子を、表面増強ラマン散乱法により検出する、脂質膜巨大ベシクル内部に含まれる標的生体分子の検出方法。
【請求項8】
請求項1~3のいずれか一項に記載の脂質膜巨大ベシクルを含む、バイオセンサー。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、脂質膜巨大ベシクル、脂質膜巨大ベシクルの製造方法、及び脂質膜巨大ベシクル内部に含まれる標的生体分子の検出方法、バイオセンサーに関する。
続きを表示(約 3,300 文字)【背景技術】
【0002】
脂質膜巨大ベシクル(GUV:giant unilamellar vesicle)は、細胞の簡略モデル、あるいは人工細胞の基盤として広く研究、活用されている。GUVは、無細胞タンパク質合成をはじめとした、微小容量を持つ反応場としても活用されている(非特許文献1)。また、GUVは、小胞との融合により、小胞内容物をGUV内に取り込むことも報告されている(非特許文献2)。これらのことから、GUVの置かれた環境に依存して生成される生体分子、融合により取り込んだ内容物、およびその反応物を解析することで、GUVがバイオセンサーとして活用されることも期待されている。
【0003】
一方で、表面増強ラマン散乱法は、金、銀、銅などの金属の微小構造やナノ粒子間において、金属表面に吸着した化学種のラマン散乱が10

~10

倍増強するというもので、生体分子の検出にも応用されている。表面増強ラマン散乱法の条件によっては、さらなる信号増強も報告されており、単一分子感度相当の10
10
~10
14
の増強度も報告されている(非特許文献3、4)。実際に単一分子を検出することは容易ではないものの、表面増強ラマン散乱法は、大幅な感度増強が期待される高感度分子検出法として注目されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
Susanne F. Fenz et al., “Cell-free synthesis of membrane proteins: Tailored cell models out of microsomes”, Biochimica et Biophysica Acta Biomembranes, Vol. 1813,p. 1382-1388, 2014.
Daiya Mombayashi et al., “Factors Facilitating Fusion between Dye-encapsulating Vesicles and Giant Unilamellar Vesicles”, Sensors and Materials, Vol. 33, p. 4361, 2021.
二又政之、「表面増強ラマン散乱」、表面科学、第33巻、第4号、216~222ページ、2012年。
E.C. Le Ru et al., “Principles of Surface-Enhanced Raman Spectroscopy”, Elsevier, 2009.
豊田太郎、章逸汀、「油中水滴エマルションで調製するジャイアントベシクルに対する油性分散媒の影響」、BUNSEKI KAGAKU、第71巻、第1~2号、83~89ページ、2022年。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
GUVのサイズは直径数μm~数十μmであり、細胞と同程度の大きさであるため、GUVに内包される微量成分を検出するには、感度を増強して検出する必要がある。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、表面増強ラマン散乱法によりGUV内部に含まれる標的生体分子が高感度検出されるGUV、その製造方法、その内部に含まれる標的生体分子の検出方法、及びそれを含むバイオセンサーを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
すなわち、本発明は以下の態様を含む。
[1]金属ナノコロイドの凝集体を内包する脂質膜巨大ベシクルであって、前記金属ナノコロイドにおける金属が、表面増強ラマン散乱を引き起こす金属である、脂質膜巨大ベシクル。
[2]前記表面増強ラマン散乱を引き起こす金属が、金、銀、及び銅からなる群より選択される少なくとも一種以上の金属である、[1]に記載の脂質膜巨大ベシクル。
[3]前記脂質膜巨大ベシクルが、カチオン透過性のイオノフォア又はポア形成タンパク質を含む、[1]又は[2]に記載の脂質膜巨大ベシクル。
[4](a)金属ナノコロイドを含むW/Oエマルジョンを調製する工程と、(b)前記W/Oエマルジョンを、水相の上面に油相が形成された溶液の油水界面に形成された脂質単分子層を通過させて、前記水相内に、金属ナノコロイドを内包する脂質膜巨大ベシクルを形成する工程と、を有し、前記金属ナノコロイドにおける金属が、表面増強ラマン散乱を引き起こす金属である、脂質膜巨大ベシクルの製造方法。
[5]前記工程(a)において、前記金属ナノコロイドの凝集体を含むW/Oエマルジョンを調製する、[4]に記載の脂質膜巨大ベシクルの製造方法。
[6]前記W/Oエマルジョン及び前記脂質単分子層の少なくとも一方が、カチオン透過性のイオノフォア又はポア形成タンパク質を含有しており、前記工程(b)において、前記イオノフォア又はポア形成タンパク質を含有する脂質膜巨大ベシクルを形成し、前記工程(b)の後、さらに、(c)前記工程(b)で形成された脂質膜巨大ベシクルの外液のカチオン濃度を、当該脂質膜巨大ベシクルが内包する水溶液のカチオン濃度よりも高くすることにより、前記脂質膜巨大ベシクル内部の金属ナノコロイドを凝集させる工程、を有する、[4]又は[5]に記載の脂質膜巨大ベシクルの製造方法。
[7][1]~[3]のいずれか1つに記載の脂質膜巨大ベシクル内部に含まれる標的生体分子を、表面増強ラマン散乱法により検出する、脂質膜巨大ベシクル内部に含まれる標的生体分子の検出方法。
[8][1]~[3]のいずれか1つに記載の脂質膜巨大ベシクルを含む、バイオセンサー。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、表面増強ラマン散乱法によりGUV内部に含まれる標的生体分子が高感度検出されるGUV、その製造方法、その内部に含まれる標的生体分子の検出方法、及びそれを含むバイオセンサーを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1は、金属ナノコロイド内包GUVの一例の説明図である。
図2(a)~(d)は、GUV内部に含まれる標的生体分子の検出方法の一例の説明図である。
図3(a)は、バイオセンサーの一例の説明図である。図3(b)は、バイオセンサーを構成するリンカー分子の一例の説明図である。
図4(a)は、GUVが観察された場所におけるラマン散乱光の強度分布(ラマンマッピング)を表した図である。図4(b)は、蛍光顕微鏡(FITCフィルターキューブ)で観察した蛍光画像である。
図5(a)は、GUV外液をNaCl終濃度0mMとした場合の、GUVが観察された場所におけるラマン散乱光の強度分布を表した図である。図5(b)は、GUV外液をNaCl終濃度50mMとした場合の、GUVが観察された場所におけるラマン散乱光の強度分布を表した図である。図5(c)は、GUV外液をNaCl終濃度0mM、又は50mMとした場合の、ラマン散乱光の強度分布を測定した時のラマンスペクトルである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[定義]
本明細書において、「含む」は、「含む(comprise)」、「実質的にのみからなる(consist essentially of)」、及び「のみからなる(consist of)」のいずれも包含する概念である。
【0010】
本明細書において、「金属ナノコロイドの粒径」とは、動的光散乱式粒度分布測定装置を用いて体積基準で測定した場合の平均粒径をいう。
平均粒径は、例えば、スペクトリス社製の動的光散乱式粒度分布測定装置「ゼータサイザーPro」を使用して測定することができる。
(【0011】以降は省略されています)

この特許をJ-PlatPat(特許庁公式サイト)で参照する

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