TOP特許意匠商標
特許ウォッチ Twitter
10個以上の画像は省略されています。
公開番号2025118621
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-08-13
出願番号2025062890,2022532237
出願日2025-04-07,2020-07-22
発明の名称細胞からミトコンドリアを得る方法および得られたミトコンドリア
出願人ルカ・サイエンス株式会社
代理人個人
主分類C12N 1/02 20060101AFI20250805BHJP(生化学;ビール;酒精;ぶどう酒;酢;微生物学;酵素学;突然変異または遺伝子工学)
要約【課題】ミトコンドリアを細胞から得る方法、そのような方法によって得られたミトコンドリア、およびそのような方法によって得られたミトコンドリアの使用方法を提供する。
【解決手段】ミトコンドリアを細胞から単離する方法であって、
(i)第1の溶液中の細胞を界面活性剤に関する臨界ミセル濃度未満の濃度の界面活性剤で処理すること、
(ii)前記細胞内のミトコンドリアと前記界面活性剤との接触を防ぐために前記界面活性剤を除去して界面活性剤を実質的に含まない第2の溶液を形成すること、
(iii)前記第2の溶液中の前記細胞をインキュベートすること、および
(iv)前記第2の溶液中に放出されたミトコンドリアを回収すること、を含む方法を提供する。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
単離されたミトコンドリアの集団であって、
(i)前記集団中のミトコンドリアの少なくとも80%は無傷の内膜および外膜を有し

(ii)前記集団中のミトコンドリアの少なくとも80%は蛍光指示薬によって測定す
ると分極化しており、
および/または
(iii)前記集団中のミトコンドリアの少なくとも80%は細胞外環境で機能的能力
を維持する、
単離されたミトコンドリアの集団。
続きを表示(約 820 文字)【請求項2】
(iii)の細胞外環境での前記機能的能力が膜電位の蛍光指示薬によって測定される
、請求項1に記載の単離されたミトコンドリアの集団。
【請求項3】
(iii)の細胞外環境が約8~約12mg/dLの全カルシウム濃度を含む、請求項
1に記載の単離されたミトコンドリアの集団。
【請求項4】
(iii)の細胞外環境が約4~約6mg/dLの遊離/活性カルシウム濃度を含む、
請求項1に記載の単離されたミトコンドリアの集団。
【請求項5】
前記集団中のミトコンドリアの少なくとも80%がダイナミン関連タンパク質1(dr
p1)依存性分裂を起こしていない、請求項1に記載の単離されたミトコンドリアの集団

【請求項6】
前記ミトコンドリアの内膜が、高密度に折りたたまれたクリステを含む、請求項1に記
載の単離されたミトコンドリアの集団。
【請求項7】
前記集団中のミトコンドリアの少なくとも80%が非糸状の形状を有する、請求項1~
6のいずれか一項に記載の単離されたミトコンドリアの集団。
【請求項8】
前記ミトコンドリアの少なくとも85%が非糸状の形状を有する、請求項7に記載の単
離されたミトコンドリアの集団。
【請求項9】
前記ミトコンドリアの少なくとも90%が非糸状の形状を有する、請求項8に記載の単
離されたミトコンドリアの集団。
【請求項10】
前記ミトコンドリアが、グルコース調節タンパク質75(GRP75)の発現によって
測定すると、ミトコンドリア会合膜(MAM)との会合の減少を示す、請求項1~9のい
ずれか一項に記載の単離されたミトコンドリアの集団。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本出願は2019年7月24日に出願の日本国出願番号第2019-136283号へ
の優先権を主張し、その全内容はここに参照により組み込まれる。
続きを表示(約 5,200 文字)【背景技術】
【0002】
ミトコンドリアは、下の3つの重要な役割を演ずるタイプのオルガネラである:1)A
TP合成等の代謝、2)Ca2+および反応性酸素種等の細胞内シグナル伝達、ならびに
3)アポトーシスおよび壊死等の細胞死の制御。この意味で、ミトコンドリアは疾患に強
くかかわり、健康の観点から多くの研究者によって研究されてきた。
【0003】
ミトコンドリアの機能のために、折りたたまれた内膜および周囲の外膜、および内膜に
位置する電子伝達系が重要な役割を演ずる。内膜はクリステと呼ばれる高度に折りたたま
