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公開番号2025084801
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-06-03
出願番号2025023531,2021558525
出願日2025-02-17,2020-03-27
発明の名称線維芽細胞活性化タンパク質結合物質およびその使用
出願人オリオニス バイオサイエンシズ,インコーポレイテッド,オリオニス バイオサイエンシズ ビーブイ
代理人個人,個人,個人,個人,個人
主分類C07K 16/40 20060101AFI20250527BHJP(有機化学)
要約【課題】癌の治療のための、線維芽細胞活性化タンパク質(FAP)を標的にする、またはそれに結合するFAP結合物質を提供する。
【解決手段】ターゲティング部分を含む線維芽細胞活性化タンパク質(FAP)結合物質であって、ターゲティング部分が、3個の相補性決定領域(CDR1、CDR2、およびCDR3)を含み、各CDRが特定のアミノ酸配列からなる配列あるいはアミノ酸配列のいずれか1つの中に1~5個のアミノ酸置換、欠失、または挿入を有するアミノ酸配列、を含む、FAP結合物質である。
【選択図】図24E
特許請求の範囲【請求項1】
ターゲティング部分を含む線維芽細胞活性化タンパク質(FAP)結合物質であって、ターゲティング部分が、3個の相補性決定領域(CDR1、CDR2、およびCDR3)を含み、
(a)CDR1が、
(i)配列番号1108、1129、1093~1107、および1109~1128のいずれか1つのアミノ酸配列、
(ii)配列番号87~115のいずれか1つのアミノ酸配列、
(iii)配列番号851~861のいずれか1つのアミノ酸配列、
(iv)(i)~(iii)のアミノ酸配列のいずれか1つの中に1~5個のアミノ酸置換、欠失、または挿入を有するアミノ酸配列、
を含み、
(b)CDR2が、
(i)配列番号126、128、116~125、127、および129~144のいずれか1つのアミノ酸配列、
(ii)配列番号862~876のいずれか1つのアミノ酸配列、
(iii)(i)~(ii)のアミノ酸配列のいずれか1つの中に1~5個のアミノ酸置換、欠失、または挿入を有するアミノ酸配列、
を含み、かつ
(c)CDR3が、
(i)配列番号157、159、145~156、158、160~175のいずれか1つのアミノ酸配列、
(ii)配列番号877~879のいずれか1つのアミノ酸配列、
(iii)(i)~(ii)のアミノ酸配列のいずれか1つの中に1~5個のアミノ酸置換、欠失、または挿入を有するアミノ酸配列、
を含む、
線維芽細胞活性化タンパク質(FAP)結合物質。
続きを表示(約 1,300 文字)【請求項2】
前記FAP結合物質が、完全長抗体、完全長抗体、単一ドメイン抗体、組換え重鎖のみで構成される抗体(VHH)、単鎖抗体(scFv)、サメ重鎖のみで構成される抗体(VNAR)、マイクロタンパク質、darpin、アンチカリン、アドネクチン、アプタマー、Fv、Fab、Fab’、F(ab’)

、ペプチド模倣分子、受容体に対する天然リガンド、または合成分子である、請求項1に記載のFAP結合物質。
【請求項3】
前記ターゲティング部分が、単一ドメイン抗体である、請求項2に記載のFAP結合物質。
【請求項4】
前記ターゲティング部分が、VHH、ヒト化VHH、またはラクダ化VHHを含む、請求項2に記載のFAP結合物質。
【請求項5】
(a)配列番号1087、1092、1086、1088~1091のいずれか1つ、
(b)配列番号2~42のいずれか1つ、
(c)配列番号46~86のいずれか1つ、
(d)配列番号837~850のいずれか1つ、または
(e)配列番号1045~1085のいずれか1つ、
と少なくとも90%の配列類似性を有するアミノ酸配列を含む、請求項1~4のいずれか1項に記載のFAP結合物質。
【請求項6】
前記FAP結合物質が、1種または複数のシグナル伝達物質を含む、請求項1~5のいずれか1項に記載のFAP結合物質。
【請求項7】
前記シグナル伝達物質が、野生型インターフェロン、野生型インターロイキン、野生型腫瘍壊死因子、またはその改変型の1種または複数から選択される、請求項6に記載のFAP結合物質。
【請求項8】
前記ターゲティング部分および前記シグナル伝達物質が、1個または複数のリンカーと任意に連結される、請求項7に記載のFAP結合物質。
【請求項9】
