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公開番号2025075132
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-05-15
出願番号2023186081
出願日2023-10-31
発明の名称薬液投与デバイス
出願人テルモ株式会社
代理人弁理士法人桐朋
主分類A61M 5/32 20060101AFI20250508BHJP(医学または獣医学;衛生学)
要約【課題】患者の身体に薬液を投与するための薬液投与デバイス
【解決手段】薬液投与デバイス10は、筒体60の先端に配置された針カバー70と、移動規制部80とを備える。移動規制部80は、筒体60の周方向において、第1回転位置から第2回転位置に回転可能な回転体82を有する。例えば、穿刺針20が生体の身体BDに穿刺される際、針カバー70の基端方向への移動が許容される非ロック状態が形成される。穿刺針20が身体BDから抜去された後、薬液投与デバイス10は、回転体82が第2回転位置に位置することに基づき、針カバー70の基端方向への移動を規制するロック状態を形成可能である。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項１】
薬液を貯留したリザーバを保持するためのリザーバホルダを備える薬液投与デバイスであって、
前記リザーバホルダに支持される筒体と、
前記筒体の先端において、前記筒体の軸線方向に移動可能に配置され、先端に開口を有する針カバーと、
前記筒体の内部に配置され、前記針カバーを先端方向に向かって付勢する弾性部材と、
前記筒体の内部に配置され、前記針カバーの基端方向への移動を規制するロック状態を形成可能な移動規制部と、
前記ロック状態においてユーザによって操作され、前記針カバーの基端方向への移動を許容する非ロック状態に切り替えるための操作部と、
を備え、
前記リザーバは、生体の身体に穿刺されて前記リザーバ内の薬液を前記身体に投与する穿刺針が着脱可能な台座部を有し、
前記移動規制部は、前記筒体の周方向において、第１回転位置から第２回転位置に回転可能であり、前記第２回転位置において前記ロック状態を形成する回転体を有し、
前記台座部に取り付けられた前記穿刺針が前記身体に穿刺される穿刺段階において、前記非ロック状態が形成された状況下で前記針カバーが前記身体に押し当てられることに基づいて前記針カバーが基端方向に移動し、且つ前記穿刺針が前記開口から露出して前記身体に穿刺され、
前記穿刺針が前記身体から抜去される抜去段階において、前記針カバーが前記弾性部材から付勢されて前記穿刺針の全体を内部に収容する位置となり、
前記穿刺針が前記身体から抜去された後の抜去後段階において、前記穿刺針の全体が前記針カバーの内部に収容された状態で、前記ロック状態を形成可能であり、
前記抜去後段階の後であって前記台座部から前記穿刺針を脱着するための脱着前段階において、前記非ロック状態を形成可能である、薬液投与デバイス。
続きを表示（約 1,800 文字）【請求項２】
請求項１記載の薬液投与デバイスにおいて、前記針カバーは凸部を有し、前記回転体は、前記回転体が前記第２回転位置にあるときに軸線方向において前記凸部に向かい合うストッパ部を有し、
前記ストッパ部は、前記第２回転位置において、前記針カバーの基端方向への移動を阻止する、薬液投与デバイス。
【請求項３】
請求項２記載の薬液投与デバイスにおいて、前記ストッパ部は、前記第２回転位置において前記凸部に当接することで前記ロック状態を形成し、
前記操作部に対する操作に伴って前記回転体が前記第１回転位置に回転することで、前記ストッパ部が前記凸部から離間して前記非ロック状態を形成する、薬液投与デバイス。
【請求項４】
請求項２記載の薬液投与デバイスにおいて、前記操作部が前記回転体に設けられ、前記操作部と前記回転体とが一体的に回転可能である、薬液投与デバイス。
【請求項５】
請求項２記載の薬液投与デバイスにおいて、前記回転体を前記第１回転位置から前記第２回転位置に回転させる弾性力を付与する第２の弾性部材を備える、薬液投与デバイス。
【請求項６】
請求項１記載の薬液投与デバイスにおいて、前記移動規制部は、前記回転体の内部で軸線方向に移動可能なストッパ部材を有し、
前記ストッパ部材は、係合爪を有し、
前記回転体は、係合解除突起を有し、
前記薬液投与デバイスは、前記係合爪に係合可能な係合部を備え、
前記弾性部材は、前記ストッパ部材を介して前記針カバーを先端方向に付勢し、
前記回転体が前記第２回転位置にあるときに、前記ストッパ部材の前記係合爪が前記係合部に係合することで前記ストッパ部材の基端方向への移動が阻止され、
前記回転体が前記第１回転位置に到達する際に、前記回転体の前記係合解除突起が前記ストッパ部材の前記係合爪を押圧することで、前記係合爪と前記係合部との係合が解除される、薬液投与デバイス。
【請求項７】
請求項６記載の薬液投与デバイスにおいて、前記ストッパ部材は、前記リザーバホルダの外周面に、前記リザーバホルダの軸線方向に移動可能に支持され、前記係合爪は、前記リザーバホルダの直径方向外方に向かって突出し、
前記係合解除突起は、前記回転体の内周面から前記回転体の直径方向内方に向かって突出する、薬液投与デバイス。
【請求項８】
請求項１記載の薬液投与デバイスにおいて、前記針カバーの外周面はカム突起を有し、
且つ前記回転体は、前記操作部の操作に伴って前記リザーバホルダの軸線方向に移動可能であるとともに、前記回転体の側周壁は、前記回転体の先端面で開口するカム溝を有し、
