特許ウォッチ

公開番号2025032892
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-03-12
出願番号2023138400
出願日2023-08-28
発明の名称3レベルインバータの制御装置、及びプログラム
出願人株式会社デンソー
代理人個人,個人,個人,個人,個人
主分類H02M 7/487 20070101AFI20250305BHJP(電力の発電,変換,配電)
要約【課題】特定のスイッチに負荷が集中する事態の発生を抑制できる3レベルインバータの制御装置を提供する。
【解決手段】制御装置50は、第1,第2蓄電部21,22と、回転電機10と、3レベルインバータ30と、を備えるシステムに適用され、各スイッチSUH～SWL,QU1～QW2のスイッチング制御を行う。制御装置50は、回転電機10の制御量を指令値に制御するための指令電圧に基づいて、各スイッチSUH～SWL,QU1～QW2の駆動状態の組合せからなる駆動パターン及び各駆動状態の出現期間を設定する設定部と、設定された駆動パターン及び各駆動状態の出現期間に基づいて、スイッチング制御を行う制御部と、を備える。設定部は、3つの異なるゼロ電圧駆動状態のうち少なくとも2つを含むように、駆動パターンを設定する。制御部は、スイッチング制御において、駆動パターンに含まれている各ゼロ電圧駆動状態の出現期間を調整する。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項１】
直列接続された第１蓄電部（２１）及び第２蓄電部（２２）と、
３相分の電機子巻線（１１Ｕ，１１Ｖ，１１Ｗ）を有する回転電機（１０）と、
各相において、前記電機子巻線を、前記第１蓄電部の正極側、前記第１蓄電部の負極側と前記第２蓄電部の正極側との間の中性点、及び前記第２蓄電部の負極側のうちいずれかに電気的に接続するスイッチ（ＳＵＨ～ＳＷＬ，ＱＵ１～ＱＷ２）を有する３レベルインバータ（３０）と、を備えるシステムに適用され、前記各スイッチのスイッチング制御を行う３レベルインバータの制御装置（５０）において、
前記回転電機の制御量を指令値に制御するための指令電圧に基づいて、前記各スイッチの駆動状態の組合せからなる駆動パターン及び前記各駆動状態の出現期間を設定する設定部と、
設定された前記駆動パターン及び前記各駆動状態の出現期間に基づいて、前記スイッチング制御を行う制御部と、を備え、
各相の前記電機子巻線が、前記第１蓄電部の正極側、前記中性点、又は前記第２蓄電部の負極側に電気的に接続される３つの異なる前記駆動状態を、ゼロ電圧駆動状態とし、
前記設定部は、前記各ゼロ電圧駆動状態のうち少なくとも２つを含むように、前記駆動パターンを設定し、
前記制御部は、前記スイッチング制御において、前記駆動パターンに含まれている前記各ゼロ電圧駆動状態の出現期間を調整する、３レベルインバータの制御装置。
続きを表示（約 2,100 文字）【請求項２】
前記制御部は、
前記スイッチング制御において、前記駆動パターンに含まれている前記各ゼロ電圧駆動状態のいずれかである特定駆動状態の出現期間を、設定部により設定された場合よりも短縮するように、前記各ゼロ電圧駆動状態の出現期間を調整する、請求項１に記載の３レベルインバータの制御装置。
【請求項３】
前記３レベルインバータは、前記スイッチとして、
各相において、前記電機子巻線を前記第１蓄電部の正極側に電気的に接続する上アームスイッチ（ＳＵＨ，ＳＶＨ，ＳＷＨ）と、
各相において、前記電機子巻線を前記中性点に電気的に接続するミドルスイッチ（ＱＵ１，ＱＵ２，ＱＶ１，ＱＶ２，ＱＷ１，ＱＷ２）と、
各相において、前記電機子巻線を前記第２蓄電部の負極側に電気的に接続する下アームスイッチ（ＳＵＬ，ＳＶＬ，ＳＷＬ）と、を有し、
前記特定駆動状態は、各相の前記ミドルスイッチを介して、各相の前記電機子巻線が電気的に接続される前記ゼロ電圧駆動状態である、請求項２に記載の３レベルインバータの制御装置。
【請求項４】
前記設定部は、３つの異なる前記ゼロ電圧駆動状態を含むように、前記駆動パターンを設定し、
前記制御部は、前記スイッチング制御において、
前記特定駆動状態の出現期間を、設定部により設定された場合よりも短縮し、
