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公開番号2025015346
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-01-30
出願番号2023118703
出願日2023-07-20
発明の名称建設機械の油圧駆動システム
出願人ダンフォス・スコットランド・リミテッド,DANFOSS SCOTLAND LIMITED,日立建機株式会社
代理人弁理士法人開知
主分類F15B 11/02 20060101AFI20250123BHJP(流体圧アクチュエータ;水力学または空気力学一般)
要約【課題】複数の油圧アクチュエータを同時に駆動するときの分流圧損を低減し,エネルギ効率を向上させることができる建設機械の油圧駆動システムを提供する。
【解決手段】コントローラ28は,操作信号に基づいて油圧アクチュエータ105a~109aの要求ポンプ要素数を演算し,その要求ポンプ要素数に基づいて油圧アクチュエータ105a~109aのそれぞれの割当ポンプ要素数を第1割当ポンプ要素数として演算し,第1割当ポンプ要素数とブーム優先順位及びアーム優先順位とに基づいて第1割当ポンプ要素数に係わる方向制御弁を選択し,選択した方向制御弁の割当ポンプ要素数を第2割当ポンプ要素数として演算し,選択した方向制御弁と第1切換弁V11~V14及び第2切換弁V21~V24と第1ポンプ要素P11~P14及び第2ポンプ要素P21~P24とを制御する。
【選択図】図2
特許請求の範囲【請求項1】
複数の油圧ポンプと,
前記複数の油圧ポンプから吐出された圧油により駆動される複数の油圧アクチュエータと,
前記複数の油圧ポンプから前記複数の油圧アクチュエータに供給される圧油の流れを制御する複数の方向制御弁と,
前記複数の油圧アクチュエータを駆動するための操作信号を生成する複数の操作装置とを備え,
前記複数の方向制御弁は,第1制御弁グループと,第2制御弁グループと,第3制御弁グループとに分けられ,
前記複数の油圧アクチュエータは,ブームを駆動するブームシリンダと,アームを駆動するアームシリンダと,作業具を駆動する作業具シリンダと,旋回体を駆動する旋回モータとを含み,
前記第1制御弁グループは,第1ブーム方向制御弁及び第1アーム方向制御弁を含み,前記第2制御弁グループは,第2ブーム方向制御弁及び第2アーム方向制御弁を含み,前記第3制御弁グループは,第3ブーム方向制御弁及び第3アーム方向制御弁を含み,かつ前記第1制御弁グループ,前記第2制御弁グループ及び前記第3制御弁グループのうちの異なる制御弁グループに作業具方向制御弁と旋回方向制御弁が含まれる建設機械の油圧駆動システムにおいて,
前記複数の油圧ポンプは,それぞれの吐出流量を独立して制御可能な複数の第1ポンプ要素を内包した第1油圧ポンプと,それぞれの吐出流量を独立して制御可能な複数の第2ポンプ要素を内包した第2油圧ポンプとを含み,
前記複数の操作装置によって生成された操作信号に基づいて,前記複数の第1ポンプ要素及び前記複数の第2ポンプ要素と,前記複数の方向制御弁とを制御するコントローラを備え,
前記コントローラは,
前記複数の操作装置によって生成された操作信号に基づいて,前記複数の油圧アクチュエータの要求流量として,前記ブームシリンダの要求ポンプ要素数,前記アームシリンダの要求ポンプ要素数,前記作業具シリンダの要求ポンプ要素数及び前記旋回モータの要求ポンプ要素数を含む前記複数の油圧アクチュエータのそれぞれの要求ポンプ要素数を演算し,
前記複数の油圧アクチュエータのそれぞれの要求ポンプ要素数に基づいて前記複数の油圧アクチュエータのそれぞれにポンプ要素数を割り当てることで,前記ブームシリンダの割当ポンプ要素数,前記アームシリンダの割当ポンプ要素数,前記作業具シリンダの割当ポンプ要素数及び前記旋回モータの割当ポンプ要素数を含む前記複数の油圧アクチュエータのそれぞれの割当ポンプ要素数を第1割当ポンプ要素数として演算し,
前記ブームシリンダの前記第1割当ポンプ要素数を前記第1~第3ブーム方向制御弁に割り当てるための前記第1~第3制御弁グループのブーム優先順位と,前記アームシリンダの前記第1割当ポンプ要素数を前記第1~第3アーム方向制御弁に割り当てるための前記第1~第3制御弁グループのアーム優先順位とを予め設定しておき,前記第1割当ポンプ要素数と前記ブーム優先順位及び前記アーム優先順位とに基づいて,前記第1割当ポンプ要素数に係わる方向制御弁を選択し,前記選択した方向制御弁にポンプ要素数を割り当てることで,前記選択した方向制御弁の割当ポンプ要素数を第2割当ポンプ要素数として演算し,
前記選択した方向制御弁の切り換え位置を制御するとともに,前記選択した方向制御弁に前記第2割当ポンプ要素数の圧油の流量が供給されるように前記複数の第1ポンプ要素及び前記複数の第2ポンプ要素を制御することを特徴とする建設機械の油圧駆動システム。
続きを表示(約 2,300 文字)【請求項2】