前記シグナル伝達物質が、配列番号176または177と少なくとも95%の同一性を有するアミノ酸配列を含む改変インターフェロンアルファ2(IFNα2)でありかつ前記改変ヒトIFNα2が、配列番号176または177のアミノ酸配列を有する野生型IFNα2に比べて改善された安全性を付与する1個または複数の変異を有する、請求項6または7に記載のFAP結合物質。
【請求項10】
前記IFNα2が、
(a)配列番号176または配列番号177を基準にして位置144~154に1個または複数の変異、
(b)配列番号176または177を基準にして位置L15、A19、R22、R23、L26、F27、L30、K31、D32、R33、H34、D35、Q40、H57、E58、Q61、F64、N65、T69、L80、Y85、Y89、T106、D114、L117、R120、R125、K133、K134、R144、A145、M148、R149、S152、L153、およびN156に1個または複数の変異、
を有する、請求項9に記載のFAP結合物質。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2019年3月28日に出願された米国特許仮出願第62/825,575号の利益および優先権を主張する。この仮出願の内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
続きを表示(約 3,400 文字)【0002】
発明の分野
本技術は、一部は、線維芽細胞活性化タンパク質(FAP)を結合する結合物質、キメラタンパク質およびFcベースキメラタンパク質複合体ならびに治療薬および診断薬としてのそれらの使用に関する。
【0003】
電子申請したテキストファイルの説明
本明細書と共に電子申請された次記のテキストファイルの内容は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる:配列表のコンピュータ可読形式コピー(ファイル名:ORN-059PC_ST25;作成日付:2020年3月26日、ファイルサイズ:770,048バイト)。
【背景技術】
【0004】
線維芽細胞は、健康な組織の構造と機能を調節し、急性炎症後の組織修復に一過的に関与し、さらに癌を含む慢性炎症状態の間に異常な促進的役割を有する。癌関連線維芽細胞(CAF)は、腫瘍微小環境を調節し、腫瘍を促進するようにまたは腫瘍を抑制するように、新生細胞の挙動に影響を与える。腫瘍の微小環境の理解は、癌の治療にとって重要である。線維芽細胞は、サイトカイン、脂質メディエーターおよび成長因子などの多種多様な免疫調節因子を発現する。さらに、線維芽細胞は、多数の表面受容体および細胞内受容体および外因性シグナルに対する応答に必要な分子装置を呈示する。線維芽細胞は、線維芽細胞が炎症を開始できるという事実を考慮して、「本職の」免疫系の延長部分と見なすことができる。線維芽細胞は、多数の正常および病的過程に関与する。異常な線維芽細胞が関連することが知られている疾患の例としては、癌、心臓血管疾患、および自己免疫疾患が挙げられる。CAFは、主要な間質成分であり、主としてタンパク分解性酵素、成長因子、およびサイトカインの放出により、腫瘍微小環境の調節においておよび腫瘍細胞の挙動への影響において重要な役割を果たす。調査は、間質の癌促進性および治療抵抗性が、線維芽細胞の作用に起因し得ることを示した。
【0005】
ヒト線維芽細胞活性化タンパク質(FAP;ジェンバンク受入番号AAC51668;NCBI基準配列:NM004460.3)は、セプラーゼとしても知られ、170kDaの内在成膜セリンペプチダーゼ(EC3.4.21.B28)である。FAPは、ジペプチジルペプチダーゼIVファミリーに属し、酵素の触媒ドメインが配置される大きなC末端細胞外ドメインを有する2個のN-グリコシル化サブユニットを含むホモダイマーである(Scanlan et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 91(1994),5657-5661)。FAPは、そのグリコシル化型で、ポストプロリルジペプチジルペプチダーゼ活性およびゼラチナーゼ活性の両方を有する(Sun et al.,Protein Expr.Purif.24(2002),274-281)。従って、FAPは、ジペプチジルペプチダーゼ活性と、ゼラチンおよびI型コラーゲンを切断するエンドペプチダーゼ活性の両方を有するセリンプロテアーゼである。
【0006】
