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公開番号
2025075711
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2025-05-15
出願番号
2023187079
出願日
2023-10-31
発明の名称
BRCA遺伝子を含む相同組換え欠損が原因となって発症する癌の治療のための治療剤、医薬組成物、化合物、使用、治療方法、及びスクリーニング方法
出願人
国立大学法人 大分大学
代理人
個人
,
個人
,
個人
,
個人
,
個人
主分類
A61K
31/4741 20060101AFI20250508BHJP(医学または獣医学;衛生学)
要約
【課題】オラパリブと比べて副作用が抑えられ、かつ、同等以上の抗がん活性を有する、BRCA1遺伝子又はBRCA2遺伝子を含む相同組換え欠損が原因となって発症する癌の治療のための治療剤を提供することを課題とする。
【解決手段】ニチジン及びニチジン誘導体並びにそれらの薬学的に許容される塩からなる群から選択される少なくとも1種の化合物を有効成分とする治療剤とする。
【選択図】なし
特許請求の範囲
【請求項1】
BRCA1遺伝子又はBRCA2遺伝子を含む相同組換え欠損が原因となって発症する癌の治療のための治療剤であって、
ニチジン及びニチジン誘導体並びにそれらの薬学的に許容される塩からなる群から選択される少なくとも1種の化合物を有効成分とする、治療剤。
続きを表示(約 1,000 文字)
【請求項2】
前記癌がオラパリブ耐性である、請求項1に記載の治療剤。
【請求項3】
式1~4のいずれかで表される化合物又はその塩を有効成分とする、請求項1又は2に記載の治療剤。
TIFF
2025075711000007.tif
192
170
式1~4中、R
1
は、それぞれ独立に、アルコキシ基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基及びアリール基からなる群から選択されるいずれか1種であり、R
2
は、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基及びアリール基からなる群から選択されるいずれか1種であり、R
3
及びR
4
は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基及びアリール基からなる群から選択されるいずれか1種であり、R
3
及びR
4
はそれらが結合する炭素原子と一緒になって環を形成していてもよい。
【請求項4】
前記塩がハロゲン化物塩又はハロゲン化水素塩である、請求項1又は2に記載の治療剤。
【請求項5】
BRCA1遺伝子又はBRCA2遺伝子を含む相同組換え欠損が原因となって発症する癌の治療用の医薬組成物であって、
有効成分として、ニチジン及びニチジン誘導体並びにそれらの薬学的に許容される塩からなる群から選択される少なくとも1種の化合物と、オラパリブとを含む、医薬組成物。
【請求項6】
前記癌がオラパリブ耐性である、請求項5に記載の医薬組成物。
【請求項7】
BRCA1遺伝子又はBRCA2遺伝子を含む相同組換え欠損が原因となって発症する癌の治療における、チジン及びニチジン誘導体並びにそれらの薬学的に許容される塩からなる群から選択される少なくとも1種の化合物の使用。
【請求項8】
前記癌がオラパリブ耐性である、請求項7に記載の使用。
【請求項9】
BRCA1遺伝子又はBRCA2遺伝子を含む相同組換え欠損が原因となって発症する癌の治療薬の製造のための、ニチジン及びニチジン誘導体並びにそれらの薬学的に許容される塩からなる群から選択される少なくとも1種の化合物の使用。
【請求項10】
前記癌がオラパリブ耐性である、請求項9に記載の使用。
(【請求項11】以降は省略されています)
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、BRCA遺伝子を含む相同組換え欠損が原因となって発症する癌の治療のための治療剤、医薬組成物、化合物、使用、治療方法、及びスクリーニング方法に関する。
続きを表示(約 4,200 文字)
【背景技術】
【0002】
遺伝性乳がん卵巣癌症候群(以下「HBOC症候群」ともいう。HBOC:Hereditary Breast and Ovarian Cancer)は、常染色体優性遺伝子の遺伝子疾患である。乳癌全体の1~2%、卵巣癌の10~15%の患者は、HBOC症候群に該当すると推定されている。
