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公開番号2025065616
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-04-22
出願番号2023174926
出願日2023-10-10
発明の名称流れ制御装置
出願人学校法人東海大学
代理人個人,個人
主分類F15D 1/12 20060101AFI20250415BHJP(流体圧アクチュエータ;水力学または空気力学一般)
要約【課題】流れのはく離自体を抑制するとともに、その後方に発生する渦(渦度)の影響を低減することができる流れ制御装置を提供すること。
【解決手段】本発明の流れ制御装置20は、被装着体1に取り付けられ、被装着体1の被装着体表面12からの流体の流れのはく離を抑制するとともに渦度を弱め、被装着体表面12との間に内方流路Raを形成する板状部材21を有し、板状部材21の下流側端部に、山部22と谷部23とを持つ凹凸部を形成し、板状部材21によって、上流からの流体の流れを、内方流路Ra、Rbと外方流路Sa、Sbとに分離し、凹凸部によって、板状部材21の下流での渦度を弱めることを特徴とする。
【選択図】 図1
特許請求の範囲【請求項1】
被装着体に取り付けられ、前記被装着体の被装着体表面からの流体の流れのはく離を抑制するとともに渦度を弱める流れ制御装置であって、
前記被装着体表面との間に内方流路を形成する板状部材を有し、
前記板状部材の下流側端部に、山部と谷部とを持つ凹凸部を形成し、
前記板状部材によって、上流からの前記流体の流れを、前記内方流路と外方流路とに分離し、
前記凹凸部によって、前記板状部材の下流での前記渦度を弱める
ことを特徴とする流れ制御装置。
続きを表示(約 560 文字)【請求項2】
前記内方流路は、上流側流路断面積を下流側流路断面積以上とした
ことを特徴とする請求項1に記載の流れ制御装置。
【請求項3】
前記内方流路における前記流体が、前記外方流路における前記流体より流速が速い
ことを特徴とする請求項1に記載の流れ制御装置。
【請求項4】
前記山部と前記谷部とを下流端に向かって漸次肉厚を薄くし、下流端に向かって内方流路側に湾曲させることを特徴とする請求項1に記載の流れ制御装置。
【請求項5】
前記被装着体表面が、隣接する第1被装着体表面と第2被装着体表面とを備え、
前記第1被装着体表面の第1法線と、前記第2被装着体表面の第2法線とが異なる場合には、
前記板状部材として、
前記第1被装着体表面との間に第1内方流路を形成する第1板状部材と、
前記第2被装着体表面との間に第2内方流路を形成する第2板状部材と
を有し、
前記第1板状部材の端部と前記第2板状部材の端部とを繋げた
ことを特徴とする請求項1に記載の流れ制御装置。
【請求項6】
前記被装着体を車両とした
ことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の流れ制御装置。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、被装着体表面からの流体の流れのはく離を抑制するとともに渦度を弱める流れ制御装置に関する。
続きを表示(約 3,200 文字)【背景技術】
【0002】
自動車(乗用車、トラック、バス等)および鉄道などの陸上輸送機器には、内部スペースの制約などのため、どうしても、ボディ表面に角部あるいはRが小さい端部ができてしまう。特に、後方の角部あるいはRが小さい端部では、流体の流れが車体表面からはく離し、その領域の後方に強い渦度領域が発生することから、空気抵抗の増大、燃費(電費)の悪化、温室効果ガス排出量の増加、走行安定性の悪化や乗り心地の悪化に繋がる。また、渦度が時間的に変動しながら後方に流出することで、空力音の発生の原因ともなる。さらに、陸上輸送機器が実際に運用される自然環境では、相対風の強さ、向きが時間毎に一定ではなく、車両等に側面から相対風が流入する場合もある。このような横風を受けた場合は、サイド部でも流体の流れのはく離が発生し、空気抵抗の増大、横力の増大、燃費(電費)の悪化、温室効果ガス排出量の増加、操縦安定性の悪化に繋がる。
例えば、特許文献1で開示している車両のリヤスポイラは、リヤスポイラの後端縁に、車幅方向に所定間隔ごとに設けられた凹部によって互いに隔てられた、後方へ突出する複数の突起が設けられている。そして突起の上面は、リヤスポイラの上面の一部として、リヤスポイラの上面における後端側で同一平面上に延出され、リヤスポイラの上面において凹部の前端をなす第1のエッジが有する、車幅方向に直交する面と平行な断面上の曲率半径は、突起の上面の後端をなす第2のエッジが有する当該断面上の曲率半径よりも大きくしている。
特許文献1によれば、リヤスポイラ上に流れ込む空気は、凹部に繋がる第1のエッジ上を通過する第1の気流と、突起上を経て第2のエッジ上を通過する第2の気流とに分かれる。第1の気流と第2の気流とは、互いに流出角度が異なることにより車両後方に縦渦を形成する。当該縦渦は上部の高速流の一部を下部へ引き込み、車両後方に発生する横渦の強度を抑制する。したがって、車両後方におけるリヤスポイラよりも下方側の圧力が増加して空気抵抗が減少する。
