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公開番号2025103924
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-07-09
出願番号2023221660
出願日2023-12-27
発明の名称酵素サイクリング反応を用いた検出用試薬
出願人関東化学株式会社
代理人弁理士法人葛和国際特許事務所
主分類C12Q 1/04 20060101AFI20250702BHJP(生化学;ビール;酒精;ぶどう酒;酢;微生物学;酵素学;突然変異または遺伝子工学)
要約【課題】 本発明の課題は、従来技術では実現できていない、汎用性があり、試験方法が簡便で、迅速に結果を得ることができる、対象の薬剤感受性試験や、存在の有無の判定などに用い得る試薬を提供することにある。
【解決手段】 本発明は、試料中の細胞内の検出対象成分を検出するための試薬であって、細胞内の検出対象成分を細胞外に出すための細胞処理剤、および、検出対象成分に対する酵素サイクリング反応を行うための酵素サイクリング反応用組成物を含む、前記試薬、および、該試薬を用いた細胞処理剤に対する微生物細胞の感受性を判定するため、または、試料中の微生物細胞の有無を判定するための方法などに関する。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
試料中の細胞内の検出対象成分を検出するための試薬であって、細胞内の検出対象成分を細胞外に出すための細胞処理剤、および、検出対象成分に対する酵素サイクリング反応を行うための酵素サイクリング反応用組成物を含む、前記試薬。
続きを表示(約 720 文字)【請求項2】
細胞が、細菌または真菌の微生物細胞である、請求項1に記載の試薬。
【請求項3】
細胞処理剤に対する微生物細胞の感受性を判定するため、または、試料中の微生物細胞の有無を判定するための、請求項2に記載の試薬。
【請求項4】
細胞処理剤が、抗菌薬、塩化ベンセルコニウム、臭化セチルトリメチルアンモニウムおよび塩化セチルトリメチルアンモニウムからなる群から選択される1つ以上である、請求項3に記載の試薬。
【請求項5】
抗菌薬が、セフェム系抗菌薬、ペネム系抗菌薬、キノロン系抗菌薬、ペニシリン系抗菌薬、グリコペプチド系抗菌薬およびアミノグリコシド系抗菌薬からなる群から選択される1つ以上である、請求項4に記載の試薬。
【請求項6】
検出対象成分が、NAD+、NADP+、NADHおよびNADPHからなる群から選択される1つ以上である、請求項1に記載の試薬。
【請求項7】
酵素サイクリング反応用組成物が、グルコース、グルコース脱水素酵素、ジアホラーゼの基質およびジアホラーゼを含む、請求項6に記載の試薬。
【請求項8】
ジアホラーゼの基質が、テトラゾリウム塩である、請求項7に記載の試薬。
【請求項9】
テトラゾリウム塩が、WST-8、3-(4,5-ジメチル-2-チアゾリル)-2,5-ジフェニルテトラゾリウムブロミドまたはテトラニトロブルーテトラゾリウムである、請求項8に記載の試薬。
【請求項10】
非イオン性界面活性剤をさらに含む、請求項1に記載の試薬。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、酵素サイクリング反応を用いた検出用試薬およびそれを用いた検出方法などに関する。
続きを表示(約 3,100 文字)【背景技術】
【0002】
細菌などの病原体による感染症の治療において、病院などでは、患者に感染している病原体を特定する試験と、その病原体に有効な抗菌薬などを判定するための試験の両方が行われている。
近年、細菌の特定に関しては、質量分析装置であるMALDI-TOF/MSを用いた極めて迅速な菌種同定法が実用化されている(特許文献1)。
もう一方の細菌に有効な抗菌薬の判定に関しては、未だ迅速な試験方法がない状況である。このため、経験に基づいて抗菌薬が投与されることも多いが、その抗菌薬が細菌の薬剤感受性に対して不適切であった場合、有意に高い死亡率を示すことが報告されている(非特許文献1)。特に、敗血症患者では発症後2時間以内に適切な抗菌薬が投与された場合の生存率は約70%であり、その後は1時間ごとに7.6%ずつ生存率が低下することが示されている(非特許文献2)。
【0003】
一般的な薬剤感受性の試験方法として、微量液体希釈法やディスク拡散法が広く用いられている。微量液体希釈法は、異なる濃度の抗菌薬を含む培地に一定量の菌を接種し、どの濃度まで菌が発育するか観察してその薬剤に対する感受性を判定する方法である。また、ディスク拡散法は、菌を寒天培地に撒き、その上に抗菌薬を含んだディスクを置いて培養行い、ディスクの周りに形成される発育阻止円の大きさから薬剤に対する感受性を判定する方法である(非特許文献3)。これらの方法は、判定までに用手法では18時間程度、高価な自動判定装置を導入しても4~16時間を要し、薬剤感受性試験に掛かる時間が、適正な抗菌薬を選択して早期に治療を開始することの障害となっている。
【0004】
