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公開番号
2025015826
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2025-01-30
出願番号
2024203003,2020167568
出願日
2024-11-21,2020-10-02
発明の名称
音響処理方法および音響処理システム
出願人
ヤマハ株式会社
代理人
弁理士法人旺知国際特許事務所
主分類
H04B
3/23 20060101AFI20250123BHJP(電気通信技術)
要約
【課題】遠端装置から受信される遠端音の放音と近端の利用者が発音する近端音の収音とが並列に実行される環境において、収音信号に対する音響処理に適用される処理パラメータを適切に制御する。
【解決手段】放音処理システム100aは、遠端の利用者が発音する遠端音を表す音響信号Xを遠端装置から受信し、音響信号Xが表す遠端音を放音装置15により放音する。音響処理部30は、近端の利用者Uaが発音する近端音を含む音響の収音により収音装置14が生成する収音信号Raに対し、処理パラメータを適用した音響処理を実行することで音響信号Yを生成する。通信制御部20は、音響信号Yを遠端装置に送信する。動作制御部60は、近端音および前記遠端音の少なくとも一方が演奏音を含む場合における処理パラメータと、演奏音を含まない場合における処理パラメータとが相違するように、処理パラメータを制御する。
【選択図】図3
特許請求の範囲
【請求項1】
第1利用者が発音する遠端音を表す第1音響信号を遠端装置から受信し、
前記第1音響信号が表す前記遠端音を放音装置により放音し、
近端の第2利用者が発音する近端音を含む音響の収音により収音装置が生成する収音信号に対し、処理パラメータを適用した音響処理を実行することで第2音響信号を生成し、
前記第2音響信号を前記遠端装置に送信し、
前記近端音および前記遠端音の少なくとも一方が演奏音を含む場合における前記処理パラメータと、前記演奏音を含まない場合における前記処理パラメータとが相違するように、前記処理パラメータを制御する
コンピュータにより実現される音響処理方法。
続きを表示(約 920 文字)
【請求項2】
前記音響処理は、前記放音装置から前記収音装置に到達する帰還音を近似する疑似エコー信号を前記収音信号から抑圧するエコー抑圧処理を含む
請求項1の音響処理方法。
【請求項3】
前記エコー抑圧処理は、
前記疑似エコー信号を前記第1音響信号から生成する適応フィルタ処理と、
前記収音信号から前記疑似エコー信号を減算する減算処理と
を含み、
前記処理パラメータは、前記適応フィルタ処理に適用される複数の係数を含む
請求項2の音響処理方法。
【請求項4】
前記音響処理は、前記近端音が到来する方向に指向する収音ビームを形成するビーム形成処理を含み、
前記処理パラメータは、前記収音ビーム形成に適用される複数の係数を含む
請求項1の音響処理方法。
【請求項5】
前記音響処理は、前記収音信号の音量に応じたゲインにより当該収音信号を増幅する音量調整処理を含み、
前記処理パラメータは、前記ゲインを含む
請求項1の音響処理方法。
【請求項6】
前記音響処理は、前記収音信号に含まれる雑音成分を抑圧する雑音抑圧処理を含み、
前記処理パラメータは、前記雑音成分を表すパラメータを含む
請求項1の音響処理方法。
【請求項7】
第1利用者が発音する遠端音を表す第1音響信号を遠端装置から受信し、前記第1音響信号が表す前記遠端音を放音装置により放音する音響処理システムであって、
近端の第2利用者が発音する近端音を含む音響の収音により収音装置が生成する収音信号に対し、処理パラメータを適用した音響処理を実行することで第2音響信号を生成する音響処理部と、
前記第2音響信号を前記遠端装置に送信する通信制御部と、
前記近端音および前記遠端音の少なくとも一方が演奏音を含む場合における前記処理パラメータと、前記演奏音を含まない場合における前記処理パラメータとが相違するように、前記処理パラメータを制御する動作制御部と
を具備する音響処理システム。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本開示は、音響信号を処理する技術に関する。
続きを表示(約 3,000 文字)
【背景技術】
【0002】
放音装置と収音装置とを具備する複数の通信装置が通信網を介して相互に通信する環境においては、放音装置から収音装置に伝播する帰還音に起因したエコーが問題となる。例えば特許文献1には、帰還音を近似する疑似エコー信号を適応フィルタにより生成し、収音装置が生成する収音信号から疑似エコー信号を減算するエコー低減装置が開示されている。特許文献1の技術においては、遠端側の利用者が発話している場合に適応フィルタの複数の係数が更新され、遠端側の利用者が発話していない場合には係数の更新が停止される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
