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公開番号2025063935
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-04-16
出願番号2025010101,2023116301
出願日2025-01-23,2023-07-14
発明の名称マツタケ原基およびその製造方法
出願人キリンホールディングス株式会社
代理人個人,個人
主分類C12N 1/14 20060101AFI20250409BHJP(生化学;ビール;酒精;ぶどう酒;酢;微生物学;酵素学;突然変異または遺伝子工学)
要約【課題】植物と共生しない環境下においてマツタケの子実体原基を人工的に製造するための方法および該方法により製造されるマツタケの子実体原基、ならびに該マツタケの子実体原基を製造するために用いられ得る新規マツタケ菌株を提供する。
【解決手段】マツタケ子実体から分離された原基形成能を有する細胞を、タンパク質分解物を含み、特定の遊離アミノ酸濃度である培地で培養する。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
伸長したマツタケ原基を製造する方法であって、
(a)マツタケの子実体から分離された原基形成能を有する細胞を、第1のタンパク質分解物またはアミノ酸を含み、遊離アミノ酸濃度が0.1~2.5(w/v)%である第1の培地中で培養して、マツタケ原基を形成する工程、および
(b)前記マツタケ原基を、第2のタンパク質分解物またはアミノ酸を含み、遊離アミノ酸濃度が0.05~2.5(w/v)%である第2の培地を浸潤させた高吸収性素材を含む培養支持体で培養して前記マツタケ原基を鉛直上方向に伸長させて、伸長したマツタケ原基を得る工程
を含み、
前記第1のタンパク質分解物および第2のタンパク質分解物が、それぞれ、酵母エキス、ビーフエキス、ペプトンおよびトリプトンからなる群から選択される少なくとも1種のタンパク質分解物を含むか、またはカザミノ酸と酵母エキス、ビーフエキス、ペプトンおよびトリプトンからなる群から選択される少なくとも1種のタンパク質分解物との組み合わせを含む、
前記方法。
続きを表示(約 710 文字)【請求項2】
前記工程(a)における培養温度が18~25℃である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記工程(b)における培養温度が18~30℃である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記高吸収性素材が、植物繊維、高吸収性繊維、高吸収性樹脂、寒天および人造鉱物繊維からなる群から選択される少なくとも1種を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記第1の培地および第2の培地の両方または一方が、0.2~5(w/v)%の糖類をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記第1の培地および第2の培地の両方または一方が、無機塩類、ビタミン、脂質およびアミノ酸からなる群から選択される少なくとも1種をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記子実体が、ITS-5.8S rDNAの塩基配列に基づく分子系統解析によりTricholoma matsutakeと同定される子実体である、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記子実体が、受託番号NITE P-03769で特定される、Tricholoma matsutakeの子実体である、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか一項に記載の方法により得られる前記伸長したマツタケ原基を生長させる工程をさらに含む、子実体様マツタケ原基を製造する方法。
【請求項10】
請求項1~8のいずれか一項に記載の方法により製造される、伸長したマツタケ原基。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、新規マツタケの菌株、ならびに該マツタケの原基およびその製造方法に関する。
続きを表示(約 3,300 文字)【背景技術】
【0002】
従来、完全人工培養により数ミリ程度のマツタケの子実体原基が形成されたという報告はあるものの(例えば、非特許文献1および2)、子実体原基が生長したという報告はない。また、子実体原基の形成が再現されたという報告も少なく、マツタケの子実体原基の形成およびその生長について確立された手法には至っていないのが現状である(例えば、非特許文献3)。
【0003】
土壌中のマツタケの菌糸とアカマツの根との集合体である、いわゆる「シロ」についても長年研究が行われており、自然界では胞子落下からシロが形成され、初めて子実体が発生するまでの期間はおよそ7年であると推定されている(例えば、非特許文献4)。また、マツタケの子実体原基は栄養生長している菌糸体から発生し、マツタケの子実体を1本発生させるためには乾燥重量で約100gの菌糸体が必要であるとされている(例えば、非特許文献5)。そのため、マツタケの人工栽培においても、マツタケの子実体原基に向けて生育するひとまとまりコロニーとして機能する成熟段階のマツタケの菌糸が大量に必要であると考えられている(例えば、非特許文献4および6)。さらに、マツタケの菌糸の生長は極めて遅く(約20mm/月)、生長に長い時間を必要とするため(例えば、非特許文献7)、従来、マツタケの菌糸の大量培養を目的として、培養条件の検討や生長促進物質についての探求が行われている(例えば、非特許文献3、8および9)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
