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公開番号2025082938
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-05-30
出願番号2023196520
出願日2023-11-20
発明の名称超伝導コイル
出願人大学共同利用機関法人自然科学研究機構
代理人個人
主分類H01F 6/02 20060101AFI20250523BHJP(基本的電気素子)
要約【課題】クエンチによる熱暴走を回避または抑制する構造を有する超伝導コイルを提供する。
【解決手段】超伝導コイル1は、超伝導線材15に銅などの金属テープ18を沿わせた状態で巻回して、超伝導コイル本体2を形成する。金属テープ18は、超伝導線材15に接着等される訳ではなく、両者は摺動可能な状態に沿わせた状態で巻回される。超伝導コイル本体2の上下面には、液体水素などの冷媒による冷却機構を設ける。こうすることにより、超伝導線材15に劣化等によって局所的な発熱が生じた場合、金属テープ18に電流がバイパスするとともに、金属テープ18を介して十分に冷却することができるため、冷却安定を実現することができる。また、超伝導線材15と金属テープ18は摺動可能に沿わされているため、両者間で熱膨張の差違に伴う熱応力の発生を抑止することもできる。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
超伝導コイル本体であって、
超伝導層を含む薄板状の超伝導線材と、
前記超伝導線材とは別に用意され、前記超伝導層が超伝導状態にあるときの抵抗値より高く、該超伝導層が常伝導状態にあるときの抵抗値より低い範囲の電気抵抗を有する薄板状の金属テープとを有し、
前記超伝導線材に前記金属テープを積層した状態で巻回した超伝導コイル本体。
続きを表示(約 690 文字)【請求項2】
請求項1記載の超伝導コイル本体であって、
前記金属テープは、銅、アルミニウム、インジウムのいずれかで構成される超伝導コイル本体。
【請求項3】
請求項1記載の超伝導コイル本体であって、
前記超伝導線材と前記金属テープとは、摺動可能に積層されている超伝導コイル本体。
【請求項4】
請求項1記載の超伝導コイル本体であって、
前記超伝導線材は、前記超伝導層に加えて金属のメッキ層が積層されており、
前記金属テープの厚さは、前記メッキ層の厚さよりも厚い超伝導コイル本体。
【請求項5】
請求項1記載の超伝導コイル本体であって、
前記金属テープの幅は、前記超伝導線材の幅以上となっている超伝導コイル本体。
【請求項6】
請求項1記載の超伝導コイル本体であって、
前記金属テープおよび前記超伝導線材を積層した上でその周囲に絶縁層が形成されている超伝導コイル本体。
【請求項7】
請求項1記載の超伝導コイル本体であって、
前記超伝導層は、高温超伝導素材で形成される超伝導コイル本体。
【請求項8】
請求項1~7いずれか記載の超伝導コイル本体と、
前記超伝導コイル本体の上下面の一方または双方を冷媒によって冷却する冷却機構を備える超伝導コイル。
【請求項9】
請求項8記載の超伝導コイルであって、
前記超伝導層は、高温超伝導素材で形成され、
前記冷媒は液体水素である超伝導コイル。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、超伝導コイルにおいて、クエンチによる熱暴走を回避または抑制するための構造に関する。
続きを表示(約 2,200 文字)【背景技術】
【0002】
超伝導体は、一定の臨界温度を超えると超伝導性を失う性質を有している。超伝導体に通電する際に、何らかの原因で局所的に臨界温度を超え常伝導状態が生じることがある。かかる現象をクエンチという。クエンチが生じると、超伝導体の抵抗が局所的に増大するため、局所的な加熱を生じ、発熱が冷却を上回ってしまう熱暴走と呼ばれる現象が生じ、さらには熱応力による破損や焼損に至ることもある。
クエンチまたは熱暴走の回避は、高温超伝導体において特に重要であった。高温超伝導体とは、一般に77ケルビンよりも臨界温度が高い物質を言うが、かかる性質は、臨界温度を超えるまでの熱容量が大きいことを意味する。つまり、局所的に常伝導部分が生じたとしても、他の箇所にそれが広がるまでに時間を要することとなり、クエンチを検出できる頃には、焼損が生じるほどに常伝導部分が拡大してしまうという問題が生じ得る。従って、高温超伝導体では、クエンチまたはそれによる熱暴走の回避がより重要な課題となるのである。
