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公開番号2025071990
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-05-09
出願番号2023182457
出願日2023-10-24
発明の名称キメリズムの解析方法
出願人株式会社 TL Genomics,国立大学法人大阪大学
代理人弁理士法人鷲田国際特許事務所
主分類C12Q 1/686 20180101AFI20250430BHJP(生化学;ビール;酒精;ぶどう酒;酢;微生物学;酵素学;突然変異または遺伝子工学)
要約【課題】レシピエントの細胞とドナーの細胞の比率を簡単に測定できる、キメリズムの解析方法を提供すること。
【解決手段】本発明に係るキメリズムの解析方法は、被検者由来の複数の細胞についてのキメリズムの解析方法であって、前記複数の細胞を複数の第1反応区画に1つずつ分配する工程と、前記複数の第1反応区画のそれぞれにおいて、レシピエントの細胞に特異的に存在する第1DNAマーカーおよびドナーの細胞に特異的に存在する第2DNAマーカーをPCRで増幅する工程と、前記複数の第1反応区画のそれぞれにおいて、前記第1DNAマーカーのアンプリコンおよび前記第2DNAマーカーのアンプリコンを検出する工程と、を含む。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
被検者由来の複数の細胞についてのキメリズムの解析方法であって、
前記複数の細胞を複数の第1反応区画に1つずつ分配する工程と、
前記複数の第1反応区画のそれぞれにおいて、レシピエントの細胞に特異的に存在する第1DNAマーカーおよびドナーの細胞に特異的に存在する第2DNAマーカーをPCRで増幅する工程と、
前記複数の第1反応区画のそれぞれにおいて、前記第1DNAマーカーのアンプリコンおよび前記第2DNAマーカーのアンプリコンを検出する工程と、
を含む、キメリズムの解析方法。
続きを表示(約 1,100 文字)【請求項2】
前記第1DNAマーカーのアンプリコンおよび前記第2DNAマーカーのアンプリコンを検出する工程では、前記複数の第1反応区画のそれぞれにおいて、前記第1DNAマーカーのアンプリコンを第1波長の蛍光プローブで検出し、前記第2DNAマーカーのアンプリコンを第2波長の蛍光プローブで検出する、請求項1に記載のキメリズムの解析方法。
【請求項3】
前記レシピエントの細胞および前記ドナーの細胞について、複数種の候補DNAマーカーの存在を確認して、前記第1DNAマーカーおよび前記第2DNAマーカーを決定する工程をさらに有する、請求項1に記載のキメリズムの解析方法。
【請求項4】
前記第1DNAマーカーおよび前記第2DNAマーカーを決定する工程は、
前記レシピエントの細胞または前記ドナーの細胞由来のゲノムDNAの断片を複数の第2反応区画に分配する工程と、
前記複数の第2反応区画のそれぞれにおいて、前記複数種の候補DNAマーカーをPCRで増幅する工程と、
前記複数の第2反応区画のそれぞれにおいて、第3波長の蛍光プローブおよび第4波長の蛍光プローブを使用して前記複数種の候補DNAマーカーのアンプリコンを検出する工程と、
を含む、請求項3に記載のキメリズムの解析方法。
【請求項5】
前記複数種の候補DNAマーカーのアンプリコンを検出する工程では、前記複数種の候補DNAマーカーのうち第1候補DNAマーカーのアンプリコンに特異的に結合する第3波長の蛍光プローブおよび第4波長の蛍光プローブ、ならびに前記複数種の候補DNAマーカーのうち第2候補DNAマーカーのアンプリコンに特異的に結合する第3波長の蛍光プローブおよび第4波長の蛍光プローブを使用し、
前記第1候補DNAマーカーのアンプリコンに特異的に結合する前記第3波長の蛍光プローブと前記第4波長の蛍光プローブとの比は、前記第2候補DNAマーカーのアンプリコンに特異的に結合する前記第3波長の蛍光プローブと前記第4波長の蛍光プローブとの比と異なる、
請求項4に記載のキメリズムの解析方法。
【請求項6】
前記第1DNAマーカーおよび前記第2DNAマーカーは、インデルマーカーまたはCNVマーカーである、請求項1に記載のキメリズムの解析方法。
【請求項7】
前記複数の細胞は、前記被検者の末梢血由来の細胞である、請求項1に記載のキメリズムの解析方法。
【請求項8】
