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公開番号2025072792
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-05-12
出願番号2023183121
出願日2023-10-25
発明の名称ハロゲン化カルボニル化合物の製造方法及びカルボニル化合物の製造方法
出願人富士フイルム株式会社,富士フイルム和光純薬株式会社
代理人弁理士法人クオリオ,個人,個人,個人,個人
主分類C01B 32/80 20170101AFI20250501BHJP(無機化学)
要約【課題】ハロゲン化炭化水素から、ラジカル反応を介して、ハロゲン化カルボニル化合物をより高効率に生成することができるハロゲン化カルボニル化合物の製造方法、及び、目的のカルボニル化合物をより高純度に得ることができるカルボニル化合物の製造方法を提供する
【解決手段】有機ラジカル発生剤とハロゲン化炭化水素とを含む混合液から、酸素存在下のラジカル反応によりハロゲン化カルボニル化合物を生成することを含むハロゲン化カルボニル化合物の製造方法、及び、この製造方法により得られたハロゲン化カルボニル化合物と、活性水素含有化合物とを反応させることを含むカルボニル化合物の製造方法。ただし、上記有機ラジカル発生剤は、有機過酸化物及びアゾ化合物のいずれも含まない。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
有機ラジカル発生剤とハロゲン化炭化水素とを含む混合液から、酸素存在下のラジカル反応によりハロゲン化カルボニル化合物を生成することを含む、ハロゲン化カルボニル化合物の製造方法。
ただし、前記有機ラジカル発生剤は、有機過酸化物及びアゾ化合物のいずれも含まない。
続きを表示(約 890 文字)【請求項2】
前記酸素存在下のラジカル反応が、空気雰囲気下のラジカル反応である、請求項1に記載のハロゲン化カルボニル化合物の製造方法。
【請求項3】
前記混合液中に空気を供給することにより前記酸素を供給する、請求項1に記載のハロゲン化カルボニル化合物の製造方法。
【請求項4】
前記混合液に光及び/又は熱を供給することにより前記有機ラジカル発生剤がラジカルを生成して前記ラジカル反応を生じる、請求項3に記載のハロゲン化カルボニル化合物の製造方法。
【請求項5】
前記光が発光ダイオード光源からの光である、請求項4に記載のハロゲン化カルボニル化合物の製造方法。
【請求項6】
前記有機ラジカル発生剤が下記(a)及び/又は(b)を含む、請求項4に記載のハロゲン化カルボニル化合物の製造方法:
(a)外部刺激により化学結合が切断されてハロゲンラジカルを生成する化合物、
(b)フェニルカルボニル構造を有する化合物。
【請求項7】
前記(a)の化合物が下記式(1)で表される構造部を有する、請求項6に記載のハロゲン化カルボニル化合物の製造方法。
*-C(=O)-N(-X)-C(=O)-* 式(1)
式中、Xはハロゲン原子を示し、*は結合部を示す。
【請求項8】
前記ハロゲン化炭化水素が有するハロゲン原子が塩素、臭素及びヨウ素から選ばれる原子である、請求項7に記載のハロゲン化カルボニル化合物の製造方法。
【請求項9】
前記ハロゲン化炭化水素がクロロ化炭化水素であり、前記ハロゲン化カルボニル化合物がホスゲンである、請求項8に記載のハロゲン化カルボニル化合物の製造方法。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか1項に記載のハロゲン化カルボニル化合物の製造方法により得られたハロゲン化カルボニル化合物と、活性水素含有化合物とを反応させることを含む、カルボニル化合物の製造方法。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、ハロゲン化カルボニル化合物の製造方法、及び、この製造方法で得られたハロゲン化カルボニル化合物を反応剤として用いるカルボニル化合物の製造方法に関する。
続きを表示(約 3,000 文字)【背景技術】
【0002】
ハロゲン化カルボニル化合物は、活性水素を含有する種々の化合物へカルボニル基を導入するための反応剤として知られており、かかる反応剤としてホスゲンが広く使用されている。例えば、ホスゲンと第一級アミンとの反応によりイソシアネート化合物、ウレア化合物などを得ることができる。また、ホスゲンと水酸基を有する化合物との反応によりカーボネート化合物、クロロホルメート化合物などを得ることができる。ハロゲン化カルボニル化合物は毒性が高く、しかも室温でガス状のものが多く、その取扱いには細心の注意を要する。
【0003】
ハロゲン化カルボニル化合物の合成方法がいくつか提案されている。
例えば、ホスゲンの工業的な合成は、一酸化炭素と塩素との気体反応により行われている。この気体反応は350℃以上の高温を要し、専用のプラントで行われる。
固体のトリホスゲンから触媒反応によりホスゲンを生成させる方法も知られている(例えば、特許文献1及び2参照)。この方法は高温を要さず、ホスゲンをオンデマンドで比較的簡単に合成することができる一方で、トリホスゲンが高価である点がデメリットとして挙げられる。