薬剤感受性の試験の迅速化の試みとして、例えば、特許文献2では、抗菌薬を含んだチャンバーと含まないチャンバー内で測定対象とする細菌を培養して、その溶存酸素濃度を測定することで二つのチャンバー内の細菌の活性(酸素消費量)の差から薬剤感受性を判定する方法が記載されている。また、特許文献3では電子顕微鏡などで観察し、抗菌薬が与える細菌の外観変化に基づいて、薬剤感受性を判定する方法が記載されている。ATPを利用した方法として薬剤及び細菌を含む培養液中の死菌由来のATP量を、ルシフェラーゼを利用して発光として計測することで、菌の薬剤に対する感受性を判定する方法(特許文献4)などもあるが、これらの技術を用いても判定までに2時間以上を必要とすることから迅速な抗菌薬の選択の妨げとなり、また大掛かりな設備や特殊な装置が必須となるためにこれら試験方法を導入できる施設は限定される。
【0005】
非特許文献4および5では、菌体内のNAD(P)Hを利用した系が報告されており、これは生存している細菌中のNAD(P)Hの還元作用が、細菌の細胞膜外の電子メディエータを還元することを利用し、反応液中にメナジオンの様な電子メディエータを添加し、電子メディエータを介した反応で生じた活性酸素を、ルミノール反応等の化学発光法(非特許文献4)や、水溶性ホルマザン色素(非特許文献5)を用いることで比色測定するという原理である。この方法では細菌を抗菌薬の存在下で2時間以上培養するなど十分に反応させた後にその菌液を検査対象とする必要があり、判定までに2時間以上を必要としている。
【0006】
環境や食品中の微生物を検出することは、環境や食品の安全性や品質を評価するために非常に重要である。その検査方法には様々な方法が用いられるが、一般的な方法として培養法が挙げられる。この方法では、食品や環境から採取した試料を培地に接種し、コロニーの形成の有無や液体培地の濁りの有無を目視で確認することで行われる。しかしながら、この方法ではコロニーや培地の濁りが目視で確認できる程度まで微生物が発育するのを待たなければならず、数日かかることもある(特許文献5)。また、特許文献5では、画像から微生物を検出する際に画像解析とディープラーニング画像処理ソフトウェアを組み合わせて行う方法も開発されているが、大掛かりな設備や特殊な装置が必須となるためにこれら試験方法を導入できる施設は限定される。
【0007】
以上のように、従来技術では、微生物の薬剤感受性試験においても、微生物の有無の判定においても、結果を得るまでの迅速さや、試験方法の簡便さが十分とは言えず、大掛かりな設備や特殊な装置を用いることが必要となり、汎用性においても十分とは言えないのが実情であった。
【0008】
我々は、既に酵素サイクリング反応を用いて、検体中のアンモニアなどの成分を測定する技術を確立している(特許文献6)。かかる技術を用いて、微生物の薬剤感受性試験や、微生物の有無の判定などを行ったとの報告はない。
なお、酵素サイクリング反応は、特許文献7~9等においても開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
特開2022-113564号公報
特開2020-63959号公報
特表2022-511399号公報
国際公開第2016/103433号
特許第7190534号公報
特開2003-334100号公報
特公平2-34599号公報
特公平3-53919号公報
特許第2579319号公報
【非特許文献】
【0010】
Paul M, et al., “Systematic Review and Meta-Analysis of the Efficacy of Appropriate Empiric Antibiotic Therapy for Sepsis”, Antimicrob. Agents Chemother., 2010, 54, 4851-4863
Kumar A, et al., “Duration of hypotension before initiation of effective antimicrobial therapy is the critical determinant of survival in human septic shock”, Crit Care Med., 2006, 34, 1589-1596
堀龍一朗ら、「微生物検査の基本(2)薬剤感受性試験」日臨麻会誌、 Vol.37 No.5, 684~686
Shiro Y, et al., “Menadione-Catalyzed O2- Production by Escherichia coli Cells: Application of Rapid Chemiluminescent Assay to Antimicrobial Susceptibility Testing”, Microbiol. Immunol., 2001,45(5),333-34
塚谷忠之、「水溶性テトラゾリウム塩WSTを用いた微生物検出法の開発と食品分野への応用」日本食品科学工学会誌 62 (7), 321-327, 2015
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
(【0011】以降は省略されています)

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