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公開番号2025073338
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-05-13
出願番号2023184026
出願日2023-10-26
発明の名称アルツハイマー病罹患者の認知機能障害の進行リスク又は発症リスクの検査方法、及びアルツハイマー病の検査方法
出願人国立大学法人京都大学
代理人個人,個人,個人
主分類G01N 33/68 20060101AFI20250502BHJP(測定;試験)
要約【課題】本開示の目的は、アルツハイマー病罹患者の認知機能障害の進行リスク又は発症リスクを検査する技術を提供することである。
【解決手段】アルツハイマー病罹患者の将来の認知機能障害の進行リスク又は発症リスクを検査する方法であって、アルツハイマー病罹患者から採取された体液中のSV2BのN末端フラグメント量を測定する工程を含む、検査方法。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
アルツハイマー病罹患者の将来の認知機能障害の進行リスク又は発症リスクを検査する方法であって、
アルツハイマー病罹患者から採取された体液中のシナプス小胞タンパク2BのN末端フラグメント量を測定する工程を含む、検査方法。
続きを表示(約 710 文字)【請求項2】
前記体液が、脳脊髄液である、請求項1に記載の検査方法。
【請求項3】
前記アルツハイマー病罹患者が、軽度認知障害の段階である、請求項1又は2に記載の検査方法。
【請求項4】
アルツハイマー病罹患者の将来の認知機能障害の進行リスク又は発症リスクを検査するためのキットであって、
体液中のシナプス小胞タンパク2BのN末端フラグメント量を測定するための試薬を含む、検査キット。
【請求項5】
前記試薬が、シナプス小胞タンパク2BのN末端フラグメントに結合性を示す抗体である、請求項4に記載の検査キット。
【請求項6】
アルツハイマー病の罹患の有無を検査する方法であって、
被験者から採取された体液中のシナプス小胞タンパク2BのN末端フラグメント量を測定する工程を含む、検査方法。
【請求項7】
前記体液が、脳脊髄液である、請求項6に記載の検査方法。
【請求項8】
アルツハイマー病の罹患の有無を検査するためのキットであって、
体液中のシナプス小胞タンパク2BのN末端フラグメント量を測定するための試薬を含む、検査キット。
【請求項9】
前記試薬が、シナプス小胞タンパク2BのN末端フラグメントに結合性を示す抗体である、請求項8に記載の検査キット。
【請求項10】
アルツハイマー病の罹患の有無を検査する方法であって、
被験者から採取された脳組織片中のシナプス小胞タンパク2B量を測定する工程を含む、検査方法。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本開示は、アルツハイマー病罹患者の将来の認知機能障害の進行リスク又は発症リスクを検査する方法に関する。また、本開示は、アルツハイマー病の検査方法に関する。また、本開示は、これらの検査方法に使用される検査キットに関する。
続きを表示(約 2,600 文字)【背景技術】
【0002】
アルツハイマー病(AD)は、進行性の認知機能の低下を引き起こす神経変性疾患であり、大脳皮質及び皮下下灰白質におけるアミロイドβ(Aβ)沈着及び神経原線維変化を特徴としている。現時点では、ADは、死後の剖検でしか確定診断はできないが、生前にADを正確に早期診断できれば、早期に治療介入できるようになり、ADに適した治療法を患者に施すことが可能になる。
【0003】
従来のADの診断では、問診や認知機能テストに加えて、コンピュータ断層撮影(CT)や磁気共鳴画像法(MRI)等の画像検査が行われている。これらの診断では、ADと、前頭側頭葉変性症(FTLD)やレビー小体型認知症(DLB)等の神経変性疾患とを判別することが困難な場合があり、患者に適切な治療法を施せないことがある。そのため、ADの診断では、ADに罹患しているのか否かの判別の精度を高めることが要望されている。
【0004】
従来、ADの診断精度を高めるための検査手法として脳脊髄液検査が知られている。AD罹患者の脳脊髄液では、総タウタンパク質(t-tau)及びスレオニン181がリン酸化されているタウ(p-tau)タンパク質の濃度が増加し、Aβ42濃度が低下しており、これらをADのバイオマーカーとして使用することにより、ADに罹患しているヒトと、ADに罹患していないヒトとを判別する診断の精度を向上できることが知られている(非特許文献1~3)。
【0005】
一方で、ADは、罹患から認知機能障害が発症するまでに20~30年の長い期間を経て進行していく。そのため、ADに罹患しても認知機能障害を発症しない場合と、認知機能障害を近い将来発症する場合の2つのタイプに分類される。AD罹患者の中から後者のタイプの患者を早期に特定して適切な治療を施すことが重要であるが、上述の従来の診断では、上記の2つのタイプのいずれかに該当するのか否かを判別することは依然として困難である。
【0006】
更に、AD罹患者における認知機能障害の発症リスクと、AD罹患者における認知機能障害の進行リスクとを同じ診断方法で判別できれば、同じ診断方法によってAD罹患者を継続的に観察できるので望ましい。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
Peskind ER. et al., Li G, Age and apolipoprotein E*4 allele effects on cerebrospinal fluid beta-amyloid 42 in adults with normal cognition. Arch Neurol. 2006;63:936-939.
