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公開番号2025078210
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-05-20
出願番号2023190625
出願日2023-11-08
発明の名称マグネシウムを分離する方法
出願人株式会社アサカ理研
代理人デロイトトーマツ弁理士法人
主分類C22B 26/22 20060101AFI20250513BHJP(冶金;鉄または非鉄合金;合金の処理または非鉄金属の処理)
要約【課題】コバルト、マグネシウム及びニッケルを含有する液から有機溶媒による1回の抽出工程で、コバルト、マグネシウム及びニッケルを分離できる方法を提供する。
【解決手段】コバルト、マグネシウム及びニッケル含有する液からマグネシウムを分離する方法が、コバルト、マグネシウム及びニッケルを含有する液に酸性有機リン化合物を添加してコバルトを抽出するコバルト抽出工程、このコバルト抽出工程で得られた抽出残液からマグネシウムを抽出するマグネシウム抽出工程を含む。このマグネシウム及びニッケルを含有する液は、好ましくは、廃リチウムイオン電池を前処理して得られた活物質粉を鉱酸中に溶解して酸溶解液を得る溶解工程、この酸溶解液をアルカリで中和する中和工程、この中和工程で得られた酸溶解液からマンガンを第1の有機溶媒を抽出液として抽出するマンガン抽出工程、このマンガン抽出工程の残液からコバルトを第2の有機溶媒を抽出液として抽出するコバルト抽出工程を経て得られる。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
コバルト、マグネシウム及びニッケルを含有する液からマグネシウムを分離する方法であって、
コバルト、マグネシウム及びニッケルを含有する液に酸性有機リン化合物を添加してコバルトを抽出するコバルト抽出工程、
当該コバルト抽出工程で得られた抽出残液からマグネシウムを抽出するマグネシウム抽出工程を含む、マグネシウムを分離する方法。
続きを表示(約 1,400 文字)【請求項2】
請求項1に記載されたマグネシウムを分離する方法において、
廃リチウムイオン電池を前処理して得られた活物質粉を鉱酸中に溶解して酸溶解液を得る溶解工程、
当該酸溶解液をアルカリで中和する中和工程、
当該中和工程で得られた酸溶解液からマンガンを第1の有機溶媒を抽出液として抽出するマンガン抽出工程、
当該マンガン抽出工程で得られた抽出残液からコバルトを第2の有機溶媒を抽出液として抽出するコバルト抽出工程、
当該コバルト抽出工程の残液を前記マグネシウム及びニッケル含有する液とする前記マグネシウム抽出工程、
前記マグネシウム抽出工程の残液からニッケルを第3の有機溶媒を抽出液として抽出し、残液として第1のリチウム塩水溶液を得るニッケル抽出工程、及び、
当該第1のリチウム塩水溶液を、イオン交換膜を用いて膜電解して水酸化リチウム水溶液と、酸と、当該第1のリチウム塩水溶液よりも希薄な第2のリチウム塩水溶液とを得る膜電解工程を更に含み、
当該膜電解工程で得られる当該水酸化リチウム水溶液を、当該中和工程、当該マンガン抽出工程、当該コバルト抽出工程、前記マグネシウム抽出工程、及び当該ニッケル抽出工程からなる群から選ばれる少なくとも1つで再利用し、
当該膜電解工程で得られる当該酸を、当該溶解工程で使用される当該鉱酸として再利用する、マグネシウムを分離する方法。
【請求項3】
請求項1に記載されたマグネシウムを分離する方法において、前記酸性有機リン化合物がビス(2,4,4-トリメチルペンチル)ホスフィン酸、リン酸ジエステル、及び2-エチルヘキシルホスホン酸モノ2-エチルヘキシルエステルからなる群から選ばれる少なくとも1つを含む、マグネシウムを分離する方法。
【請求項4】
請求項2に記載されたマグネシウムを分離する方法において、前記マンガン抽出工程がpH1.5~3.0の範囲、前記コバルト抽出工程がpH3.0~4.5の範囲、前記マグネシウム抽出工程がpH4.5~5.5の範囲、かつニッケル抽出工程がpH5.0~6.5の範囲で実施される、マグネシウムを分離する方法。
【請求項5】
請求項2に記載されたマグネシウムを分離する方法において、前記鉱酸は、塩酸、硫酸、及び硝酸からなる群から選択される少なくとも1種を含む、マグネシウムを分離する方法。
【請求項6】
請求項5に記載されたマグネシウムを分離する方法において、前記鉱酸は塩酸を含む、マグネシウムを分離する方法。
【請求項7】
請求項2に記載されたマグネシウムを分離する方法において、前記中和工程で使用されるアルカリが水酸化リチウムを含む、マグネシウムを分離する方法。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか1項に記載されたマグネシウムを分離する方法において、前記膜電解工程で用いる電力は、再生可能エネルギーによって得られた電力を含む、マグネシウムを分離する方法。
【請求項9】