各相の前記上アームスイッチを介して、各相の前記電機子巻線が電気的に接続される前記ゼロ電圧駆動状態である第１駆動状態の出現期間と、各相の前記下アームスイッチを介して、各相の前記電機子巻線が電気的に接続される前記ゼロ電圧駆動状態である第２駆動状態の出現期間との合計期間を、前記特定駆動状態の出現期間の短縮分だけ延長し、
前記第１駆動状態の出現期間における延長期間と、前記第２駆動状態の出現期間における延長期間とを相違させるように、前記各ゼロ電圧駆動状態の出現期間を調整する、請求項３に記載の３レベルインバータの制御装置。
【請求項５】
前記制御部は、前記スイッチング制御において、前記各電機子巻線に流れる電流に基づいて、前記第１駆動状態の出現期間における延長期間と、前記第２駆動状態の出現期間における延長期間とのうちいずれの延長期間を他方よりも短くするかを判定する、請求項４に記載の３レベルインバータの制御装置。
【請求項６】
前記３レベルインバータは、前記スイッチとして、
各相において、前記電機子巻線を前記第１蓄電部の正極側に電気的に接続する上アームスイッチ（ＳＵＨ，ＳＶＨ，ＳＷＨ）と、
各相において、前記電機子巻線を前記中性点に電気的に接続するミドルスイッチ（ＱＵ１，ＱＵ２，ＱＶ１，ＱＶ２，ＱＷ１，ＱＷ２）と、
各相において、前記電機子巻線を前記第２蓄電部の負極側に電気的に接続する下アームスイッチ（ＳＵＬ，ＳＶＬ，ＳＷＬ）と、を有し、
前記制御部は、前記スイッチング制御において、
前記上アームスイッチ、前記ミドルスイッチ及び前記下アームスイッチのうち最も温度の高いスイッチがオンされる前記ゼロ電圧駆動状態を、前記特定駆動状態として選択し、
選択した前記特定駆動状態の出現期間を、設定部により設定された場合よりも短縮するように、前記各ゼロ電圧駆動状態の出現期間を調整する、請求項２に記載の３レベルインバータの制御装置。
【請求項７】
直列接続された第１蓄電部（２１）及び第２蓄電部（２２）と、
３相分の電機子巻線（１１Ｕ，１１Ｖ，１１Ｗ）を有する回転電機（１０）と、
各相において、前記電機子巻線を、前記第１蓄電部の正極側、前記第１蓄電部の負極側と前記第２蓄電部の正極側との間の中性点、及び前記第２蓄電部の負極側のうちいずれかに電気的に接続するスイッチ（ＳＵＨ～ＳＷＬ，ＱＵ１～ＱＷ２）を有する３レベルインバータ（３０）と、
コンピュータ（５１）と、を備えるシステムに適用され、
前記コンピュータに、前記各スイッチのスイッチング制御を実行させるプログラムにおいて、
前記回転電機の制御量を指令値に制御するための指令電圧に基づいて、前記各スイッチの駆動状態の組合せからなる駆動パターン及び前記各駆動状態の出現期間を設定する設定ステップと、
設定された前記駆動パターン及び前記各駆動状態の出現期間に基づいて、前記スイッチング制御を行う制御ステップと、を含む処理を前記コンピュータに実行させ、
各相の前記電機子巻線が、前記第１蓄電部の正極側、前記中性点、又は前記第２蓄電部の負極側に電気的に接続される３つの異なる前記駆動状態を、ゼロ電圧駆動状態とし、
前記設定ステップでは、前記各ゼロ電圧駆動状態のうち少なくとも２つを含むように、前記駆動パターンを設定し、
前記制御ステップでは、前記スイッチング制御において、前記駆動パターンに含まれている前記各ゼロ電圧駆動状態の出現期間を調整する、プログラム。

発明の詳細な説明【技術分野】
【０００１】
本開示は、３レベルインバータの制御装置、及びプログラムに関する。
続きを表示（約 2,100 文字）【背景技術】
【０００２】
従来、直列接続された２つのコンデンサと、回転電機の電機子巻線と各コンデンサとに電気的に接続されるスイッチとを備える３レベルインバータが知られている（特許文献１参照）。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００３】
特開平８－９８５４０号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００４】
各相に対応して設けられたスイッチの信頼性の低下を抑制する上では、各スイッチのうち特定のスイッチに負荷が集中する事態の発生を抑制することが望まれる。
【０００５】
