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公開番号2025083096
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-05-30
出願番号2023196777
出願日2023-11-20
発明の名称アスパラガスの栽培方法および該栽培方法に用いられる液状マルチ剤
出願人学校法人明治大学,トーテク株式会社
代理人個人,個人,個人
主分類A01G 22/10 20180101AFI20250523BHJP(農業;林業;畜産;狩猟;捕獲;漁業)
要約【課題】地下茎から萌芽する新芽が所定長さに生育したものを収穫するアスパラガスの栽培において、アスパラガスの養成株が茎枯病に罹患することを防止する。
【解決手段】アスパラガスの地下茎が生育する圃場に、春先、第一液状マルチ剤を散布して黒色の被覆膜で覆った状態でアスパラガスを収穫した後の立茎時期に対応して、圃場と養成株の茎葉部とを、第二液状マルチ剤を散布して白色の被覆膜で覆うことで、地温の上昇を抑制して丈夫な地下茎の育成を図ると共に、養成株の茎部に、降雨時に、病原菌を含む泥跳ね水が付着することで茎枯病に罹患することを防止するようにする。
【選択図】図3

特許請求の範囲【請求項1】
圃場のアスパラガス地下茎から萌芽した新芽が成長し、収穫高さになった若茎を切断して収穫するアスパラガスの栽培方法であって、
前記地下茎から新芽が萌芽する前の春先に、黒色顔料を主成分の一つとして含有する第一液状マルチ剤を圃場に散布して該圃場が黒色の被覆膜に覆われた状態でアスパラガスの栽培をし、しかる後、気温が上昇した立茎時期に対応し、白色顔料を主成分の一つとして含有する第二液状マルチ剤を圃場に散布して、該圃場が白色の被覆膜に覆われた状態でアスパラガスを継続して栽培することを特徴とするアスパラガスの栽培方法。
続きを表示(約 850 文字)【請求項2】
第二液状マルチ剤の散布は、気温が18℃から25℃、好ましくは22℃になる時期に実行されることを特徴とする請求項1記載のアスパラガスの栽培方法。
【請求項3】
第二液状マルチ剤の散布は養成株の茎葉部を含み、該茎葉部の表面を第二液状マルチ剤の被覆膜で被覆することを特徴とする請求項1記載のアスパラガスの栽培方法。
【請求項4】
第二液状マルチ剤による茎葉部表面の被覆高さは、圃場面から5cm以上であることを特徴とする請求項3記載のアスパラガスの栽培方法。
【請求項5】
第二液状マルチ剤の圃場への散布は繰り返されることがあり、該第二液状マルチ剤の繰り返される散布は、前回散布した第二液状マルチ剤の被覆膜が1/4以上が消失した段階で行われることを特徴とする請求項3記載のアスパラガスの栽培方法。
【請求項6】
第二液状マルチ剤の茎葉部への被覆は、前記第二液状マルチ剤の圃場への繰り返される散布のとき以外にも繰り返されることがあり、該第二液状マルチ剤の圃場に繰り返される散布以外の茎葉部への繰り返される被覆は、茎葉部への散布または塗布により実行されることを特徴とする請求項3記載のアスパラガスの栽培方法。
【請求項7】
第一液状マルチ剤は、黒色顔料の他に、いずれも生分解性のある高分子エマルジョン、分散剤を主成分とする黒色の懸濁エマルジョン水溶液であり、
第二液状マルチ剤は、白色顔料の他に、いずれも生分解性がある高分子エマルジョン、分散剤を主成分とする白色の懸濁エマルジョン水溶液であることを特徴とする請求項1記載のアスパラガスの栽培方法に用いられる液状マルチ剤。
【請求項8】
除草剤若しくは殺菌剤から選択される薬剤の少なくとも一種類が、第一液状マルチ剤、および/または第二液状マルチ剤に混合されていることを特徴とする請求項7記載のアスパラガスの栽培方法に用いられる液状マルチ剤。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、野菜の一つとして食用されるアスパラガスの栽培方法および該栽培方法に用いられる液状マルチ剤の技術分野に関するものである。
続きを表示(約 7,600 文字)【背景技術】
【0002】
