TOP特許意匠商標
特許ウォッチ Twitter
公開番号2025070083
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-05-02
出願番号2023180147
出願日2023-10-19
発明の名称酪酸菌増殖促進剤、ならびにこれを含む食品および医薬品
出願人学校法人藤田学園,株式会社農,伊藤忠製糖株式会社
代理人弁理士法人綿貫国際特許・商標事務所
主分類A23L 33/10 20160101AFI20250424BHJP(食品または食料品;他のクラスに包含されないそれらの処理)
要約【課題】1-ケストースと栄養成分とを併用することで、栄養成分単独で摂取したときの酪酸菌の増殖促進効果がさらに相乗的な増殖促進効果となって発揮され得る組み合わせ、或いは、栄養成分単独で摂取したときの酪酸菌の増殖抑制効果が相殺されてさらに酪酸菌の増殖促進効果となって発揮され得る組み合わせを含む、相乗的なまたは相殺的な酪酸菌の増殖促進剤を提供する。
【解決手段】本発明の酪酸菌増殖促進剤は、1-ケストースと栄養成分とを含む相乗的なまたは相殺的な酪酸菌の増殖促進剤であって、前記栄養成分が、所定のポリフェノール、所定のビタミン類、所定の脂質、所定のアミノ酸、所定のタンパク質、および所定のミネラルから選択される1種類以上の成分である。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
1-ケストースと栄養成分とを含む相乗的なまたは相殺的な酪酸菌の増殖促進剤であって、
前記栄養成分が、ルチン、ケルセチン、カテキン、ヘスペリジン、ダイゼイン、ゲニステイン、p-クマル酸、カフェ酸、およびバニリンから選択される1種類以上のポリフェノールである酪酸菌増殖促進剤。
続きを表示(約 760 文字)【請求項2】
1-ケストースと栄養成分とを含む相乗的なまたは相殺的な酪酸菌の増殖促進剤であって、
前記栄養成分が、ビオチン、ナイアシン、パントテン酸、リボフラビン、ビタミンE、およびビタミンDと、これらのビタミンの誘導体と、該ビタミンの塩および該誘導体の塩とから選択される1種類以上のビタミン類である酪酸菌増殖促進剤。
【請求項3】
1-ケストースと栄養成分とを含む相乗的なまたは相殺的な酪酸菌の増殖促進剤であって、
前記栄養成分が、アラキドン酸、α-リノレン酸、およびドコサヘキサエン酸、ならびにこれらの脂肪酸を構成脂肪酸とする化合物から選択される1種類以上の脂質である酪酸菌増殖促進剤。
【請求項4】
1-ケストースと栄養成分とを含む相乗的なまたは相殺的な酪酸菌の増殖促進剤であって、
前記栄養成分が、γ-アミノ酪酸およびホエイタンパク質から選択される1種類以上のアミノ酸またはタンパク質である酪酸菌増殖促進剤。
【請求項5】
1-ケストースと栄養成分とを含む相乗的なまたは相殺的な酪酸菌の増殖促進剤であって、
前記栄養成分が、カリウム、マグネシウム、および鉄から選択される1種類以上のミネラルである酪酸菌増殖促進剤。
【請求項6】
前記ビタミンEがα-トコフェロール、前記ビタミンDがコレカルシフェロールである請求項2記載の酪酸菌増殖促進剤。
【請求項7】
前記1-ケストースおよび前記栄養成分に加えて酪酸菌を含むシンバイオティクスである請求項1~6のいずれか1項に記載の酪酸菌増殖促進剤。
【請求項8】
請求項1~6のいずれか1項に記載の酪酸菌増殖促進剤を含む食品または医薬品。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、酪酸菌増殖促進剤、ならびにこれを含む食品および医薬品に関する。
続きを表示(約 3,400 文字)【背景技術】
【0002】
酪酸(ブタン酸、n-ブタン酸)は、分子式C





、示性式CH

(CH

)

