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公開番号
2025030904
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2025-03-07
出願番号
2023136594
出願日
2023-08-24
発明の名称
ボイラ炉内の伝熱管の管壁温度解析方法
出願人
株式会社JERA
代理人
個人
,
個人
,
個人
,
個人
,
個人
主分類
F22B
37/38 20060101AFI20250228BHJP(蒸気発生)
要約
【課題】ボイラ内部の伝熱管の任意の位置に対し、瞬時にもしくは任意の時間において伝熱管の管壁温度を簡易的に把握することができ、また、代表ボイラ以外の過熱器および再熱器の伝熱管の管壁温度を簡易的に把握することができるボイラ炉内の伝熱管の管壁温度解析方法を提供する。
【解決手段】ボイラの伝熱管の熱負荷倍率を用い、ボイラ炉内の伝熱管の管壁温度を解析する方法であって、燃焼ガスに晒されていない伝熱管の入口側と出口側の蒸気条件と、伝熱管仕様から導き出される平均熱負荷及び熱負荷倍率に基づき前記平均熱負荷と前記熱負荷倍率より求められる前記伝熱管の任意の位置における局所熱負荷から前記伝熱管の管壁温度を算出するボイラ炉内の伝熱管の管壁温度解析方法。
【選択図】図1
特許請求の範囲
【請求項1】
ボイラの伝熱管の熱負荷倍率を用い、ボイラ炉内の伝熱管の管壁温度を解析する方法であって、
燃焼ガスに晒されていない伝熱管の入口側と出口側の蒸気条件と、伝熱管仕様から導き出される平均熱負荷および熱負荷倍率とに基づき、前記平均熱負荷と前記熱負荷倍率より求められる、前記伝熱管の任意の位置における局所熱負荷から、前記伝熱管の管壁温度を算出する、ボイラ炉内の伝熱管の管壁温度解析方法。
続きを表示(約 800 文字)
【請求項2】
ボイラの伝熱管の熱負荷倍率を求め、ボイラ炉内の伝熱管の管壁温度を解析する方法であって、
前記ボイラは、代表ボイラと前記代表ボイラ以外のボイラとに分類され、
前記代表ボイラは、少なくとも過熱器Aを有し、前記代表ボイラ以外のボイラは、少なくとも前記代表ボイラと相似性のある過熱器Bを有し、
前記代表ボイラにおいて、CFD解析もしくはボイラ炉内の伝熱管の管壁温度の計測により、前記代表ボイラの熱負荷倍率Aを算出し、少なくとも前記代表ボイラにおける過熱器Aの熱負荷倍率分布Aのマスターデータを取得する第1の工程と、
前記代表ボイラ以外のボイラにおいて、前記代表ボイラとの前記過熱器Bの相似性から、前記代表ボイラ以外の伝熱管の熱負荷倍率分布Bを設定する第2の工程と、
前記第2の工程における熱負荷倍率分布Bを補正する第3の工程と、
前記第3までの工程で得られた熱負荷倍率分布Bから伝熱管の管壁温度を算出する第4の工程と、を有する、ボイラ炉内の伝熱管の管壁温度解析方法。
【請求項3】
前記代表ボイラは、少なくとも過熱器Aおよび再熱器Aを有し、前記代表ボイラ以外のボイラは、前記代表ボイラと相似性のある過熱器Bおよび再熱器Bを有し、
前記第1の工程は、前記代表ボイラにおいて、CFD解析もしくはボイラ炉内の伝熱管の管壁温度の計測により、前記代表ボイラの熱負荷倍率Aを算出し、前記代表ボイラにおける過熱器Aおよび再熱器Aの熱負荷倍率分布Aのマスターデータを取得する工程であり、
前記第2の工程は、前記代表ボイラ以外のボイラにおいて、前記代表ボイラとの前記過熱器Bおよび前記再熱器Bの相似性から、前記代表ボイラ以外の伝熱管の熱負荷倍率分布Bを設定する工程である、請求項2に記載のボイラ炉内の伝熱管の管壁温度解析方法。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボイラ炉内の伝熱管の管壁温度解析方法に関する。
続きを表示(約 2,800 文字)
【背景技術】
【0002】
ボイラは、ボイラ炉内に複数の過熱器や再熱器を有する。過熱器や再熱器は、並列に設けられた複数の伝熱管を有する。この複数の伝熱管では、燃焼ガスによる対流熱や火炉の輻射熱により高温に晒されるため、伝熱管の管壁の温度は内部流体温度より高温になる。
【0003】
ボイラ炉内では、燃焼ガスが1000℃以上となる。その中で、伝熱管の管壁温度を把握する方法として、CFD(Computational Fluid Dynamics)解析や伝熱管に熱電対を埋め込み温度計測する方法などがあるが、都度実施するCFD解析は費用と時間を要することや、上記伝熱管の温度計測は高温ガスに直接晒されることから安定的に長期計測が出来なく、伝熱管の管壁温度を把握することはいずれも容易ではない(例えば、非特許文献1参照)。一方、ボイラの伝熱管は、高温高圧の環境であることからクリープによる損傷(以下、「クリープ損傷」と言う。)が懸念される。前記クリープ損傷を未然に防ぐためには、クリープ寿命評価が必要である。また、クリープ寿命評価に適した精度の伝熱管の管壁温度算出方法も求められる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
遠藤喜彦、宮前茂弘、安藤安則、“ボイラ火炉内3次元流動・伝熱・燃焼シミュレーション”、石川島播磨技報、第34巻第2号、平成6年3月