れた構造を形成し、それは、クリステ膜の中に電子伝達系のスーパーコンプレックスを保
持し、クリステ空間の中にポンプ輸送されたプロトンを閉じ込めることによってプロトン
濃度を高くしておくと考えられている。電子伝達系によって形成される電気化学的プロト
ン勾配は、アニオンの輸送に加えてATP合成およびカチオン輸送を可能にする。
【0004】
低下したミトコンドリア機能は、様々な疾患を引き起こし得る。ミトコンドリア機能お
よび構造的完全性を保持する方法で細胞からミトコンドリアを単離するために、当技術分
野で公知の方法は現在ない。この開示は、このおよび他の必要性に対処する。
【発明の概要】
【0005】
本開示は、単離されたか得られたか処理されたミトコンドリアの集団を提供し、ここで
集団中のミトコンドリアは優れた機能的能力を示す。例えば、一態様では、本開示は単離
されたミトコンドリアの集団であって、集団中のミトコンドリアのうち少なくとも約60
%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80
%、少なくとも約85%、少なくとも約90%または少なくとも約95%は無傷の内膜お
よび外膜を有し;および/または集団中のミトコンドリアのうち少なくとも約60%、少
なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少
なくとも約85%、少なくとも約90%または少なくとも約95%は、蛍光指示薬によっ
て測定すると分極化している、単離されたミトコンドリアの集団を提供する。ある実施態
様では、蛍光指示薬は正荷電色素、例えばJC-1、テトラメチルローダミンメチルエス
テル(TMRM)およびテトラメチルローダミンエチルエステル(TMRE)からなる群
から選択される。
【0006】
ある実施態様では、本開示は、集団中のミトコンドリアのうち少なくとも約60%、少
なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少
なくとも約85%、少なくとも約90%または少なくとも約95%は、細胞外環境で機能
的能力を維持する(例えば、分極化している)、単離されたミトコンドリアの集団を提供
する。ある実施態様では、細胞外環境での機能的能力は、膜電位の蛍光指示薬によって測
定される。ある実施態様では、蛍光指示薬は正荷電色素、例えばJC-1、TMRMおよ
びTMREからなる群から選択される。ある実施態様では、細胞外環境は約4mg/dL
~約12mg/dLまたは約1mmol/L(1000μM)~約3mmol/L(30
00μM)の全カルシウム濃度を含むことができる。例えば、ある実施態様では、細胞外
環境は約8mg/dL~約12mg/dLまたは約2mmol/L(2000μM)~約
3mmol/L(3000μM)の全カルシウム濃度を含む。ある実施態様では、細胞外
環境は約4mg/dL~約6mg/dLまたは約1mmol/L(1000μM)~約1
.5mmol/L(1500μM)の遊離または活性カルシウムの濃度を含む。ある実施
態様では、ミトコンドリアの集団は、細胞中のカルシウム環境と比較してより高いカルシ
ウム濃度を有する環境の中で機能的能力を維持する。
【0007】
ある実施態様では、集団中のミトコンドリアのうち少なくとも約60%、少なくとも約
65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約
85%、少なくとも約90%または少なくとも約95%は、ダイナミン関連タンパク質1
(drp1)依存性分裂を起こしていない、単離されたミトコンドリアの集団がある実施
態様において提供される。ある実施態様では、内膜および外膜を有する単離されたミトコ
ンドリアの集団であって、ミトコンドリアの内膜は高密度に折りたたまれたクリステを含
む、単離されたミトコンドリアの集団がある実施態様において提供される。
【0008】
ある実施態様では、集団中のミトコンドリアのうち少なくとも約60%、少なくとも約
65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約
85%、少なくとも約90%または少なくとも約95%は、実質的に非糸状の、非分枝状
の構造または形状を有する、単離されたミトコンドリアの集団がある実施態様において提
供される。例えば、ある実施態様では、ここで提供されるミトコンドリアは、顕微鏡下で