前記複数の第1反応区画は、ドロップレットである、請求項1に記載のキメリズムの解析方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、キメリズムの解析方法に関する。
続きを表示(約 3,800 文字)【背景技術】
【0002】
造血幹細胞移植は、化学療法または放射線治療では治すことが難しい血液がんなどに対して、完治させることを目的として行われる治療である。造血幹細胞移植(同種造血幹細胞移植)では、レシピエント(患者)に対して化学療法や放射線治療などの移植前処置を行った後に、ドナー(提供者)から採取した造血幹細胞を移植する。
【0003】
造血幹細胞移植においては、レシピエントの血液細胞がドナー由来の血液細胞に置き換わったことを確認するために、ドナー由来細胞の生着の確認が重要である。特に、骨髄幹細胞に比して生着能力が相対的に低く、生着までに日数を要する臍帯血移植の割合が高まっているため、生着確認を的確に実施することの重要性は増している。移植後のレシピエントの体内では、ドナー由来血液細胞とレシピエント由来血液細胞とが同時に存在するキメリズムと呼ばれる状態が出現することがある。キメリズムの解析は、ドナー由来細胞の生着および血液がんの再発をモニタリングする方法として臨床的に有用である。
【0004】
造血幹細胞移植におけるキメリズムの解析は、移植片の生着または拒絶、造血器腫瘍の再発をモニタリングする方法として臨床的に有用である(非特許文献1)。キメリズムの解析方法としては、性染色体を蛍光in situハイブリダイゼーション(FISH)で検出するXY-FISH法がある。しかしながら、この方法は異性間の移植にしか適用できない。一方、同性間の移植にも適用できるキメリズムの解析方法としては、個人で長さの異なるshort tandem repeat(STR)をPCRで解析するSTR-PCR法がある。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
Pamela Tozzo, et al., "Chimerism Monitoring Techniques after Hematopoietic Stem Cell Transplantation: An Overview of the Last 15 Years of Innovations, Diagnostics, Vol. 11, pp. 621.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のXY-FISH法およびSTR-PCR法によるキメリズムの解析は、手技が煩雑で検査に時間がかかるという問題がある。また、STR-PCR法には、レシピエントの細胞とドナーの細胞の比率を測定することが難しいという問題もある。
【0007】
本発明の目的は、レシピエントの細胞とドナーの細胞の比率を簡単に測定できる、キメリズムの解析方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、以下のキメリズムの解析方法に関する。
[1]被検者由来の複数の細胞についてのキメリズムの解析方法であって、
前記複数の細胞を複数の第1反応区画に1つずつ分配する工程と、
前記複数の第1反応区画のそれぞれにおいて、レシピエントの細胞に特異的に存在する第1DNAマーカーおよびドナーの細胞に特異的に存在する第2DNAマーカーをPCRで増幅する工程と、
前記複数の第1反応区画のそれぞれにおいて、前記第1DNAマーカーのアンプリコンおよび前記第2DNAマーカーのアンプリコンを検出する工程と、
を含む、キメリズムの解析方法。
[2]前記第1DNAマーカーのアンプリコンおよび前記第2DNAマーカーのアンプリコンを検出する工程では、前記複数の第1反応区画のそれぞれにおいて、前記第1DNAマーカーのアンプリコンを第1波長の蛍光プローブで検出し、前記第2DNAマーカーのアンプリコンを第2波長の蛍光プローブで検出する、[1]に記載のキメリズムの解析方法。
[3]前記レシピエントの細胞および前記ドナーの細胞について、複数種の候補DNAマーカーの存在を確認して、前記第1DNAマーカーおよび前記第2DNAマーカーを決定する工程をさらに有する、[1]または[2]に記載のキメリズムの解析方法。
[4]前記第1DNAマーカーおよび前記第2DNAマーカーを決定する工程は、
前記レシピエントの細胞または前記ドナーの細胞由来のゲノムDNAの断片を複数の第2反応区画に分配する工程と、