COOHで表される直鎖カルボン酸である。酪酸は、腸内細菌による主要な代謝産物である短鎖脂肪酸の一つで、腸内を弱酸性に保ち、有害菌(いわゆる悪玉菌)の増殖を抑制する他、宿主の体内で様々な有益な生理機能をもたらすことが知られている。一例として、酪酸は、末梢組織において免疫寛容を担う制御性T細胞(Treg)の分化誘導や、炎症・自己免疫応答を抑制するサイトカインであるIL-10の産生促進に関与することが知られている(非特許文献1:Nature, 2013;504(7480):446-450、非特許文献2:Nutrients, 2011;3(10):858-876)。また、酪酸は、食欲抑制作用を有するレプチンやペプチドYY(PYY)、インクレチンとして2型糖尿病に効能効果を有するグルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)等のホルモンの産生もしくは分泌の調整に関与することも知られている(非特許文献3:Journal of Veterinary Science, 2011;12(4):319-323、非特許文献4:Scientific Reports, 2018;8:74)。
【0003】
しかしながら、酪酸は微量であっても不快な臭気を放つため、食品成分として直接に積極的に摂取することは実際的でない。そのため、腸内細菌による代謝産物として酪酸を産生させられることが望ましい。酪酸は、腸内細菌叢における有用菌(いわゆる善玉菌)として知られる酪酸菌によって産生される。酪酸菌は、酪酸を産生するすなわち酪酸産生能を有する細菌の総称であり、酪酸産生菌とも呼称される。酪酸菌のうち、例えば、Clostridium leptum subgroup(Clostridium ClusterIV)に属するFaecalibacterium duncaniae(旧名:Faecalibacterium prausnitizii)、その他Clostridium coccoides group(Clostridium cluster XIVa)に属する、Agathobacter rectalis(旧名:Eubacterium rectale)、Eubacterium属細菌およびRosebria属細菌等は、ヒトの腸内細菌叢における優勢菌として例示することができる(非特許文献5:FEMS Microbiology Letters, 2009;294(1):1-8)。
【0004】
腸内で酪酸を増加させる実際的で有効な手段としては、宮入菌として知られるClostridium butyricum(クロストリジウム・ブチリカム)等をはじめとする、食品形態等としても摂取可能な酪酸菌(いわゆるプロバイオティクス)を摂取する方法がある。
【0005】
また、上部消化管で分解、吸収されずに下部消化管に到達し、酪酸菌を含む有用菌の選択的な基質となって、それらの増殖を促進しまたは代謝を活性化する成分(いわゆるプレバイオティクス)を摂取する方法もある。酪酸菌の増殖促進作用を有するプレバイオティクスの一つとして、1-ケストースが知られている(非特許文献6:Gut Microbes, 2021;13(1):1869503 - 1869503-20)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
Y.Furusawa et al., Springer Nature (GB), Nature, 2013;504(7480):446-450
Vinolo MA et al., MDPI(Multidisciplinary Digital Publishing Institute) (CH), Nutrients, 2011;3(10):858-876
Soliman MM et al, Korean Society of Veterinary Science (KR), Journal of Veterinary Science, 2011;12(4):319-323
P.Larraufie et al., Nature Research (GB), Scientific Reports, 2018;8:74
Louis P et al., Federation of European Microbiological Societies (GB), FEMS Microbiology Letters, 2009;294(1):1-8
H.Tanno et al., Taylor & Francis Online (GB), Gut Microbes, 2021;13(1):1869503 - 1869503-20
Katsirma Z et al., The Royal Society of Chemistry (GB), Food & Function, 2021;12(6): 8850-8866
Gwiazdowska D et al., Polish Biochemical Society and Polish Academy of Sciences (PL), Acta Biochimica Polanica, 2015;62(4):895-901
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、現在、いわゆる健康食品と総称され、或いは健康補助食品、栄養補助食品、サプリメント等と称して、特定の栄養成分が配合された食品であって、当該栄養成分の補給やそれによる特定の機能を期待して摂取される食品が普及している。これらの食品に配合される栄養成分としては、糖質、食物繊維、ポリフェノール、ビタミン類、脂質、アミノ酸、タンパク質、ミネラル等が例示される。
【0008】
これらの栄養成分のうち、例えば非特許文献7(Food & Function, 2021;12(6): 8850-8866)には、果実に含まれるポリフェノールに酪酸菌の増殖を促進する可能性があることが記載されている。しかしながら、栄養成分それぞれに酪酸菌の増殖を促進し得る機能を有しているかは未だ解明されていない。一方、栄養成分の中には、例えば酪酸菌と同じく有用菌として知られるビフィズス菌に対して初期等の増殖を抑制し得る成分が存在しており(非特許文献8:Acta Biochimica Polanica, 2015;62(4):895-901)、栄養成分の中に酪酸菌の増殖を抑制し得る成分が含まれている可能性もある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の背景から、本発明者らは、各栄養成分が酪酸菌の増殖にもたらす影響について検討した。さらに、酪酸菌の増殖促進作用が知られている1-ケストースに、これらの栄養成分を組み合わせたときの酪酸菌の増殖にもたらす影響についても検討した。例えば、薬効成分等の場合、それぞれ単独での有用性が認められている成分同士であってもそれを併用すると作用が拮抗して打ち消されてしまうことがあり、本発明の属する技術分野においては、仮に単独で酪酸菌の増殖促進作用が認められてもそれらの併用も有用であると必ずしも結論できないという事情がある。
【0010】
このような事情の下、検討の結果、栄養成分単独で確認された酪酸菌の増殖促進効果が1-ケストースの併用によってさらに相乗的な増殖促進効果となって表れる成分(詳細は後述するが、この効果を相乗的な増殖促進効果と規定する)、或いは、栄養成分単独で確認された酪酸菌の増殖抑制効果が1-ケストースの併用によって相殺されてさらに酪酸菌の増殖促進効果となって表れる成分(詳細は後述するが、この効果を相殺的な増殖促進効果と規定する)が存在することが見出され、本発明に至った。
(【0011】以降は省略されています)

