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公開番号2025030420
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-03-07
出願番号2023135702
出願日2023-08-23
発明の名称表面改質レーザ照射装置、表面改質レーザ照射方法、及び、金属部材
出願人学校法人東海大学
代理人弁理士法人磯野国際特許商標事務所
主分類B23K 26/352 20140101AFI20250228BHJP(工作機械;他に分類されない金属加工)
要約【課題】処理が困難な化学薬品を使用することがなく、金属部材の表面に大きなひび割れを生じない表面改質レーザ照射装置を提供する。
【解決手段】レーザ光Ldを照射するレーザ光源10と、レーザ光源からのレーザ光を、表面改質を行うターゲット1に向かって予め設定された光路に配置して誘導する光学系20と、を備える光源装置70と、ターゲットを、空気よりも熱伝導率が高い液体又は気体である媒体7と共に収納する収納部50と、ターゲット又はレーザ光の照射位置のいずれか一方又は両方を移動させる移動機構40と、を備え、収納部は、媒体を介してレーザ光により照射されるターゲットを支持する支持部を有し、光源装置からレーザ光が媒体中のターゲットに照射されるレーザエネルギ密度は、ターゲットの隆起開始閾値以上で、媒体中のターゲットの溶解閾値以下である。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
レーザ光を照射するレーザ光源と、前記レーザ光源からのレーザ光を、表面改質を行うターゲットに向かって予め設定された光路に配置して誘導する光学系と、を備える光源装置と、
前記ターゲットを、空気よりも熱伝導率が高い液体又は気体である媒体と共に収納する収納部と、
前記ターゲット又は前記レーザ光の照射位置のいずれか一方又は両方を移動させる移動機構と、を備え、
前記収納部は、前記媒体を介して前記レーザ光により照射される前記ターゲットを支持する支持部を有し、
前記光源装置からレーザ光が前記媒体中のターゲットに照射されるレーザエネルギ密度は、前記ターゲットの隆起開始閾値以上で、前記媒体中のターゲットの溶解閾値以下である表面改質レーザ照射装置。
続きを表示(約 650 文字)【請求項2】
前記媒体は、液体である、水、メタノール、エタノール、アセトン、油のいずれか、又は、気体である、ヘリウム、水素のいずれかである請求項1に記載の表面改質レーザ照射装置。
【請求項3】
表面改質を行うターゲットを空気よりも熱伝導率が高い液体又は気体である媒体が充填される収納部に収納して準備する工程と、
準備した収納部内のターゲットにレーザ光源からのレーザ光を、光路に配置した光学系により前記媒体を介して照射する工程と、
前記ターゲットの予め設定されている照射領域の全域に前記レーザ光を照射するように前記ターゲット又は前記レーザ光の照射位置の一方又は両方を、移動機構を介して移動させる工程と、を含み、
前記レーザ光を照射する工程において、前記レーザ光が前記ターゲットに照射されるレーザエネルギ密度は、前記ターゲットの隆起開始閾値以上で、前記媒体中の前記ターゲットの溶解閾値以下である表面改質レーザ照射方法。
【請求項4】
前記レーザ光は、50パルス以上600パルス以下で、266nmから10.6μmの波長の範囲である請求項3に記載の表面改質レーザ照射方法
【請求項5】
前記ターゲットは金属部材である請求項3に記載の表面改質レーザ照射方法
【請求項6】
表面に、照射されるレーザ光の波長の1/50以上1/2以下の大きさであり、50個>1μm
2
の密度となる間隔で凸部を有する金属部材。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、金属部材の表面改質を行う場合に使用される表面改質レーザ照射装置、表面改質レーザ照射方法、及び、金属部材に関する。
続きを表示(約 3,600 文字)【背景技術】
【0002】
金属表面に化学的な処理を施し金属表面を表面改質する技術が知られている。この技術は、例えば、アルミニウム板の表面を陽極酸化することで微小な凹凸を形成し、撥水性を実現している(例えば、非特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
表面技術 Vol.65、No9、2014 22頁~27頁(426-431)「陽極酸化を利用した金属表面の超撥水・超撥油化」幅崎浩樹 北海道大学大学院工学研究院(〒060-8628 北海道札幌市北区北13条西8丁目)、藤井隆志 新日鐵住金(株)技術開発本部先端技術研究所(〒293-8511 千葉県富津市新富20-1)、中山勝利 北海道大学大学院総合化学院(〒060-8628 北海道札幌市北区北13条西8丁目)、辻悦司 北海道大学大学院工学研究院(〒060-8628 北海道札幌市北区北13条西8丁目)、青木芳尚 北海道大学大学院工学研究院(〒060-8628 北海道札幌市北区北13条西8丁目)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の技術では、金属部材の表面にナノドット構造を形成するために金属部材の表面に化学薬品を使用することで表面改質を行いナノドット構造の効果が達成できるようにしている。しかし、金属部材の表面改質を行う場合に使用する化学薬品の廃液処分に手間と費用がかかってしまうのが現状である。また、金属部材にレーザ光を直接照射するとひび割れが大きく生じてしまう。
【0005】