【0003】
特許文献1は、高温超伝導線材を巻いたいわゆるパンケーキ型の超伝導コイルにおいて、その上面または下面に板状の導電性部材を接触させ、径方向の異なる位置にある線材同士に電気的な迂回路を形成する技術を開示している。こうすることにより、線材にクエンチが生じた時には、電流が迂回路を流れるため、熱暴走を回避することが可能とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
特開2023-44839号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、従来技術では、熱暴走の抑制効果が十分とは言えず、まだ改善の余地が残されていた。熱暴走の問題は、高温超伝導に限った話ではなく、超伝導全体に共通する問題である。
本発明は、かかる課題に鑑み、超伝導コイルにおいて、クエンチなどに起因する熱暴走の抑制を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、超伝導コイル本体であって、
超伝導層を含む薄板状の超伝導線材と、
前記超伝導線材とは別に用意され、前記超伝導層が超伝導状態にあるときの抵抗値より高く、該超伝導層が常伝導状態にあるときの抵抗値より低い範囲の電気抵抗を有する薄板状の金属テープとを有し、
前記超伝導線材に前記金属テープを積層した状態で巻回した超伝導コイル本体と構成することができる。
【0007】
本発明は、超伝導線材とは別に金属テープを用意し、両者を積層した状態で巻回する点に特徴を有している。超伝導線材の外周に金属によるメッキ層を設けることが行われることもあるが、かかる場合においても、超伝導線材とは別に金属テープを用意するのである。金属テープの厚さは、必ずしも一定である必要はなく、超伝導コイルの径方向の位置に応じて変化させてもよい。また、金属テープは、必ずしも一本である必要はなく、複数の金属テープを超伝導線材の幅方向に並べて、または超伝導線材の長手方向に継ぎ合わせて用いてもよい。
【0008】
超伝導線材にクエンチが生じた場合、熱暴走を回避または抑制する手段としては、クエンチ部分を流れる電流を抑え、バイパスさせることが有効である。本発明では、金属テープを用いることにより、超伝導線材単体の場合に比較して、バイパスの経路を確保することができる。また、本発明の金属テープの抵抗値は、超伝導層が超伝導状態にあるときの抵抗値より高いから、超伝導状態においては、超伝導線材を流れる電流を阻害することがない。一方、超伝導層が常伝導状態にあるときは、金属テープの抵抗値の方が低くなるため、電流は金属テープにバイパスされることになる。また、超伝導層に金属テープが沿っていることにより、金属テープを介して超伝導層を効果的に冷却することも可能となる。このように、本発明では、金属テープを用いることにより、クエンチによる熱暴走を効果的に回避または抑制することが可能となる。
【0009】
先行技術である特許文献1では、パンケーキ型の超伝導コイルの上面または下面に板状の導電性部材を接触させる技術を開示しているが、この方法では、超伝導コイルを形成する線材の側面でしか導電性部材と接触しないため、バイパスの経路は非常に狭くなる。これに対して、本発明では、金属テープが超伝導線材の平面に接するため、バイパス経路の面積を十分に確保することができ、効果的に熱暴走を回避または抑制することが可能となる。
【0010】
金属テープを用いるさらなる意義について説明する。上述したバイパスの経路を確保するという趣旨であれば、超伝導線材の外周に金属によるメッキ層を厚くするなどの方法も考えられる。しかし、一般にメッキ層を厚くすることはコストが非常に増大するという問題がある。また、超伝導線材のメッキ層を厚くした場合、超伝導線材自体の柔軟性、可撓性が損なわれ、コイルとして巻回することが困難になるという課題も生じる。これに比較し、本発明では、金属テープを別途設けることにより、こうした課題を合わせて解決することもできるのである。
(【0011】以降は省略されています)

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