前記第１回転位置において、前記カム溝が前記カム突起を受け入れ可能であり、
前記第２回転位置において、前記カム突起が前記カム溝外に露出して前記回転体の前記先端面が前記カム突起に当接することで前記ロック状態を形成する、薬液投与デバイス。
【請求項９】
請求項８記載の薬液投与デバイスにおいて、前記回転体が前記第２回転位置であるときに前記操作部が操作され、前記回転体が基端方向に移動して前記先端面が前記カム突起から離間することに伴い、前記非ロック状態を形成する、薬液投与デバイス。
【請求項１０】
請求項８記載の薬液投与デバイスにおいて、前記筒体の内周面はガイド溝を有し、前記ガイド溝は、前記筒体の軸線方向に沿って延びる第１溝と、前記第１溝に連なり且つ前記筒体の周方向に沿って延びる第２溝と、を有し、
前記回転体の外周面は、前記ガイド溝に挿入される係合突起を有し、
前記第２回転位置において、前記係合突起が前記第１溝に位置し、
前記第１回転位置において、前記係合突起が前記第２溝に位置し、
前記筒体は、前記回転体が前記第２回転位置であるときに前記係合突起に係合することで前記係合突起が基端方向に移動することを阻止する係合ストッパを有し、
前記操作部が操作されることに伴って前記係合突起と前記係合ストッパとの係合が解除される、薬液投与デバイス。
（【請求項１１】以降は省略されています）
発明の詳細な説明【技術分野】
【０００１】
本発明は、患者の身体に薬液を投与するための薬液投与デバイスに関する。
続きを表示（約 1,600 文字）【背景技術】
【０００２】
従来公知の薬液投与デバイスは、薬液を貯留したリザーバと、リザーバを保持したリザーバホルダとを備える。リザーバホルダの先端及び基端には、穿刺針及びボタンがそれぞれ設けられる。穿刺針が患者の身体に穿刺された状態で、ユーザが親指等でボタンを押すことにより、リザーバ内の薬液が穿刺針に移動する。薬液はさらに、穿刺針を介して患者に投与される。
【０００３】
一般的に、穿刺針は、薬液を患者に投与する直前まで針キャップに覆われている。ユーザは、針キャップを取り外して穿刺針を露出させた後、穿刺針を患者の身体（皮膚）に穿刺する。この状態で、ユーザは、親指等でボタンを押し込む。ユーザは、指をボタンから離した後、薬液投与デバイスを患者の身体から離間する方向に移動させる。この移動に伴い、穿刺針が患者の身体から抜去される。
【０００４】
穿刺針は、針キャップが取り外されてから穿刺が開始される前まで、露出した状態である。また、穿刺針は、薬液の投与が終了して患者の身体から抜去された後も露出した状態である。従って、露出した穿刺針が、患者の穿刺箇所以外の箇所に穿刺される懸念がある。このような誤穿刺を回避するため、特許文献１において、内側シールド及び外側シールドの二重シールドで針を覆う構成が提案されている。また、特許文献２において、穿刺針をシールド組立体で覆い且つシールド組立体をキャップで覆い、穿刺時にキャップをシールド組立体から取り外す構成が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００５】
特許第６４２６３９９号公報
特許第４２９８５１１号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００６】
例えば、インスリンを投与するための薬液投与デバイスでは、リザーバに、患者に複数回の投与が可能な量のインスリンが貯留されることが多い。この場合、リザーバに対して穿刺針が交換可能に取り付けられる。ユーザは、インスリンを１回投与する毎に、穿刺針を新品に交換する。
【０００７】
特許文献１記載の薬液投与デバイス及び特許文献２記載の薬液投与デバイスの使用可能回数は、１回である。すなわち、これらの薬液投与デバイスは、患者に対して１回の薬液投与を行った後に医療廃棄物として廃棄される。このため、特許文献１記載の薬液投与デバイスでは、穿刺針がリザーバに対して交換可能ではない。また、使用後に穿刺針が内側シールドで覆われるので、穿刺針を新品に交換することが容易ではない。特許文献２記載の薬液投与デバイスでは、穿刺針をリザーバホルダから取り外す際、シールド組立体が穿刺針と一緒にリザーバホルダから取り外される。
【０００８】
従って、薬液を１回投与する毎に穿刺針を新品に交換する薬液投与デバイスにおいて、特許文献１に記載される二重シールド又は特許文献２に記載されるシールド組立体に基づいて誤穿刺を防止することは容易ではない。
【０００９】
本発明は、上述した課題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【００１０】
（１）本開示の態様は、薬液を貯留したリザーバを保持するためのリザーバホルダを備える薬液投与デバイスである。薬液投与デバイスは、前記リザーバホルダに支持される筒体と、前記筒体の先端において、前記筒体の軸線方向に移動可能に配置され、先端に開口を有する針カバーと、前記筒体の内部に配置され、前記針カバーを先端方向に向かって付勢する弾性部材と、前記筒体の内部に配置され、前記針カバーの基端方向への移動を規制するロック状態を形成可能な移動規制部と、前記ロック状態においてユーザによって操作され、前記針カバーの基端方向への移動を許容する非ロック状態に切り替えるための操作部と、を備える。
（【００１１】以降は省略されています）

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