請求項1記載の建設機械の油圧駆動システムにおいて,
前記コントローラに予め設定された前記ブーム優先順位は,前記第3制御弁グループ,前記第1制御弁グループ,前記第2制御弁グループの順番であり,
前記アーム優先順位は,前記第3制御弁グループ,前記第2制御弁グループ,前記第3制御弁グループの順番であることを特徴とする建設機械の油圧駆動システム。
【請求項3】
請求項1又は2記載の建設機械の油圧駆動システムにおいて,
前記コントローラに予め設定された前記ブーム優先順位は,前記第2制御弁グループ,前記第1制御弁グループ,前記第3制御弁グループの順番であり,
前記アーム優先順位は,前記第2制御弁グループ,前記第3制御弁グループ,前記第1制御弁グループの順番であることを特徴とする建設機械の油圧駆動システム。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項記載の建設機械の油圧駆動システムにおいて,
前記コントローラは,
前記要求ポンプ要素数の合計が前記複数の第1ポンプ要素と前記複数の第2ポンプ要素の合計のポンプ要素数の範囲内に収まるように前記要求ポンプ要素数を補正することで,前記複数の油圧アクチュエータのそれぞれの前記第1割当ポンプ要素数を演算することを特徴とする建設機械の油圧駆動システム。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項記載の建設機械の油圧駆動システムにおいて,
前記コントローラは,
前記作業具方向制御弁と前記旋回方向制御弁に最優先で前記作業具シリンダと前記旋回モータのそれぞれの前記第1割当ポンプ要素数を割り当てて,前記作業具方向制御弁と前記旋回方向制御弁の前記第2割当ポンプ要素数を演算することを特徴とする建設機械の油圧駆動システム。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項記載の建設機械の油圧駆動システムにおいて,
前記コントローラは,前記操作信号にブーム下げを指示する操作信号が含まれており,前記ブーム下げが空中でのブームの自由落下によるものである場合は,前記第1~第3ブーム方向制御弁に割り当てる第2割当ポンプ要素数を0にすることを特徴とする建設機械の油圧駆動システム。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1項記載の建設機械の油圧駆動システムにおいて,
前記コントローラは,
前記ブーム優先順位と前記アーム優先順位に基づいて,それぞれ最先の優先順位の制御弁グループのブーム方向制御弁とアーム方向制御弁にポンプ要素数を割り当て,
同じ制御弁グループ内のブーム方向制御弁とアーム方向制御弁にポンプ要素数が割り当てられ,かつ前記ブーム方向制御弁に割り当てられたポンプ要素数と前記アーム方向制御弁に割り当てられたポンプ要素数が同数である場合は,前記ブーム方向制御弁と前記アーム方向制御弁の一方のポンプ要素数の割当を撤回し,次の優先順位の制御弁グループの方向制御弁にポンプ要素数を割り当てて前記第2割当ポンプ要素数とし,
前記ブーム方向制御弁に割り当てられたポンプ要素数と前記アーム方向制御弁に割り当てられたポンプ要素数が同数でない場合は,前記ブーム方向制御弁及び前記アーム方向制御弁のうち割当ポンプ要素数の少ない方の方向制御弁のポンプ要素数の割当を撤回し,次の優先順位の制御弁グループの方向制御弁にポンプ要素数を割り当てて前記第2割当ポンプ要素数とすることを特徴とする建設機械の油圧駆動システム。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか1項記載の建設機械の油圧駆動システムにおいて,
前記第1油圧ポンプの複数の第1ポンプ要素に接続され,前記複数の第1ポンプ要素と前記第1制御弁グループ,前記第2制御弁グループ及び前記第3制御弁グループとの接続を切り換える複数の第1切換弁と,
前記第2油圧ポンプの複数の第2ポンプ要素に接続され,前記複数の第2ポンプ要素と前記第1制御弁グループ,前記第2制御弁グループ及び前記第3制御弁グループとの接続を切り換える複数の第2切換弁とを更に備え,
前記第1油圧ポンプ及び前記第2油圧ポンプはそれぞれ4つのポンプ要素を含み,
前記複数の第1切換弁及び前記複数の第2切換弁はそれぞれ4つの切換弁を含むことを特徴とする建設機械の油圧駆動システム。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか1項記載の建設機械の油圧駆動システムにおいて,
前記第1油圧ポンプの複数の第1ポンプ要素に接続され,前記複数の第1ポンプ要素と前記第1制御弁グループ,前記第2制御弁グループ及び前記第3制御弁グループとの接続を切り換える複数の第1切換弁と,
前記第2油圧ポンプの複数の第2ポンプ要素に接続され,前記複数の第2ポンプ要素と前記第1制御弁グループ,前記第2制御弁グループ及び前記第3制御弁グループとの接続を切り換える複数の第2切換弁とを更に備え,
