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公開番号2025051121
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-04-04
出願番号2023160052
出願日2023-09-25
発明の名称タイヤ加硫方法及びタイヤ加硫装置
出願人横浜ゴム株式会社
代理人清流国際弁理士法人,個人,個人
主分類B29C 35/04 20060101AFI20250328BHJP(プラスチックの加工;可塑状態の物質の加工一般)
要約【課題】 スチーム使用量を削減すると共に、タイヤの品質を改善することを可能にしたタイヤ加硫方法及びタイヤ加硫装置を提供する。
【解決手段】 未加硫のタイヤ1を金型10内に挿入し、タイヤ1内に挿入されたブラダー20の内側に、熱媒体としてスチームを供給し、該スチームの供給時間内にスチームスルーを行い、更に圧力媒体として不活性ガスを供給した状態でタイヤ1の加硫を行う方法において、スチームの供給開始からスチームスルーの開始までの任意の時点で、ブラダー20内にスチームを供給する配管42の内部又はブラダー20内のスチームを排出する配管82の内部の初期温度T1を測定し、該初期温度T1に基づいてスチームスルーの実施時間を制御する。
【選択図】 図1
特許請求の範囲【請求項1】
未加硫のタイヤを金型内に挿入し、前記タイヤ内に挿入されたブラダーの内側に、熱媒体としてスチームを供給し、該スチームの供給時間内にスチームスルーを行い、更に圧力媒体として不活性ガスを供給した状態で前記タイヤの加硫を行う方法において、前記スチームの供給開始から前記スチームスルーの開始までの任意の時点で、前記ブラダー内にスチームを供給する配管の内部又は前記ブラダー内のスチームを排出する配管の内部の初期温度T1を測定し、該初期温度T1に基づいて前記スチームスルーの実施時間を制御することを特徴とするタイヤ加硫方法。
続きを表示(約 1,600 文字)【請求項2】
前記初期温度T1が、予め設定された標準温度Tに対して、T-T1>0であるとき、前記スチームスルーの標準時間よりも前記スチームスルーの実施時間を延長し、T-T1<0であるとき、前記スチームスルーの標準時間よりも前記スチームスルーの実施時間を短縮することを特徴とする請求項1に記載のタイヤ加硫方法。
【請求項3】
未加硫のタイヤを金型内に挿入し、前記タイヤ内に挿入されたブラダーの内側に、熱媒体としてスチームを供給し、該スチームの供給時間内にスチームスルーを行い、更に圧力媒体として不活性ガスを供給した状態で前記タイヤの加硫を行う方法において、前記スチームの供給開始から前記スチームスルーの開始までの任意の時点で、前記ブラダー内にスチームを供給する配管の内部及び前記ブラダー内のスチームを排出する配管の内部の温度を測定し、該温度から両配管の初期温度差ΔT1を算出し、該初期温度差ΔT1に基づいて前記スチームスルーの実施時間を制御することを特徴とするタイヤ加硫方法。
【請求項4】
前記初期温度差ΔT1が、予め設定された標準温度差ΔTに対して、ΔT-ΔT1<0であるとき、前記スチームスルーの標準時間よりも前記スチームスルーの実施時間を延長し、ΔT-ΔT1>0であるとき、前記スチームスルーの標準時間よりも前記スチームスルーの実施時間を短縮することを特徴とする請求項3に記載のタイヤ加硫方法。
【請求項5】
未加硫のタイヤを金型内に挿入し、前記タイヤ内に挿入されたブラダーの内側に、熱媒体としてスチームを供給し、該スチームの供給時間内にスチームスルーを行い、更に圧力媒体として不活性ガスを供給した状態で前記タイヤの加硫を行う方法において、前記スチームの供給開始から前記スチームスルーの開始までの任意の時間帯で、前記ブラダー内にスチームを供給する配管の内部又は前記ブラダー内のスチームを排出する配管の内部の温度を測定し、該温度から前記時間帯に与えられる等価加硫量U1を算出し、該等価加硫量U1に基づいて前記スチームスルーの実施時間を制御することを特徴とするタイヤ加硫方法。
【請求項6】