また、特許文献3には、ハロゲン化炭化水素を含む液組成物を、可視光によりラジカルを発生する特定の物質(塩素ガス、亜塩素酸ナトリウム等)と酸素の存在下で光照射することにより、ホスゲン等のハロゲン化カルボニルを得る方法が記載されている。特許文献3記載の技術によれば、高温を要さずに、かつ、白色LED光源からの可視光を照射するだけで、ラジカル反応によりハロゲン化カルボニルを効率的に製造できるとされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
国際公開第2021/033504号
国際公開第2021/033505号
国際公開第2021/045105号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献3に記載されるラジカル反応を介したハロゲン化カルボニル化合物の製造方法では、具体的な実施形態において、ラジカル発生剤として塩素ガス、亜塩素酸ナトリウム等が用いられている。本発明者らは、これら特定のラジカル発生剤を用いたハロゲン化炭化水素からのハロゲン化カルボニル化合物の生成効率を、生成したハロゲン化カルボニル化合物を反応剤として生成するカルボニル化合物の生成効率を指標として検討を進めた。その結果、目的のカルボニル化合物を比較的高効率に得ることができるものの、不純物もある程度多量に生成することがわかってきた。
【0006】
本発明は、ハロゲン化炭化水素から、ラジカル反応を介して、ハロゲン化カルボニル化合物をより高効率に生成することができるハロゲン化カルボニル化合物の製造方法を提供することを課題とする。また本発明は、ハロゲン化カルボニル化合物を反応剤として、目的のカルボニル化合物をより高純度に得ることができるカルボニル化合物の製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは上記課題に鑑み鋭意検討を重ねた。その結果、ハロゲン化炭化水素から、ラジカル反応を介してハロゲン化カルボニル化合物を生成するに当たり、ラジカル発生剤として特定の有機ラジカル発生剤を用いた場合に、ハロゲン化カルボニル化合物ないしこの化合物との反応で得られる目的のカルボニル化合物の生成効率が格段に高められることを見出した。本発明はこれらの知見に基づきさらに検討を重ねて完成されるに至ったものである。
【0008】
本発明の上記課題は下記手段により解決される。
〔1〕
有機ラジカル発生剤とハロゲン化炭化水素とを含む混合液から、酸素存在下のラジカル反応によりハロゲン化カルボニル化合物を生成することを含む、ハロゲン化カルボニル化合物の製造方法。
ただし、上記有機ラジカル発生剤は、有機過酸化物及びアゾ化合物のいずれも含まない。
〔2〕
上記酸素存在下のラジカル反応が、空気雰囲気下のラジカル反応である、〔1〕に記載のハロゲン化カルボニル化合物の製造方法。
〔3〕
上記混合液中に空気を供給することにより上記酸素を供給する、〔1〕又は〔2〕に記載のハロゲン化カルボニル化合物の製造方法。
〔4〕
上記混合液に光及び/又は熱を供給することにより上記有機ラジカル発生剤がラジカルを生成して上記ラジカル反応を生じる、〔1〕~〔3〕のいずれかに記載のハロゲン化カルボニル化合物の製造方法。
〔5〕
上記光が発光ダイオード光源からの光である、〔4〕に記載のハロゲン化カルボニル化合物の製造方法。
〔6〕
上記有機ラジカル発生剤が下記(a)及び/又は(b)を含む、〔1〕~〔5〕のいずれかに記載のハロゲン化カルボニル化合物の製造方法:
(a)外部刺激により化学結合が切断されてハロゲンラジカルを生成する化合物、
(b)フェニルカルボニル構造を有する化合物。
〔7〕
上記(a)の化合物が下記式(1)で表される構造部を有する、〔6〕に記載のハロゲン化カルボニル化合物の製造方法。
*-C(=O)-N(-X)-C(=O)-* 式(1)
式中、Xはハロゲン原子を示し、*は結合部を示す。
〔8〕
上記ハロゲン化炭化水素が有するハロゲン原子が塩素、臭素及びヨウ素から選ばれる原子である、〔1〕~〔7〕のいずれかに記載のハロゲン化カルボニル化合物の製造方法。
〔9〕
上記ハロゲン化炭化水素がクロロホルムであり、前記ハロゲン化カルボニル化合物がホスゲンである、〔8〕に記載のハロゲン化カルボニル化合物の製造方法。
〔10〕
〔1〕~〔9〕のいずれかに記載のハロゲン化カルボニル化合物の製造方法により得られたハロゲン化カルボニル化合物と、活性水素含有化合物とを反応させることを含む、カルボニル化合物の製造方法。
〔11〕
上記活性水素含有化合物が、第一級アミン化合物、第二級アミン化合物、アルコール化合物、チオール化合物、カルボン酸化合物、及びアミノ酸の少なくとも1種である、〔10〕に記載のカルボニル化合物の製造方法。
【0009】
本明細書において「~」を用いて表される数値範囲は、「~」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
【発明の効果】
【0010】
本発明のハロゲン化カルボニル化合物の製造方法によれば、ハロゲン化炭化水素から、ラジカル反応を介して、ハロゲン化カルボニル化合物をより高効率に得ることができる。また本発明のカルボニル化合物の製造方法によれば、ハロゲン化カルボニル化合物を反応剤として目的のカルボニル化合物をより高純度に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
(【0011】以降は省略されています)

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