前記第1油圧ポンプ及び前記第2油圧ポンプはそれぞれ5つのポンプ要素を含み,
前記複数の第1切換弁及び前記複数の第2切換弁はそれぞれ5つの切換弁を含むことを特徴とする建設機械の油圧駆動システム。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか1項記載の建設機械の油圧駆動システムにおいて,
前記複数の方向制御弁は,オープンセンタ型の複数の方向制御弁であることを特徴とする建設機械の油圧駆動システム。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は建設機械の油圧駆動システムに係わり,特に,複数の吐出ポートから吐出される圧油の流量をそれぞれ独立して制御可能な複数のポンプ要素を内包したポンプ装置を備え,このポンプ装置から吐出された圧油を複数の方向切換弁に供給し,複数の油圧アクチュエータを駆動する油圧ショベル等の建設機械の油圧駆動システムに関する。
続きを表示(約 1,600 文字)【背景技術】
【0002】
近年,油圧ショベルなどの建設機械において,省エネ化が重要な開発項目になっている。建設機械の省エネ化には油圧駆動システムの燃費効率の向上が不可欠であり,様々な油圧駆動システムがこれまでに提案されている。そのような従来技術を開示する文献として特許文献1,2,3がある。
【0003】
特許文献1は,3つの油圧ポンプと3つのバルブグループから構成されたコントロールバルブを備え,3つのバルブグループのそれぞれにブーム用の方向制御弁とアーム用の方向制御弁を配置することで,ブーム上げとアームクラウドの複合操作を,絞りを設けずに実施でき,また絞りを有する再生回路を設けたのと同様のアームクラウド操作を実施させることができるようにした油圧駆動システムを開示している。
【0004】
特許文献2は,4つの吐出ポートから吐出される圧油の流量をそれぞれ独立して制御可能な4つのポンプ要素を内包したポンプ装置を備え,4つの吐出ポートを16個の切換弁を介して4つの負荷ポート油路に接続し,4つの負荷ポート油路の1つに3つの方向制御弁を介して3つの油圧アクチュエータを並列に接続した油圧駆動システムを開示している。
【0005】
特許文献3は,2つの吐出ポートから吐出される圧油の流量をそれぞれ独立して制御可能な2つのポンプ要素を内包したポンプ装置を備え,2つの吐出ポートに,それぞれ,オープンセンタ型の2つの方向制御弁を介して2つのアクチュエータを並列に接続し,各吐出ポートから2つのアクチュエータに圧油を供給できるようにした油圧駆動システムを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
特許第5572586号公報
WO2008/009950号公報
WO2020/053577号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載の油圧駆動システムは,3つのバルブグループのそれぞれにブーム用の方向制御弁とアーム用の方向制御弁を配置することで,ブーム上げとアームクラウドの複合操作を,絞りを設けずに実施できるため,絞りを設けることによる圧損を低減し,ポンプ効率を向上させることができる。しかし,ブームとアームを含む複合動作を行う場合,3つのバルブグループのそれぞれにおいて,ブーム用及びアーム用の方向制御弁の両方が連動して切り換わるため,同じバルブグループ内の低圧アクチュエータ側の方向制御弁を絞ることにより生じる分流圧損が発生し,エネルギ効率が低下する。
【0008】
特許文献2に記載の油圧駆動システムは,4つの負荷ポート油路の1つに3つのアクチュエータを3つの方向制御弁を介して並列に接続しているため,3つのアクチュエータのうちの2つ以上のアクチュエータを同時に駆動する複合動作を行った場合に,低圧アクチュエータ側の方向制御弁を絞ることにより生じる分流圧損が生じ,エネルギ効率が低下する。
【0009】
特許文献3に記載の油圧駆動システムも同様であり,ポンプ装置の2つの吐出ポートのそれぞれに,2つのアクチュエータを2つの方向制御弁を介して並列に接続しているため,2つのアクチュエータを同時に駆動する複合動作を行った場合に,低圧アクチュエータ側の方向制御弁を絞ることにより生じる分流圧損が生じ,エネルギ効率が低下する。
【0010】
本発明の目的は,複数の吐出ポートから吐出される圧油の流量をそれぞれ独立して制御可能な複数のポンプ要素を内包したポンプ装置を備えた油圧駆動システムにおいて,複数の油圧アクチュエータを同時に駆動するときの分流圧損を低減し,エネルギ効率を向上させることができる建設機械の油圧駆動システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
(【0011】以降は省略されています)

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