見たとき円形、点状、球状、不規則形および/またはわずかに伸長した形、またはその任
意の混合の外観である。ある実施態様では、集団におけるミトコンドリアのうち少なくと
も約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくと
も約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%または少なくとも約95%が、4
:1以下、3.5:1以下または3:1以下の長径対短径比を有する。ある実施態様では
、ここで提供されるミトコンドリアの集団中の単離されたミトコンドリアのうち、少なく
とも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なく
とも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%または少なくとも約95%は、
ミトコンドリアの流体力学的直径の2倍または3倍より短い長さを有する。このように、
ここで提供される単離されたミトコンドリアは、細胞の中にあるほとんどのミトコンドリ
アの形状(糸状)と比較した場合、著しく異なる形状(非糸状)を有する。したがって、
ある実施態様では、ここで提供されるミトコンドリアの集団は、集団中のミトコンドリア
のうち少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約7
5%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%または少なくとも
約95%は形状が非糸状であるという点で、細胞中に存在して単離されていないミトコン
ドリアと異なる形状を有する。ある実施態様では、ここで提供される単離されたミトコン
ドリアの集団は、ミトコンドリア会合膜(MAM;mitochondria-asso
ciated membrane)との会合の減少を示す。ある実施態様では、MAMと
の会合は、グルコース調節タンパク質75(GRP75)の発現によって測定される。あ
る実施態様では、ここで提供される単離されたミトコンドリアの集団は、細胞中のミトコ
ンドリアと、ならびに/またはある実施態様においてさらに記載される通り従来の単離方
法、例えば、ホモジナイゼーションおよび/もしくは高レベルの界面活性剤法を含む方法
によって得られたミトコンドリアと比較した場合、約60%、少なくとも約65%、少な
くとも約70%、約60%、約50%、約40%、約30%またはそれ以下のMAMとの
会合を示す。ある実施態様では、ここで提供される単離されたミトコンドリアの集団は、
MAMとの会合の減少を示し、減少は、細胞中のミトコンドリア、または従来の単離方法
によって単離されたミトコンドリアの、MAMとの会合と比較して、少なくとも約30%
、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%
またはそれ以上である。
【0009】
ある実施態様では、ここで提供される単離されたミトコンドリアの集団は、サイズが約
500nm~約3500nmである。ある実施態様では、集団中のミトコンドリアのうち
少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、
少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%ま
たは少なくとも約99%は、サイズが約500nm~約3500nmである。ある実施態
様では、集団中のミトコンドリアの平均サイズは、約500nm、約600nm、約70
0nm、約800nm、約900nm、約1000nm、約1100nm、約1200n
m、約1300nm、約1400nm、約1500nm、約1600nm、約1700n
m、約1800nm、約1900nm、約2000nm、約2100nm、約2200n
m、約2300nm、約2400nm、約2500nm、約2600nm、約2700n
m、約2800nm、約2900nm、約3000nm、約3100nm、約3200n
m、約3300nm、約3400nmまたは約3500nmである。ある実施態様では、
単離されたミトコンドリアの集団の多分散指数(PDI)は約0.2~約0.8である。
ある実施態様では、単離されたミトコンドリアの集団のPDIは約0.2~約0.5であ
る。ある実施態様では、単離されたミトコンドリアの集団のPDIは約0.25~約0.