特開2017-163305号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、通信装置を利用することで複数の利用者が遠隔地で音楽を演奏する場合がある。例えば、楽器の演奏者を遠隔地の指導者が指導する遠隔音楽教習、または、複数の演奏者が遠隔地で共通の楽曲を演奏する遠隔合奏が想定される。しかし、各利用者が演奏している期間内に係数の更新により適応フィルタの周波数応答が変動すると、利用者が意図した演奏表現が減殺される可能性がある。なお、以上の説明では適応フィルタの係数の更新に着目したが、収音装置による収音信号に対する他種の音響処理においても同様の問題が想定される。以上の事情を考慮して、本開示の目的のひとつは、遠端装置から受信される遠端音の放音と近端の利用者が発音する近端音の収音とが並列に実行される環境において、収音信号に対する音響処理に適用される処理パラメータを適切に制御することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以上の課題を解決するために、本開示のひとつの態様に係る音響処理方法は、第1利用者が発音する遠端音を表す第1音響信号を遠端装置から受信し、前記第1音響信号が表す前記遠端音を放音装置により放音し、近端の第2利用者が発音する近端音を含む音響の収音により収音装置が生成する収音信号に対し、処理パラメータを適用した音響処理を実行することで第2音響信号を生成し、前記第2音響信号を前記遠端装置に送信し、前記第1音響信号または前記収音信号に応じて前記処理パラメータを更新し、前記近端音および前記遠端音の少なくとも一方が演奏音を含む場合に前記処理パラメータの更新を停止する。
【0006】
本開示の他の態様に係る音響処理方法は、第1利用者が発音する遠端音を表す第1音響信号を遠端装置から受信し、前記第1音響信号が表す前記遠端音を放音装置により放音し、近端の第2利用者が発音する近端音を含む音響の収音により収音装置が生成する収音信号に対し、処理パラメータを適用した音響処理を実行することで第2音響信号を生成し、前記第2音響信号を前記遠端装置に送信し、前記第1音響信号または前記収音信号に応じて前記処理パラメータを更新し、前記近端音および前記遠端音の少なくとも一方が演奏音を含む場合における前記処理パラメータの更新速度と、前記演奏音を含まない場合における前記処理パラメータの更新速度とが相違するように、前記処理パラメータの更新を制御する。
【0007】
本開示のひとつの態様に係る音響処理システムは、第1利用者が発音する遠端音を表す第1音響信号を遠端装置から受信し、前記第1音響信号が表す前記遠端音を放音装置により放音する音響処理システムであって、近端の第2利用者が発音する近端音を含む音響の収音により収音装置が生成する収音信号に対し、処理パラメータを適用した音響処理を実行することで第2音響信号を生成する音響処理部と、前記第2音響信号を前記遠端装置に送信する通信制御部と、前記第1音響信号または前記収音信号に応じて前記処理パラメータを更新する更新処理部と、前記近端音および前記遠端音の少なくとも一方が演奏音を含む場合に前記処理パラメータの更新を停止する動作制御部とを具備する。
【0008】
本開示の他の態様に係る音響処理システムは、第1利用者が発音する遠端音を表す第1音響信号を遠端装置から受信し、前記第1音響信号が表す前記遠端音を放音装置により放音する音響処理システムであって、近端の第2利用者が発音する近端音を含む音響の収音により収音装置が生成する収音信号に対し、処理パラメータを適用した音響処理を実行することで第2音響信号を生成する音響処理部と、前記第2音響信号を前記遠端装置に送信する通信制御部と、前記第1音響信号または前記収音信号に応じて前記処理パラメータを更新する更新処理部と、前記近端音および前記遠端音の少なくとも一方が演奏音を含む場合における前記処理パラメータの更新速度と、前記演奏音を含まない場合における前記処理パラメータの更新速度とが相違するように、前記処理パラメータの更新を制御する動作制御部とを具備する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
第1実施形態に係る通信システムの構成を例示するブロック図である。
音響処理システムの構成を例示するブロック図である。
音響処理システムの機能的な構成を例示するブロック図である。
エコー抑圧部の具体的な構成を例示するブロック図である。
判定処理の具体的な手順を例示するフローチャートである。
判定処理部が使用する推定モデルの説明図である。
動作制御部の動作の説明図である。
制御処理の具体的な手順を例示するフローチャートである。
第2実施形態における音響処理システムの機能的な構成を例示するブロック図である。
第2実施形態における設定部の具体的な構成を例示するブロック図である。
第2実施形態における動作制御部の動作の説明図である。
第2実施形態における制御処理の具体的な手順を例示するフローチャートである。
第3実施形態における音響処理システムの機能的な構成を例示するブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
A:第1実施形態
図1は、第1実施形態に係る通信システム1の構成を例示するブロック図である。通信システム1は、例えば音楽の教習に利用されるコンピュータシステムであり、音響処理システム100aと音響処理システム100bとを具備する。音響処理システム100aおよび音響処理システム100bの各々は、例えば携帯電話機、スマートフォン、タブレット端末、またはパーソナルコンピュータ等の情報端末により実現される。なお、遠隔地間における音響の授受に利用される遠隔会議装置(いわゆるスピーカフォン)も音響処理システム100aまたは音響処理システム100bとして利用される。音響処理システム100aと音響処理システム100bとは、例えばインターネット等の通信網200を介して相互に通信する。なお、音響処理システム100aと音響処理システム100bとの間の通信の方式は任意である。例えば、音響処理システム100aと音響処理システム100bとの間に確立される通信経路の一部は無線区間でもよい。
(【0011】以降は省略されています)
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