特許ウォッチ

公開番号2025090463
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-06-17
出願番号2023205706
出願日2023-12-05
発明の名称口腔内硝酸還元菌増殖剤
出願人ライオン株式会社
代理人弁理士法人酒井国際特許事務所
主分類A61K 31/19 20060101AFI20250610BHJP(医学または獣医学;衛生学)
要約【課題】本発明は、口腔内の硝酸還元菌を選択的に増殖させる口腔内硝酸還元菌増殖剤を提供することを目的とする。
【解決手段】グリチルレチン酸、並びに、グリチルリチン酸及びその塩からなる群より選ばれる1種以上を含有し、好ましくは、増殖させる硝酸還元菌がナイセリア属細菌、及びヘモフィラス属細菌からなる群より選ばれる1種以上を含み、硝酸イオン供給化合物をさらに含有し、う蝕予防・改善剤、又は、歯周病の予防・改善剤である、口腔内硝酸還元菌増殖剤。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項１】
グリチルレチン酸、グリチルリチン酸及びその塩からなる群より選ばれる１種以上を含有する、口腔内硝酸還元菌増殖剤。
続きを表示（約 310 文字）【請求項２】
硝酸還元菌が、ナイセリア属細菌、及びヘモフィラス属細菌からなる群より選ばれる１種以上を含む、請求項１に記載の剤。
【請求項３】
ナイセリア属細菌がナイセリアムコサ、及びナイセリアフラベセンスからなる群より選ばれる１種以上を含むこと、並びに、
ヘモフィラス属細菌がヘモフィラスパラインフルエンザを含むこと、
の少なくともいずれかを満たす、請求項２に記載の剤。
【請求項４】
硝酸イオン供給化合物をさらに含有する、請求項１又は２に記載の剤。
【請求項５】
う蝕予防・改善剤、又は、歯周病の予防・改善剤である、請求項１又は２に記載の剤。

発明の詳細な説明【技術分野】
【０００１】
本発明は、口腔内硝酸還元菌増殖剤に関する。
続きを表示（約 1,600 文字）【背景技術】
【０００２】
口腔内には７００種を超える細菌が存在している。近年、う蝕、歯周病罹患者は健常者と比較して、口腔細菌叢のバランスが乱れていることが報告されており、う蝕、歯周病の予防には口腔細菌叢の制御が重要であると考えられるようになってきている。さらに、細菌由来のＤＮＡを用いた解析技術の進歩により、病気の原因となる細菌だけでなく、健康に関わる細菌について理解が進んでいる。例えばナイセリア属菌やヘモフィラス属菌は健常者に多い代表的な細菌であり、硝酸イオン（ＮＯ
３
－
）を亜硝酸イオン（ＮＯ
２
－
）や一酸化窒素（ＮＯ）に還元する能力を有する。硝酸還元能を有する菌、すなわち硝酸還元菌が宿主であるヒトに利をもたらす機構として、一酸化窒素の血圧低下作用や歯周病原菌に対する抗菌作用、唾液ｐＨの低下抑制による歯の脱灰を防ぐ作用などが知られている。従って、口腔内の硝酸還元菌を選択的に増殖させることはう蝕、歯周病予防において有用である。
【０００３】
硝酸還元菌は、硝酸塩を主要なエネルギー源とするため、硝酸還元菌を口腔内で生育するには硝酸塩を高濃度で供給しなければならない。一方、硝酸塩の過剰摂取により、発がん性のあるＮ－ニトロソ化合物が生成に関与するリスクがあることも指摘されている。そのため、口腔内硝酸塩濃度が低い状況下においても、硝酸還元菌を増殖するシーズが望まれている。そこで、硝酸還元菌増殖剤の探索に着手した。
【０００４】
特許文献１には、水溶性の硝酸塩、塩基性アミノ酸、水溶性アルカリ金属ポリリン酸塩及び水を含有する口腔ケア組成物が、口腔マイクロバイオームの硝酸塩還元を促進させることができる旨記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００５】
国際公開第２０２２／２５１６２６号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００６】
しかし、特定の口腔内細菌を選択的に増殖させる効果を有する成分は知られていない。
【０００７】
本発明は、口腔内の硝酸還元菌を選択的に増殖させることのできる口腔内硝酸還元菌増殖剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【０００８】
本発明は、以下の〔１〕～〔５〕を提供する。
〔１〕グリチルレチン酸、グリチルリチン酸及びその塩からなる群より選ばれる１種以上を含有する、口腔内硝酸還元菌増殖剤。
〔２〕硝酸還元菌が、ナイセリア属細菌、及びヘモフィラス属細菌からなる群より選ばれる１種以上を含む、〔１〕に記載の剤。
〔３〕ナイセリア属細菌がナイセリアムコサ、及びナイセリアフラベセンスからなる群より選ばれる１種以上を含むこと、並びに、ヘモフィラス属細菌がヘモフィラスパラインフルエンザを含むこと、の少なくともいずれかを満たす、〔２〕に記載の剤。
〔４〕硝酸イオン供給化合物をさらに含有する、〔１〕～〔３〕のいずれか１項に記載の剤。
〔５〕う蝕予防・改善剤、又は、歯周病の予防・改善剤である、〔１〕～〔４〕のいずれか１項に記載の剤。
【発明の効果】
【０００９】
本発明によれば、口腔内の硝酸還元菌を選択的に増殖させることができるため、口腔内の硝酸還元能が高まり、亜硝酸塩や一酸化窒素によりう蝕、歯周病を予防又は改善し得る。
【発明を実施するための形態】
【００１０】
［１．口腔内硝酸還元菌増殖剤］
［グリチルレチン酸類］
口腔内硝酸還元菌増殖剤は、グリチルレチン酸、グリチルリチン酸及びその塩からなる群より選ばれる１種以上（以下、グリチルレチン酸類と略記することがある）を含有する。これらのうち２種以上の組み合わせを含有してもよい。
（【００１１】以降は省略されています）

関連特許