特許ウォッチ

公開番号2025082930
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-05-30
出願番号2023196509
出願日2023-11-20
発明の名称連続式洗濯機の洗濯方法及び連続式洗濯機
出願人アイナックス稲本株式会社
代理人個人
主分類D06F 31/00 20060101AFI20250523BHJP(繊維または類似のものの処理;洗濯;他に分類されない可とう性材料)
要約【課題】血液汚れ等のある洗濯物の洗浄性を低下させることなく、高温の濯ぎ排水を予洗で使用することも可能にし、洗濯水の加熱に必要なエネルギー使用量を削減することができる洗濯方法を得る。
【解決手段】回収水を予洗水として再使用する連続式洗濯機において、被洗物の品種毎に設定された洗濯条件に被洗物の汚れの程度によって定める洗濯品質及び予洗水として使用する回収水の温度により、当該品種に対する洗濯条件を追加ないし変更して、同じ品質の被洗物に対しても必要と考えられる洗濯品質に応じて各バッチ毎に最適な洗濯処理を行うことができるようにした。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項１】
被洗物の各品種毎にまとめられたバッチ毎に当該品種に対応して設定された洗濯条件を用いて洗濯運転を行う洗濯機の洗濯方法であって、当該洗濯機の回収水ないし当該洗濯機で洗濯された被洗物を脱水する脱水機の回収水を当該洗濯機の予洗水として使用する連続式洗濯機の洗濯方法において、
洗濯しようとする被洗物の汚れの程度と必要な仕上げ品質との関係で定まる洗濯品質に応じて複数の洗濯品質レベルを定めて各洗濯品質レベルと前記回収水の温度に対応する洗濯条件を前記洗濯機に設定し、当該洗濯品質レベル毎にまとめられたバッチ毎に前記洗濯品質レベル及び検出された前記回収水の温度に対応する洗濯条件で洗濯を行う、連続式洗濯機の洗濯方法。
続きを表示（約 840 文字）【請求項２】
前記洗濯機に前記洗濯品質レベルと前記回収水の温度及び過酸化水素濃度とに対応する洗濯条件を前記洗濯機に設定し、当該洗濯品質レベル毎にまとめられたバッチ毎に前記洗濯品質レベル並びに検出された前記回収水の温度及び過酸化水素濃度に対応する洗濯条件で洗濯を行う、請求項１記載の連続式洗濯機の洗濯方法。
【請求項３】
前記洗濯条件に、予洗工程初期の予洗水である浸し水へのアルカリ剤投入量及び新水供給量が含まれる、請求項１又は２記載の洗濯方法。
【請求項４】
前記洗濯機が予洗工程中に予洗水の温度を上昇させる昇温手段を備えた洗濯機であり、前記洗濯条件に、当該予洗水を昇温させることの可否及び可能としたときの予洗水の昇温開始タイミングと上限温度とが含まれる、請求項１又は２記載の洗濯方法。
【請求項５】
仕上げ槽、濯ぎ槽ないし脱水機からの回収水を予洗水として使用する連続式洗濯機であって、被洗物の品種に対応する洗濯条件を設定する洗濯条件設定手段を備えた連続式洗濯機において、
前記回収水の温度を計測する温度計と、
前記洗濯条件設定手段に設定された洗濯条件の一部を投入された被洗物の洗濯品質レベル及び前記温度計の計測値に対応して追加ないし変更する洗濯条件変更手段とを備えている、連続式洗濯機。
【請求項６】
前記回収水の過酸化水素濃度の推測手段ないし計測手段を備え、
前記洗濯条件設定手段に設定された洗濯条件の一部を投入された被洗物の洗濯品質レベル、前記温度計の計測値及び前記推測ないし計測された過酸化水素濃度に対応して追加ないし変更する洗濯条件変更手段とを備えている、請求項５記載の連続式洗濯機。
【請求項７】
予洗槽内の予洗水を加熱する昇温手段を備え、前記洗濯条件変更手段が追加ないし変更する洗濯条件の一部に予洗水の上限温度が含まれている、請求項５又は６記載の連続式洗濯機。