Shaw LM. et al., Cerebrospinal fluid biomarker signature in Alzheimer's disease neuroimaging initiative subjects. Ann Neurol. 2009;65:403-413.
Tapiola T. et al., Cerebrospinal fluid [beta]-amyloid 42 and tau proteins as biomarkers of alzheimer-type pathologic changes in the brain. Arch Neurol. 2009;66:382-389.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本開示の一つの目的は、AD罹患者の認知機能障害の進行リスク又は発症リスクを検査する技術を提供することである。また、本開示の他の目的の一つは、ADの罹患の有無を検査する技術を提供することである。また、本開示の更に他の目的の一つは、重度ADの罹患の有無を検査する技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、前記課題を解決すべく鋭意検討を行ったところ、以下の知見を得た。
(1) 非AD罹患者群、中等度AD罹患者群、及び重度AD罹患者群の剖検脳頭頂葉縁上回(以下、脳組織片)から調製した脳ホモジネートを分析したところ、重度AD罹患者群だけでなく中等度AD罹患者群でも、脳ホモジネート中のシナプス小胞タンパク2B(SV2B)量が他のシナプスタンパク質と比べて有意に低かった。
(2) 非AD罹患者群、中等度AD罹患者群、及び重度AD罹患者群の脳組織片から分離したシナプトニューロソームを分析したところ、重度AD罹患者群では、非AD罹患者群及び中等度AD罹患者群に比べて、全長型SV2Bに対するSV2BのN末端フラグメント(SV2B NTF)の比率が有意に高かった。
(3) 非AD罹患者群及びAD罹患者群の脳脊髄液を分析したところ、AD罹患者群は非AD罹患者群に比べて、脳脊髄液中のSV2B NTF量が有意に高かった。
(4) 軽度認知障害(MCI)段階のAD罹患者を1年間追跡調査し、1年経過後に認知機能が低下した群(進行群)と認知機能が低下しなかった群(安定群)に分けて脳脊髄液を分析したところ、進行群では安定群に比べて追跡調査の開始時の脳脊髄液中のSV2B NTF量が有意に高かった。
【0010】
本開示は、これらの知見に基づいて、(i)AD罹患者から採取された体液中のSV2B NTF量が、AD罹患者の将来の認知機能障害の進行リスク又は発症リスクを予測するための指標になり得ること、(ii)被験者から採取された体液中のSV2B NTF量がADの罹患の有無を予測するための指標になり得ること、(iii)被験者から採取された脳組織片中のSV2B量がADの罹患の有無を予測するための指標になり得ること、(iv)被験者から採取された脳組織片から分離したシナプトニューロソームにおける全長型SV2Bに対するSV2B NTFの比率が重度ADの罹患の有無を予測するための指標になり得ること、を見出した。本開示は、これらの知見に基づいて、更に検討を重ねることにより完成したものである。
(【0011】以降は省略されています)

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