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公開番号
2025084916
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2025-06-03
出願番号
2025032245,2022575599
出願日
2025-02-28,2022-01-12
発明の名称
金属顔料、その用途、及び金属顔料の製造方法
出願人
旭化成株式会社
代理人
弁理士法人浅村特許事務所
主分類
C09C
1/62 20060101AFI20250527BHJP(染料;ペイント;つや出し剤;天然樹脂;接着剤;他に分類されない組成物;他に分類されない材料の応用)
要約
【課題】従来技術にない新規な複合粒子を含む金属顔料、及び凝集の少ない金属顔料の製造方法を提供する。
【解決手段】金属粒子及びその表面上にある1層以上の被覆層を有する複合粒子を含む金属顔料であって、(1)前記複合粒子の形状が鱗片状であり、(2)レーザー回折式粒度分布計にて前記複合粒子の粒度分布を測定した場合の体積基準のD
50
が0.1~30μmであり、(3)前記複合粒子の平均厚みが15~300nmであることを特徴とする金属顔料等、によって解決される。
【選択図】なし
特許請求の範囲
【請求項1】
金属粒子及びその表面上にある1層以上の被覆層を有する複合粒子を含む金属顔料であって、
(1)前記複合粒子の形状が鱗片状であり、
(2)レーザー回折式粒度分布計にて前記複合粒子の粒度分布を測定した場合の体積基準のD
50
が0.1~30μmであり、
(3)前記複合粒子の平均厚みが15~300nmであることを特徴とする金属顔料。
続きを表示(約 640 文字)
【請求項2】
折れ曲がった前記複合粒子の割合が10%以下である、請求項1に記載の金属顔料。
【請求項3】
前記複合粒子の4個以上が互いに固着している集合体の個数割合が、前記複合粒子全体の個数に対して35%以下である、請求項1又は2に記載の金属顔料。
【請求項4】
前記金属粒子がアルミニウム又はアルミニウム合金を含有する、請求項1~3のいずれか一項に記載の金属顔料。
【請求項5】
前記一層以上の被覆層が酸化金属被覆層を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の金属顔料。
【請求項6】
前記一層以上の被覆層がケイ素化合物含有層を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の金属顔料。
【請求項7】
前記被覆層の少なくとも1層がポリシロキサンの層である、請求項1~6のいずれか一項に記載の金属顔料。
【請求項8】
前記複合粒子の平均粒子厚みが15~160nmである、請求項1~7のいずれか一項に記載の金属顔料。
【請求項9】
前記複合粒子の平均アスペクト比が20~400である、請求項1~8のいずれか一項に記載の金属顔料。
【請求項10】
前記ポリシロキサンの層を構成するポリシロキサンの構造におけるSi原子が4つの-O-Si-結合を有するQ4構造体の割合が40~90%である、請求項7に記載の金属顔料。
(【請求項11】以降は省略されています)
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本願第1発明は、新規な複合粒子を含む金属顔料に関する。さらに具体的には、本願第1発明は、その第1態様において、個々の粒子の凝集性が小さく、優れた隠ぺい力、色調などを有する新規な複合粒子を含む金属顔料(組成物である場合を含む。)に関する。
本願第1発明は、その第2態様において、金属粒子及びその表面上に形成された酸化金属被覆を有する複合粒子を含んでなる(複合)金属顔料に関し、より具体的には、複合粒子の凝集、変形を効果的に抑制し、塗膜における優れた意匠性、光沢、ブツの抑制、水性塗料における安定性等が高いレベルでバランスした(複合)金属顔料に関する。
本願第2発明は金属粒子がポリシロキサンの層で被覆されている複合粒子から成る金属顔料に関する。本願第2発明は更には、ポリシロキサン層で被覆された複合粒子を含み、ポリシロキサンの縮合度が高く機械的安定性に優れ、且つ、高い意匠性を有した水系塗料に適した金属顔料、ならびに当該金属顔料を含む金属顔料組成物、水性塗料組成物、水性インキ組成物、及び、塗膜に関する。
本願第3発明は、金属顔料の製造方法に関する。さらに具体的には、本願第3発明は、個々の粒子の凝集性が小さく、優れた隠蔽力、色調等を有する複合粒子を含む金属顔料の製造方法に関する。
続きを表示(約 2,400 文字)
【背景技術】
【0002】
従来から、メタリック塗料用、印刷インキ用、プラスチック練り込み用等に、メタリック感を重視する美粧効果を得る目的で金属顔料が使用されている。