発明の詳細な説明【技術分野】
【０００１】
この発明は、洗濯物の濯ぎ工程で使用した濯ぎ水ないし脱水機で生じた排水を回収して予洗水として再利用する連続式洗濯機の洗濯方法及び当該方法を実施するのに適した連続式洗濯機に関する。
続きを表示（約 1,700 文字）【背景技術】
【０００２】
宿泊施設や医療施設から出る被洗物（洗濯物）を洗濯する洗濯工場では、持ち込まれる被洗物を顧客や被洗物の品種（例えば、シーツ、タオル、浴衣、手術着、制服、私物など）に分けて洗濯ラインの処理容量に応じたバッチ（batch）と呼ばれる塊にしてその１単位毎に使用する機械や洗濯手順を指定して洗濯を行っている。そのため、業務用洗濯機の制御器は、顧客や品種の区分に対応する洗濯条件（使用する薬剤、洗濯水の温度、洗濯時間など）を設定する洗濯条件設定手段を備えている。
【０００３】
被洗物の洗濯は、予洗、本洗、濯ぎ、仕上げの順で行われる。予洗で使用する洗濯水（予洗水）の温度が４０℃を超える場合や、予洗水に含まれる過酸化水素濃度が高い場合には、蛋白質汚れ、特に血液汚れ等のある被洗物の洗浄性が大幅に低下する。そのため、医療機関で使用されたリネンを洗浄する場合には、予洗で使用する洗濯水は、温度４０℃以下、過酸化水素濃度３０ｐｐｍ以下となるように調整が行われている。また、洗濯効率や被洗物の消毒のために、８０℃以上の洗濯水で本洗を行うのが望ましいとされている。
【０００４】
従って、予洗から本洗に移行する際に、洗濯水の温度を４０℃ほど上げなければならない。この昇温に時間がかかると、洗濯に要する時間が長くなり、生産性が低下する。洗濯水の温度を急速に上昇させる手段として、ボイラで生じた高圧の蒸気（一次蒸気）を本洗槽に吹き込んで本洗水を昇温している。洗濯工場では、各種の装置の熱源として蒸気が使用されており、省エネや温暖化防止のために、一次蒸気の消費量を低減することが強く望まれている。
【０００５】
業務用の洗濯機では、節水や省エネのため、仕上げ槽や脱水機の排水を回収して予洗水として使用し、濯ぎ槽の排水を回収して本洗水として使用することが行われている。また、予洗から本洗に移行するときの昇温に必要なエネルギーを減らす目的で、予洗後に予洗水の排水を行った後、濯ぎ工程で生じた高温の濯ぎ排水を回収して本洗槽に供給することも行われている。
【０００６】
特許文献１には、第１のアルカリ洗剤を含む第１の洗浄水で洗浄を行い、第２のアルカリ洗剤及び過酸化水素を含む本洗水で第２の洗浄を行い、濯ぎの後の仕上げ工程で、サワー剤及び過酸化水素還元剤を含有する中和組成物を含む仕上げ水で処理を行い、仕上げ工程における排水を含む投入水を用いて、被洗物を第１洗浄工程における第１の洗浄水に投入する洗濯方法が提案されている。
【０００７】
また、特許文献２には、連続式洗濯機の脱水機排水と、連続式洗濯機の仕上げ槽及びすすぎ槽に供給される新水を加温した後の濯ぎ排水とを予洗水として使用する洗濯方法について、本洗排水を特殊被洗物を洗濯する洗濯脱水機に供給する新水を加熱する技術が示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００８】
特開２０１７-１８６７３０号公報
特開２０１４-１６１４３２号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００９】
血液汚れ等がある被洗物の洗浄では、４０℃以下での予洗後に、本洗設定温度の８０℃まで洗濯水を加熱する必要があり、エネルギー消費量が大きくかつ高い昇温能力が必要となるため、蒸気ボイラで生成した一次蒸気以外の熱源を利用することが困難で、洗濯工場における省エネや温暖化対策が困難な要因の一つとなっている。
【００１０】
また、予洗後に予洗水の排水を行った後、本洗水として高温の濯ぎ排水を供給する方法は、連続式洗濯機では洗濯物に吸水されている水を排水することは困難であるため、槽内全体の温度を大幅に上昇させることは難しく、水の入れ替えにより洗剤濃度が低下するため、本洗に際して洗剤を追加で添加する必要があり、洗剤の使用量が増加する問題があった。
（【００１１】以降は省略されています）

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