一般に、野菜の一つとしてアスパラガスが知られているが、該アスパラガスは、キジカク科クサスギヤズラ属として分類されるものであって、播種に伴い新芽が出芽(発芽)し、該新芽が生育して茎が伸長する点は多くの野菜(植物)と同じであるが、播種した種から出芽した新芽が収穫高さ(例えば25cm)まで生育したものを収穫して食するものではなく、播種後、例えば2年間くらいまでは新芽の萌芽、立茎を繰り返すことで地下茎(地下株、根株)の成長を促し、そして3年目の春以降、栄養を蓄え成長した地下茎から出芽(萌芽)した新芽について収穫高さまで生育した若茎を収穫し、該収穫した茎部がアスパラガスとして市場に出回ることになる。
このようなアスパラガスは、通常播種した後の3年目以降からは長年(10年から15年)に渡って収茎し続けられることになるが、そのためには、播種した年は、播種した種子から発芽した新芽を収穫することなくそのまま大きく成長させて株養成し、該立茎したものに繁茂する茎葉による光合成によって生成した養分が蓄積された地下茎として越年する。
そして翌2年目、同じく収穫することなく立茎させてさらに地下茎に蓄積し、成長し養分を蓄積した地下茎として越年する。そしていよいよ3年目となった以降、例えば関東地方においては、図4に示すように、2月から3月の春先において萌芽し始める新芽の所定高さになったものを切断して収穫する春芽収穫期間が凡そ4月から5月まで継続する。その後、5月から6月までを立茎期間として丈夫な新芽を選択する状態で、収穫することなくそのまま生育させて立派な茎葉のある母茎とし、そして該立茎期間では、立茎されたものの葉が光合成することにより生成した養分が地下茎に蓄積され、立茎期間後、立茎によって蓄積され続ける地下茎から新芽の萌芽が続く10月から11月までが夏芽収穫期間となってアスパラガスの収穫が続き、そして秋が深まるに伴い地下部が枯れる一方、地下茎は養分が蓄積された状態で越冬する。この様な循環を繰り返すことで、アスパラガスは前述したように長年に渡って収穫が繰り返してできる野菜である。
このようなアスパラガスを栽培する場合において大敵な病害の一つとして茎枯病(Stem blight)が知られている。この茎枯病の病原菌(Diaporthe asparagi(Phomopsis asparagi))は糸状菌の一種であり、茎枯病の病原菌が立茎の茎部に付着して感染し発病(一次感染)すると、該感染部が薄褐色に変色する。そして感染が進むと、該感染部に黒色(黒褐色)の斑点状のものが現れるが、この斑点状のものを分生子殻と称している。そしてこの分生子殻中には、病原菌になる無数の分生子が生成されており、該分生子の成長が満ちて分生子殻が破れることで、分生子が空気中に飛散する。そしてこの飛散した分生子の一部が、他の茎に付着することで茎枯病に罹患することになって茎枯病が蔓延(二次感染)するといわれている。
一方、飛散した分生子の一部は、圃場に落下し土壌中で越冬し、この越冬した分生子が翌年の茎枯病の病原菌となり、これらが要因になって茎枯病の蔓延が毎年のように繰り返され、アスパラガスの健全な栽培に大きなダメージを与えている。
そしてこのような茎枯病に対して、今日までに多種多様な防除方法、防除剤(消毒剤)が開発され、実用化されている。そしてこのように防除剤を用いたもののなかには、例えば、ベノミル水和物とTPN(クロロタロニル)水和物を用いて防除することが好適であって、特に一次感染、二次感染に対する防除を組み合わせることで効果のある防除ができることが報告されている(例えば非特許文献1参照)。
しかしながらアスパラガスは、前述したように多年に渡って栽培が繰り返されるものであるため、防除剤を用いた前記のような防除方法をしたときに、長年に渡って繰り返される薬剤使用により病原菌が薬剤耐性を獲得し、防除効果が次第に希薄になっていくだけでなく、このような防除剤が長年に渡り環境中に残留することになって生態系に悪影響を及ぼすおそれがあり社会的な問題にもなっている。
さらには、ハウス栽培や、秋の養生株の刈りとり後にバーナー焼きをして防除する方向も提唱されているが、ハウス栽培するための設備の設置及び維持に多大な経費負担が必要になるうえ、ハウス内において防除効果を維持することが難しい等、対応に苦慮しているのが現状である。
【0003】