近年、塗料分野においては、省資源、無公害化対策として、有機溶剤の使用量の少ない水性塗料への転換の必要性が高まっているが、金属顔料を含むメタリック塗料においては、未だ、実用可能な水性塗料の種類は十分ではない。この理由として、金属顔料は水性塗料中で腐食し易いことが挙げられる。水性塗料中に金属粉末が存在する場合には、各種金属の性質に基づいて、酸性、中性、塩基性のいずれか、あるいは複数の領域において水による腐食が起こり、水素ガスが発生する。これは塗料メーカーやインキメーカーにおける塗料やインキの製造工程や、自動車、家電メーカー、印刷メーカー等における塗装工程や印刷工程において、安全上極めて重大な問題である。また、腐食によって金属表面の平滑性が失われるために色調低下は避けられない。なお、水や水性塗料若しくは水性インキ中における金属顔料の耐腐食性は「貯蔵安定性」と換言され得る。
【0003】
特許文献1(特開2003-147226号公報)には、無機モリブデン被膜を有し、更に該被膜を被覆する非晶質シリカからなる被膜を有するアルミニウム顔料が開示されている。また、特許文献2(国際公開第2004/096921号パンフレット)には、無機モリブデン被膜を有し、更に該被膜を被覆する非晶質シリカからなる被膜及び/又はシランカップリング剤から形成される被膜を有するアルミニウム顔料が開示されている。
しかしながら、これらの特許文献に記載のいずれの方法(アルミニウム顔料の製造方法等)も、金属顔料の色調低下は避けられず、また工程が煩雑であった。
【0004】
また、特許文献3(国際公開第2018/180936号パンフレット)には、凝集体が比較的少ない状態で分散された被覆顔料(金属顔料組成物)を提供することを目的として、金属粒子及びケイ素含有化合物層である被覆層を含み、4個以上の粒子が互いに固着した集合体の割合が小さい複合粒子の被覆顔料が開示されている。
しかし、特許文献3には、攪拌レイノルズ数を所定範囲に調整することが好ましいこと以外に、目的とする凝集体が少ない被覆顔料をいかにして得ることができるのか具体的な教示を見出すことができない。また、特許文献3に規定された特性パラメーターの範囲を充足してもなお、それだけでは十分に満足な貯蔵安定性、低凝集性、隠ぺい力、色調を得ることは困難であることが分かっている。
【0005】
また、水性塗料における金属顔料の安定性を改善するため、例えば非晶質シリカ等の酸化金属で金属粒子を被覆した複合粒子を用いた顔料が提案されている。非晶質シリカ等を被覆した後の顔料粒子はその多くが凝集体として存在する結果、単位質量当たりの隠ぺい力が低下したり、明度が劣ったりする場合があり、凝集を抑制する手段が求められていた。
【0006】
例えば特許文献4では、複合粒子の4個以上が互いに固着している集合体の割合が個数ベースで35%以下という低い値を実現することが可能な技術が提案されている。しかし、この技術では、複合粒子2個若しくは3個が凝集した粒子は許容しており、高光沢のメタリック塗膜等の実現のため、凝集を一層効果的に抑制する技術が求められていた。
また、これらの凝集粒子は、実質的な粒子厚みが凝集のない1次粒子の2~3倍となり得るため、膜厚の薄い塗装塗膜においては粒子が塗膜内に収まらず、粒子の頭出しがブツや光沢低下の原因となる場合があり、塗膜の膜厚を薄くするにあたって障害となっていた。
更に、特許文献4記載の技術では、複合粒子どうしの固着を防ぐために、被覆処理反応の撹拌時に大きな力を加える必要があるため、特に厚みの薄い粒子では撹拌による粒子変形が著しく、これにより被覆後の金属粒子の意匠性が低下する場合があり、その解決が求められていた。
【0007】
また、上述の腐食は金属の表面より起こる為、表面平滑性が低下し、金属顔料が有している意匠性の低下も招いてしまう。
金属顔料の中でも特にアルミフレーク顔料は、両性金属であるために、水系塗料においてアルミニウムが水と反応してガス発生するという問題があり、これの対策としてアルミフレーク顔料表面にポリシロキサン等の金属や半金属の酸化物にて被覆を行うことが有効である。
【0008】
金属粒子が一定量以上の金属や半金属の酸化物で被膜されていれば、塗料の通常の取り扱いでは水素ガスの発生は抑制される。特許文献5ではアルコキシシランの反応工程において、酸触媒と塩基触媒を組み合わせることによってポリシロキサン層を金属顔料に被覆させ、ガス安定性に優れたメタリック効果顔料が提供されるとある。
【0009】
しかしながら、塗料製造時の強い攪拌・混合、又は塗装時の長時間にわたるサーキュレーション(塗料の循環・攪拌)等で、金属顔料に強いせん断力が掛かることにより、被覆層が損傷し、ガス発生性等の貯蔵安定性の低下や色調の変化を招く。特に金属顔料粒子自体のアスペクト比が大きくなると、機械的安定性が低下し、サーキュレーションにより粒子が変形し、この結果、ガス発生等の貯蔵安定性や色調が更に低下してしまう。
【0010】
特許文献5ではポリシロキサンの反応率(架橋度)は制御されず、反応率が十分高められていないために、機械的安定性、塗料化時や塗料サーキュレーション時に被覆層が破損してしまい、貯蔵安定性(ガス発生)、色調が低下してしまう課題があると考えられる。
(【0011】以降は省略されています)
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