この特許をJ-PlatPatで参照する

関連特許

個人
ペットフード
2か月前
個人
古代食品塩梅醤
1か月前
個人
血圧降下用組成物
2か月前
個人
ジャム
1か月前
ライソン株式会社
焙煎機
22日前
個人
具入り餅食品
2か月前
不二製油株式会社
卵代替素材
1か月前
池田食研株式会社
風味改善剤
2日前
株式会社ソディック
計量装置
27日前
第一工業製薬株式会社
組成物
2か月前
第一工業製薬株式会社
組成物
2か月前
株式会社東洋新薬
経口組成物
9日前
池田食研株式会社
微粉状食品
7日前
株式会社ソディック
計量装置
27日前
有限会社丸繁商店
メカブ
2か月前
有限会社丸繁商店
メカブ
2か月前
株式会社東洋新薬
飲食用組成物
2か月前
不二製油株式会社
異風味抑制剤
2か月前
有限会社丸繁商店
メカブ
2か月前
アサヒ飲料株式会社
飲料
7日前
不二製油株式会社
チーズ様食品
23日前
SoPros株式会社
経口養毛剤
1か月前
池田食研株式会社
TGR5活性化剤
2か月前
株式会社寺田製作所
散茶装置
1か月前
池田食研株式会社
TGR5活性化剤
2か月前
個人
天然マンゴー果汁色青汁
8日前
大山食品株式会社
お好み焼き
1か月前
鈴茂器工株式会社
米飯処理装置
2か月前
明星食品株式会社
フライ麺の製造方法
2か月前
株式会社和田機械
皮剥き機の刃物円盤
1か月前
株式会社米島本店
七草加工食品
今日
不二製油グループ本社株式会社
卵代替物
2か月前
株式会社明治
繊維状チーズ
2か月前
個人
茶を抽出する方法、茶冷凍体
1か月前
株式会社長根商店
きのこ加工食品
2か月前
個人
黒ニンニク加工品及びその製造方法
1か月前
続きを見る