一方、アスパラガスは、生育適温が10℃から30℃、乾燥にやや強いという特性を有した植物であり、このような野菜を栽培する場合に、春先において早期の萌芽を促進させるため、黒色のマルチシート(フイルムマルチ)を圃場面(畝面)に敷設して地温を上昇させることがあり、これをアスパラガスの栽培に適用したときに、前述したようにアスパラガスは、地下茎から新芽が萌芽するものであるため、該新芽の出芽位置がどこになるのかを前もって特定することはできない。このためマルチシートを敷設した場合、萌芽する新芽の位置を前もって特定して穿孔作業をすることは事実上無理があり、そこで新芽の萌芽の時期を見計らってマルチシートを除去する(剥ぎ取る)作業が必要になるが、この除去する時期を見誤って早すぎた場合には、地温低下に伴い新芽の萌芽が遅れることになり、また該除去したマルチシートが廃プラスチックとなって産業廃棄物として処理しなければならず、作業性が悪いうえマルチシートを産業廃棄物として処理することに伴う環境への悪影響が想定される等の問題がある。
このような状態に鑑み、液状マルチ剤が開発され、実用に供されている(例えば特許文献1参照)。この液状マルチ剤は、生分解性を有した黒色液状のものであって圃場に散布した場合、黒色の被覆膜になって圃場面に一面に敷設されることになるため高いマルチ効果が期待できながら、萌芽する新芽の成長力によって被覆膜が簡単に突き破られることになってアスパラガスの萌芽、生育の妨げにならないという利点がある。このため液状マルチ剤の被覆膜は、マルチシートのように新芽の萌芽に対応して除去する必要がなく、被覆状態のままにできるため、初春の気温が十分に上昇していない初期の萌芽後の時期においても、地温の上昇に寄与することになって後続する萌芽、そして立茎の生育を促すことになる。しかも液状マルチ剤の被覆膜は、時間の経過に伴い生分解して養分となる等して消失するため薬害も発生しないという利点がある。
ところで茎枯病の病原菌は、気温が20℃から30℃の範囲で繁殖が助長され、特に25℃近辺の温度が繁殖の最適温度といわれており、これを立証するかのように、春先のまだ気温が上昇していない春芽収穫期間については茎枯病の発病が少ないことが確認されているが、5月を過ぎて気温が上昇し、立茎期間になった以降に茎枯病の罹患数が急増することが確認されており、特に降雨後に発病数の増大が認められる傾向にある。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
長崎県農林技術開発センター 研究報告書 第10号:31頁~50頁(2020)「半促成長期どりアスパラガスにおける茎枯病の総合防除」
【特許文献】
【0005】
特開2004-313048号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで前述した液状マルチ剤の被覆膜が施された圃場でアスパラガスの栽培を継続して試みたところ、前年度に茎枯病が発性した圃場において、気温が25℃に満たない早い時期においては、立茎した株について茎枯病の発生が僅かに確認される程度で、問題なくアスパラガスの収穫ができたが、その後、気温が25℃に近づく時期に入ると立茎した株に茎枯病の罹患が急速に増加していくことが確認された。これは気温が25℃に近づいたことで活発化(活性化)した茎枯病の病原菌が空気中に飛散(他の茎枯病発生圃場からの病原菌の飛散もある)したものが立茎している株の茎葉部に付着し、発病したためである。そして前述したように降雨後の発病の増大が確認されることの要因としては、梅雨や夕立等の降雨時において発生する泥跳ね水に混じった土壌中の病原菌が立茎している株の茎部に付着することを繰り返すことで立茎している株の茎葉部が茎枯病に罹患し、葉に蔓延していくものと推定される。
そこでこれに対応する必要があり、そのためには地温の上昇を防止して地下茎の生育を維持すると共に、土壌中の病原菌が混じる降雨時の泥跳ね水の付着を防止する対策を図ることがまず要求され、さらには、空気中に飛散や 降雨時の泥跳ね水に混じる病原菌が養成株に付着するのを防止すると共に、生成した分生子殻が破壊したときの分生子の飛散を防止することが要求され、これらの問題に本発明の解決すべき課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記の如き実情に鑑み、これらの課題を解決することを目的として創作されたものであって、請求項1の発明は、圃場のアスパラガス地下茎から萌芽した新芽が成長し、収穫高さになった若茎を切断して収穫するアスパラガスの栽培方法であって、前記地下茎から新芽が萌芽する前の春先に、黒色顔料を主成分の一つとして含有する第一液状マルチ剤を圃場に散布して該圃場が黒色の被覆膜に覆われた状態でアスパラガスの栽培をし、しかる後、気温が上昇した立茎時期に対応して、白色顔料を主成分の一つとして含有する第二液状マルチ剤を圃場に散布して該圃場が白色の被覆膜に覆われた状態でアスパラガスを継続して栽培することを特徴とするアスパラガスの栽培方法である。