35である。ある実施態様では、ミトコンドリアの集団のゼータ電位は約-15mV~約
-40mVである。ある実施態様では、ミトコンドリアの集団のゼータ電位は約-20m
V、約-25mV、約-30mV、約-35mVまたは約-40mVである。
【0010】
ある実施態様では、ここで提供される単離されたミトコンドリアの集団は、単離された
ミトコンドリアの集団が細胞の集団と接触すると、細胞への組込み、および/または細胞
中の内在性ミトコンドリアとの共局在が可能である。例えば、ある実施態様では、本開示
は、細胞からミトコンドリアを得、その後細胞(例えば、ex vivoまたはin v
ivoの細胞)の集団を単離したミトコンドリアの集団と接触させる方法を提供する。そ
のようなある実施態様では、ここで記載されるiMIT法を通して単離される、ここで提
供されるミトコンドリアは、細胞に存在する内在性ミトコンドリアと共局在することが可
能である。ある実施態様では、ここで提供されるミトコンドリアは、それらが接触した細
胞に存在するミトコンドリアと融合することがさらに可能である。ある実施態様では、単
離されたミトコンドリアの集団のかなりの割合は、細胞中の内在性ミトコンドリアとの共
局在および/または融合が可能である。例えば、ある実施態様では、集団中のミトコンド
リアのうち少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも
約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%または少なく
とも約95%は、細胞中の内在性ミトコンドリアとの共局在および/または融合が可能で
ある。したがって、ここで提供されるミトコンドリアは、それらが細胞中の内在性ミトコ
ンドリアとの共局在および/または融合が可能であるという点で、従来の方法を通して単
離されるミトコンドリアと著しく異なる。
(【0011】以降は省略されています)

この特許をJ-PlatPat(特許庁公式サイト)で参照する

関連特許

個人
細胞内探査とその利用
1日前
合同酒精株式会社
麦汁の製造方法
4か月前
池田食研株式会社
RNAの合成方法
4か月前
東洋紡株式会社
細菌からの核酸抽出法
4か月前
日本バイリーン株式会社
細胞用支持基材
1か月前
杏林製薬株式会社
核酸検出用PCR溶液
2か月前
個人
細胞培養容器
1か月前
学校法人近畿大学
培養肉の製造方法
3か月前
株式会社東洋新薬
経口組成物
1日前
日油株式会社
蛋白質安定化剤
1か月前
熊本県
低褐変レタスとその作製方法
5か月前
サッポロビール株式会社
飲料
2か月前
株式会社タクマ
バイオマス処理装置
14日前
株式会社タクマ
バイオマス処理装置
14日前
東洋紡株式会社
ウイルスからの核酸抽出法
4か月前
東洋紡株式会社
改変型RNAポリメラーゼ
1か月前
JNC株式会社
アデノ随伴ウイルスの精製方法
3か月前
朝日酒造 株式会社
発泡性清酒の製造方法
4か月前
株式会社ファンケル
SEC12タンパク発現促進剤
1か月前
セージ セラピューティクス, インコーポレイテッド
C7、C12、およびC16置換神経刺激性ステロイドおよびそれらの使用方法
4か月前
株式会社東海ヒット
灌流培養ユニット
2か月前
オンキヨー株式会社
浸漬酒の製造方法、及び、浸漬酒
1か月前
アサヒビール株式会社
柑橘風味アルコール飲料
1か月前
アサヒビール株式会社
柑橘風味アルコール飲料
1か月前
個人
ナノ微粒子の製造方法
2か月前
個人
超音波機能着きウィスキー熟成ボトル用のキャップ
2か月前
ヤマト科学株式会社
インキュベータ
3か月前
大和ハウス工業株式会社
藻類培養システム
4か月前
日本特殊陶業株式会社
メタン発生抑制装置
3か月前
東洋紡株式会社
緩衝剤によるヘムタンパク質の安定化方法
2か月前
株式会社アテクト
培養シート
3か月前
公立大学法人北九州市立大学
微生物の検知方法
3日前
花王株式会社
リパーゼ変異体
1か月前
池田食研株式会社
抗疲労用組成物
1か月前
住友化学株式会社
細胞チップ
4か月前
学校法人慈恵大学
培養皿用の定規
4か月前
続きを見る