HBOC症候群の原因遺伝子BRCA1及びBRCA2(以下、BRCA1遺伝子及びBRCA2遺伝子を総称して「BRCA遺伝子」という場合がある。)は、遺伝子の相同組換えを介した二重鎖切断修復にかかわっている。そのため、これらの遺伝子の機能の欠損はDNA(デオキシリボ核酸)二重鎖切断が高頻度に起こり、染色体異常を高頻度に引き起こす。この遺伝子疾患の特徴は、患者の正常な体細胞はBRCA遺伝子の機能が+/-の状態で存在するため、二重鎖切断修復が正常に機能しているため癌を発症しないが、体細胞変異が起き、BRCA遺伝子が-/-になってしまった細胞が発生すると、その細胞が癌になるという特性を持つことである。
そこに目を付け、BRCA遺伝子が-/-になった細胞だけを駆除する薬剤が探索され、オラパリブ(Olaparib)という抗がん剤が、進行した卵巣癌への分子標的治療薬として、アストラゼネカのリムパーザ(Lynparza)が2014年12月に米国食品医薬品局(FDA(Food and Drug Administration))及び欧州医薬品庁(EMA(European Medicines Agency))から承認を得ている。日本国においても、2018年1月に「白金系抗悪性腫瘍剤感受性の再発卵巣癌における維持療法」を効能・効果として、さらに同年12月、「がん化学療法歴のあるBRCA遺伝子変異陽性かつHER2陰性の手術不能又は再発乳癌」を効能・効果として、適応が承認された。オラパリブはDNA修復に関与するポリADPリボースポリメラーゼを阻害するPARP(ポリアデノシン5’二リン酸リボースポリメラーゼ)阻害剤である。がん抑制遺伝子であるBRCA1やBRCA2に変異をもつがんはオラパリブに感受性が高く、BRCA1/2遺伝子に変異を有する卵巣癌、乳癌、前立腺癌、及び膵臓癌等に対して一定の効果が認められている。
【0003】
特許文献1には、次式1で表される化合物を有効成分として含有することを特徴とする抗腫瘍細胞剤が開示されている。また特許文献1には、ジヒドロニチジンがSKBR-3(乳癌細胞)等の他の腫瘍細胞においても強い細胞毒性を示すことが開示されている。
TIFF
2025075711000001.tif
58
170
【0004】
特許文献2には、以下の一般式(I)若しくは(II)で表される化合物、又はその塩を有効成分とする、ABCA1発現低下癌細胞に対する抗癌剤が開示されている。
TIFF
2025075711000002.tif
84
170
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
特開2006-182747号公報
特開2008-230977号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、オラパリブは、やや強めの副作用を持つことから、使用には注意が必要とされている。また、既に耐性の癌細胞も多く発見されており、オラパリブに代わる新たな抗がん剤が望まれている。
【0007】
本発明は、オラパリブと比べて副作用が抑えられ、かつ、同等以上の抗がん活性を有する、BRCA1遺伝子又はBRCA2遺伝子を含む相同組換え欠損が原因となって発症する癌の治療のための治療剤を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、HBOC症候群の癌、すなわちBRCA遺伝子を含む相同組換え欠損が原因となって発症する癌に有効な新しい治療薬を開発することを目的として、化合物のスクリーニングを行い、ニチジンを同定した。ニチジンはオラパリブと同等以上の抗がん活性を持ちながら、オラパリブにない特性を持つ化合物である。
本発明者らの予備的な検討では、ニチジンはMUS81構造特異的エンドヌクレアーゼを介して二重鎖切断を導入することを見出している。MUS81はY字型に分岐したDNA構造を切断する酵素であり、DNA複製が中断した時にDNA複製フォークを切断することで二重鎖切断を導入する。したがって、ニチジンはDNA複製を阻害する活性を持っていると予測できた。一方、オラパリブはPARP阻害剤である。PARP阻害剤はDNAの一本鎖切断修復を阻害する薬剤である。一本鎖切断が修復されないままDNA複製が起きると、一本鎖切断部位が二重鎖切断になる。相同組換えを欠損する彩桜では、その二重鎖切断を修復できないので細胞は死滅する。オラパリブは一本鎖切断と二重鎖切断の両方を誘導するため、やや強い副作用を誘導すると考えられた。
また、ニチジンはオラパリブとは化合物の構造が異なるため、オラパリブと薬物動態が異なる。オラパリブはABCトランスポーターのABCB1又はABCG2によって細胞外に排出されるので、ABCB1又はABCG2の高発現で耐性になる。これに対して、ニチジンはABCG2の高発現株でも細胞障害性を維持できる。
