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公開番号2025113153
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-08-01
出願番号2024186827
出願日2024-10-23
発明の名称繊毛上皮細胞が外部に付着した呼吸器オルガノイド及びその製造方法
出願人ギル メディカル センター,GIL MEDICAL CENTER
代理人個人
主分類C12N 5/071 20100101AFI20250725BHJP(生化学;ビール;酒精;ぶどう酒;酢;微生物学;酵素学;突然変異または遺伝子工学)
要約【課題】本発明は、呼吸器上皮細胞を増殖及び分化させて呼吸器オルガノイドを製造する方法に関する。
【解決手段】呼吸器の頂端(apical)部位に存在する上皮細胞がオルガノイドの内部に発生する従来の呼吸器オルガノイドとは異なり、本発明の呼吸器オルガノイドは、上皮細胞である繊毛構造がオルガノイドの外層に位置し、分泌細胞が内部に存在し、呼吸器組織の基底に存在する幹細胞性の基底細胞もオルガノイドの内部に存在する形態である。これは、実際の呼吸器組織と類似した形態であり、繊毛細胞の運動性などの上皮細胞の正常な機能をも示すことが観察されている。よって、本発明の製造方法を用いてオルガノイドを製造すると、実際の組織を良好に模写できる呼吸器オルガノイドを製造することができる。
【選択図】 図1
特許請求の範囲【請求項1】
繊毛上皮細胞(ciliated epithelial cells)が外側に存在する呼吸器オルガノイドの製造方法であって、
(a)呼吸器細胞を細胞外マトリックス(extracellular matrix)物質がコーティングされたプレートで増殖培地を用いて培養するステップと、
(b)ステップ(a)で培養した細胞を得て、遠心分離により増殖培地を除去して細胞ペレット(pellet)として得るステップと、
(c)前記細胞ペレットを分化培地に再浮遊させ、その後一定数の細胞をプレートに接種及び培養して分化させるステップと、を含む、
呼吸器オルガノイド製造方法。
続きを表示(約 850 文字)【請求項2】
前記呼吸器オルガノイドは肺オルガノイドである、請求項1に記載の呼吸器オルガノイド製造方法。
【請求項3】
前記呼吸器細胞は正常ヒト気管支上皮細胞(normal human bronchial basal epithelial cell, NHBE cell)である、請求項1に記載の呼吸器オルガノイド製造方法。
【請求項4】
前記ステップ(a)の細胞外マトリックス物質は、ラミニン、コラーゲンI又はコラーゲンIVである、請求項1に記載の呼吸器オルガノイド製造方法。
【請求項5】
前記ステップ(a)の細胞外マトリックス物質はラミニンである、請求項4に記載の呼吸器オルガノイド製造方法。
【請求項6】
前記ステップ(a)で用いる増殖培地は、A8301、Y-27632、CHIR99021及びSB202190を含むものである、請求項1に記載の呼吸器オルガノイド製造方法。
【請求項7】
前記増殖培地は、気管支上皮成長培地(bronchial epithelial growth medium, BEGM)、0.5~2uMのA8301、2~10uMのY-27632、0.5~3uMのCHIR99021、及び0.1~2uMのSB202190を含むものである、請求項6に記載の呼吸器オルガノイド製造方法。
【請求項8】
前記ステップ(c)で接種する細胞数は、400個~700個である、請求項1に記載の呼吸器オルガノイド製造方法。
【請求項9】
前記ステップ(c)は、15日~30日間行うものである、請求項1に記載の呼吸器オルガノイド製造方法。
【請求項10】
前記呼吸器オルガノイドは、オルガノイドの内部に幹細胞性の基底細胞(basal stem cell)を含むものである、請求項1に記載の呼吸器オルガノイド製造方法。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、呼吸器オルガノイド及びその製造方法、具体的には、繊毛上皮細胞が外部に付着した呼吸器オルガノイド及びその製造方法に関する。
続きを表示(約 2,600 文字)【背景技術】
【0002】
オルガノイド(organoid)とは、生体模写体又は臓器もどき(ミニ臓器)ともいい、幹細胞や臓器由来細胞から分離した細胞の三次元的な培養、凝集又は組み換えにより作成した組織又は器官の形態及び機能を全て再現する小さな培養体を意味する。このようなオルガノイドは、器官又は組織を構成する様々な特異的細胞集団を含んでおり、実際の組織又は器官に類似した形態及び構造的組織化がなされているので、各器官が有する特殊な機能を再現することができる。オルガノイドは、共通した一連の過程により形成されるが、同じ機能の細胞同士が凝集して適切な位置に配置されており、細胞の区画が分離されると、さらに細かい分化が生じる。オルガノイドは、実際の臓器に類似した形態であり、分子シグナル制御などの動物モデルでは実現が困難な研究を試験管内(in vitro)で実現することができるので、当然ながら基礎研究に非常に有用であり、さらに、ヒトの発生過程、疾患モデルの確立、医薬品有効性評価のスクリーニング、細胞治療剤の開発など様々な分野に非常に有用な技術である。