前記複数の第2反応区画のそれぞれにおいて、前記複数種の候補DNAマーカーをPCRで増幅する工程と、
前記複数の第2反応区画のそれぞれにおいて、第3波長の蛍光プローブおよび第4波長の蛍光プローブを使用して前記複数種の候補DNAマーカーのアンプリコンを検出する工程と、
を含む、[3]に記載のキメリズムの解析方法。
[5]前記複数種の候補DNAマーカーのアンプリコンを検出する工程では、前記複数種の候補DNAマーカーのうち第1候補DNAマーカーのアンプリコンに特異的に結合する第3波長の蛍光プローブおよび第4波長の蛍光プローブ、ならびに前記複数種の候補DNAマーカーのうち第2候補DNAマーカーのアンプリコンに特異的に結合する第3波長の蛍光プローブおよび第4波長の蛍光プローブを使用し、
前記第1候補DNAマーカーのアンプリコンに特異的に結合する前記第3波長の蛍光プローブと前記第4波長の蛍光プローブとの比は、前記第2候補DNAマーカーのアンプリコンに特異的に結合する前記第3波長の蛍光プローブと前記第4波長の蛍光プローブとの比と異なる、
[4]に記載のキメリズムの解析方法。
[6]前記第1DNAマーカーおよび前記第2DNAマーカーは、インデルマーカーまたはCNVマーカーである、[1]~[5]のいずれか一項に記載のキメリズムの解析方法。
[7]前記複数の細胞は、前記被検者の末梢血由来の細胞である、[1]~[6]のいずれか一項に記載のキメリズムの解析方法。
[8]前記複数の第1反応区画は、ドロップレットである、[1]~[7]のいずれか一項に記載のキメリズムの解析方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、レシピエントの細胞とドナーの細胞の比率を簡単に測定できる、キメリズムの解析方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1は、本発明の一実施の形態に係るキメリズムの解析方法のフローチャートである。
図2は、10種類の候補DNAマーカー(PA1~PA10)および2種類の参照DNAマーカーのアンプリコンを検出した結果を示す散布図である。
図3は、他の9種類の候補DNAマーカー(PA11~PA19)および2種類の参照DNAマーカーのアンプリコンを検出した結果を示す散布図である。
図4は、他の9種類の候補DNAマーカー(PA20~PA28)および2種類の参照DNAマーカーのアンプリコンを検出した結果を示す散布図である。
図5Aは、レシピエントのgDNAに対してddPCRを行った結果を示す図であり、図5Bは、ドナーのgDNAに対してddPCRを行った結果を示す図である。
図6Aは、レシピエントのgDNAに対してddPCRを行った結果を示す図であり、図6Bは、ドナーのgDNAに対してddPCRを行った結果を示す図である。
図7Aは、レシピエントのgDNAに対してddPCRを行った結果を示す図であり、図7Bは、ドナーのgDNAに対してddPCRを行った結果を示す図である。
図8Aは、レシピエントについての候補DNAマーカーおよび参照DNAマーカーのドット数を示すグラフであり、図8Bは、ドナーについての候補DNAマーカーおよび参照DNAマーカーのドット数を示すグラフである。
図9Aは、レシピエントについての候補DNAマーカーおよび参照DNAマーカーのドット数を示すグラフであり、図9Bは、ドナーについての候補DNAマーカーおよび参照DNAマーカーのドット数を示すグラフである。
図10Aは、レシピエントについての候補DNAマーカーおよび参照DNAマーカーのドット数を示すグラフであり、図10Bは、ドナーについての候補DNAマーカーおよび参照DNAマーカーのドット数を示すグラフである。
図11は、造血幹細胞移植を行ってから21日後のレシピエントの末梢血中の細胞に対して、第1DNAマーカーとしてPA3およびPA11の2種を、第2DNAマーカーとしてPA6、PA17、PA20およびPA21の4種を使用してPCRを行った結果を示す図である。
図12は、造血幹細胞移植を行ってから21日後のレシピエントの末梢血中の細胞に対して、第1DNAマーカーとしてPA3を、第2DNAマーカーとしてPA6を使用してPCRを行った結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
(【0011】以降は省略されています)

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