発明の詳細な説明【技術分野】 【0001】 本開示は、植物の光合成応答を調節する方法、光合成応答が迅速化した植物の作出方法、および光合成応答が迅速化した植物の栽培のためのシステムに関する。 続きを表示(約 2,300 文字)【背景技術】 【0002】 野外において、光強度は秒未満から分のスケールで絶えず変動しており、変動光に対する光合成応答の遅速が植物の炭素固定量及び生長量に大きく作用することが知られている。よって、作物の多収化や樹木の生長促進や炭素固定能力の向上を実現するための戦略として、変動光に対する光合成応答の迅速化を行うことが有効なアプローチになると期待される。 【0003】 これまでに、気孔開閉の制御に関わる遺伝子の機能を改変することで変動光に対する光合成応答を迅速化する技術(非特許文献1、非特許文献2)、および光合成タンパク質の生合成や活性制御に関わる遺伝子の機能を改変し、変動光に対する光合成応答を迅速化する技術(非特許文献3)が知られている。これらの先行研究では、気孔の開閉や形成、光合成タンパク質の生合成や活性の制御に関わる遺伝子の機能を改変することで、変動光に対する光合成応答を個葉レベルで迅速化することが可能であると報告されている。 【0004】 しかしながら、これら遺伝子の改変を行っても、個体レベルでは光合成応答の迅速化が生じない可能性もある。植物の炭素固定量や生長量は、全ての個葉を含めた個体での光合成量により規定されるため、個体レベルの光合成応答の迅速化技術が求められているが、このような迅速化技術は未だ確立されていない。 【先行技術文献】 【非特許文献】 【0005】 Kimura, H. et al. “Improved stomatal opening enhances photosynthetic rate and biomass production in fluctuating light.” Journal of experimental botany vol. 71,7 (2020): 2339-2350. doi:10.1093/jxb/eraa090 Sakoda, K. et al. “Higher Stomatal Density Improves Photosynthetic Induction and Biomass Production in Arabidopsis Under Fluctuating Light.”Frontiers in plant science vol. 11 589603. 21 Oct. 2020, doi:10.3389/fpls.2020.589603 Yamori, W. et al. “Rubisco activase is a key regulator of non-steady-state photosynthesis at any leaf temperature and, to a lesser extent, of steady-state photosynthesis at high temperature.” The Plant journal : for cell and molecular biology vol. 71,6 (2012): 871-80. doi:10.1111/j.1365-313X.2012.05041.x 【発明の概要】 【発明が解決しようとする課題】 【0006】 本開示は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、植物の光合成応答を調節する方法、光合成応答が迅速化した植物の作出方法、および光合成応答が迅速化した植物の栽培のためのシステムを提供することを目的とする。 【課題を解決するための手段】 【0007】 本開示の一態様は、植物の光合成応答を調節する方法であって、前記植物のppGpp含有量が調節された改変植物を作製することを含む方法である。 【発明の効果】 【0008】 本開示によれば、植物の光合成応答を調節する方法、光合成応答が迅速化した植物の作出方法、および光合成応答が迅速化した植物の栽培のためのシステムを提供することができる。 【図面の簡単な説明】 【0009】 光合成有効光量子束密度(PPFD)に換算して約100 μmol m -2 s -1 の光(弱光)を照射した後に、約500 μmol m -2 s -1 の光(強光)を30分間照射した際の相対的光合成速度(A ind )の経時変化。野生型(点線)及びRSH遺伝子四重変異体 (実線) について、平均値(n=5)を示した。野生型と四重変異体において、A ind が0.95に達する時間(t 0.95 )を黒丸で示した。 野生型WT(白)及び四重変異体KO(斜線)の5個体を対象に、相対的光合成速度 (A ind )が0.5, 0.6, 0.7, 0.8, 0.9, 0.95に達する時刻(t 0.5 、t 0.6 、t 0.7 、t 0.8 、t 0.9 、t 0.95 )を算出し、箱ひげ図として示した。図中の×は平均値を示す。 【発明を実施するための形態】 【0010】 以下、本開示の非限定的な実施形態を説明する。本開示は以下の実施形態における例示に限定されない。 (【0011】以降は省略されています)
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