前記等価加硫量U1が、予め設定された標準等価加硫量Uに対して、U-U1>0であるとき、前記スチームスルーの標準時間よりも前記スチームスルーの実施時間を延長し、U-U1<0であるとき、前記スチームスルーの標準時間よりも前記スチームスルーの実施時間を短縮することを特徴とする請求項5に記載のタイヤ加硫方法。
【請求項7】
複数回の加硫サイクルを反復的に行うに際して、加硫サイクルの待機時間が予め設定された閾値以上となった場合、それ以降の1回~3回の加硫サイクルにおいては、前記スチームスルーの実施時間を前記スチームスルーの標準時間と同等以上とすることを特徴とする請求項1~6のいずれかに記載のタイヤ加硫方法。
【請求項8】
未加硫のタイヤが挿入される金型と、前記タイヤ内に挿入されるブラダーと、熱媒体としてスチームを供給するスチーム供給源と、前記スチームを前記ブラダーの内側に導くスチーム供給用配管と、圧力媒体として不活性ガスを供給する不活性ガス供給源と、前記不活性ガスを前記ブラダーの内側に導く不活性ガス供給用配管と、前記ブラダー内のスチーム及び不活性ガスを系外に排出する排気用配管と、前記スチーム供給用配管、前記不活性ガス供給用配管及び前記排気用配管をそれぞれ開閉するバルブと、前記スチーム供給用配管の内部又は前記排気用配管の内部の温度を測定する温度センサと、前記タイヤの加硫条件を制御する制御部とを備え、前記制御部は、前記スチームの供給開始から前記スチームスルーの開始までの任意の時点又は時間帯において前記温度センサにより測定された温度に基づいてスチームスルーの実施時間を制御することを特徴とするタイヤ加硫装置。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、空気入りタイヤを加硫するための方法及び装置に関し、更に詳しくは、スチーム使用量を削減すると共に、タイヤの品質を改善することを可能にしたタイヤ加硫方法及びタイヤ加硫装置に関する。
続きを表示(約 2,700 文字)【背景技術】
【0002】
空気入りタイヤを製造する場合、未加硫のタイヤを金型内に挿入し、タイヤ内に挿入されたブラダーの内側に、熱媒体としてスチームを供給した後、更に圧力媒体として不活性ガスを供給した状態でタイヤの加硫を行う。また、スチームを供給する際には、一定時間のスチームスルーを行うことがある。スチームスルーとは、スチームの供給と排気を同時に行うことでブラダー内のドレンを排出する工程である。このような加硫工程は、タイヤへの型付け、ゴムの架橋反応及び部材間の接着反応を行う工程であり、所望のタイヤ性能を発揮するために重要な工程である。そのため、加硫工程では、生タイヤの温度、加硫装置の温度、部材の厚さ、コンパウンドの加硫速度のばらつき等によって生じる加硫量の変動と、それによって生じるコンパウンド物性の変動を抑制することが、安定した品質を得るために必要である。特に、加硫装置からタイヤに与えられる熱履歴を一定にすることが製造品質の向上とタイヤ性能の安定化に繋がる。
【0003】
従来、生タイヤの温度や金型の温度を参照情報として、タイヤのトータル加硫時間を変動させることにより、タイヤの熱履歴を一定にすることが提案されている(例えば、特許文献1~3参照)。しかしながら、このような制御方法においては、ブラダー内に供給されるスチームにより生成されるドレンの影響が十分に考慮されていない。ブラダー内にドレンが存在するとブラダー内部の温度が低下し、タイヤのトータル加硫量が低くなる傾向があり、それがタイヤの品質に影響を及ぼす要因となる。一方、スチームスルーの実施時間を十分に長く設定すれば、ブラダー内のドレンを確実に排出することができる。しかしながら、この場合、スチームが必要以上に消費され、エネルギーが無駄になるという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
特開2007-30322号公報
特開2017-213719号公報
