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公開番号2025083170
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-05-30
出願番号2023196917
出願日2023-11-20
発明の名称N-フェニルマレイミドの精製方法
出願人旭化成株式会社
代理人個人,個人,個人,個人
主分類C07D 207/448 20060101AFI20250523BHJP(有機化学)
要約【課題】本発明の目的は、N-フェニルマレイミド(PMI)の加水分解、重合、加熱分解及び着色を低減しかつ不純物であるN-フェニルマレアミン酸(PMA)の除去が可能となる、N-フェニルマレイミドを精製する方法を提供することである。
【解決手段】粗N-フェニルマレイミド(PMI)を有機溶媒に溶解させた溶解液をフィルターで濾過精製することを含む、PMIの精製方法であって、前記溶解液中に含まれるN-フェニルマレアミン酸(PMA)とPMIの質量比が所定値以下である、PMIの精製方法。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
粗N-フェニルマレイミド(PMI)を有機溶媒に溶解させた溶解液をフィルターで濾過精製することを含む、PMIの精製方法であって、前記溶解液中に含まれるN-フェニルマレアミン酸(PMA)とPMIの質量比がPMA/PMI=6×10
-5
以下である、PMIの精製方法。
続きを表示(約 220 文字)【請求項2】
精製されたPMIのN-フェニルマレアミン酸(PMA)の含有量が、0.1質量%以下である、請求項1記載の精製方法。
【請求項3】
濾過に用いるフィルターの孔径が、1μm以下である、請求項1又は2記載の精製方法。
【請求項4】
濾過温度が、25℃以下である、請求項1又は2記載の精製方法。
【請求項5】
有機溶媒が、芳香族化合物である、請求項1又は2記載の精製方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、N-フェニルマレイミドの精製方法に関する。
続きを表示(約 2,700 文字)【背景技術】
【0002】
マレイミド化合物は、樹脂原料、医薬農薬等の原料として有用な化合物であり、特に、ABS樹脂、AS樹脂、AB樹脂、ACS樹脂、AES樹脂、AAS樹脂等のスチレン系樹脂、及び、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、フェノール樹脂等の耐熱性向上のために、共重合成分の一つとして多く用いられている。その中でも、N-フェニルマレイミド(以下、PMIともいう)が反応性や耐熱性の点で優れることから、特に広く使用されている。
【0003】
マレイミド化合物の製造方法については、無水マレイン酸と第一アミン類とを一段階で脱水反応させることにより得る方法、無水マレイン酸と第一アミンとからマレアミン酸類を生成させ、このマレアミン酸類の脱水閉環イミド化反応により得る方法、対応するマレアミン酸モノエステル類の閉環イミド化反応により得る方法等、従来から多くの方法が知られている。これらの方法のうち、無水マレイン酸と第一アミン類とから一段階で得る方法では、未だ収率が低いため生産性が悪いという問題、また、マレアミン酸モノエステル類より得る方法では、閉環イミド化反応により発生するアルコールが製品中に残存混入するといった問題等があるため、工業的には一般にマレアミン酸類の脱水閉環イミド化反応により得る方法が行われている。なお、N-フェニルマレイミドを製造する際の第一アミン類はアニリンであり、マレアミン酸類はN-フェニルマレアミン酸である。
【0004】
ところで、上記の方法によりN-フェニルマレイミドを製造するにあたっては、中間体としてN-フェニルマレアミン酸(以下、PMAともいう)の生成を経由することになる。このPMAは加水分解又は加熱分解を受けるとアニリンとマレイン酸が生成し、生成した(又は原料に由来する)アニリンは、目的生成物であるPMIと反応して、2-アニリノ-N-フェニルスクシンイミドを生成することが知られている。上述したような樹脂製品を得るための共重合成分の一つとして、これら中間体や副生成物が不純物として存在するPMIを用いた場合、得られる共重合体が着色あるいは変色したり、共重合体の品質(耐熱性、強度)が低下したりする等といった問題が生じるため、上記の方法によりPMIを製造するにあたっては、脱水剤や触媒等を取り除く精製に加え、不純物PMAを取り除く精製操作が必要である。
【0005】
N-フェニルマレイミドの精製方法は従来から多く知られている。例えば、N-置換マレイミド類を含む反応混合物を60℃以上の水や、硫酸や炭酸ナトリウム、アンモニア等の酸・塩基水溶液で洗浄する方法(例えば、特許文献1~8)が開示されている。また、N-置換マレイミド類を含む反応混合物を水溶液洗浄したのち、得られる有機層をリン酸素酸類の共存下で蒸留する精製方法(例えば、特許文献9、10)や、不純物を含むマレイミド化合物に超臨界状態の二酸化炭素を接触させてマレイミドのみを分離回収する、マレイミド類の精製方法(例えば、特許文献11)も開示されている。
【0006】
しかしながら、上記の60℃以上の水や、酸性及び塩基性水溶液を用いて洗浄精製する方法の場合、特に高温水溶液を用いた場合はマレイミド類の加水分解が併発するため、例えばN-フェニルマレイミドの場合、N-フェニルマレアミン酸(PMA)が副生してしまう問題がある。また、蒸留や超臨界状態の二酸化炭素による精製では、高温や高圧のプロセスを必要とするため、N-フェニルマレイミドの精製方法としては設備やコスト面でハードルが高いといった問題がある。したがって、上述した共重合体の品質(外観、耐熱性、強度)の低下を抑制できるN-フェニルマレイミドを製造するためには、高温や高圧のような過激な条件を必要とすることなく、かつN-フェニルマレイミドの加水分解を抑制しながら不純物N-フェニルマレアミン酸(PMA)を除去できるPMIの精製方法が必要とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
特開2003-055342号公報
特開2009-126866号公報
特表2011-530582号公報
特開平4-139166号公報
特開平5-213869号公報
特開2001-302627号公報
特開2001-302627号公報
特開2003-160557号公報
特開平1-216970号公報
特開昭61-229862号公報
特開昭62-238262号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、N-フェニルマレイミド(PMI)の加水分解、重合、加熱分解及び着色を低減しかつ不純物であるN-フェニルマレアミン酸(PMA)の除去が可能となる、N-フェニルマレイミドを精製する方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上述した従来技術の問題を解決するために鋭意検討した結果、粗N-フェニルマレイミド(PMI)を特定の有機溶媒に対して溶解させた際、PMIとその不純物であるPMAの溶解度が大きく異なることを見出し、温度と濃度を制御して有機溶媒に溶解させたPMIとPMAの混合溶液をフィルター濾過して、PMI中のPMA含有量を低減することにより、上記課題を解決できることを明らかにした。
【0010】
すなわち、本発明は以下のとおりである。
[1]
粗N-フェニルマレイミド(PMI)を有機溶媒に溶解させた溶解液をフィルターで濾過精製することを含む、PMIの精製方法であって、前記溶解液中に含まれるN-フェニルマレアミン酸(PMA)とPMIの質量比がPMA/PMI=6×10
-5
以下である、PMIの精製方法。
[2]
精製されたPMIのPMAの含有量が、0.1質量%以下である、[1]に記載の精製方法。
[3]
濾過に用いるフィルターの孔径が、1μm以下である、[1]又は[2]に記載の精製方法。
[4]
濾過温度が、25℃以下である、[1]から[3]のいずれかに記載の精製方法。
[5]
有機溶媒が、芳香族化合物である、[1]から[4]のいずれかに記載の精製方法。
【発明の効果】
(【0011】以降は省略されています)

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