そこで、本発明は、前記した状況に鑑み創案されたものであり、処理が困難な化学薬品を使用することがなく、金属部材の表面に大きなひび割れを生じない表面改質レーザ照射装置、表面改質レーザ照射方法、及び、金属部材を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、本発明に係る表面改質レーザ照射装置は、レーザ光を照射するレーザ光源と、前記レーザ光源からのレーザ光を、表面改質を行うターゲットに向かって予め設定された光路に配置して誘導する光学系と、を備える光源装置と、前記ターゲットを、空気よりも熱伝導率が高い液体又は気体である媒体と共に収納する収納部と、前記ターゲット又は前記レーザ光の照射位置のいずれか一方又は両方を移動させる移動機構と、を備え、前記収納部は、前記媒体を介して前記レーザ光により照射される前記ターゲットを支持する支持部を有し、前記光源装置からレーザ光が前記媒体中のターゲットに照射されるレーザエネルギ密度は、前記ターゲットの隆起開始閾値以上で、前記媒体中のターゲットの溶解閾値以下である。
【0007】
また、前記課題を解決するために、本発明に係る表面改質レーザ照射方法は、表面改質を行うターゲットを空気よりも熱伝導率が高い液体又は気体である媒体が充填される収納部に収納して準備する工程と、準備した収納部内のターゲットにレーザ光源からのレーザ光を、光路に配置した光学系により前記媒体を介して照射する工程と、前記ターゲットの予め設定されている照射領域の全域に前記レーザ光を照射するように前記ターゲット又は前記レーザ光の照射位置の一方又は両方を、移動機構を介して移動させる工程と、を含み、前記レーザ光を照射する工程において、前記レーザ光が前記ターゲットに照射されるレーザエネルギ密度は、前記ターゲットの隆起開始閾値以上で、前記媒体中の前記ターゲットの溶解閾値以下であることとした。
【0008】
さらに、前記課題を解決するために、本発明に係る金属部材は、表面に、照射されるレーザ光の波長の1/50以上1/2以下の大きさであり、50個>1μm
2
の密度で周期的ドット構造を有する構成とした。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る表面改質レーザ照射装置及び、表面改質レーザ照射方法によれば、処理が困難な化学薬品を使用することがなく、一定以上の密度で金属部材の表面にナノメートルサイズの凸部を、金属部材のひび割れを抑制して形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
本発明に係る表面改質レーザ照射装置を示すブロック構成図である。
図1の表面改質レーザ照射装置においてシリンドリカルレンズからターゲットに照射したレーザ光の照射状態を模式的に示す斜視図である。
図2のレーザ光の照射状態を拡大してターゲットの一部を模式的に示す正面図である。
図2のレーザ光の照射位置をターゲットの一部において模式的に示す正面図である。
本発明に係る金属部材であるチタン板の表面に凸部が形成された状態を模式的に示す平面図である。
図4AのIVBの部分を拡大して凸部を模式的に示す斜視図である。
本発明に係る表面改質レーザ照射方法を示すフローチャートである。
本発明に係る表明改質レーザ照射装置の第1変形例を示すブロック構成図である。
本発明に係る表明改質レーザ照射装置の第2変形例を示すブロック構成図である。
本発明に係る表明改質レーザ照射装置の第1応用例の構成を模式的に示す模式図である。
本発明に係る表面改質レーザ照射装置の第2応用例の構成を模式的に示す模式図である。
チタン板を大気中でレーザ光の照射を行ったときのCrater diameter[μm]とレーザエネルギ密度(Laser fluence)[J/cm
2
]の関係を示すグラフ図である。
チタン板を水中でレーザ光の照射を行ったときのCrater diameter[μm]とレーザエネルギ密度(Laser fluence)[J/cm
2
]の関係を示すグラフ図である。
チタン板に大気中でレーザエネルギ密度0.22J/cm
2
においてN=100、100パルスでレーザ光を照射して凸部を形成した一部の状態を20000倍で示すFE-SEM写真画像である。
チタン板に大気中でレーザエネルギ密度0.22J/cm
2
においてN=100、100パルスでレーザ光を照射して凸部を形成した一部の状態を20000倍で示すFE-SEM写真画像である。
チタン板に大気中でレーザエネルギ密度0.22J/cm
2
においてN=100、100パルスでレーザ光を照射して凸部を形成した一部の状態を20000倍で示すFE-SEM写真画像である。
チタン板に大気中でレーザエネルギ密度0.22J/cm
2
においてN=100、100パルスでレーザ光を照射して凸部を形成した一部の状態を20000倍で示すFE-SEM写真画像である。
チタン板に水中でレーザエネルギ密度0.22J/cm
2
においてN=100、100パルスでレーザ光を照射して凸部を形成した一部の状態を20000倍で示すFE-SEM写真画像である。
チタン板に水中でレーザエネルギ密度0.22J/cm
2
においてN=100、100パルスでレーザ光を照射して凸部を形成した一部の状態を20000倍で示すFE-SEM写真画像である。
チタン板に水中でレーザエネルギ密度0.22J/cm
2
においてN=100、100パルスでレーザ光を照射して凸部を形成した一部の状態を20000倍で示すFE-SEM写真画像である。
チタン板に水中でレーザエネルギ密度0.22J/cm
2
においてN=100、100パルスでレーザ光を照射して凸部を形成した一部の状態を20000倍で示すFE-SEM写真画像である。
レーザ光を照射する前のチタン板の表面の状態を20000倍で示すFE-SEM写真画像である。
大気中でレーザエネルギ密度0.50J/cm
2
において100パルスでレーザ光を照射したチタン板の表面の状態を20000倍で示すFE-SEM写真画像である。
水中でレーザエネルギ密度0.50J/cm
2
において100パルスでレーザ光を照射したチタン板の表面の状態を20000倍で示すFE-SEM写真画像である。
【発明を実施するための形態】
(【0011】以降は省略されています)

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