【0003】
オルガノイドを製造する過程において、細胞が付着して成長するように支持する役割を果たす支持体(support)又はスキャホールド(scaffold)は、生体組織工学的に非常に重要な役割を果たすだけでなく、多孔性構造内に播種された細胞や組織周辺から移動してきた細胞の成長に重要な役割を果たす。ほとんどの人体内の細胞は付着して成長する付着細胞であり、もし付着する場所がなければ、細胞は成長できずに死滅する。よって、支持体は、細胞の付着、分化、成長及び細胞移動に関する好適な環境を提供しなければならない。このような支持体は様々な素材で作製することができるが、総じて天然材料、合成高分子、生体セラミックス及び高分子・セラミックス複合素材を用いて支持体を開発する研究が盛んに行われている。よって、現在まで様々な臓器を模写するオルガノイドが開発されており、それらは主に三次元培養環境であるマトリゲル(Matrigel)で培養されている。
【0004】
しかし、マトリゲルはオルガノイド培養に広く用いられているものの、マウス肉種(sarcoma)に由来するものであり、有力な代替剤がなく、高コストにもかかわらず、マトリゲルの使用に依存せざるを得ないという限界がある。また、特定成分が支配的であり、組織特異的特性の反映に限界がある。それらを補完及び代替すべく、組織及び器官の脱細胞化が細胞培養及び移植のための機能性支持体又はスキャホールドを作製する有望な方法として研究されており、その必要性が高まっている。しかし、現在、オルガノイド培養技術で製造されたオルガノイドは分化度及び機能的な面で実際の人体組織と大きな違いがあり、さらに成熟したオルガノイド培養のための技術開発が求められている現状である。
【0005】
このように、オルガノイド確立のための様々な研究が行われており、肺オルガノイドも開発されている。肺オルガノイド製造方法に関する従来技術としては、hPSC(human pluripotent stem cell)から肺オルガノイドを製造する方法を開示した非特許文献1及び2が挙げられる。
【0006】
しかし、従来の製造方法により製造された呼吸器オルガノイドは、上皮細胞がオルガノイドの内部に位置するので、そのようなオルガノイドを用いて呼吸により流入する毒性物質や有害菌による組織損傷を評価する場合に、当該有害物質をオルガノイドの内部へ注入する過程を追加しければならないという欠点がある。これを解決するために、繊毛細胞(ciliated cell)が外側に位置するapical-out形態の呼吸器オルガノイドが製造されたが、そのオルガノイドにはゴブレット細胞(goblet cell)が存在しないので、病原体曝露による細胞の感染反応を正確に解明することが困難であるという限界がある(非特許文献3)。
【0007】
よって、本発明者らは、細胞外マトリックス成分を調節して呼吸器由来の幹細胞性の基底細胞(basal stem cell)の極性(polarity)を調節することを試み、マトリゲルを代替してラミニンを用いて三次元培養により分化させると、繊毛上皮細胞(ciliated epithelial cell)が外側に位置し、幹細胞性の基底細胞(basal stem cell)が内側に位置し、分泌細胞であるゴブレット細胞(goblet cell)が内部に存在するapical-out形態のオルガノイド、すなわち実際の呼吸器組織の構造をさらに良好に実現する呼吸器オルガノイドを製造できることを確認し、本発明を完成するに至った。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0008】
Development, 144: 986-997, 2017
Nature cell biology, 19(5): 542-549, 2017
Scientific Reports, 12:7673, 2022
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、繊毛上皮細胞が外部に付着した呼吸器オルガノイドを製造する方法と、その製造方法により得られた呼吸器オルガノイドを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明は、(a)呼吸器細胞を細胞外マトリックス(extracellular matrix)物質がコーティングされたプレートで培養するステップと、(b)ステップ(a)で培養した細胞を得て、遠心分離により増殖培地を除去して細胞ペレット(pellet)として得るステップと、(c)前記細胞ペレットを分化培地に再浮遊させ、その後一定数の細胞をプレートに接種及び培養して分化させるステップとを含む、繊毛上皮細胞が外部に現れる呼吸器オルガノイド製造方法を提供する。
(【0011】以降は省略されています)

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