以上の点から、ニチジンはオラパリブと同様に二重鎖切断修復を欠損する癌細胞を標的とするが、全く異なる作用機序で癌を殺傷するうえ、化学特性も異なるため、薬物代謝も異なる。これらの性質のため、オラパリブ耐性の癌にも有効であると考えられた。
【0009】
本発明の態様は以下である。
[1] BRCA1遺伝子又はBRCA2遺伝子を含む相同組換え欠損が原因となって発症する癌の治療のための治療剤であって、
ニチジン及びニチジン誘導体並びにそれらの薬学的に許容される塩からなる群から選択される少なくとも1種の化合物を有効成分とする、治療剤。
[2] 前記癌がオラパリブ耐性である、[1]に記載の治療剤。
[3] 式1~4のいずれかで表される化合物又はその塩を有効成分とする、[1]又は[2]に記載の治療剤。
TIFF
2025075711000003.tif
180
170
式1~4中、R
1
は、それぞれ独立に、アルコキシ基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基及びアリール基からなる群から選択されるいずれか1種であり、R
2
は、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基及びアリール基からなる群から選択されるいずれか1種であり、R
3
及びR
4
は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基及びアリール基からなる群から選択されるいずれか1種であり、R
3
及びR
4
はそれらが結合する炭素原子と一緒になって環を形成していてもよい。
[4] 前記塩がハロゲン化物塩又はハロゲン化水素塩である、[1]~[3]のいずれかに記載の治療剤。
[5] BRCA1遺伝子又はBRCA2遺伝子を含む相同組換え欠損が原因となって発症する癌の治療用の医薬組成物であって、
有効成分として、ニチジン及びニチジン誘導体並びにそれらの薬学的に許容される塩からなる群から選択される少なくとも1種の化合物と、オラパリブ(4-[(3-[(4-シクロプロピルカルボニル)ピペラジン-4-イル]カルボニル)-4-フルオロフェニル]メチル(2H)フタラジン-1-オン)とを含む、医薬組成物。
[6] 前記癌がオラパリブ耐性である、[5]に記載の医薬組成物。
[7] BRCA1遺伝子又はBRCA2遺伝子を含む相同組換え欠損が原因となって発症する癌の治療における、チジン及びニチジン誘導体並びにそれらの薬学的に許容される塩からなる群から選択される少なくとも1種の化合物の使用。
[8] 前記癌がオラパリブ耐性である、[7]に記載の使用。
[9] BRCA1遺伝子又はBRCA2遺伝子を含む相同組換え欠損が原因となって発症する癌の治療薬の製造のための、ニチジン及びニチジン誘導体並びにそれらの薬学的に許容される塩からなる群から選択される少なくとも1種の化合物の使用。
[10] 前記癌がオラパリブ耐性である、[9]に記載の使用。
[11] BRCA1遺伝子又はBRCA2遺伝子を含む相同組換え欠損が原因となって発症する癌の患者の治療方法であって、
ニチジン及びニチジン誘導体並びにそれらの薬学的に許容される塩からなる群から選択される少なくとも1種の化合物を含む医薬組成物を前記患者に投与する工程
を含む、治療方法。
[12] 前記癌がオラパリブ耐性である、[11]に記載の使用。
[13] BRCA1遺伝子又はBRCA2遺伝子を含む相同組換え欠損が原因となって発症する癌の治療に用いるための化合物のスクリーニング方法であって、
対象化合物及びBRCA2欠損細胞を準備する工程、
前記対象化合物と前記BRCA2欠損細胞とを接触させる工程、及び
前記BRCA2欠損細胞の生存率を算出する工程
を含む、スクリーニング方法。
[14] 前記癌がオラパリブ耐性である、[11]に記載のスクリーニング方法。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、オラパリブと比べて副作用が抑えられ、かつ、同等以上の抗がん活性を有する、BRCA1遺伝子又はBRCA2遺伝子を含む相同組換え欠損が原因となって発症する癌の治療のための治療剤を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
(【0011】以降は省略されています)
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