日本菌学会会報 16(4),p406-415,1976-01
「森林総合研究所研究報告」(Bulletin of FFPRI)Vol.19-No.2 (No.454)153-157 August 2020
2009年 東京大学 博士論文(進藤克実)
広島県林試研報 28:49-54,1993
日林誌87:90-102
「マツタケ」の生物学 P326,1978
Mycobiology 29(4):183-189(2001)
Mycol Prog 2,37-44,2003
岡山県農林水産総合センター森林研究所研報32:19-23(2016)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、これまでに人工的にマツタケの子実体原基への分化を引き起こし、さらに子実体に分化させたという報告はなく、従来技術では、マツタケの子実体原基を安定的に得、該子実体原基を生長させる方法としては限定的な効果が得られるにとどまっている。
【0006】
したがって、本願発明は、植物と共生しない環境下においてマツタケの子実体原基を人工的に製造するための方法および該方法により製造されるマツタケの子実体原基、ならびに該マツタケの子実体原基を製造するために用いられ得る新規マツタケ菌株に関する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、鋭意研究した結果、マツタケの子実体から分離された細胞を特定の条件下で培養することにより、上記の課題を解決できるとの知見を得た。本発明はかかる知見によるものである。すなわち、本発明の要旨は以下の通りである。
【0008】
[1]伸長したマツタケ原基を製造する方法であって、
(a)マツタケの子実体から分離された原基形成能を有する細胞を、第1のタンパク質分解物またはアミノ酸を含み、遊離アミノ酸濃度が0.1~2.5(w/v)%である第1の培地中で培養して、マツタケ原基を形成する工程、および
(b)前記マツタケ原基を、第2のタンパク質分解物またはアミノ酸を含み、遊離アミノ酸濃度が0.05~2.5(w/v)%である第2の培地を浸潤させた高吸収性素材を含む培養支持体で培養して前記マツタケ原基を鉛直上方向に伸長させて、伸長したマツタケ原基を得る工程
を含み、
前記第1のタンパク質分解物および第2のタンパク質分解物が、それぞれ、酵母エキス、ビーフエキス、ペプトンおよびトリプトンからなる群から選択される少なくとも1種のタンパク質分解物を含むか、またはカザミノ酸と酵母エキス、ビーフエキス、ペプトンおよびトリプトンからなる群から選択される少なくとも1種のタンパク質分解物との組み合わせを含む、
前記方法。
[2]前記工程(a)における培養温度が18~25℃である、[1]に記載の方法。
[3]前記工程(b)における培養温度が18~30℃である、[1]または[2]に記載の方法。
[4]前記高吸収性素材が、植物繊維、高吸収性繊維、高吸収性樹脂、寒天および人造鉱物繊維からなる群から選択される少なくとも1種を含む、[1]~[3]のいずれかに記載の方法。
[5]前記第1の培地および第2の培地の両方または一方が、0.2~5(w/v)%の糖類をさらに含む、[1]~[4]のいずれかに記載の方法。
[6]前記第1の培地および第2の培地の両方または一方が、無機塩類、ビタミン、脂質およびアミノ酸からなる群から選択される少なくとも1種をさらに含む、[1]~[5]のいずれかに記載の方法。
[7]前記子実体が、ITS-5.8S rDNAの塩基配列に基づく分子系統解析によりTricholoma matsutakeと同定される子実体である、[1]~[6]のいずれかに記載の方法。
[8]前記子実体が、受託番号NITE P-03769で特定される、Tricholoma matsutakeの子実体である、[7]に記載の方法。
[9][1]~[8]のいずれかに記載の方法により得られる前記伸長したマツタケ原基を生長させる工程をさらに含む、子実体様マツタケ原基を製造する方法。
[10][1]~[8]のいずれかに記載の方法により製造される、伸長したマツタケ原基。
[11][9]に記載の方法により製造される、子実体様マツタケ原基。
[12]受託番号NITE P-03769で特定される、Tricholoma matsutakeの子実体から分離された細胞。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、植物と共生しない環境下においてマツタケの子実体原基を人工的に製造するための方法および該方法により製造されるマツタケの子実体原基、ならびに該マツタケの子実体原基を製造するために用いられ得る新規マツタケ菌株を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1は、本発明の製造方法により得られた、伸長したマツタケ原基を示す写真である。
図2は、NITE P-03769およびNBRC#109050の各マツタケ細胞から得られたマツタケ原基またはコロニーの外観を示す写真である。
図3は、NITE P-03769およびNBRC#109050の各マツタケ細胞から得られたマツタケ原基またはコロニーにおける菌糸の伸長を示す写真である。
図4は、NITE P-03769、NBRC#33136およびNBRC#109050の各マツタケ細胞から得られたマツタケ原基またはコロニーの外観を示す写真である。
図5は、NITE P-03769のマツタケ細胞から得られたマツタケ原基を培地含有高吸収性素材で培養後、別の培地含有高吸収性素材でさらに培養した場合の経時的な成長を示す写真である。
図6は、NITE P-03769、NBRC#109050、NBRC#108259およびNBRC#108261のマツタケ細胞から得られたマツタケ原基またはコロニーの外観を示す写真である。
【発明を実施するための形態】
(【0011】以降は省略されています)

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