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公開番号2025029653
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-03-07
出願番号2023134396
出願日2023-08-22
発明の名称魚類の感染症予防治療剤
出願人学校法人藤田学園,株式会社農,ウェルネオシュガー株式会社,静岡県
代理人弁理士法人 井手・小野国際特許事務所
主分類A61K 31/7016 20060101AFI20250228BHJP(医学または獣医学;衛生学)
要約【課題】抗生物質等に依存しない安全で簡便な魚類の感染症予防治療剤を提供すること。
【解決手段】スクロース及び/又は1-ケストースを有効成分として含有する魚類用感染症予防又は治療剤。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
スクロース及び/又は1-ケストースを有効成分として含有する魚類用感染症予防又は治療剤。
続きを表示(約 630 文字)【請求項2】
感染症が、Edwardsiella属細菌及び/又はFlavobacterium属細菌の感染に起因するものである請求項1記載の魚類用感染症予防又は治療剤。
【請求項3】
魚類が淡水魚である請求項1又は2記載の魚類用感染症予防又は治療剤。
【請求項4】
スクロース及び/又は1-ケストースを有効成分として含有する魚類用整腸剤。
【請求項5】
魚類の腸内におけるRomboutsia属細菌増殖作用に基づくものである請求項4記載の魚類用整腸剤。
【請求項6】
魚類の腸内におけるEdwardsiella属細菌及び/又はFlavobacterium属細菌の減少作用に基づくものである請求項4記載の魚類用整腸剤。
【請求項7】
魚類が淡水魚である請求項4~6のいずれかの項記載の魚類用整腸剤。
【請求項8】
スクロース及び/又は1-ケストースを有効成分として含有する魚類の腸内におけるRomboutsia属細菌増殖剤。
【請求項9】
スクロース及び/又は1-ケストースを有効成分として含有する魚類の腸内におけるEdwardsiella属細菌及び/又はFlavobacterium属細菌増殖抑制剤。
【請求項10】
スクロース及び/又は1-ケストースを有効成分として含有する飼料効率向上剤。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、魚類の感染症予防又は治療剤に関する。
続きを表示(約 2,200 文字)【背景技術】
【0002】
近年、世界的に水産物の需要が拡大しているが、水産資源量には限界があり、漁船漁業による生産量の増加は見込めないことから、養殖漁業への転換が進められている。しかし、養殖漁業では、高密度養殖に伴う魚病の発生が避けられず、ブリ、フグ、ウナギを始めとする商業魚では魚病により多くの被害が生じており、被害額はブリ類で最も大きく約40億円にも及び、全体では年間約100億~110億円もの損害が発生している。したがって養殖漁業の持続的な発展のために魚病対策が重要な課題とされている。
【0003】
養殖魚に大きな被害をもたらす疾病は、主にウイルスや細菌による感染症であるが、その多くは細菌による感染症である。例えば、エドワジエラ症は、Edwardsiella属細菌を原因菌とする感染症であり、ウナギのほか、ヒラメ、マダイなどの海産魚にも感染し、大きな経済損失をもたらしている。ウナギではパラコロ病と呼ばれ、シラスウナギから成鰻に至るまで罹病し、発症すると、肛門付近の発赤、拡大突出、前腹部の発赤腫脹がみられ、肝臓、腎臓等で膿瘍や潰瘍が多数形成される。また冷水病はFlavobacterium psychrophilum(フラボバクテリウム サイクロフィラム)を原因とする疾病であり、アユ、ニジマス、コイ等の淡水魚に感染し、尾柄部に現れるびらんや潰瘍などの病変が特徴とされる。ウナギにおいては、類似のフラボバクテリウムが引き起こすFlavobacterium columnareが原因となるカラムナリス病という疾患が報告されている。
【0004】
このような細菌感染症の治療・予防のために抗生物質が使用されている。しかし、抗生物質の使用による薬剤耐性菌の出現や魚類体内への残留による安全性の問題も指摘されている。一方、ワクチンの開発も行われているが、投与するための作業時間やコストの負担が大きく、普及の障害となっている。そのため、抗生物質等に依存しない安全で簡便な感染症に対する予防治療方法の確立が求められている。
【0005】
これに対し、乳糖果糖オリゴ糖や大豆オリゴ糖を魚類に投与する感染症の予防治療方法が提案されている(特許文献1及び2)。しかし、上記細菌性感染症に対する予防治療効果については具体的な開示はなされていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
特開平10-45605号公報
特開2022-120840号公報
【非特許文献】
【0007】
Yaqiu Liu et al.,Front.Microbiol.,09 August 2022 Vol.13
Yibin Yang et al., Front.Immunol.,03 June 2022 Vol.13
Jiamin Li et al., Front.Nutr.19 October 2022 Vol9
Hao-Jun Zhu et al., MicrobiologyOpen Vol.9,Isuue 5 2020
Chunling Wang et al., Fish & Shellfish Immunology Vol.106,November 2020
Xiaolin Ye et al., Frontieres in Endocrinology, December 2021 vol.12
Sytze de Roock et al., Clinical Nutrition, December 2011 vol.30
Yi Liu et al., Multiple Sclerosis and Related Disorders Vol. 72, April 2023
Sage J B Dunham et al., mBio, 2022 Volume 13 Issue 6
Pagakrong Wanapaisan et al.,Neurodegenerative Diseases, 2022;22(2):43-54.
Honggang Yin et al., FEMS Microbiology Letters, Volume 370, 2023
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、安全で簡便な魚類の感染症予防治療剤を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、スクロース又は1-ケストースを魚類に摂取させることにより、腸内の有用菌であるRomboutsia属細菌を増殖させるとともに、Edwardsiella属細菌、Flavobacterium属細菌等の病原性細菌の増殖を抑制し、これらの病原性細菌を原因とする感染症を治療・予防し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち本発明は、スクロース及び/又は1-ケストースを有効成分として含有する魚類用感染症予防又は治療剤である。
(【0011】以降は省略されています)

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