なお、特許文献2や特許文献3では、ブレードの翼前端部や翼後端部に縦渦を発生させるセレーションを設けることで、縦渦間のアンバランスが生ずることにより、縦渦が微細化されることで、ブレードの翼面からはく離した気流の圧力変動の相関面積を充分に小さくすることができ、騒音低減効果を充分に得ることができる羽根車を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
特開2017-81487号公報
特開2013-249762号公報
特開2017-110555号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1から特許文献3にも開示されているように、従来の技術は、主に、流れのはく離により発生する渦(渦度)の低減を目指すものである。
【0005】
本発明は、流れのはく離自体を抑制するとともに、その後方に発生する渦(渦度)の影響を低減することができる流れ制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の本発明の流れ制御装置20は、被装着体1に取り付けられ、前記被装着体1の被装着体表面12からの流体の流れのはく離を抑制するとともに渦度を弱める流れ制御装置20であって、前記被装着体表面12との間に内方流路Ra、Rbを形成する板状部材21を有し、前記板状部材21の下流側端部に、山部22と谷部23とを持つ凹凸部を形成し、前記板状部材21によって、上流からの前記流体の流れを、前記内方流路Ra、Rbと外方流路Sa、Sbとに分離し、前記凹凸部によって、前記板状部材21の下流での前記渦度を弱めることを特徴とする。
請求項2記載の本発明は、請求項1に記載の流れ制御装置20において、前記内方流路Ra、Rbは、上流側流路断面積を下流側流路断面積以上としたことを特徴とする。
請求項3記載の本発明は、請求項1に記載の流れ制御装置20において、前記内方流路Ra、Rbにおける前記流体Finが、前記外方流路Sa、Sbにおける前記流体Foutより流速が速いことを特徴とする。
請求項4記載の本発明は、請求項1に記載の流れ制御装置20において、前記山部22と前記谷部23とを下流端に向かって漸次肉厚を薄くし、谷部から山部が下流端に向かって内方流路側に湾曲させることを特徴とする。
請求項5記載の本発明は、請求項1に記載の流れ制御装置20において、前記被装着体表面12が、隣接する第1被装着体表面12aと第2被装着体表面12bとを備え、前記第1被装着体表面12aの第1法線Aと、前記第2被装着体表面12bの第2法線Bとが異なる場合には、前記板状部材21として、前記第1被装着体表面12aとの間に第1内方流路Raを形成する第1板状部材21aと、前記第2被装着体表面12bとの間に第2内方流路Rbを形成する第2板状部材21bとを有し、前記第1板状部材21aの端部と前記第2板状部材21bの端部とを繋げたことを特徴とする。
請求項6記載の本発明は、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の流れ制御装置20において、前記被装着体1を車両としたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、内方流路によって被装着体の被装着体表面からの流体の流れのはく離を抑制し、内方流路における流体の流れと外方流路における流体の流れとの速度差により板状部材の下流で発生する渦を凹凸部で低減することで渦度を弱めることができるため、被装着体における空気抵抗及び空力音を低減できるほか、本装置を取り付けた陸上輸送機器の燃費の改善、走行安定性の向上、乗り心地の改善ができる。さらに、本装置を取り付けた陸上輸送機器等の後方は、本装置によって渦度が弱められ、粉塵や排気ガス等を巻き上げず、車体等の汚れを抑制する効果もある。
【図面の簡単な説明】
【0008】
本発明の一実施例における流れ制御装置を取り付ける被装着体を示す写真
同流れ制御装置をナンバープレート装着部に取り付けた状態を示す図
同流れ制御装置を示す図
第2板状部材を示す図
板状部材による流体の流れを示す図
乱流エネルギーの等値面を示すCFD解析図
断面の渦度分布を示すCFD解析図
空気抵抗低減効果を示すグラフ
本実施例による流れ制御装置の装着位置を示す図
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の第1の実施の形態による流れ制御装置は、被装着体表面との間に内方流路を形成する板状部材を有し、板状部材の下流側端部に、山部と谷部とを持つ凹凸部を形成し、板状部材によって、上流からの流体の流れを、内方流路と外方流路とに分離し、凹凸部によって、板状部材の下流での渦度を弱めるものである。本実施の形態によれば、内方流路によって被装着体の被装着体表面からの流体の流れのはく離を抑制し、内方流路における流体の流れと外方流路における流体の流れとの速度差により板状部材の下流で発生する渦を凹凸部で低減することで渦度を弱めることができるため、被装着体における空気抵抗及び空力音を低減できる。
【0010】
本発明の第2の実施の形態は、第1の実施の形態による流れ制御装置において、内方流路は、上流側流路断面積を下流側流路断面積以上としたものである。本実施の形態によれば、内方流路に十分な流体を流すことができる。
(【0011】以降は省略されています)

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