請求項2の発明は、第二液状マルチ剤の散布は、気温が18℃から25℃、好ましくは22℃になる時期に実行されることを特徴とする請求項1記載のアスパラガスの栽培方法である。
請求項3の発明は、第二液状マルチ剤の散布は養成茎の茎葉部を含み、該茎葉部の表面を第二液状マルチ剤の被覆膜で被覆することを特徴とする請求項1記載のアスパラガスの栽培方法である。
請求項4の発明は、第二液状マルチ剤による茎葉部表面の被覆高さは、圃場面から5cm以上であることを特徴とする請求項3記載のアスパラガスの栽培方法である。
請求項5の発明は、第二液状マルチ剤の圃場への散布は繰り返されることがあり、該第二液状マルチ剤の繰り返される散布は、前回散布した第二液状マルチ剤の被覆膜が1/4以上が消失した段階で行われることを特徴とする請求項3記載のアスパラガスの栽培方法である。
請求項6の発明は、第二液状マルチ剤の茎葉部への被覆は、前記第二液状マルチ剤の圃場への繰り返される散布のとき以外にも繰り返されることがあり、該第二液状マルチ剤の圃場に繰り返される散布以外の茎葉部への繰り返される被覆は、茎葉部への散布または塗布により実行されることを特徴とする請求項3記載のアスパラガスの栽培方法である。
請求項7の発明は、第一液状マルチ剤は、黒色顔料の他に、いずれも生分解性のある高分子エマルジョン、分散剤を主成分とする黒色の懸濁エマルジョン水溶液であり、第二液状マルチ剤は、白色顔料の他に、いずれも生分解性がある高分子エマルジョン、分散剤を主成分とする白色の懸濁エマルジョン水溶液であることを特徴とする請求項1記載のアスパラガスの栽培方法に用いられる液状マルチ剤である。
請求項8の発明は、除草剤若しくは殺菌剤から選択される薬剤の少なくとも一種類が、第一液状マルチ剤、および/または第二液状マルチ剤に混合されていることを特徴とする請求項7記載のアスパラガスの栽培方法に用いられる液状マルチ剤である。
【発明の効果】
【0008】
請求項1の発明とすることにより、地下茎から萌芽した新芽が収穫高さになった若茎を切断して収穫するアスパラガスを栽培するにあたり、地下茎から新芽が萌芽する前の春先に、第一液状マルチ剤を散布して圃場面を黒色の被覆膜で覆われた状態とすることで、圃場の地温上昇により早期の新芽の出芽を促して春芽収穫の向上を図り、しかる後の気温が上昇した立茎時期に対応して第二液状マルチ剤の散布により圃場面が白色の被覆膜で覆われた状態とすることで、夏芽収穫期においての地温上昇を抑制して夏芽の健全な萌芽を促し、高収穫を果たすことができるが、圃場面は、第一、第二液状マルチ剤によって春夏の収穫期間に渡って被覆された状態になるため、土壌中に存在する(越年した)茎枯病の病原菌が降雨時の泥跳ね水に混じることが防止(低減)されることになって、立茎した株が茎枯病に罹患することが低減し、アスパラガスの安定した栽培ができることになる。
請求項2の発明とすることにより、第二液状マルチ剤の散布は、気温が18℃から25℃、好ましくは22℃になる時期に実行される結果、茎枯病の病原菌が活発化する25℃になる前の段階で地温上昇を抑制して茎枯病への罹患の予防ができることになる。
請求項3の発明とすることにより、第二液状マルチ剤を立茎の茎葉部まで散布することにより、該茎葉部の表面を第二液状マルチ剤の被覆膜で被覆できる結果、茎枯病の病原菌が混じった泥跳ね水が養成株の茎葉部に付着したとして、該茎部は第二液状マルチ剤の被覆膜で覆われているため病原菌が茎葉に付着することが回避されることになって茎枯病の罹患を抑制できることになる。
請求項4の発明とすることにより、第二液状マルチ剤による茎葉部表面の被覆高さが、泥跳ね水が付着しやすい圃場面から5cm以上となっているため、泥跳ね水を介しての感染を効果的に防止することができる。
