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公開番号2025073438
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-05-13
出願番号2023184226
出願日2023-10-26
発明の名称強化ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物
出願人旭化成株式会社
代理人個人,個人,個人
主分類C08L 71/12 20060101AFI20250502BHJP(有機高分子化合物;その製造または化学的加工;それに基づく組成物)
要約【課題】ポリフェニレンエーテル系樹脂の、炭素繊維との親和性を改善することで、軽量性や機械的強度を損なうことなく、押出安定性を改善し、特に自動車の周辺部材に有効に使用可能なポリフェニレンエーテル系樹脂組成物を提供することを目的とする。
【解決手段】上記目的を達成するべく、本発明は、ポリフェニレンエーテル(A)、スチレン系樹脂(B)、炭素繊維(C)、並びに、テルペンフェノール樹脂、C5/C9系石油樹脂及びC9系石油樹脂の中から選ばれる1種以上の成分(D)を含み、前記(A)成分の含有量が30~70質量部、前記(B)成分の含有量が10~60質量部、前記(C)成分の含有量が5~15質量部、前記(D)成分の含有量が5~25質量部であり、含有比率(C)/(D)が、(C)/(D)=3.5/6.5~5/5の範囲内であり、前記(A)成分、(B)成分、(C)成分及び(D)成分の合計含有量が87質量%以上を占めることを特徴とする。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
ポリフェニレンエーテル(A)、スチレン系樹脂(B)、炭素繊維(C)、並びに、テルペンフェノール樹脂、C5/C9系石油樹脂及びC9系石油樹脂の中から選ばれる1種以上の成分(D)を含み、
前記(A)成分、前記(B)成分、前記(C)成分及び前記(D)成分の合計含有量100質量部に対して、前記(A)成分の含有量が30~70質量部、前記(B)成分の含有量が10~60質量部、前記(C)成分の含有量が5~18質量部、前記(D)成分の含有量が5~25質量部であり、
前記(C)成分と、前記(D)成分との含有質量比率((C)/(D))が、(C)/(D)=3.5/6.5~5/5の範囲内であり、
前記(A)成分、前記(B)成分、前記(C)成分及び前記(D)成分の合計含有量が、樹脂組成物全体の87質量%以上を占めることを特徴とする、強化ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物。
続きを表示(約 610 文字)【請求項2】
前記樹脂組成物中の結晶性樹脂の含有量が、5質量%以下であることを特徴とする、請求項1に記載の強化ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物。
【請求項3】
前記(C)成分以外の無機フィラーを、3質量%以下含むことを特徴とする、請求項1又は2に記載の強化ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物。
【請求項4】
前記樹脂組成物中に有機リン系難燃剤(E)を、8質量%以下含むことを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載の強化ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物。
【請求項5】
前記(C)成分が、エポキシ系収束剤で収束した炭素繊維であることを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載の強化ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物。
【請求項6】
前記(D)成分が、テルペンフェノール樹脂を少なくとも含有することを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載の強化ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物。
【請求項7】
前記テルペンフェノール樹脂は、Hoyの定数で計算されたSP値(δ)が8.80~9.50の範囲内であるテルペンフェノール樹脂であることを特徴とする、請求項6に記載の強化ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物。
【請求項8】
請求項1又は請求項2に記載の強化ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物からなることを特徴とする、自動車周辺部品。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、強化ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物に関する。
続きを表示(約 3,200 文字)【背景技術】
【0002】
ポリフェニレンエーテル系樹脂は、通常、ポリフェニレンエーテル及びスチレン系樹脂、を必要とされる耐熱性や成形流動性のレベルに応じて任意の割合で併用配合したものであり、さらに必要に応じて、エラストマー成分や、難燃剤、無機フィラー、熱安定剤等の添加剤成分を配合して樹脂組成物としたものである。
このようなポリフェニレンエーテル系樹脂は、耐熱性、機械的物性、成形加工性、耐酸アルカリ性、寸法安定性、電気特性等に優れるため、家電OA、事務機、情報機器、自動車分野等に広く用いられている。中でも自動車用途においては、軽量化による燃費改善のため、より低比重で高い機械的強度を有する材料が要求されており、炭素繊維を配合したポリフェニレンエーテル系樹脂組成物による開発が期待されている。
【0003】
ただし、ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物において、構成成分として炭素繊維を配合することで十分な機械的強度を付与するためには、ある程度多量の炭素繊維の配合が必要となる。
通常、樹脂に配合される炭素繊維は、単繊維(原糸)を収束剤で束ねた連続繊維束を、2~7mm程度の長さに裁断したペレット又はフレーク形状の、所謂、チョップドストランドの製品が使用される。これを二軸押出機のバレル途中の開口部から溶融した樹脂組成物中へ供給(サイドフィード)して押出機中で樹脂に練り込む際、炭素繊維は通常の無機フィラーと比べて軽量で嵩高いためフィード自体が困難である上にフィードの途中で繊維束がばらけることでさらにフィード性が低下する。さらにはポリフェニレンエーテル系樹脂との親和性も必ずしも十分ではない場合もあって、長時間の生産時には樹脂への混練性不十分によるフィード閉塞や押出ストランド切れ、ストランド引取性不良などのトラブル発生が頻繁に認められる。
