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公開番号2025021769
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-02-14
出願番号2023125720
出願日2023-08-01
発明の名称バイオマーカー、診断用キットおよび診断を補助する方法
出願人学校法人国際医療福祉大学
代理人個人,個人,個人,個人,個人
主分類G01N 33/68 20060101AFI20250206BHJP(測定;試験)
要約【課題】自己抗体が未知の急性及び慢性の炎症性脱髄性末梢神経疾患において、特定の病態生理を有する一群を、特異的に診断するためのバイオマーカー、診断用キットおよび診断を補助する方法を提供する。
【解決手段】抗LGI4抗体を含む、炎症性脱髄性多発神経炎の診断または治療効果の判定のための、または、その炎症性脱髄性多発神経炎が、自己免疫性ノドパチーであるバイオマーカー、それを含む診断用キットおよびそれを用いた診断を補助する方法である。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
抗LGI4抗体を含む、炎症性脱髄性多発神経炎の診断または治療効果の判定のためのバイオマーカー。
続きを表示(約 780 文字)【請求項2】
前記炎症性脱髄性多発神経炎が、自己免疫性ノドパチーである、請求項1に記載のバイオマーカー。
【請求項3】
前記炎症性脱髄性多発神経炎の診断または治療効果の判定が、前記炎症性脱髄性多発神経炎が自己免疫性ノドパチーを含まない慢性炎症性脱髄性多発神経炎、ギラン・バレー症候群、または多巣性運動性ニューロパチーではないことを判断するための、請求項1または2に記載のバイオマーカー。
【請求項4】
検体中に含まれる抗LGI4抗体の測定試薬を含む、炎症性脱髄性多発神経炎の診断のための診断用キット。
【請求項5】
前記炎症性脱髄性多発神経炎が、自己免疫性ノドパチーである、請求項4に記載の診断用キット。
【請求項6】
LGI4とADAM22を強制発現させた細胞株をさらに含む、請求項4または5に記載の診断用キット。
【請求項7】
蛍光標識された抗ヒトIgG抗体及びIgG1,2,3,4サブクラス抗体をさらに含む、請求項4または5に記載の診断用キット。
【請求項8】
被験者由来の検体中に含まれる抗LGI4抗体を測定する工程を含み、
前記抗LGI4抗体の存在量が、健常者における存在量と比較して有意に高いことが、前記被検者が炎症性脱髄性多発神経炎に罹患していることを示す、炎症性脱髄性多発神経炎の診断を補助する方法。
【請求項9】
前記炎症性脱髄性多発神経炎が、自己免疫性ノドパチーである、請求項8に記載の診断を補助する方法。
【請求項10】
前記検体中に含まれる後根神経節抗サテライトグリア抗体を測定する工程をさらに含む、請求項8または9に記載の診断を補助する方法。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、急性及び慢性の炎症性脱髄性末梢神経疾患の特異的な診断に使用することのできるバイオマーカー、診断用キットおよびそれらを用いた診断を補助する方法に関するものである。
続きを表示(約 2,500 文字)【背景技術】
【0002】
炎症性脱髄性末梢神経疾患は、急性発症のものは、ギラン・バレー症候群(Guillain-Barre syndrome:以下GBS)、慢性発症のものは慢性炎症性脱髄性多発神経炎(Chronic Inflammatory Demyelinating Polyneuropathy:以下CIDP)と多巣性運動性ニューロパチー(multifocal motor neuropathy:以下MMN)が代表的な疾患である。日本ではGBSが人口10万人に対して1.15人、CIDPが人口10万人に対して1~4人(全国で約5000人)、MMNが10万に対して0.6人(全国で400人)程度存在する。炎症性脱髄性末梢神経疾患は、末梢神経髄鞘の構成成分に対する免疫異常により生ずる自己免疫性疾患と考えられているが、詳細は不明である。
【0003】
GBSは、1週から1ヵ月以内に急速に四肢運動麻痺と感覚障害を呈し、重症では呼吸筋麻痺に至る炎症性脱髄性末梢神経疾患である。脳神経が障害されることもある。GBSの診断基準は専門家グループによるものがいくつか報告されているものの、いずれも専門家の意見にとどまり、診断基準の感度や特異度は検討されていない。GBSの診断は基本的には、病歴と臨床症候に基づき、電気生理所見、髄液所見、さらに約2/3で上昇する血清抗糖脂質抗体などの補助検査も参考にして行われている。