FAPは、特有の組織分布を有する;その発現は、肺癌、結腸直腸癌、膀胱癌、卵巣癌および乳癌を含む、原発性および転移性上皮腫瘍の90%を越える反応性間質線維芽細胞で高度に発現上昇され、一方でそれは一般に、正常な成人組織には存在しないことが明らかになった(Rettig et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85(1988),3110-31 14;Garin-Chesa et al,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 87(1990),7235-7239)。その後の報告は、FAPは間質線維芽細胞中で発現されるのみでなく、いくつかの型の上皮起源の悪性細胞中でも発現されること、およびFAP発現は、悪性の表現型と直接相関することを示した(Jin et al.,Anticancer Res.23(2003),3195-3198)。
【0007】
多くの一般的なの癌でのその発現および正常組織での限られた発現のため、FAPは、種々の癌腫のイメージング、診断および治療のための有望な抗原性標的である。異常な線維芽細胞に関連する疾患の治療、例えば、CAF機能または線維性疾患の調節による癌の治療のための、改善された治療法の必要性が残されている。
【発明の概要】
【0008】
一態様では、本技術は、FAPを標的にする、またはそれに結合する線維芽細胞活性化タンパク質(FAP)結合物質に関する。いくつかの実施形態では、FAP結合物質は、FAPターゲティング部分を含む。FAP結合物質またはFAPターゲティング部分は、例えば、完全長抗体、単一ドメイン抗体、組換えの重鎖のみの抗体(VHH)、単鎖抗体(scFv)、サメの重鎖のみの抗体(VNAR)、マイクロタンパク質、darpin、アンチカリン、アドネクチン、アプタマー、Fv、Fab、Fab’、F(ab’)

、ペプチド模倣分子、受容体に対する天然リガンド、または合成分子であり得る。いくつかの実施形態では、FAPターゲティング部分は、単一ドメイン抗体(VHH)である。いくつかの実施形態では、FAP結合物質は、直接的にまたは間接的に、疾患関連F2線維芽細胞を含む疾患微小環境(例えば、疾患関連F2線維芽細胞を含む腫瘍微小環境)を変える。いくつかの実施形態では、FAP結合物質は、疾患関連F2線維芽細胞を直接的にまたは間接的に分極させる。いくつかの実施形態では、FAP結合物質は、シグナル伝達物質、例えば、限定されないが、それらの活性を弱めるように改変され得る、インターフェロン、インターロイキン、および腫瘍壊死因子をさらに含む。いくつかの実施形態では、FAP結合物質は、目的とする他の標的(例えば、抗原または受容体)に結合する追加のターゲティング部分を含む。別の実施形態では、目的とする他の標的(例えば、抗原または受容体)は、線維芽細胞上に存在する。いくつかの実施形態では、目的とする他の標的(例えば、抗原または受容体)は、癌間質中の線維芽細胞上に存在する。いくつかの実施形態では、本発明の線維芽細胞結合物質は、免疫細胞、(例えば、樹状細胞)を、作用の部位(例えば、非限定的例であるが、腫瘍微小環境など)に直接的にまたは間接的に動員し得る。いくつかの実施形態では、本発明のFAP結合物質は、腫瘍間質中の免疫細胞(例えば、樹状細胞、マクロファージ)により、または線維芽細胞により直接的に、抗原(例えば、抗原または受容体)の提示を促進する。
【0009】
いくつかの実施形態では、これらのFAP結合物質は、FAPに結合するが、FAPを機能的に調節しない(例えば、部分的にまたは完全に中和しない)。したがって、いくつかの実施形態では、本発明のFAP結合物質は、例えば、依然としてFAP発現細胞にFAPを介するシグナル伝達をさせながらFAP発現細胞を目的の部位に直接または間接的に動員するのに使用される(すなわち、FAP結合物質の結合は、目的の部位でのFAPシグナル伝達を低減または除去しない)。逆に、いくつかの実施形態では、本発明のFAP結合物質は、例えば、FAP発現細胞にFAPを介するシグナル伝達をさせずに、FAP発現細胞を目的の部位に直接または間接的に動員するのに使用される(すなわち、FAP結合物質の結合は、目的の部位でのFAPシグナル伝達を低減または除去する)。いくつかの実施形態では、FAPターゲティング部分は、単一ドメイン抗体(VHH)である。
【0010】
別の態様では、本技術は、本明細書で開示のFAP結合物質を有する、またはFAPを標的にするまたはそれに結合する、少なくとも1個のターゲティング部分を有するキメラタンパク質またはFcベースキメラタンパク質複合体に関する。別の態様では、本明細書で開示のFAP結合物質上記キメラタンパク質もしくはFcベースキメラタンパク質複合体は、癌、感染症、炎症性疾患または状態、免疫異常、線維性疾患ならびに他の疾患および障害などの種々の疾患または障害の治療方法に有用である。
(【0011】以降は省略されています)

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