特許第5737331号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、スチーム使用量を削減すると共に、タイヤの品質を改善することを可能にしたタイヤ加硫方法及びタイヤ加硫装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するための本発明のタイヤ加硫方法(第1発明)は、未加硫のタイヤを金型内に挿入し、前記タイヤ内に挿入されたブラダーの内側に、熱媒体としてスチームを供給し、該スチームの供給時間内にスチームスルーを行い、更に圧力媒体として不活性ガスを供給した状態で前記タイヤの加硫を行う方法において、前記スチームの供給開始から前記スチームスルーの開始までの任意の時点で、前記ブラダー内にスチームを供給する配管の内部又は前記ブラダー内のスチームを排出する配管の内部の初期温度T1を測定し、該初期温度T1に基づいて前記スチームスルーの実施時間を制御することを特徴とするものである。
【0007】
上記目的を達成するための本発明のタイヤ加硫方法(第2発明)は、未加硫のタイヤを金型内に挿入し、前記タイヤ内に挿入されたブラダーの内側に、熱媒体としてスチームを供給し、該スチームの供給時間内にスチームスルーを行い、更に圧力媒体として不活性ガスを供給した状態で前記タイヤの加硫を行う方法において、前記スチームの供給開始から前記スチームスルーの開始までの任意の時点で、前記ブラダー内にスチームを供給する配管の内部及び前記ブラダー内のスチームを排出する配管の内部の温度を測定し、該温度から両配管の初期温度差ΔT1を算出し、該初期温度差ΔT1に基づいて前記スチームスルーの実施時間を制御することを特徴とするものである。
【0008】
上記目的を達成するための本発明のタイヤ加硫方法(第3発明)は、未加硫のタイヤを金型内に挿入し、前記タイヤ内に挿入されたブラダーの内側に、熱媒体としてスチームを供給し、該スチームの供給時間内にスチームスルーを行い、更に圧力媒体として不活性ガスを供給した状態で前記タイヤの加硫を行う方法において、前記スチームの供給開始から前記スチームスルーの開始までの任意の時間帯で、前記ブラダー内にスチームを供給する配管の内部又は前記ブラダー内のスチームを排出する配管の内部の温度を測定し、該温度から前記時間帯に与えられる等価加硫量U1を算出し、該等価加硫量U1に基づいて前記スチームスルーの実施時間を制御することを特徴とするものである。
【0009】
また、本発明のタイヤ加硫装置は、未加硫のタイヤが挿入される金型と、前記タイヤ内に挿入されるブラダーと、熱媒体としてスチームを供給するスチーム供給源と、前記スチームを前記ブラダーの内側に導くスチーム供給用配管と、圧力媒体として不活性ガスを供給する不活性ガス供給源と、前記不活性ガスを前記ブラダーの内側に導く不活性ガス供給用配管と、前記ブラダー内のスチーム及び不活性ガスを系外に排出する排気用配管と、前記スチーム供給用配管、前記不活性ガス供給用配管及び前記排気用配管をそれぞれ開閉するバルブと、前記スチーム供給用配管の内部又は前記排気用配管の内部の温度を測定する温度センサと、前記タイヤの加硫条件を制御する制御部とを備え、前記制御部は、前記スチームの供給開始から前記スチームスルーの開始までの任意の時点又は時間帯において前記温度センサにより測定された温度に基づいてスチームスルーの実施時間を制御することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0010】
第1発明に係るタイヤ加硫方法では、スチームの供給開始からスチームスルーの開始までの任意の時点で、ブラダー内にスチームを供給する配管の内部又はブラダー内のスチームを排出する配管の内部の初期温度T1を測定し、該初期温度T1に基づいてスチームスルーの実施時間を制御することにより、加硫毎に適切なスチームスルーの実施時間を設定し、ブラダー内のドレンを効率良く排出することができるので、タイヤの品質を改善し、タイヤ性能の安定化を図ることができる。また、加硫毎に適切なスチームスルーの実施時間を設定するので、スチーム使用量を削減し、消費エネルギーを低減することができる。
(【0011】以降は省略されています)

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