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の方法では、CFD解析あるいは温度計測を都度実施する必要があり、時間やコストを要する方法でしか解決できないという課題があった。また、従来のCFD解析では、伝熱管の任意の位置に対して瞬時にもしくは任意の時間における温度を算出することや、伝熱管の温度計測は高温ガスに直接晒されることから、安定的に長期計測することが現実的に困難である点も課題であった。なお、時間経過による運転状態の変化に応じて温度も変化するが、任意の時間とは、運転状態が変化することを示すものである。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、CFD解析や伝熱管の管壁温度の実測に基づいて得られた熱負荷倍率を用いることにより、伝熱管の任意の位置、任意の時間において伝熱管の管壁温度を簡易的に把握することができる、ボイラ炉内の伝熱管の管壁温度解析方法を提供することを目的とする。更に、本発明は、代表ボイラの過熱器や再熱器における熱負荷倍率をマスターデータ化し、代表ボイラと相似性のある過熱器や再熱器を有する代表ボイラ以外のボイラにマスターデータ化した熱負荷倍率を適用することにより、代表ボイラ以外の過熱器や再熱器の伝熱管の管壁温度を簡易的に把握することができる、ボイラ炉内の伝熱管の管壁温度解析方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、以下の態様を有する。
[1]ボイラの伝熱管の熱負荷倍率を用いた、ボイラ炉内の伝熱管の管壁温度を解析する方法であって、
燃焼ガスに晒されていない伝熱管の入口側と出口側の蒸気条件と、伝熱管仕様から導き出される平均熱負荷および熱負荷倍率とに基づき、前記平均熱負荷と前記熱負荷倍率より求められる、前記伝熱管の任意の位置における局所熱負荷から、前記伝熱管の管壁温度を算出する、ボイラ炉内の伝熱管の管壁温度解析方法。
[2]ボイラの伝熱管の熱負荷倍率を求め、ボイラ炉内の伝熱管の管壁温度を解析する方法であって、
前記ボイラは、代表ボイラと前記代表ボイラ以外のボイラとに分類され、
前記代表ボイラは、少なくとも過熱器Aを有し、前記代表ボイラ以外のボイラは、少なくとも前記代表ボイラと相似性のある過熱器Bを有し、
前記代表ボイラにおいて、CFD解析もしくはボイラ炉内の伝熱管の管壁温度の計測により、前記代表ボイラの熱負荷倍率Aを算出し、少なくとも前記代表ボイラにおける過熱器Aの熱負荷倍率分布Aのマスターデータを取得する第1の工程と、
前記代表ボイラ以外のボイラにおいて、前記代表ボイラとの前記過熱器Bの相似性から、前記代表ボイラ以外の伝熱管の熱負荷倍率分布Bを設定する第2の工程と、
前記第2の工程における熱負荷倍率分布Bを補正する第3の工程と、
前記第3までの工程で得られた熱負荷倍率分布Bから伝熱管の管壁温度を算出する第4の工程と、を有する、ボイラ炉内の伝熱管の管壁温度解析方法。
[3]前記代表ボイラは、少なくとも過熱器Aおよび再熱器Aを有し、前記代表ボイラ以外のボイラは、前記代表ボイラと相似性のある過熱器Bおよび再熱器Bを有し、
前記第1の工程は、前記代表ボイラにおいて、CFD解析もしくはボイラ炉内の伝熱管の管壁温度の計測により、前記代表ボイラの熱負荷倍率Aを算出し、前記代表ボイラにおける過熱器Aおよび再熱器Aの熱負荷倍率分布Aのマスターデータを取得する工程であり、
前記第2の工程は、前記代表ボイラ以外のボイラにおいて、前記代表ボイラとの前記過熱器Bおよび前記再熱器Bの相似性から、前記代表ボイラ以外の伝熱管の熱負荷倍率分布Bを設定する工程である、[2]に記載のボイラ炉内の伝熱管の管壁温度解析方法。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、熱負荷倍率を用いることにより、伝熱管の管壁温度をより簡易的な方法によって把握することができる、ボイラ炉内の伝熱管の管壁温度解析方法を提供することができる。また、代表ボイラにおいてCFD解析や伝熱管の管壁温度の計測に基づいて得られた過熱器または再熱器における熱負荷倍率を用いることにより、代表ボイラ以外のボイラ炉内に設置される過熱器または再熱器の伝熱管の管壁温度を、より簡易的な方法によって把握することができる、ボイラ炉内の伝熱管の管壁温度解析方法も提供することができる。これにより、例えば、ボイラの運転データを用いて瞬時に伝熱管の管壁温度が算出でき、瞬時かつ伝熱管の管壁温度の変化を適切に反映した当該伝熱管のクリープ寿命評価も可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
本実施形態のボイラ炉内の伝熱管の管壁温度解析方法が適用されるボイラの一例を示す模式図である。
本実施形態のボイラ炉内の伝熱管の管壁温度解析方法が適用されるボイラ内に設けられた過熱器や再熱器を構成する伝熱管の管群を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
(【0011】以降は省略されています)
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