【0004】
CIDPは2ヵ月以上にわたる慢性進行性あるいは階段性、再発性の左右対称性の四肢の近位及び遠位筋の筋力低下と四肢及び体幹の感覚障害を主徴とする炎症性脱髄性末梢神経疾患である。脳神経が障害されることもある。CIDPの国際的な診断基準としては、2010年に発表され2021年に改訂された欧州神経学連合・国際末梢神経学会(European Federation of Neurological Societies /Peripheral Nerve Society: EFNS/PNS)により提唱されたガイドラインが用いられることが多く、臨床症状、電気生理学的基準、及び髄液所見やMRIでの神経根肥厚などのその他の所見を総合して行われている。
【0005】
MMNは、感覚障害を伴わない左右非対称性の上肢遠位優位の筋力低下と筋萎縮を主徴とする慢性の炎症性脱髄性末梢神経疾患である。電気生理学的に感覚神経伝導に全く異常がないのが特徴で、半数でGM1ガングリオシドに対する抗体が認められる。診断は、臨床症候と電気生理所見に基づき、髄液所見、ガングリオシド抗体などを参考にして行われる。慢性経過をとるCIDPとMMNは、一括して国指定難病(指定難病14番)となっている。
【0006】
CIDPでは、疾患特異的なバイオマーカーは、現在まで報告されていない。最近、CIDPの一部で、ランビエ絞輪部の蛋白に対する自己抗体がみつかり、特異な病像を呈することから、自己免疫性ノドパチーとして、独立した疾患として扱われるようになった(非特許文献1)。これには、neurofascin 155 (NF155)、pan-neurofascin (NF155とNF186)、contactin-1 (CNTN1)、contactin-associated protein-1 (Caspr1)に対するIgG抗体(ノド抗体)が陽性のものが含まれる。NF186はランビエ絞輪(Ranvier node)の軸索膜に、NF155はランビエ絞輪パラノード(paranode)のシュワン細胞膜に、CNTN1とCaspr1はランビエ傍絞輪部の軸索膜に局在している。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
J Peripher Nerv Syst. 2021;25:242-268.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
前記の自己免疫性ノドパチーは、炎症性脱髄性末梢神経疾患(GBS、CIDP、MMN)で標準的な治療法となっている免疫グロブリン静注療法(Intravenous Immunoglobulin:IVIg)に抵抗性であることが、大きな特徴である。また約1/3が、GBSのように急性から亜急性発症を呈する。したがって、自己免疫性ノドパチーは、CIDP/MMNのみならずGBSでも重要な鑑別疾患となっている。
しかし、GBS、CIDP、MMNの中には、既知のノド抗体が陰性であっても、類似した病像を呈する例が少なくないため、識別することは容易でないこともある。そのため、自己免疫性ノドパチーの血液バイオマーカーである自己抗体(ノド抗体)を新規に発見し、測定法を開発することが、喫緊の課題となっている。
【0009】
本発明は上記のような事情を鑑みてなされたものであり、自己抗体が未知の急性及び慢性の炎症性脱髄性末梢神経疾患において、特定の病態生理を有する一群を、特異的に診断するためのバイオマーカー、診断用キットおよび診断を補助する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、一部の急性及び慢性の炎症性脱髄性末梢神経疾患患者の血液検体中に、新規にランビエ絞輪傍パラノード(juxta-paranode)に存在するleucine-rich repeat LGI family member 4 (LGI4)と反応するIgG抗体が存在することを発見し、LGI4と反応するIgG抗体を測定する方法を確立した。これにより抗LGI4抗体を測定することで、様々な病態を含む炎症性脱髄性末梢神経疾患において、それぞれの病態に対応した治療法を確立することが可能となりうることを見出し、本発明を完成させた。
(【0011】以降は省略されています)

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