【0004】
従来、そうしたフィード性の問題は、炭素繊維自体の安定フィード法を検討することや、生産レートの低減、押出機のスクリューパターン修正等の押出条件を調整することで対応することが一般的であったが、それだけでは必ずしも十分な効果は得られなかった。
そのため、ポリフェンレンエーテル系樹脂自体の炭素繊維との親和性を高めることでスムーズな炭素繊維の混練分散を達成し、材料の軽量性、機械的強度を損なうことなく生産安定性を改善するかが重要な課題であった。
【0005】
なお、無機フィラーを多量に配合したポリフェニレンエーテル系樹脂組成物の押出性を改善するため、石油ナフサから得られる芳香族炭化水素樹脂、テルペンフェノリック樹脂、石炭のコールタールから誘導されるクロマンインデン樹脂を配合した樹脂組成物に関する技術が開示されている(例えば特許文献1を参照)。
しかしながら、特許文献1に開示されたポリフェニレンエーテル系樹脂組成物は、主にガラス繊維のような無機フィラーを高濃度で配合したもので、押出時にトルクオーバーとなって押出ができない樹脂組成物であって、そのような樹脂組成物の溶融流動性を改善することで押出性の改善を図ったものである。一方、本願はポリフェニレンエーテル系樹脂と炭素繊維との親和性を改善することで、主として生産安定性の改善を目的としたものであることから、その組成も、その奏する効果も、本願の発明とは異なるものである。
【0006】
また、ポリアミド樹脂とポリフェニレンエーテル系樹脂との樹脂組成物中に、特定のテルペンフェノール樹脂を特定量含有させることによる、塗膜密着性の改善に関する技術も開示されている(例えば特許文献2を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
特公昭61-54337号公報
特許第3812958号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、ポリフェニレンエーテル系樹脂の、炭素繊維との親和性を改善することで、軽量性や機械的強度を損なうことなく生産安定性を改善し、特に自動車の周辺部材に有効に使用可能な、強化ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物を提供することを目的とする。
また、本発明は、軽量性や機械的強度を損なうことなく生産安定性が改善された強化ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物を用いた自動車周辺部品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、炭素繊維を配合して強化したポリフェニレンエーテル系樹脂組成物において、ポリフェニレンエーテル系樹脂の、炭素繊維との親和性を改善させるために、特定の石油樹脂やテルペンフェノール樹脂を特定量比で配合させることによって、良好な軽量(低比重)性と機械的強度を有し、材料の生産安定性を改善した樹脂組成物を見出した。また、得られたポリフェニレンエーテル樹脂組成物は、自動車周辺部材の用途にも有効に使用することが可能であることも見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
本発明は、以上の知見に基づきなされたものであり、その要旨は以下の通りである。
〔1〕 ポリフェニレンエーテル(A)、スチレン系樹脂(B)、炭素繊維(C)、並びに、テルペンフェノール樹脂、C5/C9系石油樹脂及びC9系石油樹脂の中から選ばれる1種以上の成分(D)を含み、
前記(A)成分、前記(B)成分、前記(C)成分及び前記(D)成分の合計含有量100質量部に対して、前記(A)成分の含有量が30~70質量部、前記(B)成分の含有量が10~60質量部、前記(C)成分の含有量が5~18質量部、前記(D)成分の含有量が5~25質量部であり、
前記(C)成分と、前記(D)成分との含有質量比率((C)/(D))が、(C)/(D)=3.5/6.5~5/5の範囲内であり、
前記(A)成分、前記(B)成分、前記(C)成分及び前記(D)成分の合計含有量が、樹脂組成物全体の87質量%以上を占めることを特徴とする、強化ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物。
〔2〕前記樹脂組成物中の結晶性樹脂の含有量が、5質量%以下であることを特徴とする、前記〔1〕に記載の強化ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物。
〔3〕前記(C)成分以外の無機フィラーを、3質量%以下含むことを特徴とする、前記〔1〕又は〔2〕に記載の強化ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物。
〔4〕前記樹脂組成物中に有機リン系難燃剤(E)を、8質量%以下含むことを特徴とする、前記〔1〕~〔3〕のいずれかに記載の強化ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物。
〔5〕前記(C)成分が、エポキシ系収束剤で収束した炭素繊維であることを特徴とする、
前記〔1〕~〔4〕のいずれかに記載の強化ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物。
〔6〕前記(D)成分が、テルペンフェノール樹脂を少なくとも含有することを特徴とする、前記〔1〕~〔5〕のいずれかに記載の強化ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物。
〔7〕前記テルペンフェノール樹脂は、Hoyの定数で計算されたSP値(δ)が8.80~9.50の範囲内であるテルペンフェノール樹脂であることを特徴とする、前記〔6〕に記載の強化ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物。
〔8〕前記〔1〕~〔7〕のいずれかに記載の強化ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物からなることを特徴とする、自動車周辺部品。
【発明の効果】
(【0011】以降は省略されています)

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