請求項5の発明とすることにより、期間の長い夏芽収穫期間においては、第二液状マルチ剤の圃場への散布を繰り返すことがあり、その場合に第二液状マルチ剤の繰り返される散布は、前回散布した第二液状マルチ剤の被覆膜が1/4以上が消失した段階で行われることになる結果、第二液状マルチ剤による白色状態での圃場面の被覆が続くことになって、地温上昇の抑制だけでなく、茎枯病の感染防止にも大いに寄与できることになる。
請求項6の発明とすることにより、第二液状マルチ剤の茎葉部への被覆は、前記第二液状マルチ剤の圃場への繰り返される散布のとき以外にも繰り返されることがあり、その場合に、第二液状マルチ剤の圃場に繰り返される散布以外の茎葉部への繰り返される被覆が、茎葉部への散布または塗布により実行される結果、第二液状マルチ剤の茎葉部に対する被覆が効率よくできることになる。
請求項7の発明とすることにより、第一液状マルチ剤が、黒色顔料の他に、いずれも生分解性のある高分子エマルジョン、分散剤を主成分とする黒色の懸濁エマルジョン水溶液であり、また第二液状マルチ剤が、白色顔料の他に、いずれも生分解性がある高分子エマルジョン、分散剤を主成分とする白色の懸濁エマルジョン水溶液であることから、第一、第二液状マルチ剤として生分解性があるものを容易に作成することができる。
請求項8の発明とすることにより、除草剤若しくは殺菌剤から選択される薬剤の少なくとも一種類が、第一液状マルチ剤および/または第二液状マルチ剤に混合されている結果、圃場面への被覆に併せて、除草剤若しくは殺菌剤の散布もできることになって作業性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
マルチフィルムを敷設した圃場、第一液状マルチ剤を散布した圃場(試験区)、何も施さない無処理の圃場(対照区)の春先地温測定結果を示す表図である。
第一液状マルチ剤を散布した圃場(試験区)と、なにも施さない圃場(対照区)において灌水した場合と無灌水の場合とでの地下茎一株ごとのアスパラガスの収穫状態を示す表図である。
第一液状マルチ剤を散布し、立茎させた畝に対し、第二液状マルチ剤を散布した実験畝(試験区)と散布しないブランク畝(対照区)での茎枯病の発病状態を示す表図である。
アスパラガスの1年間の栽培状態を示すグラフ図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
前述したようにアスパラガスは、地下茎を有した多年生の植物であり、茎枯病について着目したときに、該茎枯病が発生していない健全な圃場で栽培した場合、播種後の3年目以降、10年から15年という長い期間に渡って収穫ができるという利点がある。このような健全な圃場において茎枯病が発生する要因としては、茎枯病が発生している他の圃場(茎枯病の繁殖地)で繁殖する病原菌が風を受けて飛来したり、台風等の大雨の襲来に伴う流水が繁殖地から流れ来たりすること等によって健全な圃場にまで運ばれることがあり、このようにして運ばれた病原菌が、アスパラガスの養成株に付着すると、養成株の抵抗力の弱いところで感染して発病し、薄茶褐色の病状を発する部分が、感染が広まるにつれ次第に広がっていく。そして該発病部に黒色の斑点状をした分生子殻が生成し、該分生子殻が破壊されることで病原菌となる分生子が空中に飛散することになる。そしてこのようにして健全な圃場であったものが茎枯病に感染(一次感染)し、さらにこれが原因となって当該圃場において茎枯病が蔓延(二次感染)し、この蔓延が経年的に繰り返されることになる。
このような茎枯病の対策として、茎枯病の病原菌は、気温が凡そ20℃から30℃の範囲が増殖温度といわれているが、茎枯病の発病、蔓延を抑えるためには、
・新芽の萌芽前の圃場の病原菌の排除
・立茎した茎葉部への降雨時の泥跳ね水による病原菌の付着の抑制
・罹患している病原菌の増殖の抑制
・他の感染した圃場から運ばれてくる病原菌の付着の抑制
が重要な課題であり、いかにしてこれら課題の一つにでも対応することで、薬剤散布を無にし、あるいは過小にすることが達成できるか、ということに本発明の具体的な課題がある。
(【0011】以降は省略されています)

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