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公開番号2025112998
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-08-01
出願番号2024007598
出願日2024-01-22
発明の名称アシネトバクター属菌及びそれを用いたタンパク質の製造方法
出願人個人,学校法人 明治薬科大学
代理人弁理士法人セントクレスト国際特許事務所
主分類C12N 15/63 20060101AFI20250725BHJP(生化学;ビール;酒精;ぶどう酒;酢;微生物学;酵素学;突然変異または遺伝子工学)
要約【課題】 目的タンパク質の製造において、エンドトキシン等の混入が抑制された宿主となる細菌を、提供すること。
【解決手段】 リポ多糖生合成タンパク質と、BaeRタンパク質及び/又はBaeSタンパク質との、機能が抑制された、アシネトバクター属に属する細菌。
【選択図】 なし

特許請求の範囲【請求項1】
リポ多糖(LPS)生合成タンパク質と、BaeRタンパク質及び/又はBaeSタンパク質との、機能が抑制された、アシネトバクター属に属する細菌。
続きを表示(約 790 文字)【請求項2】
更に、ホスファチジン酸ホスファターゼ2型(PAP2)ファミリータンパク質の機能が抑制された、請求項1に記載の細菌。
【請求項3】
前記LPS生合成タンパク質が、LpxCタンパク質、LpxAタンパク質及びLpxDタンパク質からなる群から選択される、少なくとも1のタンパク質である、請求項1に記載の細菌。
【請求項4】
目的タンパク質を発現可能なDNA構築物が導入された、請求項1に記載の細菌。
【請求項5】
前記DNA構築物が、前記目的タンパク質のN末端にペリプラズム移行シグナルペプチドを融合させて発現可能なDNA構築物である、請求項4に記載の細菌。
【請求項6】
前記ペリプラズム移行シグナルペプチドが、Omp38タンパク質由来のシグナルペプチドである、請求項5に記載の細菌。
【請求項7】
目的タンパク質の製造方法であって、
請求項4~6のうちのいずれか1項に記載の細菌を培養する工程と、
前記工程にて得られた培養物から、前記目的タンパク質を単離する工程とを、
含む方法。
【請求項8】
目的タンパク質を製造するためのキットであって、
請求項1~3のうちのいずれか1項に記載の細菌と、
目的タンパク質を発現可能なDNA構築物とを、含むキット。
【請求項9】
前記DNA構築物が、前記目的タンパク質のN末端にペリプラズム移行シグナルペプチドを融合させて発現可能なDNA構築物である、請求項8に記載のキット。
【請求項10】
前記ペリプラズム移行シグナルペプチドが、Omp38タンパク質由来のシグナルペプチドである、請求項9に記載のキット。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、アシネトバクター属に属する細菌(アシネトバクター属菌)及びそれを用いたタンパク質の製造方法に関し、より詳しくは、リポ多糖(LPS)生合成タンパク質とBaeRタンパク質及び/又はBaeSタンパク質との機能が抑制されたアシネトバクター属菌、並びにそれを用いたエンドトキシン等の混入が抑制された目的タンパク質の製造方法に関する。
続きを表示(約 5,000 文字)【背景技術】
【0002】
細菌を用いた目的とする外来タンパク質の発現システム(組換えタンパク質発現システム)は、現代の科学とバイオ医薬品生産において欠かせないツールである。細菌を発現宿主として利用することは、糖鎖が欠如しているために一部の製品には適用できないものの、培養細胞系と比較して生産コストは格段に低くできる。特に、大腸菌(Escherichia coli;E.coli)は、グラム陰性細菌であり、分子生物学の黎明期からモデル生物として利用され、タンパク質の生産においては確固たる地位を築いている。E.coliにおけるタンパク質発現には、他の細菌や培養細胞系と比較して多くのツールが利用可能である。
【0003】
しかしながら、E.coli等のグラム陰性細菌の外膜に存在するリポ多糖(LPS)は、エンドトキシンとしても知られ、その混入は細菌を用いた組換えタンパク質発現システムにおいて重要な懸念事項となる。エンドトキシンは、哺乳類において炎症反応を引き起こし、最終的に敗血症性ショックを引き起こす可能性がある。そのため、E.coliで発現したバイオ医薬品をヒトの患者に安全に投与するためには、エンドトキシンを完全に除去することが不可欠である。
【0004】
バイオ医薬品等からエンドトキシンを除去することについて、様々な試みがなされている。例えば、E.coliのBL21(DE3)株を遺伝子操作することで、エンドトキシン汚染の問題を緩和するClearColiという株が作られた。この株においては、本来のLPSのヘキサアシル型リピドAが、テトラアシル型リピドA(リピドIVA)に変換されていることによって、ヒトにおけるエンドトキシン反応が抑制される(非特許文献1~4)。さらにまた、LPSを含むグラム陰性細菌に代わるタンパク質発現用の宿主として、酵母、枯草菌、ブレビバチルス(Brevibacillus brevis、Brevibacillus choshinensis)等の菌類やグラム陽性細菌を宿主として利用する方法が検討されてきた(非特許文献5~7)。しかしながら、いずれの方法も、細菌のエンドトキシン検出において最も感度が高く信頼性のある方法であるLALアッセイにおいては陽性となり、商業的に製造されたE.coli由来の組換えタンパク質であったとしても、微量のエンドトキシンが含まれる可能性があることに留意する必要がある(非特許文献8)。
【0005】
なお、LALアッセイは、カブトガニの血球抽出物を利用して行われる、細菌のエンドトキシン検出方法である。当該方法は、1970年代に米国食品医薬品局(FDA)によって承認され、日本、米国、欧州で唯一無二なエンドトキシン試験法として薬局方検討会議(PDG)によって指定されている。
【0006】
このように、バイオ医薬品からのエンドトキシン除去等については、大きな努力を必要とし、開発及び製造費用を大幅に増加させている(非特許文献9)。しかしながら、現在までにエンドトキシンを実質的に含まない組換えタンパク質の製造方法は確立されていない(非特許文献10~12)。
【0007】
また近年、低分子抗体等のバイオ医薬品が、新規創薬モダリティとして注目されており、例えば、ナノボディとも称されるVHH(重鎖抗体の可変ドメイン)抗体は、タンパク質工学技術を用い、多価抗体、多特異性抗体、抗体薬物複合体(ADC)等に容易に改変できるため、医療や診断分野での商業的な応用に大きな可能性を持っている。また、VHH抗体は、通常の抗体と比較して安定性が高く、温度やpHの変動等の厳しい条件下でも活性を保持するといった特徴がある。さらに、VHH抗体の分子量は非常に小さいため(約15kDa)、細菌を用いても生産できる。
【0008】
このように、低分子抗体は、細菌でも発現させることは可能ではある。しかしながら、しばしば封入体の形成が認められ、そこから活性を有する低分子抗体を得るには、リフォールディング等の煩雑な作業を要することになる。また、上述のとおり、細菌由来のエンドトキシン汚染が課題となる。特に、E.coliは外膜にエンドトキシンを持つため、バイオ医薬品の生産宿主としての適応が大きく制限される(非特許文献4、13及び14)。そのため、多くのバイオ医薬品は、培養哺乳動物細胞や昆虫細胞を用いて生産されており、生産コストが著しく増加することになる(非特許文献15)。
【0009】
したがって、バイオ医薬品の生産等において、エンドトキシンを実質的に含まない目的タンパク質の発現を可能とする細菌を用いたシステムの確立が、希求されている。しかしながら、このような発現システム及びそれに有用な細菌は、未だ開発されていない。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0010】
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【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
(【0011】以降は省略されています)

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