本開示の主たる目的は、特定のスイッチに負荷が集中する事態の発生を抑制できる３レベルインバータの制御装置及びプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【０００６】
本開示は、
直列接続された第１蓄電部及び第２蓄電部と、
３相分の電機子巻線を有する回転電機と、
各相において、前記電機子巻線を、前記第１蓄電部の正極側、前記第１蓄電部の負極側と前記第２蓄電部の正極側との間の中性点、及び前記第２蓄電部の負極側のうちいずれかに電気的に接続するスイッチを有する３レベルインバータと、を備えるシステムに適用され、前記各スイッチのスイッチング制御を行う３レベルインバータの制御装置において、
前記回転電機の制御量を指令値に制御するための指令電圧に基づいて、前記各スイッチの駆動状態の組合せからなる駆動パターン及び前記各駆動状態の出現期間を設定する設定部と、
設定された前記駆動パターン及び前記各駆動状態の出現期間に基づいて、前記スイッチング制御を行う制御部と、を備え、
各相の前記電機子巻線が、前記第１蓄電部の正極側、前記中性点、又は前記第２蓄電部の負極側に電気的に接続される３つの異なる前記駆動状態を、ゼロ電圧駆動状態とし、
前記設定部は、前記各ゼロ電圧駆動状態のうち少なくとも２つを含むように、前記駆動パターンを設定し、
前記制御部は、前記スイッチング制御において、前記駆動パターンに含まれている前記各ゼロ電圧駆動状態の出現期間を調整する。
【０００７】
回転電機の制御量を指令値に制御するための指令電圧に基づいて、各スイッチの駆動状態の組み合わせからなる駆動パターン及び各駆動状態の出現期間が設定される。そして、設定された駆動パターン及び各駆動状態の出現期間に基づいて、各スイッチのスイッチング制御が行われる。この場合に、各スイッチのうち特定のスイッチに負荷が集中することがある。この点、３レベルインバータでは、３つの異なるゼロ電圧駆動状態を出力することが可能である。各ゼロ電圧駆動状態では、電流経路が異なり、導通損失の発生するスイッチが異なる。
【０００８】
そこで、本開示では、各スイッチのスイッチング制御において、駆動パターンに含まれている各ゼロ電圧駆動状態の出現期間が調整される。この場合、各スイッチにおいて発生する損失を、各ゼロ電圧駆動状態の出現期間を調整可能な範囲で制御することが可能となる。これにより、各スイッチのうち特定のスイッチにおいて集中して損失が発生することを回避するように、スイッチング制御を行うことができる。そのため、特定のスイッチに負荷が集中する事態の発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【０００９】
第１実施形態に係る制御システムの全体構成図。
制御装置が実行するトルク制御処理の機能ブロック図。
ベクトル空間を示す図。
第１セクタを示す図。
調整部が行う処理を説明するためのタイムチャート。
調整部が行う処理を説明するためのタイムチャート。
制御装置が行う制御の処理手順を示すフローチャート。
比較例のスイッチング制御を示すタイムチャート。
スイッチング制御の一例を示すタイムチャート。
Ｕ相の各スイッチのスイッチング態様を説明するための図。
Ｕ相の各スイッチのスイッチング態様を説明するための図。
Ｕ相の各スイッチのスイッチング態様を説明するための図。
Ｕ相の各スイッチのスイッチング態様を説明するための図。
第２実施形態に係る調整部が行う処理を説明するためのタイムチャート。
制御装置が行う制御の処理手順を示すフローチャート。
Ｕ相の各スイッチで発生する損失電力を示す図。
その他の実施形態に係る制御装置が行う制御の処理手順を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【００１０】
図面を参照しながら、複数の実施形態を説明する。複数の実施形態において、機能的に及び／又は構造的に対応する部分及び／又は関連付けられる部分には同一の参照符号、又は百以上の位が異なる参照符号が付される場合がある。対応する部分及び／又は関連付けられる部分については、他の実施形態の説明を参照することができる。
（【００１１】以降は省略されています）

関連特許