請求項8に記載されたマグネシウムを分離する方法において、前記再生可能エネルギーによって得られた電力は、太陽光発電、風力発電、地熱発電、水力発電、及びバイオマス発電からなる群から選択される少なくとも1つによって得られた電力を含む、マグネシウムを分離する方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、コバルト、マグネシウム及びニッケル含有する液からマグネシウムを分離する方法に関する。
続きを表示(約 1,900 文字)【背景技術】
【0002】
近年、リチウムイオン電池の普及に伴い、廃リチウムイオン電池からコバルト、ニッケル、マンガン、リチウム等の有価金属を回収し、該リチウムイオン電池の材料として再利用する方法が検討されている。
【0003】
従来、前記廃リチウムイオン電池から前記有価金属を回収する際には、前記廃リチウムイオン電池を加熱処理(焙焼)に付し、粉砕、分級等して得られた前記有価金属を含む粉末からコバルト、ニッケル、マンガン、及びリチウムを湿式プロセスにて分離精製している(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
本発明において、廃リチウムイオン電池とは、電池製品としての寿命が消尽した使用済みのリチウムイオン電池、製造工程で不良品等として廃棄されたリチウムイオン電池、及び製造工程において製品化に用いられた残余の正極材料、負極材料等を意味する。また、前記廃リチウムイオン電池から得られた正極及び負極を含む粉末を、活物質粉とする。さらに、不純物とは、活物質粉に含まれる金属のうち、回収を必要としない金属を意味する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
特許第7303947号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
リチウムイオン電池製造において、電池性能向上のために、マグネシウムを適量添加する試みが行われている。不純物であるマグネシウムが含有された廃リチウムイオン電池から有価金属を湿式プロセスにて分離精製する場合、マグネシウムを中和により除去する方法があるが、中和分離の性質上精密な分離は困難である。その結果、マグネシウムはコバルト、ニッケルのそれぞれに含有され、マグネシウムを含有するコバルト及びニッケルはリチウムイオン電池の製造に再使用できない品質となるため、コバルト、マグネシウム、及びニッケル含有液からマグネシウムを分離する方法が希求されている。
特許文献1に記載されているコバルト溶液の製造方法において、リチウムイオン電池廃棄物の電池粉に対して少なくとも浸出処理を施すことで得られ、ニッケルイオン及びマグネシウムイオンを含むコバルト含有溶液から、ホスホン酸エステル系抽出剤を含む溶媒を用いて、コバルトイオン及びマグネシウムイオンの一部を抽出して、前記コバルト含有溶液を得るコバルト抽出工程、当該コバルト抽出工程で得られたコバルト溶液から、カルボン酸系抽出剤を含む溶媒を用いてコバルトイオンを抽出してマグネシウムイオンを分離した後、当該溶媒からコバルトイオンを逆抽出し、逆抽出後液としてコバルト溶液を得るマグネシウム分離工程が実施されている。
【0007】
しかしながら、前記マグネシウム分離工程においてコバルトイオンとマグネシウムイオンを分離するためには、実用上2種以上の抽出剤と、コバルトの量に対して2倍量のpH調整剤を使用して、少なくとも1回のコバルトの逆抽出工程を経て、2回以上のコバルトの抽出工程が必要であり、更に当該pH調整剤は回収されないという不都合がある。結果的に、コバルト溶液の製造方法において使用される前記抽出剤、pH調整剤等の薬剤の使用量が大きくなる。
【0008】
本発明が解決しようとする課題は、コバルト、マグネシウム及びニッケルを含有する液からそれぞれ有機溶媒による1回の抽出工程で、使用される薬剤の使用量を小さくして、コバルト、マグネシウム及びニッケルを分離できる方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは上記課題に鑑み検討を重ね、コバルト、マグネシウム及びニッケルを含有する液から抽出剤として酸性有機リン化合物を使用してコバルトを抽出し、次にマグネシウムを抽出することで、コバルト、マグネシウム及びニッケルを分離できることを見出した。本発明はこれらの知見に基づき完成されるに至ったものである。
【0010】
本発明は、コバルト、マグネシウム及びニッケルを含有する液からマグネシウムを分離する方法であって、当該コバルト、マグネシウム及びニッケルを含有する液に酸性有機リン化合物を添加してコバルトを抽出するコバルト抽出工程、当該コバルト抽出工程で得られた抽出残液からマグネシウムを抽出するマグネシウム抽出工程を含む、マグネシウムを分離する方法に関する。
(【0011】以降は省略されています)

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